2008年12月31日水曜日

BONNE ANNEE !


ついに今年も残すところあと1時間強です。

このくらいになると、年が変わる瞬間は何して過ごそうかと、少し悩んだのもですね、子供のころは! 今は、んん、まあ、ねえ…… などと言っているうちに、へたしたらもう3月くらいにはなっています。(J'exagère !)

今日は、なんだかなかなか頭痛がとれなくて往生しましたが、それでもラスト・スタバで、ラスト・チャイ・ティーをすませることはできました。それから夕方に1時間以上風呂に入り、40年以上前の本を読んでいました。

子供のころ、大田区池上に住んでいたころは、毎年、お蕎麦屋さんが御用聞きにくるんです、年末に。で、たとえば「じゃあ10時ごろに、ざる4枚」なんて頼んでおくと、大晦日のその時刻に、出前してくれるというわkです。当時は、紅白を見て待ってました。(親は見ないので、ひとりで見てました。歌謡曲好きだったので!)

でもそれは昔の話。このごろは、自宅でそばを茹でてます、せめてちょっとはおいしそうなそばを。で今日も、風呂の後に8割そばを茹でました。意外においしかったです!

何日か前に、年内にココまで(あと5人)やっておきたい、と書きましたが、予想通り、できませんでした! でもいいんです。というのは、ひとり増やしたので、当然終わらないんです。ま、予定通りいかないのは、初めてってわけじゃありません!

来年は、春の『東京詩』以外には、一応(改訂版を含めて)2冊予定があります。それと再来年の春に1冊。ただそれはみんなフランス語関係なので、『東京詩』のどこかを拡大したようなものも、書いてみたいです。それとフランスの詩人のあの人のこともやって、日本の小説のあれこれも読んで、忘れちゃいけない共同研究も少し手をつけて、なんなら創作も少しは試みて、え~とそれから、授業は少しハードにして、PCの扱いも上達して、スポーツもして、あれこれ見て、ああ忙しい!

                    ◇

というわけで、5月から始めたこのブログ、しょーもない日も数々ありましたが、おつきあいいただきまして、ありがとうございました。来年が、みなさんいとって良い年であることを、ここ、東京の片隅で祈っています。では、BONNE ANNEE !

2008年12月30日火曜日

2大ニュース


さて、いよいよ明日は大晦日。ほんとに押し詰まりましたね。

今年はねえ、わたしとしては、激動の一年でした。大きかったのは2つ。まず何といっても、4月から明治大学の理工学部で働き始めたことです。

この9か月、初体験のことが多くて、さすがに「いいかげん」をモットーとしている(?)わたしでさえ、これはストレスフルだぜ! と思う時期もありました。とはいえ、総合文化教室の同僚たちとは仲良くなれたし、新しいものの見方もあれこれ教えられたし、ものすごく勉強になりました。(その幾分かが、みなさんのもとへもバトンリレーできていればいいんですけど。)

今は冬休みで、仕事はもちろんこの時期のほうが捗るのですが、いつものメンバーと会えないので、ちょっとつまらない時もあります。(そういえば、波戸岡先生は明日ロスから戻る予定のはずですが、元気でしょうか?)

先週昔の同級生にも色々話したのですが、「おまえなあ、そんな楽しそうな職場でストレスなんて、ふざけんなよ!」というコメントを頂戴いたしました!

もう1つは、やはり「まいにちフランス語」の仕事です。こちらの仕事も、やはり初めてのことばかりで、大変じゃなかったといえばウソになりますが、でも、やっぱりレナさんや、シゲピョンや、アヤちゃんや、マスミちゃんや、A子さんや、編集長や、サッちゃんや、ナオ子さんや、色んな方々と協力して番組作りをして、面白かったです! 特にレナさんとは、何十回も顔を合わせ、その何倍もメールをしたので、今では年の離れた妹のようです。(NHKの広い社員食堂のすみっこで、よく二人でランチ食べました。篤姫の腰元たちも、元気に食べてました!)

そしてもちろん、番組を作っている時、わたしたちはいつだって、聞いてくださるみなさんのことを考えていました。(別に売り込んでるわけじゃないですよ。)放送なんて、もし誰にも聞かれないなら、存在してないも同然です。番組を存在させているのは、聞いてくださるみなさんなんですね。心から感謝しています!!

さあ、というわけで、今日は「大学納め」に研究室に行ってきました。で、三が日用の仕事の道具を持って帰ってきました!(誰もいないだろうと思ったら、来てるんですよねえ、仕事中毒の人が一人!)

で帰り道には、予約しておいた「のし餅」を受け取り、さっそくつまみ食い。おお、やっぱり真空パックとはちがう! 実は三年前の年末に今のところに越してきたのですが、そのときたまたま買った「のし餅」がおいしかったので、それからはその米屋で買っているのでした。

さて、最終日の明日は、どんなご予定ですか? わたしは……、je serai devant mon ordi !

2008年12月29日月曜日

宿題


このところ、東京はいい天気が続いています。寒い、という声も聞こえますが、わたしはそうでもありません。(ユニクロのおかげ?)みなさんはいかがでしょうか?

今日同僚の管さんから、「季節のごあいさつ」を頂きました。それが、上の写真です。いいでしょう? みなさんにも、おすそ分けいたします! (菅さん、ありがとうございました!)ここは、ラパ・ヌイ(イースター島)。この夏管さんが、ポリネシア・トライアングルを踏破したときの写真と思われます。Listen to the wind and the sound of the waves...

そういえば先日、自作の詩と一緒にお葉書をくださったチカさん、こちらもありがとうございました。やっぱり詩って、いいですよね。

振り返ってみると、学生時代の授業も、詩を扱うもののほうが熱心だった気がします。ボードレールの研究者として知られる阿部良夫先生が、当時非常勤講師としていらしてたのですが、忘れもしない、金曜の1時間目、学部生から院生までずっと阿部先生の授業に出てました。内容は毎年変わって、ランボー、ボードレール(散文詩)、マラルメ、ヴェルレーヌ、ポンジュ、ボヌフォワ…… こうして書き出してみると、ああ、もっとちゃんと勉強するんだった!

ちなみに金曜の2時間目は大学院の授業で、こちらは毎年ボードレールの『悪の華』を、少しずつ読み進めていました。緊張する授業でした。

さらにさかのぼると、あれは小学校5年生のとき、新任の先生が出した宿題が、自分の好きな詩を紹介する、というものでした。好きな詩、っていっても、小学生ですからね、レパートリーがほとんどないです。で、わたしが提出したのは、中原中也の「汚れっちまった悲しみに」でした。

この詩は調子がいいので、小学生にもなんとなく面白いんですね。なすところなく日が暮れる、なんてところも、共感できるし。

あ、さらにさかのぼる記憶を発見。あれはたしか小学4年くらい。詩を作ってくる宿題がありました。(また宿題です!)忘れもしない、野球のことを書きました。まあ、カーンと打ったらバーッと走れ、みたいな。(Vraiment ?)

こうしてみると、学校教育の影響の大きさに驚かされます。で、小3年の魂100まで、ということで(?)、今日もまた、えんえんと詩集を読んで過ごしたのでした!

朝刊より


今朝の朝日新聞は、なかなか面白いです。「特派員報告2008」とか、東大の先生二人の「中国」や「多極化」の記事が。

そういえば昨日の朝刊の、読書欄の「期待の星(だったかな?」特集も、読んでみようかと思わされる作品の紹介が多かったです。

新聞、侮れず!

2008年12月28日日曜日

zooと書いて「ゾー」と読む


今日たまたま見かけたお笑い芸のBGMとして、「あなたのとりこ」が使われていました。ついこの前授業でも紹介したので、もし誰か見ていたら、きっと思い出してくれたでしょう。簡単に見つかりますが、一応挙げておきますね。


Tout m'entraîne irrésistiblement ver toi comme avant.

すべてがわたしを連れていくの、抗いがたく、あなたのほうへ 昔みたいに。

で、曲のタイトルは IRRESISTIBLEMENT (「抗いがたく」→)「あなたのとりこ」というわけです。

                ◇

今日は今年最後のつもりで動物園をのぞいてきました。なんだかオランウータンが荒れていて、室内ケージの天井付近に上り、フンニョウをまき散らしてきました! まガラス越しなので大丈夫ですが。

ライオン、特に lionnes (雌ライオン)たちは、陽のあたる場所に屯(たむろ)して、ほとんど動こうとしません。たしかにそこは、あったかそうではあります。

いつも通り元気なのはトラ。せわしなく行き来していましたが、その姿は美しいものです。

美しいと言えば、チーター。これはすぐ近くまで来ます。美しいです。

ただどうやら、この手の動物たちは、週に何日か餌なしの日があるんだそうです。ワイルドな状態では、獲物が取れない日もあるわけで、そういう環境に近づけるのだそうです。きっとそれもあって、スリムなのでしょう。ま、メタボのトラは見たくないです。

コアラは寝てました。

カンガルーは跳ねてました。(楽しそうに!)

ゾウは食べてました。(ゆったりと)

冬の動物園は、嫌いじゃありません。今日のように太陽が出ている日なら、歩いていれば暖かいし。今年もあと三日ですねえ。

2008年12月27日土曜日

アフリカで


ちょうど1週間前の特別講義。あの時の話で、みなさんにご紹介しようと思っていたエピソードがあります。

宮内さんは、ある時アフリカでバスの乗っていたそうです。ただそのバス、ところどころ床に穴が開いていて、地面の草が見える! 

でしばらく走っていると、前触れなくバスが止まりました。運転手が振り返ります。

「誰かタバコ持ってない?」

じゃあ、というんで宮内さんが持っていたタバコを取り出すと、実は運転手が欲しいのは、タバコそのものじゃなく、包み紙の銀紙でした。運転手は銀紙をちぎってコヨリ状にすると、ちょっとしゃがみこんで、その銀紙でなにか細工しているようなのです。そして…… エンジンがかかりました!

そしてその「タバコ持ってない?」はさらに何度か繰り返され、それでもなんとか走っていました。

やがて沿道に、「ロッジ」の看板が。宮内さんはあわてて降ろしてもらい、去りゆくバスの後ろ姿を見送ります。で、え~と、ロッジはと……

ありません! どっこにも、それらしき建物など影も形も!

宮内さん、しかたなく歩き出しました。でもなんか恐ろしいので、ポケットの中のアーミー・ナイフを固く握りしめて。そしてさらにその恐怖から逃れようと、あえて考え事をすることに。で、考え始めて、考えて、考えて……

その時宮内さんは、あることに唐突に驚かされます。ああ、なぜこんなアフリカの道をとぼとぼ歩きながら、それでも俺は日本語で考えてるんだろう! ものすごい違和感!

そこで宮内さんは、今度は英語で考えることにしました。でも……、それは母語ではないので、なんだか中学生レベルのことしか考えられないのです。ああ、やっぱり考えるってのは、言葉なしでは不可能なんだなあ……

なかなか面白い話ですよね? ポイントは2つ。まず、いかにわたしたちが言語によってプログラムされているか、ということ。これはこのブログでも、触れたことがありましたね。(でもこちらのエピソードのほうが面白いので、来年度から授業でその話題を出す時には、必ずこのエピソードを使います!)

もう1点は、まあそのまま、人間、考えるときは言葉を使うんだ、ということです。

みなさん、英語でもフランス語でも、24時間を表現してみる、って挑戦したことあるでしょうか? わたしも昔、ときどき試みました、じゃあ今日は英語! と決めると、朝出かけた後は、なるべくすべてを英語で考える(少なくとも表現する)ように務めるのです。これが、難しい! ほんとに、考えることの内容が、すごく狭苦しくなるんです。(ま、あくまでわたしの場合は、ですけど!)

そうそう、すぐそこにあるかと思ったロッジは、なんと40キロ先! にあったそうです。

@ 恵比寿


今25時です。さっき、なんとか終電車で帰宅しました。田舎に住んでいると、なかなか遅くまで飲んでいられません!

そう、今日は大学時代の友人4人と、何年振りかで集まりました。海外勤務中のY君が、久しぶりに帰国したので、では集まりましょう、ということになったのです。

場所は、1か月ほど前にも行った、恵比寿のPot bouille です。今日は満席でした。

さて、メンバーを紹介しながら、今日印象に残った発言をご報告しましょう。

Y君は、もう18年海外勤務。かつては外務省、今は証券会社勤めです。「海外で働くとき1番大事なこと、それは、現地のスタッフと仲良くすること。」 現地の人は、どんな日本人上司が来るのだろう、と身構えているそうです。だからこそオープン・マインドが大事。仲良くなれば、なにごともスムーズ。

S君は損保勤め。九州転勤から戻って二年経ちます。「来年の景気は、もっと悪いね。」 彼は今大田区在住なので、池上本門寺のお会式( Vous vous en souvenez ?)は欠かさないそうです。「おまえが勧めてたしな」

0君はアパレル会社で、婦人服を担当しています。「コスト・パフォーマンスで言ったら、ユニクロに勝てるところはないよ。あの質であの値段。フツーはムリ。」 そして、某社が表示違反を指摘された件については、「あれはねえ、多分わざとじゃないんだよ。調べきれないんだよ。金もかかるし」 少なくとも、アパレル関係者はそんな空気だったようです。

S君は編集長。「このごろ本が売れなくて……」 Oui, je le savais !  知ってました! でも彼は、ここ数年、月平均の残業時間が100時間! だったそうです。「だいたい10時に来て、10時前に帰ることはないよ、今でも」

とまあこんな感じ。ただ、彼らと話していると、ちょっと私自身が変化したのに気づかされます。多分何年か前なら気に留めなかったような物の見方について、やや批判的な感じを持つこともあったからです。で、そう言いました。対立しました!(喧嘩はしません!)

                ◇

やっと週末ですね。もしかして、仕事納めの方もいらしたんではないでしょうか? 今年も、お疲れ様でした! あした朝ぶろでも入っちゃってください!(Si vous voulez !)

2008年12月25日木曜日

夜中に台所で


今日は25日、というわけで学校に行ってきました!?

静かな大学。まあどっちにしろ研究室にずっといるだけだったので、あまり関係ありませんが。

今日は大物の一人、谷川俊太郎の詩を調べて書きました。たしかに大物で、単行詩集だけで50冊、選集や全詩集もいれると80冊! だそうです。

今まで取り上げてきた詩人の中には、数冊の詩集のみという場合もありましたから、それに比べるとおそろしいほどです。しかも、あの鉄腕アトムの作詞をしたり、スヌーピーの翻訳をしたり。

彼のように、活動範囲が広いのはいいですね。もちろん誰にでもできるってことじゃありませんが。

谷川の詩集で一番印象に残っているのは、『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』です。高校生のころ読んで、その後も何回か読んで…… 数年前に、某大学の書籍部から、新入生へのメッセージと一緒に、これは! という大学生向きの本を挙げてくれ、という仕事がありました。で考えて、この本を挙げた記憶があります。ま、何学部でもいいように、という含みもありましたが、なんといっても、分かりやすいので推薦しやすいです。その中の一篇。題はありません。

男と女ふたりの中学生が
地下鉄のベンチに座っていてね
チェシャイア猫の笑顔をはりつけ
桃色の歯ぐきで話しあってる

そこへゴワオワオワオと地下鉄がやってきて
ふたりは乗るかと思えば乗らないのさ
ゴワオワオワオと地下鉄は出ていって
それはこの時代のこの行の文脈さ

何故やっちまわないんだ早いとこ
ぼくは自分にかまけてて
きみらがぼくの年令になるまで
見守ってやるわけにはいかないんだよ

高校生の時いいと思って、今でも思います。ゴワオワオワオ、ですって!

あと一週間



か~な~り手こずって、ついさっき終えたところですが、なんとか今日も一人書くことができました。

ただ、ここからの4人は「大物」が続くので、今までよりも確実にペースが落ちそうです。それはまあ、わたしにとっては楽しい面もあるのですが、他の仕事もしなければならないので……

あ、今思い出しました! みなさん、白水社の月刊誌「ふらんす」をご存知でしょうか? まあ、中規模の本屋さんなら、置いてある確率が高いのですが。その雑誌の1月号に、例のミュリエルさんの『優雅なハリネズミ』についての書評を書きました。たしか一昨日が発売日です。よろしかったらご覧くださいませ。(決してクリスマス・プレゼントだなどとは申しません!)

それにしても、年内に「東京詩」を一応最後まで書いてしまいたいのですが…… そのためには、また(!)休みを潰さなければなりません。ちょうどあと一週間。かなり厳しいけれど、1日以降は別の予定を入れてあるので、なんとかがんばるつもりです。あと一週間か!

2008年12月23日火曜日


最近、やや意味不明の反応が多くなってきていた愛用のvaio。年明けには新製品との声もあり、そろそろ値下がりしてるかなあ、と思ってK's 電気へ。

ああ、でも残念ながら、1ヶ月前に覗いた時と同じ5000円引きです。

「これ、5000円引きなの?」
「ええと、これは…… 7000円引きます!」
「え~と、この前来たときね、1ヶ月くらいしたら、1万円引き位になるかもって話だったんだけど」
「ああ、じゃあちょっと訊いてきますね」

で待つこと1分。

「わかりました、じゃあ2万円引きで」
「(!)」

こういう意味不明なら大歓迎。1万円引きなら買おうと思っていたので、ちょっと(というかだいぶ)得した気分です。気を良くして、ミスドでドーナツ2コいっちゃいました!

それにしても、PCは必需品になってしまいましたね。わたしは完全にローテクなんですが、それでもやはり、グーグルとyou tube がないと大いに困ります。たった10年前には、辞書と図書館でなんとかしようとしてたんですからねえ。

で今日はセットアップ。で今、新しい vaio の大きな画面で打っています。ま、だからって急に面白いことが書けるわけじゃありませんけど!

                 ◇

東京詩、残るは5人の詩人だけとなりました。具体的には、谷川俊太郎、山本博道、伊藤比呂美、清水哲男、宇多田ヒカル、です。(でもまだ追加することもあるかも。)

わりと最近、「中央フリーウェイ」のことを書いたのですが、これはよく知られた曲なので、ネット上にもたくさん情報が(ガセも含めて)ありました。で、同僚の倉石先生とそんな話をしていたら、倉石さん、なんだか松任谷由実のこと、やたら詳しいのでびっくり。彼女の実家である呉服屋の近くに住んだこともあるそうです。(まさかそのために越したわけじゃないでしょうけど。)

倉石先生は、かつて横浜美術館に勤めてらして、写真評論などを書いていらっしゃるのですが、わたしの友人の一人が、「ナイフのような文章」と言っていたのが印象に残っています。この友人自身も、出版社の美術担当なんですが。

とはいえ倉石さんご本人は、絵にかいたような「能ある鷹」タイプ。わたしのように、仕事上の小ネタではしゃいだりしません! わたしも見習うことにします!(でもなあ、もともと、「隠す」ほどのものもないしなあ……)

2008年12月22日月曜日

なぜ


今日も一日、「東京詩」の続きを書いていたんですが…… 

あまりうまく書けない時は、自分で分かるんですね。言葉が、上滑りするっていうか、もっともらしいんだけど、なんかアサハカっていうか。先日も、これは糸井重里が作詞し、沢田研二が歌った「TOKIO」について書いたんですが、結局ボツにしました、まる1日かけたんですが!

「空を飛ぶ 街が飛ぶ」なので、この浮遊感と、高度経済成長後の雰囲気をつなげて書いてみたんですが、これが絵に描いたような「上滑り」。こういうときは、たとえ時間をかけていても、ボツにするのが賢明ですね。(1日くらいなら、ほんとはなんでもないです。)

で、今日。ここしばらく調べていて、今日朝から午後4時くらいまで書いて…… つまらない! う~ん、これはボツかな、と思ったのですが、それからもう1度整理しなおして、なんとか自己採点75点くらいまできました。まあすごくいいわけじゃないですが、他との関連もあるので、残すことにしました。(でもまた明日いじくりそう!)

                 ◇

先日の、管さんの指摘から。

みなさんが、写真展に行ったとします。その会場入口には、大きなパネルの写真があります。写っているのは明るい海辺。そして画面の左手には、黒人の中年女性が立っています。腰には布が巻いてありますが、上半身は裸で、腕を軽く腰に当てる感じ。ゆったりした時間、ある種の生活への想像が働きます。さあ、でも……

もしこの女性が白人だったら? なんならどうやら日本人だったら? トップレスの女性の写真を見て、観客はどう反応するでしょう。もしそれが公の場所だったら、黒人女性の写真は飾れるでしょうが、白人女性のそれは飾れるでしょうか? 日本人女性のは?

もう一つ。

犬がシッポを振っているとき、それは友好の意思を感じさせますよね。じゃあ狼が、あなたにシッポを振っていたら、あなたはどうします? 頭でも撫ぜてあげますか?

犬と狼は、同じじゃないんだそうです、その行動の意味は。だから、犬の動作・行動を解釈するときと、狼のそれを解釈するときには、ちがうコードを当てはめなければならないのです。

? どうしてこの2つの話が並ぶんでしょう?(と、教員くさい書きようでスミマセン!)

2008年12月21日日曜日

Mes félicitations !


さすが! NON STYLE 、見事M1チャンピオンになりました。おめでとうございます!

1年で唯一、CMにも付き合って最初から最後まで見る番組、それがわたしにとってのM1です。今日も、きっちり6:20には帰宅し、最初から見ました。この番組には思い入れがあるので、優勝トロフィー返還のような儀式的な場面でさえ、付き合ってしまいます。それにしても……

NON STYLE のグルーブ感は飛びぬけてましたね。のびのびしているし、やはりM1チャンピオンの名にふさわしいのは彼らでしょう。(それに引き換え、優勝候補と言われていたキング・コング、明らかに重かったですね。)

オードリー、最後に残るのも当然のできでした。というか、今まで何度もオードリーを見てきましたが、今日が最高でした。持ち時間が延びてよくなるんだから、今後も期待できるのかな?

モンスター・エンジン、彼らだけは、初めて見ました。若いし、将来有望だと感じました。期待します!

来年のM1はどんな顔ぶれになるんでしょうか? 舞台に立つ人たちも、今はまだ自分が立つことを知らないんですね。当たり前だけど、不思議な気もします。笑いは人間だけのもの、来年も楽しみにしましょう!(←鬼が笑うんでしたね。)

2008年12月20日土曜日

惑星


今日は土曜日でしたが、大学に行きました。というのも、ディジタル・コンテンツ系大学院の「特別講義」に参加するためです。

今日の講師は、宮内勝典(かつすけ)さん。それに彼のメルトモ(?)であるという、田口ランディさんもいらっしゃいました。(でもお二人は、今日が初対面だそうです。)

とにかく、とてもいいお話でした。色々印象に残ったんですが……

まずはアイデンティティー(以下ID)の話。なんというか、世間では、IDを探したり、IDを確立したりすることが、「よいこと」だということになっています。が、どうしてでしょう? 人はどこかに、たとえば「○○株式会社」や、「○○部」や、「○○サークル」などに、帰属したがるものですね。そしてそれが、IDとなる場合もあるでしょう。もちろん、「○○国民」とか、「○○族」、「○○教団」でも、同じことです。

今、「帰属したがるものですね」と書きましたが、みなさん、そこ、抵抗ありませんでしたか? 

宮内さんは言います、この帰属欲求が、戦争をもたらすのだと。そう、国VS.国、宗教vs.宗教…… それぞれに帰属したもの同士の戦いです。

でもね、今たとえば「東京vs.埼玉」が行われないのはなぜか。そんなことバカバカしいから? いや、それは東京都民も埼玉県民も、より大きな帰属先=「日本」に属しているからのようです。げんに昔は、藩と藩の争いはあったわけです、「日本」がこんなに強大になる前は。ということは……

人間が何かに帰属したがる限り、戦争はなくならない…… 宮内さんはそう言います。ただし、ひとつ可能性があるのは、わたしたちみんなが、「地球」に帰属してしまうこと。少なくとも、精一杯の想像力で、この惑星での出来事を思い描くこと…… そうすれば、夜空を落下してゆく爆弾を見て、「花火みたい」とは言えないでしょう。だってそれが落ちるところにも、誰かが住んでいるはずなんですから。

とにかく、IDについてこんな風に言っているのは初めて聞いたので、驚かされました。宮内さん、すごい人です。

                   ◇

というわけで、わたしはめでたく、年内の大学業務を終了しました。(みなさんより少し早くてすみません! でもどうせまだ研究室には行くし、休み中にやらなきゃならない「業務」も、少なくはないんですけどね。)あしたはとうとう決勝ですね。お笑い芸の真髄を見せていただきましょう!

2008年12月19日金曜日

忘年会=打ち合わせ


金曜日が終わりました。お疲れ様です!

今日はわたしも、7:45に家を出て、23:10くらいに帰宅したので、けっこう長く外にいた計算になります。なにしてたのかというと……

午前中は、今年最後の授業。シメはやはり「よいお年を!」の一言。がんばった君も、居眠り上手のあなあたも、とりあえずよいお年を!

そういえば休み時間、仲良しの学生の一人が、「先生、ほらほら!」と一枚の紙切れを見せに来てくれました。なにかな~と思うと、おお、仏検3級の合格証書じゃありませんか! おめでとうございました。

で昼休み、食堂へ向って歩いていると、また別の女子学生が、「先生、わたし3級受かっちゃいました!」おお、あなたも受けたのね? Je ne savais pas ! 知りませんでした! でもとにかく、おめでとうございます!

二人とも、授業では「仏検対策」をしたわけでもないのに、よくがんばってくれました!

で、午後。

まずは会議。そして一服してから、今度は大きい会議。(5分早めに行ったら、2番乗りでした。)で会議中に呼び出され、会議とはまったく関係ない仕事を頼まれることに。OK、1月23日ですね、空けときます。

でそれから、研究室で小テストのチェックを1時間ほどやり、本日のメインはここからでした。

そろそろご報告ぶちかましてもいいかなと思うんですが、ここしばらくそればかりやってきた「東京詩」、なんとか春には形になりそうです。しかも、chers collègues =仲間の同僚2人と同時出版にして、「○○シリーズ」みたいな感じで!

わたしとしては、「東京詩」のこともさることながら、管さんや波戸岡さんと一緒に出せるのは嬉しい限りです。このシリーズ、はっきり言ってなかなかいいんです。(少なくとも、わたし以外の著者のはいいです!)読みやすくて、新しい発見があります。オカタイ「教科書風」では全然ありません。詳細はまたご報告させていただきますが、どうぞご期待下さい!

なぜ急にこのご報告になったかと言いますと、実は今日の夕方、これを出してくれる出版社の方との打ち合わせがあったからなんです。といっても、打ち合わせ場所は「坐・ワタミ」。(レナさんが大好きな店です。)ということは…… 忘年会も兼ねてます! 上記合計4人プラス写真の倉石さん、中国語の林先生も一緒です。

それにしても「坐・ワタミ」の込みようといったら! 狭い席でしたが、一応予約しといてよかったです。

今年度は、まあ色々慣れない仕事もあり、めまぐるしく、気の抜けない9ヶ月でした。が、春の頃から、わたしは総合文化教室の先生たちとランチするのが好きで、それは今でも変わりません。ということは、そのメンバーで飲みに行くなら当然楽しいわけです。波戸岡先生曰く、「ここは仲良しですよね~」 Oui, tu as raison ! そうなんです!(どこの大学でもこんな風に仲がいい、というわけでもないようです。)

しかも今日は編集のKさんにも加わって頂いたので、より充実した集まりになりました。編集の方も、いろんな仕事の仕方があるのでしょうが、Kさんは、こちらの気持を乗せるような感じで話してくれます。みなさんの友だちにもいますよね、話してると元気が出てくる人って。Kさんはそういう人の一人です。

で、本日の持ち越し議題は、「シリーズ名を何にするか?」です。これはもちろん、近い将来ラインナップに加わる可能性のある、倉石さんさんや林さんも一緒に考えます。ああ、もしもいつか、シリーズが5冊になったら、ほんとに嬉しいですねえ。わたしも参加させてもらうのだから、足を引っ張らないようにしないと。

というわけで、なかなか充実した一日でした。で、波戸岡さんや林さんと会うのは、今日が今年最後。ほんとに色々お世話になりました。Merci mille fois !

ではみなさんも、Bon week-end !

2008年12月18日木曜日

EMINEM FRANÇAIS


というわけで今日は、初の you tube 授業、なんとか楽しくできました。(わたしは!)

まあこんな機会もあまりないので、軽く日本における「シャンソン」の受容をおさらい。エディット・ピアフ、イヴ・モンタンを聞いた後、いわゆるフレンチ・ポップス代表としてポルナレフ、シルヴィー・ヴァルタンが登場。後者の「あなたのとりこ」は、学生も知っている人が多いようでした。(数年前、さんざんTVCMで流れましたからね。)

で現代は、そんなに時間もないので、まず(コルネイユと)カナダつながりで、K-maro。彼はわりと最近ここでも取り上げました。そして次は「フランスのエミネム」、SINIKです。歌は「石の心」。怒ってます。


このメロディアスなラップ、たしかに「エミネム」っぽいです。(怒ってるし!)この歌の決めセリフはこれ、

Dans les ghettos, le mot "Je t'aime." s'est jeté par la fenêtre.

彼は自分の住む「郊外」を「ゲットー」と呼んでいます。「ゲットーでは、愛してるなんて言葉は窓から投げ捨てられちまったぜ。」気軽に言うのも気が引けますが、いいですね。

で、トリはコルネイユ。このスーパースターの紹介さえできれば、まあ今日はよしとしましょう。(ハードル低!)歌詞ももちろんちゃんと読んだんですが、ちょっと難しかったかな? でも、教科書のフランス語とはちがう、リアル・フランス語、やっぱり手応えがちがいます。

ああ、2年生は、こういう授業もいいのかなあ。

2008年12月17日水曜日

Corneille 再び


今ごろ! と思われるかもしれませんが、昨日、あることができるようになりました。それは…… 教室で you tube を見せること!

実はわたしが文法を担当するクラスで、先週めでたくテキストが終了したので、今週は以前ここでも紹介した Corneille を歌う(?)ことにしました。で、それならやはり、CDを聞くだけじゃなく、映像もあったほうがよかろう、と思ったわけです。

まず、モバイル・アカウント(ってまあIDとパスワード)を取得します。これ、めんどくさいなあ、と思っていたのですが、なんのことはない、ネット上で1~2分でした。

で次は、控え室で持ち出しようPCを借りて、空き教室を教えてもらい、実際に試してみました。まあ、うまくいきましたが…… 音が教室のスピーカーから出ない! で、教室から「サポートデスク」に電話。え? ああ、そんなコードあるかなあ? あ、それも借りてくるのね? OK! というわけで、コードが足りないことが判明。そう、普段授業でPCを使うのは、資料を見せたりするときなので、基本、音は関係ないんですね。

で、コードをつなぐと…… パチパチパチ。うまくできました。明日の授業は、Corneille の Le bon Dieu est une femme. を中心にやります。


ちゃんと繋がりますように!

(画像は、ユニセフ大使として活動中の Corneille。これに関連しているのでしょう、マラリア撲滅コンサートはこんな感じ。


このお客さんたち、すごい! みんな歌ってる!)

2008年12月16日火曜日

カオス


今年を一字で表すと…… というのがありますね。今年は「変」だったようです。

詩人の清水哲男さんは、「麻」を挙げていました。なるほど、「快刀乱麻」という表現があるくらいで、麻は乱れに乱れているんですね。ただ「乱」と言うより、映像的で面白いと思いました。

さて今日のフランス映画ゼミでは、「女はみんな生きている」を見ました。コリーヌ・セロー監督の作品です。(現代は「CHAOS」。邦題は訳しすぎ!?)

ストーリーはとりとめないところもあるように思われますが、最大のポイントは、フランス社会におけるイスラムの存在が感じられること。そしてすくなくともこの映画には、封建的で不条理で、女性を抑圧するイスラムの家庭が登場します。ヒロインは、そのくびきから逃走します。が、今度はフランス社会の暗部に絡めとられてしまうのです。

3人の女性が登場します。今言ったヒロイン。ヒロインを助ける主婦。彼女はバカ夫にもバカ息子にもうんざりしています。(愛してない、のとは違います。)そして最後に、バカ夫の老いた母親です。(バカ息子のカノジョたちも出てきます。似たもの同士……)

3人の女性たちは、それぞれの苦しみ(というのは不正確ですが)を抱えていて、それがアクロバティックに結びついてゆきます。

くりかえしますが、ちょっととりとめないです。やや暴力的なシーンもあるし。でもわたしは、フランス映画ゼミでは取り上げるにふさわしい映画だと思いました。(前期はここで、同じ監督の「ロミュアルドとジュリエット」を見たのでした。)

もうすぐ冬休み。よろしければどうぞ!

2008年12月15日月曜日

とても地獄は


昨日、子供時代のクリスマスのことを書きましたが、それに関連して、仲良しの女性がメールをくれました。無断で! ご紹介しましょう。

私は幼稚園・小学校がキリスト教系だったので、お御堂でロザリオ持ちながら賛美歌を歌い、シスターからマタイ・マルコ・ルカ・ヨハネのお話を聞いていました。高校は本願寺系浄土真宗だったので、宗教の時間があり親鸞の「歎異抄」読んでいました。

おお、善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや! う~ん、こんなこと言ってる女子高生って…… いいですね!

親鸞の時代は、哲学者になりたかったら、宗教者になるよりほかなかった、とは、毎度おなじみ吉本隆明の言葉です。大学生の頃これを読んで、ちょっと驚いた記憶があります。そんな風に考えたことがなかったので。こうなったらもう一つ。

とても地獄は一定(いちじょう)すみかぞかし。

これ、やはり大学生の頃出会って、ぐっと来ました。(おまえなんかぐーたら生きてきたくせに! というお叱り、返す言葉もございません!)

なんだかへんな連想で、今思い出したことがあります。

これは大学院生時代、ボードレールの講読の授業でのこと。「虚無」が問題になりました。担当のボードレリアン・阿部良夫先生は、ひとしきり「虚無」についてしゃべった後、つぶやくように言いました。

「まあ、おまえみたいにぬくぬくして何を言うか、という人もいます」

もちろん院生たちは、そんなこと思っていませんでしたが。

というわけで、désolé , 今日もまたとりとめありませんでした! 

2008年12月14日日曜日

雨は夜ふけ過ぎに


「かれら星を見て、歓喜に溢れつつ、家に入りて、幼児のその母マリヤとともに在ますを見、平伏して拝し、かつ宝の箱をあけて、黄金・乳香・没薬など礼物を献げたり」(「マタイ伝福音書」)

                 ◇

昨日昔の「正月」のことを書きましたが……

わたしの母方の親戚は、ほぼ全員クリスチャンなので、彼らとの付き合いはクリスマスに佳境を迎えます。(というか、クリスマス以外はあまり会いません。)

日本のクリスマスは、これはまあ「純ファッション」といってもいいと思いますが、この親戚たち場合は本気です。(日本のクリスチャン人口は、約5%と聞いたことがあります。)

小学生の頃には、プレゼントを貰うわけですが、それに添えられたカードには、毎年、マタイ伝なり、ルカ伝なりから、なんらかの一節が引用されていました。ま、子供なので、意味は分かりませんでしたが。(ていうか、大人でも分からないかも!?)

なんだか子供心にミョーだったのは、クリスマス会が、多くの場合中華料理屋で行われたことです。あの朱色の円卓を3~4卓に座り、食前の祈りを捧げるのです!

当然母親もクリスチャンだったのですが、ふだんあまり怒らない母親に、ちょっときつく怒られた記憶があります。それは、特に意味もないまま、子供のふざけ言葉の一環として、こう言ったときでした。

「アーメン、ソーメン、冷やソーメン!」

意味はありません。そもそも「アーメン」が何かさえ分かってないんです、小学校低学年でしたから。でも子供って、へんなこと覚えてるもんですねえ。

というわけで、みなさんのクリスマスのご予定は? でもあの時期は、レストランは特別メニューで料金高めだし、やっぱり家でM1 の復習でもしてるのがいいんでしょうか!?

今週も、はりきって!!(でも休み休み)

鹿


今年もあと18日。いかがお過ごしですか?

昨日の授業中、ある男子学生を当てました。まじめな子です。でもその時は、まあ、答えがわからなかったのでしょう、ウンもスンもなく、なんだか無視(!)してるような感じです。(もちろん彼は、質問を無視するような学生じゃありません。)だからわたしが、

「じゃあS君にシカトされちゃったから、次どうしようかなあ」

と言ったときにも、周りは笑い、S君はあせって何か言おうとしたのでしょう。で…… わたしは脱線させて言いました。

「そういえば、シカトって、なんでシカトっていうか知ってる?」

これはみなさんご存知でしょうか? 花札の「鹿」の札、これは10点の札ですね。で、「10点札」=「十券(とおけん)」。つまりあの札は、「シカのトオケン」→「シカト(オ)」なのです。そして…… そう、あの描かれた鹿は、必ずソッポを向いているんです! 

シカト=鹿の十券の鹿みたいに、ソッポを向くこと

だそうです。でも、今言いたいのはそれではなくて……

学生たちに聞いてみたら、なんとクラスの半分ほどの学生が、花札をやったことがない! これはちょっとびっくり。というのも、わたしが子供の頃は、正月などに親戚が集まると、子供たちは必ず花札を(だけじゃないですが)やったものだからです。

もちろん花札なんて、やったことなくてもいいんですが…… あってもいいかも。

赤タン、青タン、猪・鹿・蝶(画像)、月見で一杯…… 正月がチャンスかも!

2008年12月12日金曜日

頭脳とハート


ほんとに偶然ですが、明日、昨日ご紹介した堀口大学関連のイベントがあるそうです。

■テーマ  :堀口大学家の明治・大正・昭和
■出席者 :堀口すみれ子、長谷川郁夫、柏倉康夫
■日時   :12月13日(土)午後3~5時
■場所   :東京神保町・東京堂書店(電話03-3291-5181)
■参加料 :500円

堀口すみれさんは大学のお嬢さん。柏倉康夫放送大学教授は、元NHKキャスター。かつてわたしが何度も授業で見せた「エコール・ポリテクニック」(NHKスペシャル)という番組の司会も、柏倉氏でした。そして長谷川郁夫氏は、元小沢書店社長。「元」というのは、小沢書店はもうないからです。長谷川氏は、多くの自社本を絶版にしてしまったことへの自責の念があるといいます。

「手がけた本はいわば自分の分身。だから何を書いても、最後は癒えることのない傷に行き着いてしまう」

本を愛する人の言葉ですね。

             ◇

今日は午後、明治大学大学院デジタル・コンテンツ系(だけじゃないんですが)の、修士論文の中間発表会があり、少し参加しました。「世界の使い方としての表象研究」や「荒木経惟の『空』作品研究」とかにまじって、たとえば……

「アナログ麻雀の初心者支援」。最初「アナログ麻雀」と言われて、何かな? と思いましたが、要はフツーに人間のやる麻雀のことでした。で、ルールなんかがよく分かっていない人でも、気軽に楽しめるようにサポートするシステムの開発しよう、というのでした。まずWebカメラで「手」を捕らえ、それを読み込んだら、点数計算までしてくれるそうです。

麻雀は、中学の頃友だちと少しやりました。子供ですから、お金はかけません。(でもわたしは、将棋の方が好きでした。)

「Mashdown」。これは、たとえばAという曲から「リズム」だけ(音はない)を抜き出し、そこに曲Bのお気に入りのメロディーを乗せれば、あ~ら不思議、ユーロビート版ラプソディー・イン・ブルーだってできちゃいます。

デジタルの技術的な側面は、まったく分かりません。でも、できあがった曲が魅力的かどうかは、まあ素人なりに分かりますね。そうした、これはというデモ曲ができれば、発表もより輝いて見えることでしょう。期待しましょう。

デジタルといっても、コンテンツと名がつけば、やはり中身も問われるのでしょう。理系の頭脳と文系のハート。うまくいけば、かなり強力です!

2008年12月11日木曜日

Oreille 耳


さ、ではここで問題です。以下のフランス語を、訳してみてください

Mon oreille est un coquillage
Qui aime le bruit de la mer.

ああ、ご存知でしたか? そう、Jean Cocteau の Oreille「耳」です。ちょっと直訳してみましょう。

わたしの耳は貝殻です
海のざわめきを好みます。

これだとまだ、「好む」の主語があいまいですか? じゃあもっと直訳。

わたしの耳は、海の
ざわめきが好きな貝殻です。

ですね。では、お待たせしました、ご存知堀口大学訳です。

わたしの耳は貝のから
海の響をなつかしむ

ナイス七五調! うまくおさめたものです。ただ今の時代、こういう訳が許容されるのかどうか……はビミョーです。上田敏の『海潮音』しかり、小林秀雄の『地獄の季節』しかり。なんなら、与謝野晶子訳の『源氏物語』も、ここに加えてもいいかもしれません。

翻訳書がないなんていう状況は、辛くて想像するのもイヤですが、ほんと、大変ですよねえ、、翻訳って。ケチつけるのは簡単なんだけど、自分でするのはほんとに大変だと思います。

……なんでこんな話になったかというと、堀口の詩集を読んでいたからです! ではついでに、堀口自身の詩の一節を。実は堀口は、4歳のときに母親を亡くしています。(彼女はまだ、24歳でした。)

母よ、
僕は尋ねる、
耳の奥に眠るあなたの声を、
あなたが世に在られた最後の日、
幼い僕を呼ばれたであろうその最後の声を。

三半器管よ、
耳の奥に住む巻貝よ、
母のいまはの、その声を返せ。                 (「母の声」)


泣けます。

2008年12月9日火曜日

の代わりに


毎週火曜日は、台湾からの留学生、Koh さんも一緒にランチを食べます。微笑を絶やさない、可愛い人です。(男性です。)

今日は彼と、徴兵制について話しました。というのも、この前のスピーチ・コンテストの際、兵役経験を語っていた、同じ台湾からの学生さんがいたからです。

「Koh さんも、兵役、行ったんですか?」
「行きましたよ」
「台湾の兵役、楽なんだって?」
「う~ん、所属によりますね」
「Koh さんは、どうだった?」

彼の場合は、3ヶ月ほどはフツーに兵隊をして、「班長」さんにもなったけれど、その後は、政府関係の事務職に回されたので、そんなに大変でもなかった、ただしそちらは、期間が少し延びるのだけれど、ということでした。

フランスの場合、10年ほど前に徴兵制は廃止されましたが、それ以前は、似たようなシステムがあったようです。つまり、兵役に付く代わりに、海外でフランス語を教える仕事をしてもよい、ただしちょっと期間は長くなるよ、というものでした。当時は、そういう形で日本に来ているフランス人先生もけっこういました。

そういえば、これはドイツ語の先生から聞いたのですが、ドイツの徴兵制(まだあります。)は、ビミョーな問題を抱えているそうです。

ドイツの場合、兵役に代わるのは、事務職でも、教職でもなく、介護が中心になっていて、今ではそうしてやってくる若い「ヘルパーさん」なしでは、ドイツの介護はなりたたないほどになってしまったのです。となると…… 思想的には「徴兵廃止」だったとしても、今はやめるにやめられない! ということになっているのです。

アメリカでも、これはずいぶん前から、軍縮すると失業問題が起きる、と言われてきているようです。

今の世の中、いろいろいろいろコンがらがらがらっているんですねえ。

ちなみにわたしの父親は、徴兵検査のとき肺に影が写り、「即日帰郷」を命じられたそうです。でもその影がなかったら、わたしは今ごろ存在しなかったかも……

2008年12月8日月曜日

2000人


ついに発表されましたね、今年のM1決勝出場者が!

実はわたし、もう1ヶ月以上前から、ことしのM1チャンピオンは Non Style だ! と、周りに話していました。だから彼らが決勝に残ってくれて、まずはメデタシ。

もちろんM1は、その日のデキで決まるわけですから、実力+本番強さが必要。すご~く水モノ的要素が多いけれど、わたしはなぜか、Non Style がクル気がします。みなさんの予想は??

ちなみに出場者は:、(1)ダイアン(2)笑い飯(3)モンスターエンジン(4)ナイツ(5)U字工事(6)ザ・パンチ(7)NON STYLE(8)キングコング そして敗者復活1組。

個人的には、ナイツとザ・バンチはちょっと苦手。(少ないんですけどね、苦手の漫才は。)とにかく、年末のお楽しみです!

                  ◇

昨日の朝日新聞の日曜版に、渋谷のハチ公前交差点の写真が大きく出てました。なんでも、世界3大交差点(そんなのあるんですね。)の1つなんだそうです。(あと2つは、NYのタイムズ・スクエアと、ロンドンのピカデリー・サーカス。)スクランブルであるハチ公前では、1回の青信号で、多いときには2000人! の人が渡るそうです。信じられますか、2000人ですよ? 1つの角に500人の計算です。まあね、込んでるときは、渡ったはいいけど、公園通り沿いが全然進まないことありますよね。

吉野のサクラが一目千本なら、渋谷交差点は、一渡り二千人。ああ、この数字、なぜだか気になります!

2008年12月7日日曜日

出会う


土日が過ぎ去るのは早いですね。特に土曜に仕事があった場合は!

昨日のスピーチ・コンテストの帰り、初めてお話した先生たちと、すぐ隣りのイタリア食堂で飲む機会がありました。

理工学部の、そういえばよくお見かけする先生と、別の学部のフランス語の先生と、経済が専門の女性の先生、の3人です。仮に理さん、フさん、経さん、としましょう。

理さんは、本人によれば「人見知り」だそうですが、全然そんな感じじゃなく、昨日の会議、長かったよね~、みたいな、専門は違ってもそこは理工学部同士、なんとなく連帯感がありました。で、面白かったのが、彼がわが総合文化教室の管さんの大ファンだ、ということが判明したことです。

「かっこいいですよね~。でも困るのはね、管先生の授業に出てる学生のうち、何年かに一人、放浪の旅に出たい、って言い出すヤツがいるんだよね~。いや~、おれも行きて~」

それからフさんは、専門はカナダのケベックだそうで、わたしもお名前は知っていました。実はわたしの同級生にもケベックの専門の人がいて、彼からも噂を聞いていたし。

「明日はラグビー、明早戦だ、行くぞ~!」
「でも勝てないでしょ、今期は」と理さん。
「いや、そうとも言えないよ。がんばれ!」
「ほんとに明治が好きなんですね!

おめでとうございます! なんと、大方の予想を覆し、24-22 で明治が勝ちました。ま、リーグ戦の順位には影響ないし、今期明治はイマイチだったようですが……

わたしの通った大学は、スポーツはカラッキシだったので、こんな風にスポーツに熱くなる人はいませんでしたねえ。

経さんは、金融も詳しいらしく、

「この前、デリバティフで150億円くらい損した大学が新聞に出てたでしょ? あれね、氷山の一角かもしれないと思うの。手を出してたところは、まちがいなく損してるはずだから」

ああ、やっぱりねえ。そんな気がしてました。経さんは、話ながら手をひらひらさせる癖があるように思うのですが、これがなかなか美しい動きで、わたしはついその動きの方に気を取られてしまうのでした。

人中に出て行くと、当然ですが、出会いがあります。書を捨てよ、街に出よう、と言っていたのはずいぶん前ですが、これも一つの真理なのかもしれません。(ま、相手にもよりますけど!)

では今週も、はりきっていきましょう! 今年もあと24日!

スピーチ・コンテスト


さて、行ってきました、留学生日本語スピーチ・コンテスト! これがなかなかのヒットでした。

出場したのは16名。中国、韓国、台湾、アメリカ、の4カ国からの学生たちです。

持ち時間は5分。時間オーバーは減点(きびしい!)。採点の基準は、内容の構成、独自性、日本語、言語外表現(表情とか)、の4点。各5点満点で採点します。

全体としては、とてもヴァラエティーに富んだ内容でした。

たとえば、「オタク」。自分(女子)は日本のマンガやアニメが好きで日本に来たオタクです。でも、日本の本物のオタクは、ちょっと違ってた! オタク・サークルに入ったけど、全然合わなかったし! でもやっぱり、マンガはサイコー。

たとえば「自由の味」。僕は台湾で、兵役についていました。先輩に苛められるつらい毎日……というのはウソで、仕事中にインターネットもできるし、エアコンは入っているし、快適! でも、でもやっぱり兵役はイヤ。そこには自由がないから。イヤだからって、辞めます! とは言えないから。自由って、大切。

たとえば、「アイノリ」。オンブって、日本では子供にしかしないけど、韓国ではけっこうします。友だちでも、恋人でも。この安定した姿勢での肉体的接触って、いいじゃない? 安心感もあるし。この前もお台場で、彼女をオンブしました。照れたけど、よかったですよ。みなさんもオンブしましょ!

歌あり、ギャグあり、「いい話」あり。で、優勝したのは、『星の王子様』のキツネを使ったスピーチでした。人生は、出会いと別れ。でも、一緒に過ごした時間がステキなら、別れはつらくない。そう思いたい、という話。やはり、構成が巧みだと、5分でも盛り上がりが作れるんですね。上手でした。

明治大学には、アジアからの留学生がたくさんいます。カリブ海にはハイチがあり、日本海の向こうには韓国も中国もある。もちろんもっと、もっと。国に帰ったら、日本語の先生になりたい女子学生、たい焼き屋を始めたい男子学生、水戸学をやっている男子大学院生、日本のドラマにハマッテイル女子学生…… 彼らを見ていると、アジアの中の日本、ということを、考えずにはいられません。

スピーカーのみなさん、お疲れ様でした。みなさんの挑戦は、成功しました!

(それにしても、以前ここでも書きましたが、「国」ってなに? という思いも沸きました。「国」がある限り、世界中の人々が平等になることはありえません。じゃあ、いつなくす?) 

2008年12月5日金曜日

つながり


やっと金曜日! 今週も終わったなあ、と思いきや、明日は例の「留学生スピーチ・コンテスト」のお手伝いでした。でもこれは、どんな話が聞けるか、楽しみですね。


今日の2時間目のクラス、順調すぎるくらいにシラバスをこなしているので、今日は授業は半分くらいにして、残りはハイチの説明&ギャラリー・ゼロ「ダンシング・ヴードゥー写真展」鑑賞、としました。

学生のみなさん、ちゃんと見てくれたと思います。わたしが教室でクダクダしゃべった内容より、明らかに写真からインパクトを受け取っていました。

「先生、世界は広いですね!」

Oui, c'est ça ! いやあ、学内にこういう空間があるって、いいですね。お近くを通ったら、ぜひ寄ってみてください。行く価値あります!

そういえば、これも全然しらなかったのですが、台湾とハイチは、援助などを通じてなかなか深い関係にあるそうです。(台湾からの留学生、Koh さんからの情報。)

「そういえば」と、倉石さんも、昼食のときに言いました。「10月にニューヨークに行ったとき乗ったタクシーの運転手さんが、ハイチ出身だって言ってたなあ」
「訊いたんですか?」と波戸岡さん。
「ええ。なんだかね、どこの人かなあ、って感じに見えたので」
「2世ですか?」とわたし。
「でも英語がたどたどしかったから」
「じゃあ1世ですね」

わたしが「2世ですか?」と訊いたのは、実はこの前佐藤さんから伺ったエピソードを思い出したからです。佐藤さんによれば……、なんとかアメリカで暮らしているハイチ出身者に、子供が生まれた。でも彼らは、ちゃんと子供の登録をしなかった。で、子供が大きくなって、ちょっとしたことで捕まったとき、なんとハイチに強制送還されてしまった! というのです。知り合いも親戚も一人もいない国へ、パスポートもなく!

佐藤さんはそのカレと、ハイチのレストランで出会ったそうです。あんまり英語がうまいから訊いてみると、そんな話だった、というわけです。

なんだか日本が、平和ボケしてる感が強くなってきました!

2008年12月4日木曜日

レナさん来る!


今日の東京はうららかな、12月だけど小春日和といいたくなるようなお天気でした。

で予定通り、1時過ぎに、レナさんがわが生田校舎を訪問してくれました。近くの相模大野でお仕事があったそうで、その帰りだそうです。残念ながら、いつものメンバーは来ない日なので、顔合わせはなりませんでしたが、それはまた別の機会に。

でまずは、学生の波が去った学食で「湯で豚&野菜定食」を食べて、それから研究室でしばし打ち合わせの後、最初の5分だけ、4時間目のクラスに顔を出してもらいました。学生は、ナマのフランス語を聴く機会がなかなかないでしょうから、もしかしたらナマフランス語は初めての人もいたかも。

予想を超えて、みんな喜んでくれました。まあね、目の前にレナさんが来てくれれば、盛り上がりますよね、いつもは冴えないオッサンが授業してるんだから!

でレナさんを見送った後は、いつも通り授業だったのですが、使っている教科書のCDの録音がレナさんなので、なんだかまだここにいるような錯覚に陥りました。

レナさん、また寄ってくださいね!

2008年12月3日水曜日

170円


昨日はハイチの話でしたね。そうそう、バタヤンがとっても見やすい地図を up してくれました。その他にフランス語のオマケもたっぷり。もう1度アドレスを挙げときますね。Merci, Batayam !


さて、今日は暖かい東京でした。とそんな時、札幌の古本屋さんから注文した本が到着。その包み紙は…… 札幌情報満載の広告! そうか、サッポロファクトリーではクリスマス・イルミネーションかあ!(行ったことはないけど。)お、風呂敷のファッション・ショー? ふ~ん…… あ、ナンシー関の消しゴムハンコ展! は終わってるか……

なんだか、こういうのって面白いですね。そうだ、今注文してある本は、那覇の本屋さんだったなあ。

そうそう、今ふと思い出しましたが、アマゾンのマーケット・プレイスには、時々「1円」の本が出てますね。これ、儲かるはずないのに、なんでなの? と思っていたのですが…… これはどうも、郵送料で儲けてるらしいんです。あれ、340円ですよね? これをもし170円程度で済ませれば、おお、170円儲かるじゃあ~りませんか! それなら、ただ在庫で抱え込むよりはマシなのでしょう。

                ◇

この前、ビヨンセの新譜の話をしました。まだそんなに聞き込んだわけじゃないですが、なかなかいい感じです。ビヨンセは歌がうまいから、なんというか、ノイズ系とかユーロ・ビート系とかじゃない限り、聞けないことはないですけど。わたしはR&Bぽいのが好きなんですが、必ずしもそういう色彩は濃くないようです。

そして fierce。波戸岡英語相談室に問い合わせたところ、これはオネエというより、むしろゲイなんかが、That party was really fierce ! 「あのパーティー凄かったよ!(なんだかもう、食いつかれそうなくらい!)」という感じで使うそうです。なるほど、獰猛なんですものね。Well, are you fierce? Pardon ? Sometimes ? Sounds goood !

ただ、確かに2枚組みで、そうした理由も分かるのですが、実は32分と37ふんで、トータルでも69分強。これなら、1枚ですが、『ハートにビビッと』のCD(77分)のほうががんばってます!

というわけで、明日は久しぶりにレナさんに会います。Elle est toujours "fierce" !?

2008年12月2日火曜日

佐藤文則さん


今日は「フランス映画ゼミ」の時間を使って、写真家・佐藤文則さんの特別講義に参加しました。結論から言いますと、とっても興味深かったです。

今日の特別講義には、フランス映画ゼミだけでなく、中華入門の林ゼミや、ドキュメンタリーの波戸岡ゼミ、もちろん写真の倉石ゼミのみなさんも参加しました。映画館のような、メディア・ホールを使っての講義。

この内容をお話しする前に、佐藤さん関連のイベントを一つ紹介させてください。

★「ダンシング・ヴードゥー ハイチを彩る精霊たち」 佐藤文則写真展 
フォト・ジャーナリスト佐藤文則氏は、過去20年にわたってハイチの人々の生活と政治状況の取材を重ねてきました。 「世界最初の黒人共和国」「西半球で最も貧しい国」として知られるハイチ。佐藤氏の写真には、ハイチの人々の過酷な生活が克明に写し撮られています。強烈な衝撃を受けます。未知の土地に対しての想像が爆発的に広がります。 

ハイチの歴史や文化、人々の生活を考える上で欠かすことができないのが民間信仰のヴードゥーです。つねに空腹の生活、展望の見えない政治状況、そんな劣悪な環境でもハイチの人々はたくましく生きています。彼らが信じているヴードゥーとはどのようなものなのでしょうか。 

本展では、佐藤氏の20年におよぶ取材によって撮影された写真の中から、ハイチにおけるヴードゥーをテーマに選んだ約30点の写真を展示いたします。あわせて佐藤氏が所蔵する旗や瓶などのヴードゥー・アートも展示します。ぜひ、ご覧ください。
■会期2008年12月2日(火)〜2009年1月9日(金)
 ※ただし12月28日(日)〜1月4日(日)は休館。

■時間 平日8:30〜19:00 土8:30〜18:30 日祝10:00〜16:30
 ※ただし12月23日(火)〜27日(土)と1月5日(月)〜7日(水)は10:00〜16:30

■会場 明治大学生田図書館 Gallery ZERO(小田急線生田駅下車南口徒歩約10分) 

■主催 明治大学大学院新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系         ※一般の方もご来場いただけます。図書館入口ゲート前の呼出しボタンにて係りをお呼びください。

☆佐藤文則
<略歴>フォト・ジャーナリスト。明治大学文学部卒業後、1979年に渡米し、San Francisco City Collegeで写真を学ぶ。フォトエージェンシーの「Impact Visuals」(New York)、「Sipa Press」を経て、現在「OnAsia Images」(Bangkok)に所属。1988年からハイチ取材を開始。他に米国、東南アジア諸国を中心に活動する。日本ビジュアルジャーナリスト協会(JVJA)会員。 著書に『ハイチ 目覚めたカリブの黒人共和国』(凱風社)、『ダンシング・ヴードゥー ハイチを彩る精霊たち』(凱風社)などがある。

というわけです。そしてそう、今日の特別講義は、佐藤さんのスライドを見ながら、ハイチでの経験を直接伺う、ということでした。

みなさん、ハイチってどこにあるかご存知ですか? ヒントは…… ドミニカの隣り! じゃ、ドミニカは? カリブ海です!(タヒチ、じゃないですよ。)地図については、多分明日には、以下のアドレスにアップされています。(担当のバタヤン、よろしく! 風邪大丈夫?)


でハイチですが、まず、貧しいんですね。しかも政情がとてつもなく不安定。(まあ、この半世紀、日本みたいに安定していた国が、どれだけあるか……)人種的には、95%が黒人で、あとは混血。この黒人たちの祖先は、奴隷としてアフリカから連れてこられたわけですけど、なんと、1804年、彼らはナポレオン軍と戦って勝利し、ハイチは独立します。(この時、アフリカ時代から伝わった薬草の知識を応用して、相手兵士を毒殺したという話もあるそうです。)が、それが困難の始まりでした。瘠せた国土で、政治的な勢力争いはやむことがなく、よせばいいのに例によってアメリカが介入し、果てしない泥沼が現在まで続いてしまいました。

「ぼくも20年見てきたけど」と佐藤さん、「全然良くならない。これはもう、彼ら自身もよく考えないと」

けれど、政治・経済的な問題の多さに比べて、その文化や人々は魅力的。そしてその代表が、今回佐藤さんがクローズ・アップしているヴードゥー教です。

ヴードゥーは、まあ、宗教なんでしょうが、日本の神道のように、民間信仰に近いのかもしれません。恋愛成就はこの神に、仕事はこっちの、健康はあっちの神に祈る、つまり、それぞれの場面で、たくさんいる神様の誰かに祈るわけです。そして彼らは、あんなに貧しいのに、貧しさゆえに自殺したりはしないそうです。これもヴードゥーと関係あるでしょう。

というわけで、すみません、うまく説明できません。とりあえずは、ここ、


の、<photos> をご覧下さい。100の言葉より雄弁に、佐藤さんの写真が語ってくれます。

最後にひとつ。ドミニカは、大リーガーなんかもいて、ハイチに比べれば豊かな国だそうです。そしてこちらは、スペインの植民地だった時代が長く、その分混血も進んでいて、これはもう、顔を見ただけでも、95%黒人のハイチ人とは、全然違うんだそうです。そしてドミニカでは、たとえばサトウキビ畑での農作業は、もっとも嫌がられる仕事。というのもそれは、奴隷の仕事だったから。でその仕事は、ハイチからの出稼ぎ者が引き受けます。ハイチでは、失業率60%…… 日本やアメリカが不景気といっても……

一つの島なのに、ハイチとドミニカ、こんなに違うんですね。タメになりました。佐藤さん、ありがとうございました!(お手伝いの院生の方たちも、お疲れ様でした。)

2008年12月1日月曜日

チビクシラ


さ、12月に入りました。いかがでしたか、なにか違いましたか?

今日は行きつけの(!)1000円カットQBに寄りました。こんでるんですね、これが。

で、いつものお兄ちゃんとおしゃべり。彼は松山出身で、今は奥さんと二人暮らし、なんてことまで知っています。今日もまた、寒い→スキー→温泉→北国→南国→海→彼が子供のころ泳いだ松山の海! という流れで、松山が登場しました。

「ちっちゃいボートで海にいるでしょ。そしたらね、すぐ脇を、そうだなあ、体長2メートルくらいのチビクシラが、パーッと潮吹きながら通るんですよ」
「湾の中で?」
「そう、中に入ってくるんですよ。今はだいぶ減ったらしいけど」

そして彼は、いつかホエール・ウォッチングに行きたい、と言うのでした。

「でもね、とりあえず仕事は大晦日まであるし。客商売はね」

なんて話してる間にカット終了。なんといっても、10分仕上げがウリの店です。

「もう今年は最後ですかね?」
「ああ、ビミョーだね」
「じゃあとりあえず、よいお年を!」

ああ、もうこんな会話です!

2008年11月29日土曜日

ビヨンセ/サーシャ


この人が作品を発表したら、周りの評判とか企画の内容とかに関係なく、とにかく買います! というアーティストが、みなさんもいらっしゃるでしょう。

音楽についていうと、わたしの場合、これはまずなんといっても宇多田ヒカル。それからマドンナ。それからブラック・アイド・ピーズ。それからビヨンセ、です。(たいてい買う、とか、結果的にみんな買ってた、というのは入れてません。)

で、今月初め、ビヨンセの新譜が出ました。なんだか難しいタイトル。『アイ・アム……サーシャ・フィアース』です。この「サーシャ・フィアース」というのは、なんでもビヨンセの別人格だそうです。ステージの上で、なにかに憑かれた感じで歌っているとき、彼女は「サーシャ」なんだそうです。

(ちなみに「フィアース fierce」は、フツーは「荒々しい、獰猛な」みたいな意味だと思いますけど、オネエ言葉で「イケテル」の意味もあるんだとか。本当なんですか、波戸岡先生!)

ファンなのに遅ればせですが、やっと今日買いましたので、これから聞いてみます。

そういえば今日、道端で「手相&誕生日占い」しているおじいさんと立ち話しました。(見てもらったわけじゃないですよ。)なんでも、お客さんは年配の人が多くて、自分のことはいいから孫を占ってくれ、という人が多いんだそうです。

「でもね、ネギルんだな、これが。3000円を1000にしろって。でしてあげると、結局自分のもお願い、亭主のもお願い、娘もお願い、なんてんで、結局1000円が4人で4000円になっちゃうの。3000円で始めれば、何人でも見てあげるのに!」

ということなので、みなさん、「手相&誕生日占い」に関しては、ネギルのはお勧めいたしません!?

生命力テスト


昨日書いた、20秒&タダでできる「生命力テスト」はこちら。




わたしはゼロでしたけどなにか? (爆発だ!)

2008年11月28日金曜日

裏切る


今日の授業では、『ニキータ』のシナリオを読みました。これ、実はかなり難しい部分もあって、2年生たちは苦労しているようです。そのうちの一つをご紹介しましょう。

ニキータは、一人前の工作員になるためにさまざまな訓練を受けるのですが、その一つに「女であることを乱用する訓練」があります。先生は、ジャンヌ・モロー(画像。これは若い頃)です。

モローと言えば、わたしにとっては、かつての『死刑台のエレベーター』や『小間使いの日記』などが思い出されます。『ニキータ』のモローは、もうかなり年配です。

さて、モローはニキータに「微笑み」の効用について話したあと、ニキータが自分の手を見ているのに気づきます。

わたしの手を見てるのね? 昔はきれいだったものよ、それが今は、ほら、手がわたしを裏切ってるの。(elles me trahissent)

これは、trahir「裏切る」という動詞です。でも、「手がわたしを裏切る」って?

もちろん、今はスベスベピカピカとはいかない自分の手が、若くてキレイだったわたしを、あるいは、今もそれ以外の部分はそれなりに若く見えるわたしを、裏切っている。つまり、手を見れば、今のわたしの衰えは隠すべくもない、ということなのでしょう。

(こんな感じの表現に初めて会ったのは、まちがいなくボードレールの詩だったのですが、悲しいかな、どの詩だったのか思い出せません!)

まあ日本でも、手と首は出ちゃう、なんて言います。それはフランスでも変わらないようです。(あるフランスの大手化粧品会社のエライ人で、人前では決してスカーフを取らない人もいるようです。)

そういえば今日、わたしも「生命力テスト」に裏切られました。yahoo のトップページにあった、20秒くらいでできるテストです。ほんの冗談でやってみたら、なんと「あなたの生命力はゼロ」! ま、そんなに多くは期待してませんでしたが、ゼロとは!? もしかして、もう生きてない?(ケンシローにやられたか?)

でも、おかげ笑ったので、元気が出ました! ゼロなら、これ以上下がらないしね。

というわけで、今週もお疲れ様でした。ではみなさん、bon weekend !

2008年11月27日木曜日

「日本の古本屋」


先週、久間十義さんの特別講演のために和泉校舎に行ったとき、ついでに図書館も寄りました。貸し出し禁止の本を見せてもらうためだったのですが、それを出してもらっている間の5分間、辞書や事典が置いてある棚を眺めていました。

その時、オ! と思ったのが、『東京記録文学事典』(柏書房)です。これは、明治元年から昭和20年まで、それぞれの年に発表された「東京を扱う記録文学」の重要なものを、引用しながらまとめたものです。

この本を作るには…… ほかの仕事を何もしないとしても、何年かかかるでしょう。大変な仕事量です。すごいなあ、借りたいなあ、と思っても、それは閲覧専用参考図書。残念だなあ、と思っていました。で……

帰宅してアマゾンで探したら、すぐ古本が見つかりました。定価 6800 円ですが、3000円です。よし、買お! 

で、今日到着しました。う~ん、3000円安いかも。きっとこれから役に立ってくれるでしょう。

ちなみに、一応わたしの印象を言っておきますと、古本だけに限って言えば、アマゾンより「日本の古本屋」のほうが点数も多いし、安いことが多い気がします。

(ただここには、本を「作品」から、「消費するためのモノ」に変えた、あのブック・オフも登場します。ブック・オフでどんなに本が売れても、出版というリスクを負った出版社にも、実際に書いた筆者にも、一切お金は入りません。もちろん、一定の役割は果たしているのでしょうけれど……)

さて、明日は金曜日。みなさん、風邪ひいたりしてないですか? 今日寝込んだ人は? ああ、いますね。お大事にしてください!

2008年11月26日水曜日

木坂涼


この前の「バルベリ&谷口」の会のとき、好きな画家は? という質問に、谷口さんはエドワード・ホッパーの名前を挙げてらっしゃいました。実は私も、ホッパーの絵だけで一冊になった絵葉書集を使い切った(つまり、出し切った)ことがあるくらいには、好きな画家です。

で、今日ある現役女性詩人の本を読んでいて、なんとなく、ホッパーのことを思い出す詩がありました。「点灯」という詩です。

アパートに戻ると
留守番電話のランプ
赤く
小さい生き物みたいな点灯を
まっさきにのぞく。
誰からも電話のなかったことは
すぐにわかる。
ともしびのように
赤い豆つぶが一日
私の代わりを務めて
私と同じままに誰からも声をかけられずにいたと知る。
都会の
回収されないこの一瞬。
私は
街に撒かれた電話機の豆つぶの赤さを頭の中にちりばめる。
それを 都会の星のようにおもう。  

ね、ちょっとホッパー的な、孤独感というか、寂しさというか、ありますよね? この詩を書いたのは、木坂涼という女性です。(パートナーは、これも詩人のアーサー・ビナードです。)

彼女の詩は、実はもっと軽やかで、おしゃれな感じのがたくさんあります。たとえば、「17才」。

ねこのように
ブルブルブルってできたら
とってもらくになれるのに

あ、単に「おしゃれ」じゃありませんでした。ではもう1つだけ。「一人の正しい使い方」。

きゆっと孤独が
あたしを抱いてくれる時があって
あたしはコロッとだまされる

何かした?

う~ん、軽やかなんだけど、それだけじゃないですね。わたしみたいなオジサンが読んでもいいのだから、若い女性が読むと特に、きっと身につまされるんじゃないかなあ、と思います。

そうそう、昨日は吉本隆明の84歳の誕生日だったんですね。いつか、吉本さんの本を、じ~っくり読んでみたいです。学生の頃もまあ読みましたけど、きっと分かってなかったはず。今なら、少しはましな読み方ができそうな気がします。(J'éspère !)

pot bouille


今日は午前中に授業、午後早く1時間ほどの会議があり、そのあといったん帰宅して、それから恵比寿に向かいました。大学の同級生2人と、もう何年振りかで食事です。

お目当ては、pot bouille(ポ ブイユ)というお店。まあビストロというのでしょう、レストランほど気取っていなくて、わりと量もしっかり出てくるタイプの店です。

これが、まあおいしいこと! わたしはとても気に入りました。前菜の、田舎風パテや、甘エビとアボガドのタルタル、ズワイガニのクロケット、どれもかなりいけます。(牡蠣のグラタンは、まあ普通。)でメインは、季節感を出してエゾ鹿、子羊、そして定番のステック・フリット。この中では、やはり子羊が好きでした。デザートは、フォンダン・ショコラにしたのですが、これはさすがにおいしいです。チョコがとろっと溶け出てくるのが、いい感じ。

ちょっと贅沢ですねえ。でもまあ、2,3年に1回だからいいか!? 

同級生の2人のうち、1人は小学館の編集者。彼もまた、編集者のご他聞にもれず、思い切り忙しい生活です。でも、楽しそうです。彼は管理職は苦手で、現場の本作りに携わるのが好きみたい。そりゃまあ、そうですよね。

もう1人は、わたしと同業者です。大学の同級生は、まあみんなフランス文学科出身なわけですが、同業者は彼だけです。彼は、なんとPCを習い始めたそうです。もちろん、メールやネットくらいはできるでしょうが、その上を目指すそうです。う~ん、わたしも行くべきかも!

というわけで、秋の一日は暮れて行きました。でも今こうしていると、なぜか、恵比寿の西口改札口で人の波を眺めていた時間が思い出されます。Tシャツ!のお兄さんから、コートをきつく巻きつけたお姉さんまで。見慣れた、でも初めて見る風景。なぜか惹かれます……

2008年11月24日月曜日

Shy'm et K-maro


三連休、みなさん、いかがでしたか? 東京では、今日の午後だけ雨でしたけど、昨日・今日はいい天気でしたから、行楽ってヤツでも、ぶちかました方が多いのでしょう。

わたしはと言えば……、なんと、終わってみれば、三日とも大学に行ってました! そう、今日も行ってたんですが、そのおかげで、芸人ライブもちょっと見ることができました。わたしが見たのは、超新塾と我が家です。

テレビでよく見かける彼らですが、実物も、印象は変わりませんでした。我が家の方は、普段から下ネタ気味なので、ライブではさぞかし、と思いきや、テレビと変わらないレベルでした。ということは、あの辺を、かなり意識して狙っているんでしょうか?

それにしても、今日も昨日と同じで、ざわめきを聞きながら研究室で本を読むという、なかなかウォームな感じで過ごしました。(そういえば、あの吉本隆明でさえ、若い頃、寂しくなると、銭湯に行ったものだ、と書いてました。)まあ、夏休みの静けさも、それはそれでよかったですけど。

そうそう、一昨日見た模擬店の中で、誰一人よりつかない店がありました。いい天気とは言っても、そこは11月。しばらく外にいれば暖かいものが欲しくなるのに、なんとその店では、タピオカ入りのつめた~い飲み物を並べていたのでした! そりゃ、買わないわな…… で、その店が、予定を変えてほかのものを出しているのか気になったのですが、なんだか歩いていると、あ、先生、焼き鳥買ってください! とか、トン汁飲みますよね! とか言われるので、かなり奥まったところにあるその店まで、見に行く勇気がありませんでした。どうしたかな~

さて、三連休の終わりに、一曲プレゼントさせてください。Shy'm は、「シャイム」と発音するようです。


歌詞はこちら。


出だしはこんな風ですね。

Y'a l'homme que l'on aime
L'autre qu'on ne comprend pas,
Si les deux sont le même,
Alors lequel nous restera,
Je ne sais pas, je ne sais plus,
Lequel tu seras quand tu reviendras.

好きな男がいて
もう一人、理解できない男がいて、
もしその2人が、同じ男だったら、
ねえどっちなの、わたしたちのが一緒にいることになるのは?
わからない、もうわからないの、
戻ってくるのが、どっちのあなたなのか。

フランス語版 wiki によると、Shy'm のお父さんはマルティニックの人だそうです。そしてそして、まだ無名だった彼女を見出したのが、あのK-maro です。(画像はこの2人。)この曲、ちょっとおセンチでけっこう好きです。(実はShy'm より好きかも!)


ね?
                ◇

さあ、また仕事! ですが、三日とも登校したわたしとしては、先週の火曜から休みなしです。とりあえず、今年もあと45日。はりきってまいりましょう!

2008年11月23日日曜日

ダイヤモンド・ダスト


今日の東京は文化祭日和でした。だから、というわけではないんですが、今日もまた大学へ行ってました。部屋で仕事をしていても、なんとなく、下で盛り上がってる雰囲気が伝わってきて、寂しくありませんでした。

さて、昨日の「施設ツアー」の話でした。当初予定は30人だったのですが、おそらく50人以上集まったので、2班に分かれて出発しました。

最初に行ったのは、構造物試験棟です。ここには、巨大な3軸加圧装置がありました。

3軸、というのは、要は3方向から、ということのようでした。とりあえず、縦横5M、厚さ1.5Mほどのコンクリートの板が立っていて、それを土台にして、圧力をかけていくのだそうです。200トンくらいまで加圧できる、と説明がありました。(1立方メートルの水が1トン。コンクリは、比重2.3。おも!)

次は、振動実験解析棟。これは見かけは地味でしたが、あまり大学では持ってないそうです。地面と同じ高さのところに、3M×3Mくらいの鉄板があり、それが3次元的に揺れるということでした。建築模型や、自動車の部品なんかも、揺らしてみるそうです。

そして今度は、高磁場超伝導解析室へ。この1台1億円の機械は、見かけはフツーのボイラーみたい。でも内部では、液体窒素と液体ヘリウムによって超伝導状態が作られ、その結果とてつもない磁場が得られるのだそうです。ピップエレキバンの、約2万倍ですって!(ただ残念なのは、その磁場で何を解析するのかよく分からないことです! ああ、これだから文系は……)

それからもう1つ、これはたまたま昨日知り合ったばかりの、雪の結晶の先生のところも、このツアーに入っていました。ここでは、ペットボトルに吹き込んだ呼気に圧をかけて、手のひらに乗る「雲」を作ったり、過冷却水(マイナス7度)に「きっかけ」を与えて凍らせたり、最後は、小さな黒い容器の中に、ダイヤモンド・ダストを作ってくれたり。このダストは見えにくいので、ポケットライトを当てるのですが、そのとたん、黒い容器の中の暗い空間に、はるか遠くの星のような固い輝きが、ゆらゆら漂っているのが見えるのです。

そして最後、これは超音波を水に当てると、水が輝くように見える、という現象の図像解析。でも本当は、輝いているのは水ではなく、水中に生まれた泡の表面なんだそうです。泡の表面、ねえ……

というわけで、こんなにしょっちゅう行ってるのに、まだまだ知らない施設があるのでした。う~ん、理工学部おそるべし!

2008年11月22日土曜日

ホームカミングデー


行ってきました、ホームカミングデー! 

わたしたちお手伝い教員の集合は9:50。短い朝礼のあと、配置に付きました。わたしの担当は、卒業生の受付です。でも同僚の倉石さんが一緒なので、気楽です。倉石さんは、去年も経験しているのです。

やがて卒業生の方々が。みなさん、ちょっと緊張気味。久しぶりの母校の変貌振りに、戸惑っていらっしゃるのでしょうか? 今、外のメインステージでは、チアリーダーたちが髪を振り乱して踊っているのでしょう、コンバットマーチもどきの曲が地響きのように聞えてきます。
その後お昼休憩を挟み、場所を変えて再び受付。でももう、ほとんど誰も来ません。で、数学科の若い先生とおしゃべり。数学科は、今大きなプロジェクトが進んでおり、盛り上がっているそうです。先端数理ナントカです!

そして1:30には解放されたので、別の場所(外! さむ!)で誘導などをしていた波戸岡さんと合流。すると、今まで話した事のない若手の先生が一緒でした。

彼は、なんとわたしたちと同じフロアにいたのに、今日まで見かけませんでした。ちょっと不思議。でその先生は、雪の結晶の研究をしているそうです。結晶はどうして、あんなに等間隔で並んでいるのか、とか。でもなんだかその先には、「美」が入り込んできそうですね。(あるいは「神」が!?)いや、それは何も知らない文系の感覚なんでしょうか?

その後、文化祭で沸くキャンパスを波戸岡さんと一周。ちらほらと、教室で会う学生が見えます。教室内でとは、違う表情です。ま、当たり前か。

行列ができているのは、韓国からの留学生が出している模擬店。おお、たしかにおいしそうなチヂミです。

それから、今度は一人で、「学内施設見学ツアー」に参加したのですが、その話はまた明日に!

2008年11月21日金曜日

赤ちゃんと遠足


というわけで、今週も金曜日に到達。みなさん、お疲れ様でした。わたしも今週は、比較的忙しい週でした。

今日は午前に授業が2つ、午後は会議が2つ、それからさらにプチ会議が1つ、というメニューでした。これから年末にかけては、会議が増えそうです。

息抜きは昼休み。一昨日いったラーメン屋さんに、今日は総合文化教室の同僚たち4人と、ぶらぶらてくてく歩いて行きました。陽が出ていたので、暖かく、気持ちいい散歩気分。

前回に続いて、今日もお客さんはいません。いい感じです。この前は「餃子定食」だったので、今日は野菜ラーメン。炒めた野菜の中にはトマトまで入っていて、なかなかいけます。これで麺がもう少し締まっていれば、だいぶいいです。(ちなみにみなさんは、チャーシューメン、味噌ラーメン、スタミナ・ラーメン)

途中、親子三代のお客さんが。おばあちゃん(といっても50過ぎくらい?)とお母さんと赤ちゃんです。赤ちゃんは、3ヶ月くらいでしょうか、ミルクの匂いがしそうな小ささです。

ちょっと恥ずかしいのであまり言いませんが、実は赤ちゃんが好きです。小さいだけで、可愛いですね。今日の赤ちゃんはむちむちで、おばあちゃんに抱かれて泣いていましたが、赤ちゃんの泣く声はというのも、基本可愛いです。なんだか、ちょっと抱っこさせて欲しかったのですが、まあそれも変だしね。

ラーメンの後は、会議まで少し時間があったので、農学部の畑などを見学に行きました。

わたしたちがいる理工学部は、実は農学部とキャンパスをシェアーしています。今日初めて畑のほうまで来ましたが、広い! 高台の畑からは、遠く新宿の影も見えます。畑の散歩は、遠足の味わいです。

都心の大学には、それなりの魅力がありますが、郊外は郊外で、ゆったりした風情があります。これもまた、捨てがたいです。

さて、そろそろ会議に戻らないと。

で、いつものキャンパスに戻ってくると、トンテンカン、学生たちが設営に励んでいます。そう、明日は文化祭なので、今日の午後は授業なしなのです。

明治大学理工学部の文化祭は、その生田キャンパスの名前から、生明(いくめい)祭と呼ばれます。お近くのみなさん、よろしければ、どうぞお出かけ下さい!

明日はわたしも大学に行きます。ホームカミイグデーという、卒業生たちを招くイベントのお手伝いです。卒業50年目(!)という方々もいらっしゃいます。どうなるでしょう!?

2008年11月20日木曜日

ばちあたり


  罰当りは生きている                          岡本潤


あなたは一人息子を「えらい人」に成らせたかった
「えらい人」に成らせるには学問をさせなければならなかった
学問をさせるには金の要る世の中で
肉体よりほかに売るものをもたないあなたは何を売らねばならなかったか
だのにその子は不良で学校を嫌った
命令と服従の関係がわからなかった
先生の有難味というものがわからなかった
強いられることには何でも背を向けた
学校へは上級生と喧嘩しに行くのであった
一から十まであなたに逆らう手のつけられない「罰当り」だった
その子はあなたを殴りさえした
――その時その子が物陰で泣いていたことをあなたは知っていますか
それでもあなたはその因果な罰当りを天地に代えて愛さずにいられなかった

学校を追われた不良児は当然社会の不良になった
社会の不良は「えらい人」が何より嫌いでそいつらに果し状をつきつけた
「善良な社会の風習」に断乎として反抗した
その罰当りがここに生きている
正義とは何かを摑んで自分を曲げずに生き抜こうとする叛逆者の仲間に加わって
警察へひっぱられたり あっちこっち渡り歩いたり
飢えて死んでも負けるかと云って生き通している


お母さん!
あなたが死んで十年
だがあなたの腹から出てあなたを蹴った罰当りの一人息子は此の世に頑然と生きています


                    ◇

もっと優しい詩を紹介するつもりだったのですが、岡本潤なら、やっぱりこれかな……。この詩、何度読んでも、ぐっときます。わたしは社会主義者ではないけれど、岡本潤の作品には、シンパシーを感じるものがいくつもあります。

岡本よりはるかに若いランボーは、すでに、「ぼくは正義に対して武装した。Je me suis armé contre la justice.」と書きました。「正義」は、時に悲惨の生みの親であるのですから、「武装」する必要がありますね。でも岡本はそうしなかった。彼の「正義」は、「善良な」ものではなかったけれど、それもまた「正義」ではあるのでしょう。ランボーなら、「武装した」はずです。

このことは、詩にある種の「悔恨」を付け加える気がします。岡本さん、あなたは武装しようと思わなかったんですか? 「正義」が危ういことぐらい、気づかないはずないのに……。でもそれでは、「岡本潤」ではなくなってしまいますが……。

日本の、ほとんど知れらていない詩人の作品の中にも、いいものが残っていますね。

2008年11月19日水曜日

旅情


今日の東京はいい天気でした。やっぱり、気持ちのいいものですね。

昨日は、クルマを大学に「お泊り」させたので、今日は電車で大学へ。といっても、実は授業はなく、ただ雑用たくさん&会議のためです。

大学について資料室(という名のたまり場)でグズグズしていると、ハプスブルグ家が専門のドイツ語の先生がいらして、

「あ、いたいた。キヨオカ君さあ、12月6日の土曜日空いてるよね?」
「6日?」
「空いてるでしょ? じゃあ決まりね。事務のほうには報告しとくから。じゃ!」

と、電光石火、「6日」の仕事を引き受けていました。なんと、その日に駿河台校舎で開かれる、「留学生・日本語スピーチ・コンテスト」の審査員です。(わたしでいいんでしょうか……?)


でもこれは、イベントそのものが楽しそう。なんとか、厳正なる審査を心がけます! みなさんも、お時間がありましたら、どうぞご参加くださいませ。

さてその後は、波戸岡さんとランチへ。

「今日は外行ってみましょうか?」

ということで、外に行ってみることに。(C'est pour la première fois !)実はわたしは、同じキャンパス内にありながら、農学部のほうは行ったことがありませんでした。で、初めて見る温室や実験室を縫うように歩き、やがて裏門(?)から外へ。ポカポカの道をちょっと歩くとスーパーがあり、その正面を走るやや太い道沿いに、ポツポツとお店の影が。

とはいえ選択肢はラーメン屋と焼肉屋の2つしかなく、今日は前者に。(昨日、健康診断の成績表(と書いてあるんです!)が帰ってきたことと、まったく無縁とは言えません。)

白木のカウンターだけの、明るい店内。街のラーメン屋さんとしては、こざっぱりしています。ああ、なんとなく旅情を感じます。初めてのラーメン屋さんて、そうですよね? 

で、昨日の「特別講演」の話から始まり、「ポストモダン的状況(ほら、例の「大きな物語」が終わった時代、ということですね。)」で書かれる小説が、それでもやっぱりある「感動」みたいなものを突いていこうとすること、について話しました。(というか、教わりました。)

なんだか、こんなオジサンな歳になっているのに、わからないことが多いです。というか、わからないことばかりです。わかるのは…… 例の「東京詩」を調べて、なんだかそれとは直接関係ない詩もどんどん読んでいるとき、楽しいなあ、と思うということだけ。だから、そういう方向に行っていたいなあ、とは思います。(フランス語関係の仕事は、幸い振られることがあるので、これも続けるつもりです。)

午後は、雑用をてきぱき(?)こなし、6時からの会議に向かいました。でその会議が終わったのが9時! おそ! でももう慣れましたね。

ではみなさん、明日も元気で!

2008年11月18日火曜日

一日


阿部昭の短編に、「人生の一日」というのがありました。なんだか、そんな言葉を使ってみたくなる、色々あった一日でした。

まず朝ちょっと郵便局で古書代金を支払い、大学へ。フランス映画ゼミでは、前期にも見た『憎しみ』を見ました。わたしにとっては、多分5回目くらい。やっと、やっと分かった気がしました。

昼休み前半は研究室で学生とおしゃべり。彼は午後、「遺伝子に電気をかける実験」に挑むそうです。詳細は後日!

それから学食ランチ。今日は英語の波戸岡さん、中国語の林さん、そして台湾からの留学大学院生、Kôh さん、と食べました。主な話題は、中国の社会(主義)的市場主義。中国はこれまで、自分たちは共産主語的段階にある、と宣言したことはないそうです。で今は、社会(主義)的市場主義の段階にある、ということになっているそうです。う~ん……

次は、電車に乗って40分、明治の和泉キャンパスに移動。さっそく図書館に行き、貸し出し禁止の本の閲覧を申請。待つこと5分。出てきました、まずは三好達治の『捷報いたる』。これは戦争を賛美している詩集なのですが、手持ちの「全詩集」には入っていません。まあね、入れたくないでしょうね。で、どれくらいのものかと読んでみると…… いや、思った以上の戦争賛美。「鬼畜米英」的な視点が微動だにしません。

もう一冊は、岡本潤の『襤褸(らんる・=「ぼろ」)の旗』。実は『岡本潤全詩集』の古本(4000円)を注文したので、内容的には後でじっくり読めるんですが、なんだか早く読みたくて。(もちろん実物を見たい気持ちもありますね。)この本、よかったです。あのコミュニストの闘士が、こんな優しい詩を書いていたなんて、と、何度かほろっとしました。(今度、なにかご紹介しますね。)

でその次は、今日のメイン・イベント、久間十義さんによる特別講義です。これは…… すごくよかったです! 蟹工船ブームの背景などをとっかかりに、出版・流通のシステムを考え、さらに、そのどこで「文学」は可能なのか、を問い、ポスト・モダン小説なんか読みたくないのはつまり面白くないからで、小説家として生きることは、いわば博打を打ってるようなものだけど、それはどの仕事もある程度そうで、でもわたしはまだ「文学」を抱いています…… 

久間さんの話しぶりは、とてもなめらかで、全然飽きません。なんだか久しぶりに、堂々と「文学」を語る人を見て、ちょっと感動しました。(ただ、彼は無邪気に「文学」を標榜してるわけじゃありません。この恐ろしく「信用収縮」した観念=「文学」、かつては過大評価され、その後過小評価、あるいは相応の評価を受け、今は瀕死の「文学」が、読者や作品が消え、消費者と生産物が流通する時代となった今、それでも自分はなお、「文学」で生き死にするしかない……、ということです。)

そして締めくくりは、去年まで別の大学でよく顔を合わせていた経営学部の先生の研究室の訪問です。約束通り、待っていてくれました。で、近場の居酒屋に行くことに。で、ここではお相手の先生の小学生の息子さんが、少年野球で大活躍をした話を中心に、野球の話をしたのでした。

そして今、こうしてPCに向かって、読んでくださるみなさんのことを考えています……

2008年11月17日月曜日

雪ふりつむ


今日の午後、暖かいので外で本を読んでいたら、真っ赤な蜘蛛、それも体長1mmほどの小さな小さな蜘蛛が、本の上に落ちてきました。

今日読んでいたのは、大御所・三好達治です。(彼は1900年ちょうどの生まれなので、歳と年号が一致して分かりやすいです。)どうでしょう、一番有名なのは、デビュー作『測量船』に入っている「雪」なんでしょうか?

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

この詩を始めて読んだのは、たしか小学校1,2年だったと思います。チョーうろ覚えですが、たしか、雪の降る静けさがどうの、という解説があった気がします。

今日思ったのは、この2行詩は、ちょうど雪の一片一片が、揺れながら落ちて来るように、ちょうどそう見えるように、2行が寄り添っているのかな、ということでした。(縦書きで想像してくださいませ。)ほら、同じ字数で、上下が「、」で分かれ、家と屋根のようにも見えるし、その家の前を、今雪がちらちら舞ってくるんだけど、そのちらちらする感じが、「太郎」と「次郎」が並んでいるあたりに感じられるような…… しかも2回出てくるので、落ちてゆく風情だし。

とまあ書きましたが、こんなことすでに誰かが言っているかも。なにしろ大御所なので、研究書も多いようです。

ところで明日、明大前の和泉校舎で、久間十義さんによる「複製芸術としての<文芸>の今」という特別講義があります。(5時間目。16:20~)参加無料です。わたしはちょうど、和泉校舎の図書館に行きたいと思っていたので、セットにするつもりです。

それにしても、大学って色々やるんですね!

2008年11月16日日曜日

DU VIOLET


今日も天気がイマイチだった東京、で午後から、ちょっと気分転換にスタバでもぶちかますか! と思って出かけました、が!

なんかクルマの動きが変? で降りて見てみたら、Oh là là ! なんと右前のタイヤがパンクしています。も~、めんどくさい!(でも大学行く朝じゃなくてよかった……)

というわけで、行く先は急遽ニッサンに変更。おかげで午後の一時間ほどがつぶれ、財布もがくっと軽くなりました。(涙)

さて、その後はちょっとユニクロへ。まあこのところ、着るものを買うといえばユニクロかGAPくらい。履物はABC。なんだかな~、という気もしますが……

そういえば最近、いつもの総合文化教室の先生たちと学食ランチをしていたとき、珍しく着るものの話になったことがありました。「いやもう、ヨーカドーかなんかで買っちゃうよ」と、蛍光グリーンのスニーカーを履いている先生が言えば、「最近は奥さんが買ってきたもの着てますよ。昔は、ギャルソン(!)なんか着てましたけど、なんだか周りにそういう人が多くって」とおっしゃる先生も。

服ねえ…… 

大昔の話ですが、「傷だらけの天使」というテレビ番組がありました。その中で、萩原健一が着ていたのが、当時はまだまだ無名だったメンズ・ビギでした。わたしたちが、いいなあ、あのメンズ・ビギとかいうところの服、と思っていると、キクチ・タケオに率いられたビギはあっという間にスターダムに。そしてマツダのニコル、メルローズ、女性モノではイナバ・ヨシエのハーフ・ムーンなどが1時代を築きました。
学生だったわたしたちは、ほんとうに現場で、その盛り上がってゆく過程を肌で感じたものです。ビギのバーゲンなど、ある年はガラガラだったのに、翌年はかなり混雑、さらに翌年は入場制限、という具合に……

わたしの感覚では、カワクボ・レイやヤマモト・ヨウジが出てきたのは、その後だった気がします。そのころわたしは、イッセイやケンゾーのデザインが好きだったのですが、悲しいかな、イッセイの服はMでもかなり大きくて、全然着られませんでした。(値段的にも、バーゲンのときだけ、辛うじて手の届くものがある、という感じでした。その頃はまだ、鷲田清一のファッション論など、全然知りませんでした。)
ケンゾーの色は、それまで見たこともない色でした。着るには派手でしたが、見てる分には楽しかったですね。

その後はもう、群雄割拠、いろんなデザイナーがいました。記憶に残っているのは、Jean-Paul Gaultier でしょうか。お客さんに対するメッセージを、と言われた彼は、「オレの服をきる勇気を持て!」と言ってました。こんな強気なデザイナー、初めて見ました!

オジサンが服の話なんて、おかしいですか? ま、たまにはいいことにしましょ!

そう言えば、話題のH&M。フランスには当然だいぶ前からあります。でも…… フランスで時に使っていたレナさんによれば、品質的にはユニクロに軍配が上がりそう。日本で売られているものはまだ見たことがないので、たしかなことは分かりませんが。

じゃあここまでお付き合い頂いたみなさまに、フランスの若い女の子のファッション情報をお届けしましょう。実はわたし、ここ見るの、嫌いじゃないんです。(今年は紫らしいです!・画像)


この中の、mademoiZelle TV というところに入ると、彼女らのナマの声が聴けます。ちょっと面白いです。

では今週も、楽しくいまいりましょう!

2008年11月15日土曜日

マーラーとSOHA


さて、昨日の夜は、かつての同僚(といってもだいぶ年上なんですが)と久しぶりに会いました。

彼はもともとオペラが好きで、しかもCDではなくコンサートで聴くのが好き、という人だったのですが、昨日話しを聞いてみると、

「i pod 買ってちょっと音楽入れ始めたら、なんだか止まんなくなっちゃって…… 今はオペラ以外でもなんでも来いだよ」

で聞いてみると、バッハから現代音楽あたりまで、目ぼしいところはみんな押さえるつもりのよう。

「この前も、ショスタコヴィッチの弦楽四重奏全集買っちゃったんだよ!」

なんだか子供みたいに喜んでいます。というわけで、期せずしてクラシックの話を長々とすることに。と言ってもそこは素人同士、あの曲の演奏はこれがよかったとか、この演奏家はどうしてもぴんと来ない、とか、無責任に言い合うだけなんですけど。

で、マーラーの話になったとき、ふと10年ほど前の小さな経験を思い出しました。

「なんてことないんですけどね、昔、夕方頃に、歩いてたんですよ、買物帰りかなんかで。でたまたま通りかかった小学校で運動会をやっていて、なんだかちょうどこれから最後のリレーみたいだったんで、中に入って見てたんです。やっぱりね、リレーは見ていて面白かったですね。それから…… こっちもそろそろ退散しようかな、と思っていたら、すぐに全員で、整理体操が始まったんです。でその体操の曲、なんと、マーラーの10番だったんですよ!」

あの時は、なんだかとっっても驚きました。小学生たちが、マーラーで整理体操です!(ちなみにマーラーなら、わたしはテンシュテットという指揮者の演奏が好きです。)

「それにしても、オペラ以外は聴かなかったのに、変わりましたね!」
「ほんとに、もう自分が信用できないよ」
「?」
「だって1年前と、考えてることがだいぶ違うんだよ。このままじゃあ、また来年は違うこと言ってそうだ」
「マドンナもいいですよ!」
「それはどうかな」

いや、いいですよ、j'en suis sûr !

そういえば今日は土曜日でしたね。クラシックじゃないけど、1曲紹介させてください。Soha(ソア・画像)です。

http://www.dailymotion.com/relevance/search/soha/video/x3ea6p_soha-tourbillon-serremoi-fort-si-tu_music

サビはこうです。
                                             Dans ce tourbillon, qui m’entraîne
Serre-moi fort, si tu m’aimes
Tout est tellement plus beau entre tes bras
                                               この恋の旋風に、翻弄されてるの、
わたしを強く抱きしめて、愛してるなら
あなたの腕に抱かれてると、すべてがこんなにも美しいの
                                               1行目はやや意訳です。ちなみに半分くらいはスペイン語のようなので、そのおつもりで。もし歌詞全部ご覧になりたければ、こちらです。
                                       http://www.greatsong.net/PAROLES-SOHA,TOURBILLON-SERRE-MOI-FORT-SI-TU-MAIMES,102683222.html
                                              彼女はマルセイユ出身で、フランス人とアルジェリア人の血を引いているようです。日本でも、春にアルバムが出ています。(ていうか、先月ライブがあったのに、見過ごしていました……涙)で、くやしまぎれに(?)、ここで紹介することにしました。(ああ、惜しいことしたなあ……)

今夜


東京は爽やかな午前です。

さて、早くお知らせしようと思いつつ今になってしまったのですが、今日の夜、こんなイベントがあります。

BOOK246×明治大学DC系 連続トークセッション
見えるもの聞こえるもの ― What We See, What We Hear 
第2回 近藤一弥 × 倉石信乃 × 管啓次郎

「いま、デザインとは何か」

美術展ポスターから文学全集まで、幅広いデザイン活動を展開する近藤一弥さんを迎え、デザインの可能性を探ります。
近藤一弥 Kazuya Kondo:グラフィックデザイナー、アーティスト。http://www.kazuyakondo.com/
倉石信乃 Shino Kuraishi:批評家、詩人。明治大学DC系准教授。
管啓次郎 Keijiro Suga:翻訳者、エッセイスト。明治大学DC系教授。
2008年11月15日(土)18:00~20:00会場:BOOK246店内 入場料:500円 
定員:30名(要予約)予約・問合せ先:03- 5771- 6899(BOOK246)/info@book246.com

秋の夜長、「いま」な刺激を受けられそう。お時間があれば、お待ちしています!

2008年11月14日金曜日

コーヒー


今2年生の授業では、『ニキータ』のシナリオを読んでいます。これが、意外に難しいんですね。

学生たちには、分からないときは、字幕を参考にしてもいいけれど、どうしてそういう字幕になったのかを含め、ちゃんと自分なりに訳してくること。ユメユメ字幕丸写しのないように! と言ってはいますが…… 

さて今日の昼休みは、久しぶりに英語、中国語、写真の各先生たちと、一緒に学食ランチでした。なぜ久しぶりかと言うと、英語の管さんと波戸岡さんが、中国武漢での「環境文学学会」に出ていて、日本にいなかったからです。

管さんのブログ  http://monpaysnatal.blogspot.com/

中国のホテルはとてもよかったようなのですが、ただ朝食のビュッフェに、コーヒーが出ないのだそうです。

「でもスタバはまったく同じ味でしたよ」
「値段は?」
「たしか38元くらいだから……、日本より高いな」
「でも」と、カフェイン中毒(!)&中国語の先生の林さん。「今はスタバがあるのよねえ……」
「というと?」
「25年前は、武漢のどこ探しても、コーヒーそのものがなかったの。まあ今でも、コーヒーは外で飲むもので、家ではフツー飲まないの。だからわたしが家でコーヒーなんか飲んでると、中国の友だちは、ああおまえはなんてウェスタナイズされてるの! って怒るのよ!」

面白いですね。コーヒーがそんな扱いだなんて、考えたこともありませんでした。

わたしもコーヒーは好きです。酸っぱいのが好きなので、コロンビアなんかよく飲みました。昔はオフィス向けのコーヒー・メーカーの営業のバイトなんかもやったことがあります。が、最近はあまり飲みません。というのも、飲むと胃酸過多ぎみになっちゃうからなんです。(としゃあとりたくねえなあ! by Shimura, bis!)

ローレンス・ブロックのマット・スカダー(主人公の名前)シリーズ、マットはシリーズ前半、飲んだくれています。彼が愛飲するのは、コニャックのコーヒー割り。酩酊と覚醒、両方に引かれる感じがいいらしいのですが…… これも前に何度か試しました。(そのつど、胃が痛くなりました!)

それにしても、土産話って、いいですね。千一夜、いろんな土産話を聞きたいです!

2008年11月13日木曜日

ミュージック・レスキュー


今日は授業で、「半過去」をやりました。この「半過去」は、英語にない発想なので、味わいどころの一つだと思います。で、あれこれ尾ひれをたくさんつけて説明しました。(ま、眠そうだった人が皆無だったとは言いません! でも、じっくり付き合って聞いている学生たちも、もちろんいました。伝わったかな?)

木曜は5限まであるので、授業終わりは5:50です。それからちょっと学生とだべって、研究室で一服(といっても煙草は吸いませんが)して、それから帰り支度をして……

でクルマでラジオをつける時は、いつも J-WAVE のグルーブ・ラインです。この番組は、渋谷のHMVスタジオ(2階の奥・画像)で生放送してるので、もう何回か現場を見たことがあります。一番最近は…… 今週の月曜日! 例の飲み会の前に、HMV をぶらぶらするついでに、ちょっとのぞいてきました。(ピストンさんはお休みでした。)

たった一人だけ、プロのミュージシャンの知り合いがいるのですが、彼はハービー・ハンコックやアル・ディレオラとも共演したことがあって、ほんとにどんなジャンルの音楽もよく知っています。もちろんクラシックも。音楽学校で、作曲や編曲の授業も持っていたそうです。

でなぜ彼のことを思い出したかというと…… グルーブ・ラインの中に、「ミュージック・レスキュー」というコーナーがあります。これは、メロディーはなんとなく分かるけど、誰のなんていう歌か分からない! という人が、鼻歌でそれを歌い、聴いている人たちに教えを請う、という趣向です。これが、なかなか分からない。正解を聞いても、知らないこともよくあります。

で、このコーナーのことが、さっきのミュージシャンと話題になったことがあるんです。

「レスキューの曲、けっこう分かる?」
「あれね、チョー有名な曲ばっかりだもんね?」
「そう……なの?」
「知らない曲は出てこないでしょ?」

なんの衒(てら)いもなく彼は言うのですが……、そんなことありません。知ってる曲なんて、たまにしかありません! 

「そうなの? でも大学の先生たちは、新刊だったらみんな分かるんでしょ?」
「(ドキ!)いや、まあ、分かることも、ないわけじゃないけど…… みんな、っていうのとは、ほど遠いね」
「ああ…… まあCDの場合、1時間くらいあれば、とにかく1回は聴けちゃうから、1日に5,6枚はザラなんだけど、本はね……」

そうなんです、下手したら、読むのに何日もかかる本なんて「ザラ」です!

まあそれにしても、やっぱりプロのミュージシャンたちは、ものすごい量を聞いてるんだなあと、感心したのでした。

2008年11月12日水曜日

鮪の刺身が


東京は今日も曇り&小雨。さえない天気が続いていますが、明日はやっと晴れそうですね。

さて今日は、『山之口貘詩集』を読みました。

わたしが山之口貘の詩と出会ったのは、あれは高校の頃でしょうか、あるフォークソングがきっかけでした。高田渡作曲の「鮪と鰯」です。

鮪の刺身が食いたくなったと
人間みたいなことを女房が言った
言われてみるとつい僕も人間めいて
鮪の刺身を夢見かけるのだが

死んでも良ければ勝手に食えと
僕は腹立ちまぎれに言ったのだ
女房はプイと横に向いてしまったのだが
女房も亭主もお互いに鮪なのであって

地球の上はみんな鮪なのだ
鮪は原爆を憎みまた水爆には脅かされて
腹立ちまぎれに腹立ちまぎれに
腹立ちまぎれに現代を生きているのだ

ある日僕は食膳を覗いて
ビキニの灰を被っていると言った
女房は箸を逆さに 逆さに持ちかえると
焦げた鰯のその頭 その頭こづいて
火鉢の灰だとつぶやいたのだ。

冒頭だけのつもりだったのに、つい全部書いちゃいました。(すみません、記憶なので、行分けの具合など、マチガイがあるかも。)こんな歌、歌いましたねえ。ロックに目覚めるまでは、陽水やかぐや姫をよく歌っていたのですが、フォーク雑誌にたまたま出ていたこの歌は、歌詞の特殊さが際立っていました。もちろん、誰でも気づく特殊さですね。

で今日読んでいて、ああこれは親が「面白いよ!」と読んでくれた詩だ、と思い出したのは、「自己紹介」という詩です。

ここに寄り集まった諸氏よ
先ほどから諸氏の位置について考へてゐるうちに
考へてゐる僕の姿に僕は気がついたのであります

僕ですか?
これはまことに自惚れるようですが
びんぼうなのであります。

たしかに面白いです! これは今日読んだ詩集(1940年発行)に入っていました。「びんぼう」といっても、今とは違います。彼は詩を書きながら、汲取り屋までやっていたそうです。(にもかかわらず、「面白い」なんて書いて、それでいいんだとこちらが思えるところが、この詩の強さなんでしょうか?)

彼は沖縄出身で、琉球語で育ったそうです。琉球と言えばH先生です。今度何か聞き出しましょ!

2008年11月11日火曜日

Amélie


今日の「フランス映画ゼミ」では、前回に続いて『アメリ』を見ました。

『アメリ』といえば、最近最もヒットしたフランス映画という印象がありますが、2001年といいますから、もう7年前なんですね。(どおりで学生の誰も見てないわけですね。彼らは小学生だったわけだから!)

監督のジャン= ピエール・ジュネは、『エイリアン』シリーズ最低と言われる『エイリアン4』の監督です。というわけで、CGには強いんですね。フツーはCGなど使いそうにない『アメリ』のような作品でも、随所でその技術を生かしています。

学生の一人が言いました、これ「童話」みたい。……そう、全体の雰囲気といい、どこか現実離れしたストーリーといい、たしかに「童話」みたいですね。

CGが面白かった。……はい、きました。そう、面白いんです。ときめいてとろける「表現」として、アメリが水になって流れ落ちる場面、これは有名ですが、たしかに上手な映画的「表現」になっているとおもいました。ニノ(マチュー・カソヴィッツ)が、見知らぬ男の「スピード写真」と語り合う場面、これは小説ならモノローグになるところでしょう。いわゆる「内的葛藤」が、奇妙な味わいのやりとりに置換され、なるほどなあ、という感じでした。

ニノがポルノ・ショップで働いているという設定が、日本ではムリそう。……まさに。これはまず、文化的タブーの問題なんでしょう。たとえば少年マンガなどでは、濃厚なラブ・シーンはタブーです。同様に、「童話」にポルノ・ショップはうまくない気がしますが、そこはフランス。だって実際はあるでしょ! という感じで、いわば堂々と描いています。(ま、仮りに描かなくても、実際は在るわけですけどね。)

特に前半、ストーリーがない。……たしかに前半は、小さなエピソードをつないでゆく感じで、表立ったストーリーは見えにくいかも。ただ見終わって思うのは、もしこの映画が、「自分」に閉じこもっていたアメリが、世界との関係を回復する物語だとするなら、一見無造作に見える前半部分も、アメリの内的変化という「ストーリー」はあります、多分。

ん? 待てよ、この「ストーリー」の感じ、最近見たような…… おお、なんと『優雅なハリネズミ』に近いかも! しかも両方とも大ヒット作だし、細かな配慮は行き届いているし…… もしかしたらフランスでは、殻を壊して生まれ変わるお話は、人気があるのかも。

というようなことを、みんなでたらたら話しました。でもとりあえずは、楽しかったです!

チーム『ハート』再会


今日は夜、渋谷で飲み会があり、さっき帰宅しました。名目は、『ハートでビビッと』の打ち上げです。(ま、なんでもいいんですけどね。)メンバーは、NHK出版から編集長、テキストでもさんざんお世話になったA子さん、最近語学編集部に移ってこられたミサちゃんの3人、それからレナさん、『ハート』のブックデザインをしてくれたヒデちゃん、わたし、の計6人です。

なんだかんだ色々話しましたが、仕事の提案もいただき、ありがたい限りです。また、NHK出版宛に送られてきた手紙や葉書を、まとめて今日渡されました。その数約30通。中には、4月にお叱りの葉書(「もっと正統的な授業を!」)をくださった方が、やはりこの講座はこれでよい、前言は撤回する、とのお言葉も。千葉のS.H.さんはじめ、たくさんの方、どうもありがとうございました。やっぱり、最後まで楽しく続けられました! と言っていただけると、わたしも講座をやってよかったな~と思います。とはいえ、こちらにしてみれば、聞いてくださる方がいるからやりがいもあるので、実は C'est nous qui devons dire MERCI.( ありがとうと言わなければならないのは、わたしたちです。)

去年ラジオの仕事に実際に着手したのは、忘れもしない8月7日でした。まずはスキットを作り、徐々に解説も…… と進めたわけですが、ということは…… もうどこかで、来年の準備が始まっているはずですね。どんな先生が、どんな講座をお作りになるんでしょう? 楽しみです。

レナさんは、相変わらず元気でした。(ほんとに、相変わらず!)そのへんは、また明日!