2008年6月29日日曜日

アマドゥー&ミリアム


東京は、今日は1日雨降りでしたが、いかがお過ごしでしたでしょうか? こちらは、いつもの休日通り、ちまちまと仕事をしていました。(←さえない!)

そうそう、仕事で思い出しましたが、先週の木曜日、夜の11時過ぎだったでしょうか、いつも朝8:30に出社する例の美人ディレクター・アヤちゃんのところへ、チェック用の資料を送りました。まあ、翌日の昼頃にでも返信があるかなあ……。と思っていたら、すぐに帰ってきました。

「まだ会社におります……」

ふと時計を見ると、o:27。アヤちゃんとNHKは、なかむつまじい、片時も離れることのない、永遠の夫婦です!(本人はまだ、その事実を受け入れていません!)ただそのアヤちゃんも、この週末は「久しぶりに」休めるそう。ゆっくりできたでしょうか?(多分できてないでしょう!)

                   ◇

さて、ここを読んでくださってる方の中には、この4月からフランス語を始めた方も多いでしょう。(来週から、数字の聞き取りやります。練習練習!)で、そんなみなさんに、1つ紹介したいヴィデオがあります。(実は一昨日、同僚の管先生のブログで紹介されていて、わたしも初めて知りました。100%ウケウリ! でも最近、なぜかウケウリに抵抗感がないんですよね~。)

アマドゥーとマリアムは、マリ共和国の盲目のデュオ。すでにベスト盤も出ていて、わたしは知りませんでしたが、実は知られた存在なのかもしれません。ただここでは、マリで、フランス語で歌う魅力的なデュオを、とにかく、多くの方に紹介したいと思います。


ベッドでは、おまえのことだけ夢見てる
起きてるときは、おまえのことだけ考えてる

この曲、Je pense à toi. は、そう歌っています。

というわけでわたしも、世界が1つ広がりました!

                 ◇

さて明日は、2週間ぶりの放送収録です。これから準備します!(おそ!)

2008年6月28日土曜日

いま東京中の


今日は大学の仕事で、朝10時に中野サンプラザ前に集合しました。そのあと、もろもろで2時間ほどかかる予定だったのですが、意外に早く11:20には終了。で、そのあと新宿の紀伊国屋に向かったのですが、そのビルに入る直前、ふと目に入ったサクラヤwatch 館へ。というのも、愛用の swatch(オークションで3800円)が、どうも調子が悪いからです。swatch は好きなのだけれど、こういう時は、「修理不可」というswatch 最大の弱点が、露呈してしまうわけですね。

とりあえず、ブルガリやカルティエを横目で眺めた後、swatchのある6階へ。店員さんは男女1人ずつ。けれど今客はわたしだけ。そしてゆっくりと、やっぱりなかなか面白いのがあるなあ、などと思いつつそのあたりをぶらついていると、背後で、1つ、2つ、3つと、時計の鳴る音が。振り返ると、壁一面にかけられた時計が、順に鳴り始めているのです、12時を打つために。

わたしが何の気なしにそちらに近づいてゆくと、なんだかそれを待っていたかのように、今度は一斉に、そこら中の時計が鳴り始めたのです! 小さな6階のフロアーは、まるで1つのスピーカーになったよう。わたしと店員さんは、スピーカーの内部に閉じ込められているようです!

今は東京中が12時。

その時、「東京詩」ゼミでも取り上げた、この歌がよみがえりました。

 炎昼いま東京中の一時打つ      加藤楸邨

「炎昼(えんちゅう)」という季語は、1938年(昭和13年)に出た山口誓子の句集『炎昼』以来広まったものだそうです。そしてもちろんこの歌は、「真夏」の1時を指していて、今日のサクラヤは梅雨時の12時だけれど、「東京中」という想像の方向を与えてくれたのは、やっぱりこの歌だったろうと感じました。ただ今はここが12時だけれど、1分後には、2分後には……

で結局、swatch、買いました。夏物のアルミ時計。値段は、安いブルガリの20分の1くらい。でも、気に入りました。
*ダリの「溶ける時計」の絵、ご存知ですよね? ただ図像では、溶けているのは時計ではなく……

2008年6月27日金曜日

合同ゼミ楽しみ!


総合文化ゼミは、毎週火曜の午前にあるんですが、来週は、学期に1回の合同ゼミの予定です。そう、3つのゼミが、大きなメディア教室に集まって、まあお互いの発表会みたいなことをするわけです。でこれが、なかなか楽しそうなんです。

まずは、写真評論のトップランナー、倉石信乃先生率いる「写真ゼミ」。制作テーマが、去年の「スピード」から「うまく言えない」に変わり、さてどんな作品に仕上がっているのでしょう? (まったく、「うまく言えない」ことだらけ!)そしてもう1つは、若きピンチョン研究家波戸岡先生率いる「ドキュメンタリー・ゼミ」。今年のテーマは……、学食と、うどんそば専門の「麺どころ」では、どちらが先に食事にありつけるか? う~ん、たしかに重要なテーマです! 最後にわが「フランス映画ゼミ」は、ある映像に、それに対する学生のコメントを貼り付けたものを、「発表」することにしました。

しました、と書きましたが、実際に制作したのはわたしではなく、「ドキュメンタリー」の波戸岡先生が、今日の午後を費やして、作ってくださったのでした。(わたし? 横で見てました!)後期のこの時期には、なんとか自分で作れるようになりたいものです。いや、ほんとに。

それにしても…… 自分が学生だったとき、こんなゼミは考えられませんでした。これは大げさではぜんぜんなく、ちょっと学生に戻って、「写真ゼミ」や「ドキュメンタリー・ゼミ」に参加したいです。(波戸岡先生の英語の授業も楽しそう。だってテキストは、エミネムありマドンナあり映画「パルプフィクション」あり。わたしも学生時代、こういう英語をやりたかった!)

「フランス映画ゼミ」は、ほかの2つのゼミに比べると受動的です。そりゃあね、「見る」のが中心ですから。でももちろん、映画に対する態度によっては、とても積極的「見る」こともできるのでしょう。まあ、それはともかく、ゼミ生のみなさん、楽しみにしてください!(ゼミ生以外の学生のみなさん、火曜の2限、中央校舎のメディアホールです。よかったら見に来てください。)

2008年6月26日木曜日

惜しみなく!


こうやってブログなんてものにトライしてみると、ほんとに自分で考えたことって少ないよなあ、と思います。少ないっていうより、ほとんどないっていうか。どこで読んだのか、誰に聞いたのか、もう覚えていないた~くさんのこと。それを書いてるんですね、きっと。だからもしかしたら、それ、おれが教えてやったことだろ! と思う方がいらっしゃるかもしれません。当然です。でも、すみません、もうどれがどれだかわかりません!

「フランス語の先生」という仕事を、もうかなり長くやっていますが、もちろん、「フランス語がわかった」なんてとても言えません。ああそうだったのね、なんてことは、今でもよくあります。ま、それは日本語だってそうですものね。外国語なんだから、余計そうです。

(今ふと思い出しました。これは数年前、高橋啓さんという翻訳の方を交えて話しているとき、彼がつぶやくように言ったのです。
「翻訳した本が、そろそろ100冊になるんだけどさ……、このごろやっと、少しフランス語がわかってきた気がするんだよ」
高橋さんは、気取ってこんなことを言う人じゃないんです。)

大学で、「フランス語の先生」たちは、どんな話をするのか? もちろん、人によるのでしょうけど、わたしの周りでは、けっこう「フランス語」の話が出ました。正確に言うと、「フランス語のある項目の説明の方法」、という感じでしょうか。何通りかの説明を試みても、どうもうまく説明できていない気がするとき、そういう雑談の席にその話題を放るのです。

「いやあ、関係代名詞の dont 、どうやって説明してます?」

みんなで色んな方法を出し合うと、たいてい気づくこと、それは、そもそも自分がちゃんと分かってなかった! ということです。それじゃあ、ちゃんとした説明ができるわけないですよね?

大学で使う教科書類も、ずいぶん種類があるのですが、わたしは好きなので、けっこう細かく読みます。ああ、この先生はこの説明か、でもここは、あそこの伏線だってことを、もっと感じさせた方が後で楽かもなあ、ん、こんな分類もできるのかあ、お、これは新しい切り口だ、なるほどね~…… なんて。

というわけなので、このブログも、わたしが作った(ことになってる)いくつかのテキストも、考えてみれば、たくさんの仲間たち(たとえ直接は知らなくても)の「汗の結晶」なのです! もちろんわたしも、誰かに何かを振られたときは、知ってる限り全部提供してます。つまり、バトンを渡します。今回の「まいにち」では、だいぶレナさんから学びました。レナさんも、惜しみなく教えてくれるので!

というわけで、テキストはこうして作られる、をお届けいたしました!

2008年6月25日水曜日

半分と1週


「まいにちフランス語」は、今日で半分と1週が終わりました。いかがですか? ちょっと早いでしょうか? これは、はっきり言ってしまいますが、早いんです! でもなぜ?

今年の「まいにちフランス語」初級編は、全部で24週、72課あります。で、最後の1週では、「過去形」が登場する予定です。そう、半年も勉強するんです、現在形だけってもの、やっぱりねえ…… で、スキットを作るときは、そこから逆に必要な文法事項を並べていったので、これはどうしても、やや早いんです。ただし……

これはあくまで、月曜と火曜の話。水曜は復習だし、木~日は休みです! ですからどうでしょう、1週間分の文法事項を、月・火で一気に概観し、水から日で、テキストを読み直したり練習問題を解いたりして、その内容をソシャクするのだ、と考えては? そうだ、そうしましょう! よかったです、いい考えが見つかって♥
ちなみにこちらは、8月号のテキストの校正が終了しました。テキスト作り、なかなか手がかかるんですけど、今はそんなことより、終わりが近づいてきてさびしいです! 次の放送収録は、今度の月曜日です。今、その準備をしています。

                   ◇

話は変わって……

みなさんの中に、小説やら詩やら絵やら、いわゆる「アート」的なものが好きで、さらに、PCやらいろんなソフト(初音ミクとか!)やらいわゆる「ディジタル」的なものも好きだ、という方、いらっしゃいますよね? そんなあなたは、この4月に華々しいスタートを切った、「明治大学大学院・理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系」(なが!)をごぞんじでしょうか? この(通称)DC系が画期的なのは、どこの学部からでも進める、という点です。そうです、「理工学研究科」ではあっても、たとえば文学部からでももちろんOKな大学院なのです。

このDC系の、学校説明会が、近々開かれます。あくまで説明会ですから、ちょこっとでも興味があったら、覗いてみると楽しいと思います。現役バリバリバリの魅力的なスタッフと話すだけでも、DC的なあなたなら、きっといい刺激になるはずです。お気軽にどうぞ!

それにしても…… 「文学」も、古い「文学」に閉じこもってばかりいては、縮こまるばかりなのでしょう。DC系は、その「  」を打ち破る、1つの方法なんだと思います。あとン十年若ければなあ…… とはいえわたしも、なんとか「下り」ずに、「現在」にしがみついていきたいと思っています!

                    ◇

明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系(略称DC系)
進学説明会のお知らせ
日時:7月2日(水)16:30〜17:50
場所:明治大学駿河台キャンパス、リバティタワー9階1093教室
内容:DC系の専任教員(宮下芳明、管啓次郎、倉石信乃)がそれぞれ15分くらい話したあと、個別の相談に乗りたいと思います。
この説明会はちょうど第1期入試の出願期間(7月4日〜10日)直前に行われます。この機会にぜひお気軽にご参加下さい。ちなみに第1期入試は8月1日(金)。DC系では学部時代の専攻は問いません。新しい何かを始めたい皆さんのチャレンジを待っています。

2008年6月24日火曜日

傘はいらない?


なんだかつい、「東京詩」ゼミのことを書いてしまいますが、まあ、それだけイレコンデルんだろうと、自分でも思います。そもそも詩を読むのが楽しい上に、学生たちが、わたしの知らないJ-popを運んできてくれるので、ほんとに1粒で2度おいしい授業です。(ただこの授業、後期は開講しないんです。なぜ? 希望者が0だから! ほんとに残念……)

で、ここしばらく考えていたのは、詩なり曲なりの、いい面を見つけ出す(まあそれをず~っとやってきたので)ではなく、批判すべき点をきっちり批判する作法も、多少とも身に付けて欲しいなあ、ということでした。と思ったら、今日の授業で、ちょうどいい(?)素材が登場しました。

今日はいつもにこやかな女子学生の発表の日でした。彼女は4曲のJ-popを用意してくれ、そのうちの1曲、星村麻衣のGet happy は、「東京」に住んでいると思える若い女の子の日常風景を歌い、他の学生の共感も多くありました。


ただ中に1曲、わたしに言わせれば、これはだめだぜ、という曲がありました。まあ批判なので、具体的に曲名はあげませんけど。そこで使われている言葉は、「笑顔が素敵」、「信じることの意味を知ったから」「わたしらしく」…… まあ、申し訳ないけれど、リアリティーのない、どこかで聞いたような言葉をパッチワークしただけの、歌詞だと思います。

「どう、でももし」とわたしは女子学生たちに尋ねました。「彼氏になりかけの男の子とデートしてる最中にね、、偶然喫茶店で流れてきた曲に対して、その子が、今わたしがしたみたいな批判をし始めたら、どう、引くでしょ?」
「どんびきですよ」

Je le savais ! 知っていました! こういう批判て、一般に女子には受けないようです。でも続けましょう!

むか~しむかし、こんな歌がありました。そのタイトルは「世界は2人のために」。これ、本気で言ってるんでしょうか? 「世界は2人のために」ですよ? 

「そんなこと、イチイチ言わなくてもいいのに、って言うんでしょう?」
「そうで~す」

でも続けましょう! これは前にもちょっとだけ触れましたが、こんな歌もありました。ぼくは君に会いにいかなくちゃならない。でも行かれないんだ、なぜなら「傘がない」から。これ、マジなんでしょうか? いや、これはきっとマジだと思います。でもわたしは思うんです、いいじゃん、濡れたって。濡れていけばいいじゃん! と。

もちろん、批判するのって難しいですね。(Désolé ! すみません。ブログ向きの話題でもないかもしれません。)でも、そこは大学生、そういう目ももって欲しいのです。ガンバレ、ワカゾー!

2008年6月23日月曜日

住むなら……


東京大田区に、池上本門寺というお寺があるのですが、わたしが通った保育園は、その本門寺がある山(?)の麓にあります。麓と言っても、家とは反対側だったため、毎日のように長い石段を登り降りしたものです。

その後中学生の頃、「志村」がその名を全国に広めた東村山に引っ越しました。多摩湖という人造湖と、大きな遊園地が徒歩圏にあり、最初はその「田園」風景に、子供ながら戸惑いました。で、我が家の最寄駅は「西武園」という駅でしたが、実はこの駅は、西武新宿線東村山駅から1駅、オマケのように伸びた単線で結ばれています。1駅で、終点なのです。

そして今住んでいるところには、3年ほど前に移ってきました。で、引っ越した後しばらくして初めて気づいたのは、今いるここが、ロケーション的に、あの「西武園」駅ととても似ているということでした。1駅だけ突き出た終点、都心からの距離、その「田園」具合…… これに気づいたときは、驚いたというより、なんだか自分の無意識にだまされたような気分でした。

さて、どうしてこんな話? かというと…… さっき、明日のゼミの予習関連で、吉本隆明のある対談を読みました。吉本隆明は、今の学生たちにとって有名とは言えないかもしれませんが、わたしの学生時代は、まだまだカリスマ的存在でした。文学部の学生にとって、『言語にとって美とは何か』というタイトル自体、もう読まないわけにはいかない、と思われたものです。(たまたまわたしの両親は「吉本さん」の知り合いでした。だから家庭内で「吉本さん」の名前は何度となく耳にしましたが、会ったことのないわたしとしては、やはり「言葉」の向こう側にいる書き手でした。)

その「吉本さん」は、やはりわたしのような「蛍光灯(後になって気づく人、を指す常套句。最近使いませんねえ。)」とはモノがちがい、住まいを選ぶときも、慎重に、かつて自分が育った地区と似た場所を選んでいたそうです。そして彼の言う「似た場所」というのは、ちょっと抽象的なんですけど、「下町」と「都会」の境界地域、ということでした。2つの価値を、自由に行き来するというか、並行させるというか…… 

う~ん、近くに自家製パン屋さんがある、なんていう理由で引っ越したわたしとしては、コメントできる立場にはございません! みなさんの家選びは、どんなものだったんでしょう? 次引っ越すとしたら、どこにしましょう?

2008年6月22日日曜日

仏検、お疲れ!


今日は「仏検」の試験日でした。受験なさった方、雨の中お疲れ様でした。結果はどうだったでしょうねえ。それは合格するに越したことはないけれど、やはりプロセスをgoûter するのが大事ですよね? まあとにかく、お疲れ様でした!


仏検用の参考書類はたくさん出ています。わたしのお勧め、ですか? それはもちろん、「フラ語シリーズ」です! ただそれ以外で、仏検に特化したものの中でというなら、三修社から出ている「楽勝!仏検○級合格講座」でしょうか。タイトルはともかく、内容は充実しています。著者の2人は、仏検のことを徹底的に調べ、「今の」仏検にぴったりなものを目指したようです。


参考書は、あれこれ浮気するな、と言います。でも、参考書って、安いと思います。(というか、本は安いと思います。)あれこれやってみるのも、わたしは楽しいと思います。


わたしも、そろそろ次の(フランス語関係の)本のことを考えています。内容は……、特に聞きたくないですか? でも、その内書いちゃいます!

街の伊達男~東京詩ゼミ


彼等は大都会の下町にすんでいる

親達はもう彼等に干渉せぬ

彼等は独特の暮しを持ってゐるから

彼等は街の出来事を何でも知ってをり

特に酒場や

女のことにくはしい

街のこみいった路次を

自分の家の狭い庭のように歩く

(……)

美しい後家や

蓮っ葉な手に負へぬ娘など

みな彼らと親しい友達だ

(……)

彼等は未来を放棄したのである

(……)

彼等は自分を街の暮しの中に

投げ出した


この耕治人の詩(「街の伊達男」)が書かれたのは、もう70年以上前です。でも、もちろん今も、こんな暮しを暮らしている男たちはいるのでしょう。たとえば若きホストたち、縁日に屋台を並べる香具師たち、あるいは場外馬券売り場で、あるいは街角の立ち飲み屋で、あるいはセンター街で、今日だけを生きる男たち。どう、でもちょっとくらい、そんな人生も生きてみたいでしょ?

「え……、はい」
君は? 
「やってみたい、かな」
金髪の、キレイなお姉さんと、2人で焼きそばの屋台を出すんだよ、お祭りなんかには。どう?
「やりたいです」
じゃあ、女子のみなさんはどう? そんな、たくましい体の、一本気な男と焼きそばの屋台をやっていくっていうのは?
「やってみたい! すごく!」
君は?
「楽しそう!」
仕事が終わったら、倒れるまで遊んで。
「ぜったいイイ!」


もちろん、こう答える彼らは、実験や製図に追われる優秀な学生たちなのです。わたしも彼ら自身も、彼らが実際にそうしないことはよく分かっています。それでも彼ら、理工学部なのに「詩」のゼミを選んでしまう彼らは、いわゆる「無頼(ぶらい)」を、可能性として生きてみることのできる学生たちです。そしてその可能性としての生を、なるべく多く経験してもらうことも、この「<東京>詩」ゼミの意図の1つでした。

それにしても、「街の伊達男」たちに、東京はどう見えているのでしょう?

2008年6月21日土曜日

六本木の夜は更けて


近代詩に現れた<東京>のゼミでは、色々な作品を読むことは当然として、それ以外に2つ、学生自身が詩を書くことと、もう1つ、<東京>が現れていると思うものを見つけてきて発表すること、がノルマになっています。以前のこのブログでも、Bump of chiken についての発表のことに触れましたね。

あれ以来、ヴィジュアル系やらなにやら、いくつかのバンドが授業に登場しましたが、その中に、あのDJ.Ozma がいました。「あの」というのは、もちろんあの紅白での一件のことを指しています。(ものすごく隅っこではありますが、NHKからみの仕事をしている今、あの紅白事件が、内部的にどれほど騒ぎになったか想像できる気がします。)ま、それはともかく。

Ozma の歌のイメージは、たとえば、派手なお姉さまたちを乗せて派手なクルマを飛ばし、もちろんカーステレオは大音量。「ギロッポン」のクラブに乗り付けて盛り上がろうぜ! という感じです。まあ、元気な都会のワカモノが飛ばしてるなあ、という感想だったのですが、Oさんの発表によると、どうやらあれは、ある種の「応援歌」らしいのです。でも一体誰を応援する? それはもちろん、リスナー全員を。あるいは、応援されたいすべての人を、ということになるのでしょうか。ストレートに「がんばれよ」と言うのは照れくさい。一つの「飛ばしてる」キャラを生きて見せること、それそのものが1つの「応援歌」なのだ……

さて、今日の夜、まさにその六本木はヒルズ近くの中華料理屋で、40人程度の(大学関係の)懇親会がありました。で実は、日本語表現の先生や、TAの方々と話しているときに、今のOzmaのことを話題にしてみました。場所が六本木だという気持ちもありました。すると、事務担当の女性の1人が、顔を輝かせて言いました。

「わかりますよ。50過ぎのオバサンにもわかります。あれは『応援歌』ですよ」

とすると、もしかしてわかってなかったのはわたしだけだったのでしょうか? Oさん、あなたの見方の味方と、今夜会いましたよ! 

日本特集


おはようございます。今日は土曜日。みなさんどんなご予定でしょう? こちらは夕方から、大学関係の集まり(宴会?)が「ギロッポン」であります。それまでにアレを片付けて、行き帰りの電車でアレとアレが済ませられれば理想です!(←ムリ)

さて、先日このブログでも、「仏仏辞典」と「歌」のサイトをご紹介しました。あれは比較的マイナーなものでしたが、今日はよく知られた France 2 をご紹介します。なぜこんな有名どころを? それは、そこにある「日本特集」ゆえです。

これはフツーの番組で、しかもかなり長いので、「入門」の方には難しいですが、飛ばし飛ばしに画面を眺めるだけでも、どんな切り口なのかはほぼ想像できそうです。お時間があったら、覗いてみてください。

番組は、右上の画面で自動的に始まります。(本編は50秒後くらいから。)では、スタート!

2008年6月20日金曜日

フランス映画ゼミ・2


フランス映画ゼミ、です。6月3日に、『パリの確率』を半分見たところまでご紹介しました。でその後、ぶじ最後まで見終わったのですが、この映画の学生の感想は、「イマイチ」という感じでした。う~ん、わたしはそれなりに面白いと思うんですが。

ある学生のレポートでも比較されていたんですが、この『パリの確率』は、たしかに『Back to the future・1』を思い出させます。過去の世界にいる自分の親に、ちゃんと自分を生んで! と、未来から呼びかけるというのは、まあ同じようなシチュエーションだといえるでしょう。ただ、主人公の属している世界が、一方は未来側、一方は過去側という、違いはありますが。わたしは、十分見るに値する作品だと思います。

で今週見たのは、『憎しみ』です。これは、郊外に暮らす荒れた若者の話、といってしまえばそれまでですが、白黒の画面に、彼らの焦りが、もがきが、息苦しさが、閉じ込められているように感じられます。ゼミの趣旨の1つに、映画を通してフランスの現在を知る、ということも含まれるので、この映画は外せないところです。(実際には、1995年の作品ですが。)だからこの映画については、学生の評判は関係なく、見るべきものとして見せたのですが……

学生のレポートに書かれていることを、そのまま鵜呑みにするほどナイーブではないけれど、それを差し引いても、学生たちはわりと真剣に、この映画を見てくれたようです。最近の日本でのさまざまな事件と関連づけたりしながら、映画の中の「憎しみ」を感じているようでした。学生たちがどう思おうと見せるのだ、と力むことはなかったのかもしれません。まともな、理工学部の学生とはいえ、彼らだって「若者」であるには違いない、ということなのでしょう。

ただ、今ではスターになったVincent Cassel (写真)のことは誰も知らなかったので、ここは時間もないけれど、彼がまったく違う味を出している別の作品も見せたほうがいいかなあ、という気もしてきました。まだまだ見せたいものはあるのに、授業はあと4回! ああ、どれ見せよう??

2008年6月19日木曜日

テレビにレナさんが


昨日の夜の「テレビでフランス語」、ご覧になりました? わたしは、堅焼きポテトチップ&缶チューハイ(シークワーサー)をやりながら見ていました。そうか、suite はそういうイメージで発音するのか、こんど授業で使おう! などと考えながら。(再放送は、土曜の朝6時。予約セット!)

すると番組の途中、突然レナさんが登場しました! まあ、時間にして10秒もないくらいでしたが、ラジオのテキストで写真をご覧になっていれば、すぐに分かるでしょう。で、そのときのレナさんの背景を見て、思い出しました、しばらく前の放送収録の日、例のNHKと結婚しているらしい(本人はあくまで否定!)美人ディレクター・アヤちゃんが、収録終了直前にスタジオに顔を見せた時のことを。そして収録が終わったあと、昨日放送された短い場面を撮影していたことを。(今日の写真も、実は今週の月曜日に、同じスタジオで撮ったものです。だから、背景の緑がテレビと同じなんです。)

「テレビでフランス語」は、放送が週1回。だから進度的には、「まいにちフランス語」よりゆっくりです。でもそこはテレビ、「映像」という強い見方があります。(情報の80%は目から入る、と言います。)あんまり肩肘はらず、楽~な感じご覧になると、「まいにち」も一層楽しめるというものです。なんだかNHKの回し者みたいになってますが、どうぞテレビのほうも楽しんでくださいませ!

2008年6月18日水曜日

7月号 発売


なんだか実際には、もう2,3日前から店頭に並んでいる本屋さんもあるようですが、一応今日が、公式の「7月号」発売日です。お願いして、このブログのアドレスを載せていただいたので、今日、初訪問してくださる方もいらっしゃるかもしれません。(Enchanté!)今日の発売日に合わせて、このブログを始めることも考えたのですが、まあ今日の時点で、少しくらいストックがあったほうがいいかな、ということで、先月から「先行オープン」しています。大学でのアレコレも書いていますが、CDや放送の収録風景なども報告してあります。もちろん「つまみ食い」歓迎です。少しでも楽しんで頂けたらと思っています。

というわけで、「7月号」発売に合わせて、再度のご挨拶、申し上げます! 4649!

2008年6月17日火曜日

「笑い」って


以前にも書きましたが、わたしは「お笑い番組」好きです。そういえば、すでに引退なさった知り合いの老教授にも、同好の士がいました。彼がテレビを見ていると奥様が、「どうしてそんなくだらないもの見てるの?」と言うんだそうです。彼はわたしに、力をこめて言ったものです、「くだらないから見てるんだよ! そうでしょ?」 はい、おっしゃる通りです!

ところで、たとえば「ボケ」とか「ツッコミ」とか、さらには「ノリツッコミ」とか、これはフランス語でなんと言うのでしょうか? 昨日、センター街を抜けてNHKへ向かう道すがら、レナさんに訊いてみました。

「う~ん……」とレナさんは考えこみました。「ていうか、『ボケ』ってもの自体、存在してませんよね、フランスには。そういう概念そのものがないなあ」
そりゃ、概念さえないなら、それに対応する語はないでしょうね。じゃあ、漫才はないの?
「1人でやってる人が多いかなあ。Jeu de mots. 言葉遊びのセンスは重要ですよね。それから、モノマネも好きですよ」
「でも、どうせサルコジとか、ロワイアルとかのマネだったりするんでしょ?」
「たしかに、政治関係のネタは多いけど、フツーの生活の話ももちろん多いですよ。昨日飲みに行ってさあ、とか」
それはレナさんでしょ? 
「あとね、日本に来たフランスの友達がよく言うのは、なんであんなに頭たたいたりするの? ってことと、なんであんなピラピラの衣装着てるの、ってことなんです」
もしかして、幼稚だと?
「まあ、そういう面も……」たしかに否定できませんね。日本は全体的に、幼稚といえば幼稚なところがありますね(って人のことはとても言えません!)
「でもそれは、日本が、なんていうか、安全だからってことでもありますよね。フランスで生きるのは、戦いですから」
「戦いなの?」
「戦いです。もちろん、だからこそ、知的に鍛えられるって面もありますけど」
「ブラック・ジョークはどう? 日本よりは好きだよね?」
「でも、イギリス人ほどは好きじゃないかも」
なるほど。
「そうそう、北野武監督、いるでしょ? 彼、フランスでもとっても有名なんです、映画監督として。でね、やっぱり日本でテレビ見たわたしの友達が、びっくりするんですよ、あのタケシが、なんでこんなオバカなかっこして、へんなトンカチ振り回してるのって!」
ああ、そうでしょうねえ……。そういえば先日の「リンカーン」で、小島よしおの新居に芸人仲間が押しかける、という企画を放送していました。もちろんそれぞれの芸人は、電話のコードを引っ張ったり、新品の電化製品をおもちゃにしてみたりと、いたずらし放題。でも、そうした大騒ぎの中、ふとカメラが真新しい部屋の隅を写すと、なんとそこには、ウ○コをしようオシリを出している松本ヒトシの姿が! 
マッチャン(と呼んでしまいましょう)は、今や現代日本の笑いの第1人者(?)であり、M1の審査員であるわけです。もう、ちょっとコムズカシイことでもつぶやいて、あとは若手をいじっていてもいいのです。けれどもそのマッチャンが、こともあろうに、部屋の隅で……

「でもレナさん、日本にはね、その場で1番バカになることをよしとする美学があるの」
「美学?」
「美学。吉本ばななさんが、以前エッセイで、『父親の教え』について書いてたんだけど」
「なんなんですか?」
「酒飲みに行ったら、必ず、おまえが1番バカになれ」
この、吉本(父)さんの教えが、そのままマッチャンのスタイルを説明するとまでは言わないけれど、どうでしょう、あのときのマッチャンのオシリを見た人たちは、そういう形で、吉本的「美学」を刷り込まれている気がします。

「なるほどね~。でも、それをフランス人の友達に、どう理解してもらえばいいかなあ……」

さあ、それは分かりません! それにそろそろ、窓が極端に少ないNHKの建物が見えてきました……
                                               *写真は、『エリゼ宮のプチ・ニコラ』。フランスには、小学生のニコラ君を主人公にした可愛い小説シリーズ『プチ・ニコラ』があるのですが、これはその、ニコラ・サルコジ版!(かなりふざけてます!)

2008年6月16日月曜日

収録日には「にぎりセット」を


先週のCD収録に続いて、今日は本放送の収録でした。場所は、5月26日の収録(当日のブログ参照)と同じ、NHKのスタジオ。時間もやっぱり1時から5時まで。(このスタジオを使って、6時からFMの生放送があるとかで、1分たりとも延長は許されない雰囲気です。)

今日は、色々連絡事項などがあり、いつものシゲピョン以外にも、何人かお偉方たちがいらっしゃいました。(でももちろん、誰1人えらぶったりはしませんけど。)新しいスタッフの1人には、もと「英語でしゃべらナイト」担当の方もいらして、ああやはりここはNHKなのね~、という感じがします。

余談ですけど、NHKの食堂にいると、食事中の「腰元」たちを見かけることもあります。日本髪、着物、そしてB定食(ほんとに?)。着物を汚さないためでしょうか、襟元にはタオル様の布もかけています。残念ながら、まだ「篤姫」には、オメモジ叶いませんけど。

余談ですけど(パートⅡ)、食堂でのわたしのお気に入りは、「にぎりセット」です。(残念ながら、「特選にぎりセット」には手が届きません!)長い長いカウンターの一角に「すしコーナー」があり、そこで職人さんがにぎってくれるのです。社員食堂にしては、珍しいですよね?(ちなみにレナさんの定番は、「ちらし」です。)

さて収録です。今日は、以前ここでお伝えした、レナさんによる「歌」のコーナーが含まれる日の分も、収録しました。(放送前なので、あまり詳しいことは言っちゃいけないんだそうです。)ま、要するに、かわいいです! まったくこの講座は、レナさんなしではありえません!

そういえばレナさんは、昨日もある飲み屋(さすがです!)で、サインを求められたそうです。う~ん、これは「ポスト・モレシャン」も、あながち夢じゃないかも!?

なんだか、(睡眠不足で!)とりとめなくてすみません。明日は、今日レナさんと話した、日仏の「笑い」比較をご報告しますね。ではまた明日! 

2008年6月15日日曜日

ジャンキー


というわけで、やはり今日は1歩も外へ出ず、まじめに仕事をしていました(エライ!)。でも日曜日だといっても、働いている人はけっこういるものですね。NHK関係のみなさんは「仕事に鬼」が多いのですが、「まいにちフランス語」の美人ディレクターであるアヤちゃんも、まさにそんな1人。今日も昼過ぎに、金曜にお願いしたチェックの結果を送ってくれました。(昨日は1日別件で外!)う~ん、彼女がNHKと結婚しているという噂は、本当なのでしょうか?(本人は強く否定!)

さて、今日は「父の日」でした。
ここ数日、色々な場所で「父の日」の文字を目にするうち、今日のブログに書こう、と思っていた本があります。タイトルは、『ジャンキー』(写真)です。

サンフランシスコ生まれの作家、グレッグ・ルッカによる、ボディー・ガード「アティカス」シリーズ。これはまだ4作だけですが、わたしの好きなシリーズの1つです。そしてその主人公アティカスの恋人が、ブリジッド。『ジャンキー』は、その私立探偵ブリジットをヒロインにした、「アティカス」シリーズの番外編です。今まで何人ものヒロインと出会いましたが、その中でもブリジッドは、強く記憶に残る女性の1人です。

ブリジッドは、警官である父親に憧れていました。2人は、毎週のようにトレーニングを続けました。毎週、毎週…… 
けれどそんな幸福な時間は、やがて終わりを迎えます。酒と麻薬に溺れたブリジッドは、家出してしまったのです。そして、なんとか父親が娘を見つけ出したとき、彼女はもう廃人同様でした。母親は、その腕のおびただしい注射跡を見て、泣き崩れます。
1週間後、雪の降る中、父親は娘を立ち直らせたい一心で、いつものトレーニングの場所に連れ出します。けれども、ジャンキーに成り果てたブリジッドには、もう父親のミット目がけて打ち込む力はありません。父親に突き飛ばされても、ブリジッドは、雪に濡れた地面から立ち上がれません。
「父さん、できないよ。ごめん、できないんだ……」
まだまだ先があるのですが、ああ、もうこれ以上紹介できません。ちょっと鼻かんできます……

なんだか、めでたい「父の日」にこんな話ですみません。でもご安心ください、29歳になったブリジッドはたくましく、美しい、「いい女」です。本編のシリーズを読んでいなくても、この『ジャンキー』だけで十分読めます。はなはだ簡単ではございますが、これで「父の日」のブログとさせていただきます。

                  ☆


さて、明日は「まいにち」の収録です。またまた、レナさんとシゲピョンの漫談(!)爆発でしょうか? また明日ご報告しますね。では今週も、元気にまいりましょう!

休日は仕事


Bonjour ! ここ何日か、梅雨の晴れ間で爽やかですね。今日は日曜だし、これからお出かけでしょうか? こちらは今日は…… 明日の放送収録の準備です。おそらく、家から一歩も出ないでしょう(涙) もしかして今日もお仕事のあなた、一緒にがんばりましょう! ではまた夜に!

2008年6月14日土曜日

I want to rock !


大学の中を歩いていると、どこの部屋からかは分からないけれど、明らかに「現代ロック小僧」たちのシャウト(!)が聞こえることがあります。ついこの前聞こえてきたのは、なんと、あのSunshine of your love でした。

つい「あの」なんて付けてしまいましたが、どうかなあ、今の大学生で、これを知っているのは少数派でしょう。洋楽は、意外に大学生に人気がないし、そもそもこれは、いかにクラプトンのいたCream の名曲だと言っても、もう40年(!)も前の曲なんですから。ただそれでも、やっぱりこの Sunshine of your love には、「あの」を付けたくなるんです、元ロック小僧としては!

バンドもどきを結成したことのある人なら、誰でも知っていることですが、実はそうした素人バンドにとって、避けては通れない曲というものがあります。どのバンドも、その成長(?)の過程で、必ずチャレンジする曲。「ロック」系の場合なら、それはかつて、Smoke on the water であり、Stairway to Heaven であり、そしてこのSunshine of your love だったのです。(思い当たる方、いらっしゃいますよね?)

どこかの教室から聞こえてくるその演奏は、それなりに熱のこもったものでした。そしてここで、「それを聞くと、なにかタイム・スリップでもしたような気がしました」とまとめることも、できなくはないのですが……

わたしはあまり、「なつかしさ」に惹かれません。「あの頃聞いた曲」のCDを買うことも、ほとんどありません。それなら、「今」の音楽が聞きたいな~、と思います。だからたとえば、Madonnaは好きです。なんといっても、現役バリバリ。過去のヒット曲を歌って世界を回るだけで、何億円も稼げるのに、彼女はそんなことに見向きもしません。「今」と向き合っています。

こうなったら最後は、ランボーの引用で終わりましょうか。『フラ語ボキャブラ』という本の中でも、「座右の銘」候補としてお勧めしたものです;

Il faut être absolument moderne. 絶対に現代的でなければならない。

いいでしょ?

2008年6月13日金曜日

生まれ変わる!


完全に趣味の領域だけれど、音楽も好きです。それなりに色んな音楽を聴いてきた中で、この数年は、ボサノヴァもよく聴きます。(「まいにちフランス語」のエンディングは、ごぞんじ、ワン・ノート・サンバ。演奏も、ジョビンのものです。)ただボサノヴァというのは、次々に新作が出るというジャンルではないので、そこがちょっとさびしいところ。そんな中、2006年に出た「Timeless」は、素晴らしかった! セルジオ・メンデスとウィル・アイ・アムという組み合わせ自体、強烈に魅力的でした。

なんだか、言わずもがなの気もしますが…… セルジオ・メンデスはボサノヴァ(の枠をはみ出してゆく)大物。数あるヒット曲の中でも、あえて1曲というなら、やはりMas Que Nada(マシュ・ケ・ナダ)でしょうか?


Mas Que Nada は、more than nothing (plus que rien)。「無より多い」? 管さんに教えを乞うたところ、「比べるものがないくらい(すごい)」ということでした。

そしてもう1人、個人的には、今最もノッテいるミュージシャンの1人だと信じているウィル・アイ・アム。彼はもちろん、ブラック・アイド・ピーズ(通称BEP)のリーダーですね。(紅1点はファーギー。「まいにち」のオープニングは、彼女の「パラダイス」です。)2005年の「モンキー・ビジネス」は、擦り切れるほど聴きました。(あんなに聴いたのは、ビヨンセのDangerously In Love 以来です。)で、そんなウィルとセルジオ・メンデスの出会いで、Mas Que Nada は新たな命を吹き込まれました。


やっぱりモトがいいと、ほんとうにいい生まれ変わり方ができるものなんですね。そういえばパリのオルセ美術館も、もと「駅舎」だったわけですが、「うまく生き返らせたものだ」と、安藤忠雄氏がテレビで話していました。

そして今、わたしの通勤時の「ヘビー・ローテーション」(って言い方、ちょっと気取っていて面白いですね。)は、セルメン&ウィル再び! 「モーニング・イン・リオ」(写真)です。このアルバムの1曲目は、名曲、The Look of love(「恋の面影」)。それを歌うのは、われらがファーギー! そりゃあ「ヘビロテ」になるってもんです!

2008年6月12日木曜日

「三角関係」な一夜


昨日『こころ』のことを書きながら、一つ思い出したことがあります。

ストラスブール大学のイヴ・マリ・アリュー先生は、日本でも、中原中也の研究家として知られています。(ちなみに、「マリ」が入っていますが男性です。性別は、「イヴ」のところに現れます。オーストリア人のライナー・マリア・リルケも、男性ですね。)アリューさんは、かつて京都にいらした頃、何度かわたしの実家にいらっしゃいました。時には、奥様も一緒に。わたしの父親と、仕事の相談をしていたようです。

一昨年は、実は中也の生誕100年にあたり、それを記念したシンポジウムなどが開催されていました。で、それに合わせて来日したアリューさんと、一夜、食事をする機会がありました。その時一緒だったのは、フランス現代思想(ムズカシソ~)が専門のH先生と、日本王朝文学(ヤムゴトナシ!)が専門のY先生でした。わたしを含めた日本人3人は、同じ大学で授業をもっていました。

さてその夜、吉祥寺の佐渡料理の店で何を話したのか、もうあまり覚えていませんが、一つだけ、とても印象に残った話があります。中也は、(まあご存知の方も多いでしょうが)有名な三角関係に陥ったことがあります。で、話は「三角関係」の考察(!)に広がりました。

H「やっぱり、極めつけは『こころ』だよね。日本一知られた三角関係じゃない?」
Y「『源氏』にも、たくさん出てきますよね」
A「じゃあ日本は、昔から三角関係だらけだったんですね!」
K「フランスの、三角関係小説って言うと……?」
A「ないですよ。そもそも、三角関係、っていう言葉がない」
H「でも、浮気なんかいくらでもあるじゃない?」
A「浮気はね。でも、それは、あくまで浮気。男同士が親友なんてない」
Y「じゃあ結婚してなかったら? それは浮気じゃないでしょう?」
A「もちろん。それはね…… 経験、っていうんです! なんの契約もしてない2人なら」
Y「ええ? それでいいの? 2人はもめないの?」
A「もちろんもめます」
                                               う~ん、やっぱり三角関係って、恋愛に倫理を持ち込んで初めて可能になるものなのでしょうか? 

H「でも『源氏』の中では、三角関係、って言葉は」
Y「使われてないですよね。いつなんだろう、初めて使われたのは?」

その答えは、翌朝、Y先生からメールで送られてきました。「少なくとも江戸まではないみたい。明治以降で間違いないと思います。」ということは日本では、そう名づけられるはるか以前から、三角関係が生きられてきた、ということなんでしょうか? う~ん、そういう文化だったんですかねえ……

2008年6月11日水曜日

分析的にいこう!


いったん収録が始まると、だいたい1 時間くらいはブースの中にいることになります。といっても、その1 時間しゃべり詰めということは全然なくて、合間合間にレナさんとおしゃべりします。

「マミーってさあ、ちょっと『お母さん』ぽいけど……」
「『おばあちゃん』なんですよね。『お母さん』は、ママンだから」
「ママンね」
「そういえば、Camus のL'étranger の始まりのところ」
「ああ、『異邦人』ね」
「今日、ママンが死んだ…… そのまんま、ママンでしたね、翻訳も」
「日本ではチョー有名だけど、フランスでも読まれてる? 学校で読まされるとか?」
「読まされましたよ、高校のとき」
「やっぱり」
「レポート書きましたよ」
「もうしばらく前だけど、撃たれるのがアラブ系だってのが、問題になってたよね」
「ほんとに。物語的には、そんな必要ないですからねえ」

日本の高校で読ませる小説第1位といえば、これはいまだに『こころ』のようです。わたしも読まされました、数十年前に。でも、『こころ』を高校生に読ませることについて、むかし秋山駿氏がこう話していました;

「まだ経験も読書量も少ない子達に、あれを読ませるのはどうかな。あれを読まされると、恋愛=倫理的問題、って思いこんじゃうだよ。そういう恋愛の捉え方になっちゃう」

もちろんこれは、『こころ』の作品としても価値を問題にしているのではないんです。高校生にはどうか、ということです。まあ、「不倫」なんて言葉が成立する土壌作りには、案外こうした「課題図書」の選択も、関係あるのかもしれませんね。(こわいこわい!)

たとえばわたしは、『フランス家族事情』という新書を、レポートの課題にすることがあります。この本は、フランスの、雑に言えば「進歩的」なカップル、ないし家族のあり方を紹介していて、読ませます。ただ課題にするときは必ず、「批判ももちろん歓迎」と、釘を刺します。そうじゃないと、学生は無意識に、その「課題図書」を褒めようとするからです。それが「学校」のお約束だと誤解して。

学生のみなさん! どんなブックレポートでも、批判はOKなんです。ただ感情的にではなく、論理的に、分析的に批判してくださいね。待ってます!(写真は、『家族事情』の続編とも言うべき、『フランス父親事情』。)

2008年6月10日火曜日

マミー!


昨日の放送では、レナさんが「おばあちゃーん!」と呼びかける場面(?)がありましたね? レナさんには、日本とフランスに、1人ずつ「おばあちゃん」がいます。(「おばあちゃん」のことは、ここでは「マミー」と呼びましょう。)そういえば第1回目の放送の後、日本のマミーから、レナさんに電話があったそうです。

「レナの声がラジオから聞こえて、ほんとに……(あとは涙涙)」
「マミー、まだ始まったばかりだよ」
「あたしゃもう、死んでもいいだよ」
「Ne dis pas ça ! そんなこと言わないで! それにね、6月になったらマミーが出てくるから」
「そうなのかい? じゃあ、死ぬのはそれからにしようかねえ」

そして昨日、予告通り、放送中にレナさんは呼びかけました。おばあちゃ~ん!

「もしもし、レナ?」
「ああ、マミー!」
「聞いたよ。ありがとうね。でも、レナがラジオで『おばあちゃ~ん!』ていうから、つい、『は~い!』って返事しちゃったよ!」(可愛いマミー!)「あたしゃもう、いつ死んでもいいよ」
「だめだめ。また7月になったら、おばあちゃん登場するから」
「ほんとかい?」
「数字のところで」
「じゃあそれまではがんばろうかねえ」
「で、マミーは何歳だっけ?」

それは秘密です。だってそれが問題ですから! 

レナさんのフランスのマミーは、毎年アニスの飴ちゃんを送ってくれるそうです。(おすそ分けにあずかったこともあります。独特の味ですねえ。)わたしは実は、マミーに可愛がられた記憶がまったくないので、レナさんの話を聞いていると、ほんとに羨ましいです。

放送では、一応レナさんのマミーに呼びかける形になっていますが、もちろん、レナさんのマミーを通して、日本中のマミーたちに呼びかけてる気持ちでいます。どうぞ仲良くやっていきましょう。よろしくお願いします! おばあちゃ~ん!

2008年6月9日月曜日

CD収録~8月号


今日は、8月分のCDの収録日でした。12:30にレナさんとハチ公前で合流。放送の収録の時と違い、今日は渋谷駅近くのスタジオです。
                                               今日のメンバーは、このCDの担当者であるサッチャン、放送編集のシゲピョン、テキスト編集のA子さん、CDの責任者であるT女史、そしてわたしたち2人の、計6人です。(実際の収録が始まると、ミキサーのマッチャンも加わります。)
                                               まずはみんなで、今日の進行を確認。テキストとの齟齬はないか、この説明ではリスナーの方に不親切ではないのか、など、みんなが持ち寄ったことをここでぶつけあいます。そう、時にはこの段階で、一触即発になることも!(大げさだと思いますか? フフフ…… 本当なんです!)でもそれも、みなさんに喜んでもらえるCDを作りたいがためなので、まあ必要なことだと思います。
                                               でこれが終わると、次はお弁当タイム! サッチャンは、いつも色々考えて、変化に富んだお弁当を用意してくれます。ありがとうございます! やはり人間の「やる気」って、食べ物に左右されますよね?(それじゃだめ?)そういえば、前回のお弁当タイムでのこと、食べ終わる直前、お弁当をひっくり返した人がいました。可愛そうにその人は、
                                               「今日はひっくり返さないでよ!」
                                               と、みんなに言われていました。(わたしだけは言いませんでした。なぜでしょう?)
                                               14時。収録の開始です。8月分12課。これを74分に収めるには、1課あたり6分強で済ませなくてはなりません。しかも(細かいことを言えば)、練習問題の解答を言う時間もあるので、実際には、本放送の3分の1程度に圧縮せざるを得ないのです。まあ、わたしやレナさんとしては、放送をそのままCDにしてくれればなあ、という思いもあります。それでも完全な説明とは、もちろん言えませんが。
                                               今日、わたしが最も多く取り直しをさせられたのは、「今日はすごく暑いし、ええ天気やね」という、日本語訳を言うところでした。
                                               「ちがうゆ~てるやろ!」とシゲピョン。「アツイのアぁが強いねん。テンキのキぃと!」
                                               さいでっか! とは言いません。もう1回お願いします! というわけで、3回ほど取り直し、今度はうまくできたな、と思ったら、
                                               「おそっ! もっとはよ言わんと!」
                                               さよか! とも言いません。歯を食いしばって(!)、もう1度挑戦。やっと、
                                               「しゃ~ないなあ。勘弁しといたるわ」
                                               まいど! なんとかクリアーできました。一方、われらがレナさんが苦しんだのは、devoir という動詞の訳でした;
                                               「ナニナニ、ねばねばねば~?」
                                               そんなわけないでしょ! 納豆じゃないんだから! 「ねばならない」です。もう1度!
                                               「ナニナニねばアならない……」
                                               Never ? ちゃいます! もう1度…… でもレナさんの感心するところは、3,4回やれば、どんな日本語でも、必ず上手に言えちゃうところです。
                                               「でもね、放送の最初の頃のヤツは、できれば取り直したいくらい。周りのみんなから、なんでレナあんなに緊張してたの? って言われるんです」
                                               そうこうする内、休憩時間。またもや、サッチャンが用意してくれたお菓子をごちに。ここでは、酒豪A子さんがいつも持っているペットボトルの中身、あれはもしかして? という疑惑が浮上。「まさか! わたしはアル中じゃありません!」 う~ん、わざわざ言うところが……
                                               で、後半。これは珍しくスムーズに進行。ただし最後の63課では、残り時間が怪しくなってきました。そこで、「チッチッチ」というシンキング・タイムのジングルはカットすることに。でも、まったくないのもさびしいので、
                                               「じゃあ、口で言おうかな?」
「先生が?」
「そう。どうかな?」
「いいですね! 手作りっぽくて!」
                                               というわけで、そこはわたしが「チッチッチ」を務めさせていただきました!
                                               そうそう、じゃあ最後に1つだけ。今回の8月号のCDでは、初めて、レナさんの「ノリツッコミ」を聞くことができます。どうぞ、お楽しみに!(そこ、ポイントでしょうか……?)明日は、レナさんの可愛いおばあちゃんの話です!

2008年6月8日日曜日

それ和麺?


というわけで、今11時です。戻ってまいりました!


今風呂で1時間以上、約20枚のA4の紙を音読していたのですが、これをやると、まあ3回に1回は、紙をお湯に落とします。幸い今日は、無事でしたが。そんな時、この薄茶色の再生紙は、もうあっという間に水を吸い、インクはみるみるにじんでゆきます。(いや、でも強がりじゃなく、このにじみはけっこうキレイ!)


数日前のこと、中国語の林先生と2人で学食に行きました。12:40くらいだったので、もうだいぶ空いていました。で、受け取りカウンターに並んでいるとき、ふと彼女が言いました;


「和麺て言葉、初めて聞いたぁ!」
「和麺? ああ、そういえば」
「てことは、洋麺て概念もあるわけ?」


さあ、わたしは知りません! で、風呂で紙を落とす話に続いて、なぜ「和麺」かというと……


みなさん、「和紙」という言葉は、フツーにお使いになりますね? でも、「洋紙」は? 「西洋紙」は?


「洋紙」のほうは、今漢字変換できたし、多くはないけれど、聞かないでもないですね? ただ「西洋紙」のほうは…… でもこれ、実はわたしが小学生の頃は、フツーに家庭内で使っていた言葉です。父親の仕事柄、家には大量の原稿用紙があったのですが、ただ「紙」と言えば、むしろその原稿用紙のことで、真っ白くてツルツルのきれいな紙は、「西洋紙」と呼ばれていました。でもこんなこと思い出したのさえ、もう何十年ぶりかですけど。


その日わたしが食べたのは、和麺の中の和麺(でもないか?)、冷やしきつねそばでした。一方林さんは、坦々麺。でもそれって、和麺ではないけど、洋麺でもないような…… ああ、なんだかおなかがすいてきました。昨日買った、春雨麺食べようかなあ。(でそれは何麺……?)


では、読んでくださってありがとうございました。今週も元気にまいりましょう! とりあえず明日は、12:30に、レナさんとハチ公で待ち合わせです!

日曜のお昼は


引っ越すとしたら、近くにどんな店があって欲しいでしょう? いや、店なんか要らない、静かに流れる小川さえあれば! とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、やっぱりわたしは、いろいろお願いしたくなります。


まず、(妙にリアルですが)スーパーは欲しいですね。それから、「はなまるうどん」、もちろんスタバ、おいしい蕎麦屋さんもあるといいし、大きくなくていいから本屋さん、あと(自家製の)パン屋さん、最後にコンビニ、これくらいあれば十分、かな? 楽しい生活になりそうです!


で、現状はどうかというと…… 実は、上にあげた店の中で、徒歩10分以内にあるのは、なんとコンビニとパン屋さんだけ! 東京といっても、こんな地域もまだまだあります(涙)。


ただ、このパン屋さんは、そうとうに愛用させていただいてます。朝ごはん用のパンは基本この店で買うし、たとえば今日のような日曜の昼ご飯は、この店の「カレーパン」や「りんごのデニッシュ」にお世話になることが多いです。というわけで、今日のお昼も、そうでした!


「ちょっと、これあとで食べてみてね」
「ありがとうございます!」


2階でパン教室も開いている先生は、どうも相当に研究熱心らしく、しゅっちゅう「新作」をオマケでくれます。(もちろんそれも楽しみ!)季節限定の材料を使っているものもあるので、そのどれもがお店に並ぶわけではないんですけど。


そう言えば、最近同僚の先生に聞いたのですが、某大手メーカーのパンは、「1週間くらいじゃカビもしない!」というのです。う~ん、カビないパンてちょっと……


さて、話は変わって…… 今9時です。これから、明日のCD録音のための、1人リハーサルを開始します、お風呂で。これ、1時間くらいかかるんです。(まあ、全体では70分以上のものですからね。)これからの時間、みなさんはどんな風に過ごされるんでしょうねえ…… では、je reviendrai !( I''ll be back !)


*図像はルノワールの「パン屋のおかみさん」 La boulangère par Renoir

2008年6月7日土曜日

知らず知らず


「<東京>詩」のクラスでは、ほぼ毎週、作品を提出してもらっています。ただ、なんでも書いていいですよ、というのでは、逆に書きにくいでしょうから、少しだけ「シバリ」をつけて。その「シバリ」は週によって、「電車」を入れる、とか、「日付」入れるとか、「七五調」にする、とか。もちろん、一応の見本を読んだ後に、ということですけど。


たった9人のゼミなので、最近では、もう名前を見なくても、誰が書いたか分かるようになりました。長めの、ストーリー性のある詩、細かく方向を転換していく詩、元気な詩、可愛い詩、繊細な詩…… みんな欠かさず出してくれて、読むのは楽しみです。あえてこんなゼミを取る学生だけあって、その工夫が伝わってきます。


以前「ある日のゼミ・1」で、Bump について発表してくれた吉川君、彼もなかなか巧みな詩を作ります。大学1年生にしたら語彙も豊富だし、言葉の選択のセンスもあると思います。ただ、こんなに書ける彼だからこそ言うのですが、彼の詩の展開、もっと言えばその感情の展開、論理の展開は、「どこかで見たことがある」感じがあります。わたしはそれを、「これ、J-pop的過ぎるよ!」と言うんですが……


少し違うことを言いますね。

フランスには、dissertation(ディセルタシオン)という科目(?)があります。まあ、「小論文」といったところでしょうか。ではたとえば、「美人は得か?」というタイトルで、原稿用紙5枚書くことを想像してみてください。どうですか? 5枚ですよ?


わたしも大学時代、このdissertation の授業でサンザンしぼられました。要は、「序論ー本論ー結論」という構成があって、じゃあたとえば「序論」では、「美」がいつの時代も何らかの価値をもっていたことをさらっと紹介ながら、この問いの現代的意義を確認しよう、で本論では、得な例と得じゃない例を、それぞれ3つくらい用意しよう、で結論は…… なんて考えて、まあ授業ではそれをフランス語で書かされたわけです。(ちょっと怖い修道女の先生に!)


フランスの方々は、一般にこの組み立てがうまいと言われます。そりゃあね、学校でみっちりやれば、上手にもなるでしょう。反対に日本では、あまりこの手の教育はなされないので、まあ、苦手です。(ちょっと話が広がっちゃいますが、たとえばフランス語の勉強も、ある段階を越えたら、この組み立てが上手になる必要があるようです。「おしゃべり」の先には、こんな世界が待っています!)


ああ、フランスの教育はいいなあ、と思いましたか? そう、たしかにそういう面もあると思います。ただ、逆の批判もあるのです。つまり、「フランス人はみんな同じ論理でしゃべりはるで!」というのです。もちろん、「みんな」のはずはないけれど、あまりにdissertation に親しみすぎて、気づかないうちにいつも、そのパターンで考える癖がついたとしたら……


これは単なる想像で、的外れかもしれません。ただ、吉川君の作品を見ていると、「J-pop的な論理」に、知らず知らず絡めとられている印象もあるのです。(もちろん、そこまで行けばOKじゃん、という考え方もあるでしょうが。)


むずかしいもんですね。せっかくその技に慣れたと思ったら、今度は慣れすぎだって言われるなんて。でもまあ、「知らず知らず」は怖いので……、わたしも気をつけないと!(いや、特に何にも習熟してないから大丈夫。それじゃだめじゃん!)


*昨日のブログの最後に、4行ほど追加しました。その時彼は……

2008年6月6日金曜日

こんな午後


今日は、朝のうちイマイチの天気でしたが、午後からは梅雨の晴れ間に恵まれました。金曜日の授業は午前中に終わるので、午後はずっと、大学の片隅の、小さな研究室で過ごしました。実は「まいにちフランス語」の8月号のCD収録が、3日後に迫っているので、その最後の準備をしていたのです。(収録の模様は、月曜にご報告します!)

(ただ、ひとつ気がかりなことがあります。この10年ほど、「フラ語」シリーズを中心にずっと一緒に仕事をしてきた編集者であるスーさんが、今日プチ手術を受けたのです。がんばれ、スーさん!)

さて、そんな静かな午後3時ごろ、ひとりの学生が訪ねてきました。いや、S君はもう学生じゃなく、大学院生でした。そう、学部の2年生だったとき、彼はわたしのフランス語に授業に出ていました。

「久しぶりだね!」
「先生と、飲み会やりましたよね!」
「養老の滝だっけ?」
「読売ランド前。黒田先生も来てくれて」

「黒田先生」とは、今「まいにちロシア語」を担当なさっている、「カリスマ語学教師兼(日本で唯一の)語学評論家」、黒田龍之助さん(写真)のことです。その当時、S君のいたクラスの英語(も教えられるんですね!)を黒田さんが、フランス語をわたしが、担当していました。で、こうなったら合同飲み会にしちゃえ! みたいになったのでした。わたしにとっては、ああいう「合同」はあの時だけなので、とても鮮明に覚えています。

「で?」
「小学校の先生目指してます」

汗を拭きながら答えるS君を見ていると、これから彼が生きるだろう長い時間が、なんというか、祝福に満ちたものであることを祈らずにいられません。大学の教員の喜びの一つは、こんな出会いにあります。

「また飲みましょう」
「いいね!」
「黒田先生も誘って」
「当然ね!」

黒田さん、くしゃみでませんでした? 午後3時頃です!
                                                (これを書いた翌日、黒田さんと連絡が取れました。「昨日の午後3時ごろは、NHKの収録を終えて、エカテリーナさんと渋谷まで歩きながら、ロシア語でおしゃべりしていましたね。そういえばセンター街を通っているときに、突然くしゃみをしたような…」 やっぱり、くしゃみしてました!)

子供の歌と仏仏辞典


何日か前にも書きましたが、「まいにちフランス語」のオープニング、7月に入るとちょっと変化があります。まず、月曜と火曜は、数字の聞き取り。そして水曜は、レナさんによる「歌のお姉さんのコーナー」。ね、ちょっと楽しそうでしょ!


まあ「歌」といっても、いわゆるポップスなら、you tube なりなんなりで、いくらでもプロのパフォーマンスが味わえますね。というわけで放送では、フツーの歌、フランスの方々がたいてい知っているけど、意外に聞く機会のない歌を紹介することにしました。つまり、子供の歌です。そうそう、こんなところがあります;




このサイトは、どの歌にしようかな~、と話し合っている過程で、レナさんが教えてくれてものです。スピーカーのマークが付いているものは、歌も聞けます。あるんですね、こんなサイトが。


「まいにち~」の編集者のA子さんから聞いたのですが、かつて加賀乙彦氏が、日本の童謡は暗い感じものが多い、と書いてらしたそうです。たしかにそういう気がします、わたしの記憶でも。ただ、この頃耳にする子供向けの曲は、そういう「影」が薄い気もします。光と影、これは本来、セットなんでしょうけどね。


ではここまで読んでくださった「あなた」に、もう1つ、小さなプレゼントを。




これはいわば、仏仏辞典です。これを使いこなすには、「中級以上」である必要があるのですが、初級の方も、ためしになにか知ってる単語、たとえば fille 「女の子」なんかを調べてみると、おもしろいかも。「女の子」の定義が、フランス語で読めるわけですね。実はこのサイトは、弟に教えてもらいました。というわけで、「他人のフンドシ」を2本ご紹介し、本日のブログに代えさせていただきます!

2008年6月5日木曜日

「洒落男」のその後


俺は村中で一番
モボだといわれた男
うぬぼれのぼせて得意顔
東京は銀座へと来た
 

 
今週の「<東京>詩」のゼミでは、
昭和初期の大ヒットソング、「洒落男(しゃれおとこ)」が登場しました。
震災後の、復興していく東京の息吹を感じることと、
「意気込んで東京(都会)に出てきて失敗する」という「物語」の、
原型の1つを確認してもらうこと、が狙いだったのですが……

まず第1に、ゼミ生9人、誰1人この歌を知らなかった!
(ちなみに「モボ」は「モダンボーイ」ですね。)
もちろんいいんです、75年も前の歌なんですから。
(考えてみれば、なぜ自分の世代まで知っているのか、
不思議なくらいです。)
でとにかく、なんだか思いつきっぽいんですが、
授業では、1969年のアメリカ映画、「真夜中のカーボーイ」に関連付けて話をしました。

NYの「くず」として生きるダスティン・ホフマンと、
テキサスから自分の肉体を頼りにNYにやってくるジョン・ボイト。
この2人の「友情」と挫折を描いたこの映画は、わたしももちろん大好きな作品の1つです。
で、東京でもNYでも、1930年でも69年でも、
こうした都会的な「神話」が成立しうるのですね~、
みたいな話だったわけです。

ただ、なんとなく引っかかっていたのは「洒落男」の歌詞。
で、少し調べてみると……

この「洒落男」は、坂井透の「作詞」とされることも多いけれど、
実際は The Gay Caballero という歌を訳したものでした。
作曲の Frank Crumit(図像) にとっては、これが最大のヒット曲だったよう。
そして作詞は Lou Klein。2人とも、1880年代生まれのアメリカ人でした。
で、ここまで分かると、原曲の歌詞と、坂井訳を比較してみたくなるのが人情ですね? 
で、やってみました。

Oh I am a gay caballero
Coming from Rio Janeiro
With nice oily hair,
And full of hot air,
I'm an expert at shooting the bull-o


caballero はスペイン語で「(陽気な gay )紳士」。
彼は、なんとリオからやってきたのでした!
(ただし、どこにやってきたのかは、はっきりと書かれていません。NYなんでしょうか?)
ちなみに最後の行の -o は、韻を踏むためのものでしょう。

ずっと見ていくと、なるほど坂井訳は、
「リオから」を「銀座へ」に、公爵を村長に、
キャバレーのダンサーをカフェーの「妾(めかけ。ただし歌詞の中では「わたし」と読ませています。)」に換えながらも、
とてもうまく原曲の雰囲気を伝えていました。
ただ最後の、せっかくいいムードになったと思ったら、
女の亭主が帰ってくる場面。
原曲ではcaballero が亭主に片耳をかじりとられる(!)ことになっているのですが、
そこはそう、日本的に「気絶」程度で済ませてはいますが。

ところでアメリカには、この歌の続編、The Return of the Gay Caballero が作られていました。その中でも「洒落男」は、捲土重来を果たすことはできず、結局地元で結婚し、7人の子供に囲まれています。ただしその子供たちは…… 歌の最後の1行はこうです;

And each one was born with one ear-o.

全員片耳! あの時かじられた呪いが、まだ生きていたとは!(でも曲の感じは、アカル~イんですけどね。)

*追記:この歌を含む、東京をテーマにした詩を集めた本、
     それが『東京詩』(左右社)です。よろしければ!

2008年6月4日水曜日

贅沢な雑誌


1200円で、なにができるか? 文庫を買ってスタバへ。うん、それもいい。DVDを借りて、安い酒とつまみを買って……、これもいい。ただ、ハードカバーの本はちょっと買えないし、街に繰り出す(!)には足りない感じ。


「風の旅人」という雑誌をご存知でしょうか? 大きな書店ならたいてい置いてある、隔月刊の雑誌です。美しい(だけじゃない)写真と、最前線を生きる書き手たちの、気合の入った文章の数々。しかも前号からは、「宇宙論」の連続記事も開始。もちろん(ご覧の通り)表紙もいい。そして広告はほとんどまったくなしで、1200円! どうしてこんな贅沢な雑誌が、こんな値段で作れるのか、フシギなくらいです。(もちろん、大変なのでしょう。)なんというか、まっすぐこちらに向かってくる雑誌なのです。


そうそう。HPがあります。http://www.kazetabi.com/ ここで写真を見るだけでも楽しいです。


本屋で見かけたら、ぜひ手にとってみてください。1200円で、手応えのある時間が過ごせます!

世界のナベアツ


今朝ごはんを食べながら、「はなまるカフェ」を見ました。3の倍数でお馴染みの、世界のナベアツが登場していました。


お笑い番組は好きでよく見るのですが、まあわたしが言うまでもなく、今世界のナベアツは、まちがいなくノッテイル1人ですね。で、今日トーク番組での彼を見ていて、ああなるほどな~、と思ったのは……


12万のオーダー・スーツ、2.8万の靴、髪型を決めるためのマイ・ドライヤー……彼は、とても細心に、自分のスタイルを作りこんでいました。あのスーツ。おしゃれや気取りのためのオーダーではなく、設定したスタイルが要求する色やデザインを、忠実に実現するためのオーダー。あの髪型。テレビ局には用意されていないドライヤーが必要となる、あの髪型…… 彼の「3の倍数」の面白さを支えているのは、彼の「作りこむ意志」なのだなあ、と感心したのでした。


そしてもう1点。今の彼の平均睡眠時間は3時間(!)なのだそうですが、それでも毎日は楽しい、と言います。


好きなことやらせてもらってますから!


そうなんですねえ。お笑いの人たちを見ているのが好きなのは、もちろん単純に「お笑いファン」ということもあるけれど、やっぱり彼らが、自分の好きなことに夢中になっているのが伝わってくるから、という気がします。


そういえば、どこで読んだのか思い出せないのですが、かつて大島渚監督は、「漫才を見るのは、2人が仲がいいのを見たいからだ」と言っていたそうです。そういえば、わたしの友人のダウンタウンファンの1人も、2人が「仲良し」なのがいいのだ、と言っていました。う~ん、なるほど。わたしたちが「お笑い」を見ながら見ているもの、それは「ネタ」だけではなく、彼らのスタイルへの意志の強度であり、大げさに言えば、「生き方のありよう」まで含めているのかもしれません。それは、「付加価値」などという、分かったような言葉であとづけられない何か、だと思います。


今夜のお楽しみは、そう、「レッド・カーペット」です!(写真は、近刊の「ナベアツ写真集」!)

2008年6月3日火曜日

フランス映画ゼミ・1


「フランス映画ゼミ」が好調だ、と思う。ほんとうは、少しは言うべきことも考えてあったのだ。でも、学生のレポートがそれなりに充実しているので、これはつまらない能書きを並べるより、実作をどんどん見せた方がいいと判断して、なるべく(シラバス以上に)見せるつもりです。ちなみにここまで見てきたのは、こういう映画です。(このリストがあれば、ご家庭で「フランス映画ゼミ」が再現できます!)

1)『勝手にしやがれ』(ヌーヴェル・ヴァーグ)
2)『ニキータ』     (心理アクション)
3)『赤ちゃんの逆襲』(コメディー)
4)『アンダルシアの犬』(シュルレアリスム)
5)『パリの確率』(これは今日「起・承」まで。)(SF)

なるべく「学習効果」が上がるような作品を見るつもりなのだけれど、こうして並べてみると、もろにわたしの好みで、ゼミ生のみなさん申し訳ありません! 

中で好評だったのが、『赤ちゃんの逆襲』。これは以前にもこのブログで取り上げました。あの時点ではちょっと不安もあったのですが、レポートを見て、これはみなさんにもお勧めできると確信しました。(繰り返しますが、やや「激しい」シーンがありますので、ご注意ください。)

今日の前半には、『アンダルシアの犬』(15分・写真)を見ました。これはまあ、全編夢だと思ってください、と前置きしたので、大丈夫だった、かな? レポートを待ちましょう。

実はわたしは、この『アンダルシアの犬』の監督であるルイス・ブニュエルが大好きです。彼の作品で1本だけ挙げるなら…… やはり『欲望のあいまいな対象』でしょうか。これは女主人公が、なんと「2人1役」(「1人2役」じゃないですよ?)、しかもその声も、どうも「顔」以外のものが使われている箇所もあるという、ブニュエル以外にはありえない演出法が取られています。訳のわからないものが好きな方、どうぞこの映画をご覧になってください。何度見ても、謎は深まるばかり!(ほんと、何度見たことでしょう……)
「フランス映画ゼミ」報告、次回もお楽しみに!(ってへんな終わり!)

或る夜の出来事・3


昨日は、雨の池袋での、約20年ぶりの再会まででした。当然わたしたちは、なんともいえない興奮の中で、この偶然を分かち合いました。


(そうして、会場の出口付近で話し込んでいたとき、また別の美女ーもう美女だらけ!ーから話しかけられました。なんと、「まいにちフランス語」を聞いてくださっている方でした。う~ん、親戚以外では、初めてお目にかかるリスナーの方です。ありがとうございます! もしもどこかで見かけたら、ぜひBonjour ! と声をかけてくださいませ! ちなみにレナさんのほうは、もう何度も、街で声をかけてもらった、と言ってました。)


さて、モト同級生のほうの美女2人は、(これは後から話してみて分かったことですが、)とても優秀なワカモノ2人と一緒でした。その内の1人のD.君は、セッションの出演者である管啓次郎さんのことをよく勉強していて、感心させられました。こういう、イキのいい勉強家たちと会うと、こっちもがんばらないとなあ、という気にさせられます。学生たちもそうですが、ワカモノはかわいいです。


というわけでその後、美女2人、ワカモノ2人、オジサン(=わたし)1人という構成で、すぐ近くの飲み屋に入りました。
「それにしても、なんでブエノスアイレスに?」
「んん、ダンナはイタリア人なの。で、イタリアに住んでたんだけど、ダンナの転勤で……」
なるほどねえ。彼女はイタリア語で本も書いていました。素晴らしい!
「で、香港はいつから?」
「もう20年」
「じゃあ、広東語ばっちりだね」
「そうでもないの。この前もお店で褒められちゃったの」
「?」
「来て2,3年の人にしてはうまいね、って!」
とはいえ彼女も、書く仕事に着手するところのよう。素晴らしい! かつて毎日同じ教室で勉強していた同級生が、色んなところで元気にやっている話を聞くのは、嬉しいものですねえ。


その後、翌日1時間目の授業があるわたしは、先に店を出ました。授業、雨のバス、池袋地下通路、ジュンク堂、そして初めての飲み屋まで、この激動の6時間を、大事に反芻しながら……(完) 
                                                *その後ブエノスの美女が、ブログを開設。彼女は絵も描いていました!こちらです;

2008年6月2日月曜日

或る夜の出来事・2


昨日は、大事件の予告で終わりました。ではその大事件に入る前に、ちょっと復習です。


セッションの話題は、主に『ランジェ公爵夫人』(写真)だと言いました。そこで教えられたことをちょっと紹介すると…… 


まず、この映画は、途中に「暗転」があります、チャップリンの映画みたいに。見ているときはやや奇異な感じもしたのですが、これはいわば、「紙芝居」への回帰だというのです。映画は、1秒間に24コマで作られているわけですから、原理的には、「紙芝居」的なんですね、ナメラカなものではなく。この「暗転」は、それを観客に思い出させているようだ、というわけです。なるほど、まったく思いつきもしなかった解釈です。


それから、これは『ランジェ~』固有の問題ではないのですが、ヨーロッパを舞台にした映画の場合、19世紀のものも、案外撮りやすい、なぜなら当時の街並みが残っている場所があるから。それに対して日本では、江戸ならまだいい、太秦などのセットがすでにあるから。けれど、なかなか撮れないもの、それは明治を舞台にした映画だ、なぜなら、たとえば明治の東京の街並みは、もうどこにもないから…… 知りませんでしたけど、本当にそうだろうな、と思います。だって東京は2度、廃墟になっているのですから。そう、関東大震災と、第2次大戦で。


ちょっと話が逸れますが、この2回の「廃墟」の経験は、庶民にとってはほとんど同じ質のものだった、という見方を読んだことがあります。つまりそれらは、自分ではどうしようもないところから、突然降りかかってきたのだと。そう、終戦さへ、突然のものだったと言います、庶民レベルでは。今の東京は、2度の廃墟の経験を記憶していることになりますね。


さて、そうして充実したセッションは終わり、わたしは満足して立ち上がりました。すると、少し離れた席にいた2人の美女(ということにしましょう!)が、わたしに声をかけました。
「キヨオカくん?」
ああ、最後に「くん」と呼ばれたのはいつだったでしょう! でも今は、そんなことより……
「ええと?」
「同級生を、お忘れ!?」
現像しているフィルムに、徐々に絵が浮かび上がってくるように、抽象的だった美女それぞれの顔の上に、よく知っているもう1つの顔が、ゆっくり広がってゆきます。そう、卒業以来会っていなかった、大学の同級生でした!


しかも話してみると、1人はブエノスアイレスから、もう1人はホンコンから、1時帰国中というではありませんか。そんな2人とわたしが、雨のジュンク堂池袋店4階、「映画と文学」を語るトーク・セッション会場で、20年ぶりに出会うなんて!!


長く生きていると、色々な偶然に立ち会うことがあります。でも今回の偶然には、本当に驚かされました。つづく。(まだつづくの!?)

2008年6月1日日曜日

或る夜の出来事・1


その日は、夜7:00から池袋のジュンク堂でトーク・セッションがありました。同僚の管啓次郎さんが、フランス文学者の工藤庸子さん、それからグラフィック・デザイナーの鈴木一誌さんらと「映画と文学」について熱く語る! らしい。これは聞き逃してはならじと、5時間目の授業をちょっと早めに切り上げ、スクール・バスに飛び乗りました。


雨が降っていたけれど、バスも電車も順調で、池袋駅に着いたのは6:30過ぎ。ただ、予約してあるとはいえ、開始10分前には着きたいし、歩いて7、8分かかるとなると、食事時間は……10分! ということで、駅構内のコンビニでおにぎりとお茶を買い、あまり人通りの多くない地下通路の一隅で食べ始めました。


こんなところで晩ご飯を食べるのは初めてでしたが、まあなんというか、こういう場所で「定点観測」するのはやはりおもしろいです。仕事が終わって帰る勤め人、OLさん、飲みにでも行く雰囲気の人、これから仕事に向かうらしい女性たち、これからのことを決めかねているワカモノたち…… おなじみの風景ではあるけれど、やはりわたしは好きです。


会場に着くと、もう席はほぼ一杯でした。ただわたしは1人だったので、苦労はせず席につけました。やがて、セッション開始。話題の中心は、今も岩波ホールで上映されている、ジャック・リヴェット監督の、『ランジェ公爵夫人』。(わたしがこの数日前に行ったときは、昼の部だったのに、けっこう長く階段に並ばされました。)3人の話は、これは見事に予想通り、わたしが気づかなかったことだらけで、感心することしきりでした。そして内容以前に、3人の方の「エネルギー」が伝わってきて、充電してもらっている感じがありました。


この種の、大きな書店が催すトーク・イベント的なものは、定期的におこなわれています。各書店のHPなどを見れば、すぐにわかるでしょう。これ、楽しいです! 出演者の方も、おそらくほとんどノーギャラのはずで、まあある種の「ファン・サービス」的な性格もあるのでしょう。こうなったら、どんどんサービスされちゃいましょう!


で、事件はその後に起こったのでした。つづく。(つづく、かい!)