2008年6月20日金曜日

フランス映画ゼミ・2


フランス映画ゼミ、です。6月3日に、『パリの確率』を半分見たところまでご紹介しました。でその後、ぶじ最後まで見終わったのですが、この映画の学生の感想は、「イマイチ」という感じでした。う~ん、わたしはそれなりに面白いと思うんですが。

ある学生のレポートでも比較されていたんですが、この『パリの確率』は、たしかに『Back to the future・1』を思い出させます。過去の世界にいる自分の親に、ちゃんと自分を生んで! と、未来から呼びかけるというのは、まあ同じようなシチュエーションだといえるでしょう。ただ、主人公の属している世界が、一方は未来側、一方は過去側という、違いはありますが。わたしは、十分見るに値する作品だと思います。

で今週見たのは、『憎しみ』です。これは、郊外に暮らす荒れた若者の話、といってしまえばそれまでですが、白黒の画面に、彼らの焦りが、もがきが、息苦しさが、閉じ込められているように感じられます。ゼミの趣旨の1つに、映画を通してフランスの現在を知る、ということも含まれるので、この映画は外せないところです。(実際には、1995年の作品ですが。)だからこの映画については、学生の評判は関係なく、見るべきものとして見せたのですが……

学生のレポートに書かれていることを、そのまま鵜呑みにするほどナイーブではないけれど、それを差し引いても、学生たちはわりと真剣に、この映画を見てくれたようです。最近の日本でのさまざまな事件と関連づけたりしながら、映画の中の「憎しみ」を感じているようでした。学生たちがどう思おうと見せるのだ、と力むことはなかったのかもしれません。まともな、理工学部の学生とはいえ、彼らだって「若者」であるには違いない、ということなのでしょう。

ただ、今ではスターになったVincent Cassel (写真)のことは誰も知らなかったので、ここは時間もないけれど、彼がまったく違う味を出している別の作品も見せたほうがいいかなあ、という気もしてきました。まだまだ見せたいものはあるのに、授業はあと4回! ああ、どれ見せよう??