2008年10月8日水曜日

蟹とわたしとコノワタ


わたしの住んでいるところは、かなり急な斜面に建つ2棟で構成されています。で……

やっぱり斜面、というかほとんど山なので、これが雨の後は、一番低いエンロランスあたりは、2、3日水が流れています。で……

今日が初めてというわけではないのですが、その流れの中に、小さな蟹を発見しました!

3年ほど前に引っ越してきて、最初に蟹を見たときは、「飼い蟹」が逃げたのかと思いましたが、どうもそうじゃないみたいなんです。蟹ですよ!

蟹とわたしの出会い(?)は、小学校の頃に遡ります。狭苦しい台所に、母親が立っていました。そしてその手には、蟹が。蟹はこれから起こることを知ってか知らずか、逞しい鋏で虚空を切り裂き続けています。

そして、ザブン。蟹は熱湯の中へ。彼の鋏が、寸胴鍋の内側を引っ掻きます。カリカリ、ゴリゴリ。でもそれも、ほんの短い間だけ。あとに残るのは、炎と、わずかに揺らめる熱湯の音だけ。

いや、小学生には、お湯の表面は見えなかったはずですね。でも覚えているということは、抱っこでもされて覗き込んだか、単に記憶をでっちあげたか。

その時、蟹が可哀想だとか、残酷だとか、思ったかどうか…… よく覚えてません。でも何度となく繰り返されたこの場面は、わたしにとってはやはり原風景の1つといえるのでしょう。

ああ、余計なことを思い出しました。近所にあった仲良しの魚屋さん、小学校から帰る途中のわたしを 呼び止めて、コノワタを啜らせてくれることがありました、まんまのナマコから、チュルチュルっと! 今思うと、ヘンな図ですが、これはうまかった記憶がはっきりあります。ああ、昭和は遠くなりにけり!