2008年10月22日水曜日

「特にありません」~マリ・ンディアイ


行ってきました、日仏学院の「マリ・ンディアイ」。とっても魅力的な人でした!

開始は19h.の予定だったので、少し前に到着して、とりあえず日仏の中にある本屋で立ち読み。するとふと隣りに人影がさし、あら、ンディアイさん本人です! チャンス! とりあえず持っていた本にサインしてもらいました。(ミーハーですけどなにか?)

で彼女、話す時じっとこちらの眼を見ます。うなづいたりはしません。でも、自分が話し終えたとき、とてもいい感じで微笑むのです。「惚れてまうやろ~!(wエンジン)」とまでは言わないけれど、とてもチャーミングでした。

で、肝心の話のほうはと言うと…… これは全部は書けないので、思い切って箇条書きにしましょう。

・川端の『雪国』は大好き。それを読んだときは、小説の中で1番(!)好きだった。
・谷崎の『細雪』も何度も読んだ。
・年に1度は必ず読み返す小説、それはフォークナーの『8月の光』。
・いわゆる「クレオール」の問題は、わたしとは関係ない。(グリッサンは尊敬してるけど。)ただ、「フランスの黒人」という問題は、わたしの問題の一つ。
・これは批判じゃないけど、フランスの小説は「知的」。
・「ヌーヴォー・ロマンがフランスの小説をダメにした」みたいな言い方は、まちがってると思う。
・ノーベル賞のル・クレジオ。『調書』は大好き。でもそれ以降のものは、ちょっとピンと来ない。
・プルーストは好き。réalité pragmatique (なんでもない現実)、たとえば眠ること、思い出すこと、田舎の家……みたいなことから、美を引き出すから。
・『源氏物語』大好き。あんな昔に、あそこまで繊細でありえたことが。
・悲しい終わりの話は嫌い、と娘が言うので、子供向けの小説は、ハッピー・エンドにしている。

とまあ、さすが「書くより読むほうが好き」というンディアイさんだけあります! たしかに彼女の短編「少年たち」の終わりなどは、言われてみれば川端的だと思います。つまり、「言わないでおく」感じの書き方です。そうそう、「あなたの作品全体を貫くメッセージは?」という質問に対して、彼女はこう答えました。

「特にありません」
                                               これは気取ってるのでも、謎めかせようというのでもありません。「わたしはわたしの分かるものを書きます、感じ取ってくれるのは読者です」ということのようです。いやあ、国語の試験問題の、「下線部について、筆者は何が言いたいのか」的な次元とは違いますね。

というわけで、なかなか充実した2時間でした!(しかも無料で……)