2008年11月30日日曜日

捨てられそうで……


ウチの録画機はハード・ディスク・タイプなので、画質がフツーでよければ、たしか150時間くらいは録画でます。

で、毎週録画にしてあるものは…… ほとんど「お笑い」! なるべくバカバカしいのがいいですね。ギャグでも、あまり「意味」があるのは好きじゃありません。たとえばナイツの「ヤホーを見たら~」で始まるネタは、どれも「意味」があるのでやや苦手です。むしろ好きなのは、これまでもちょっと触れたような、「無意味」系の人たちです。
もちろん、正統派の漫才は大好きです。つくづく思いますが、やっぱりM-1 に優勝するようなコンビの多くは、何かがちがいますね。サンド、ブラマヨ、フットボール。文句なしです。

で、今日は「笑点」です。

「笑点」は、実は毎週録画になっていません。(つい半年前まではなっていました。)で、今日たまたま見たのですが……

この轍(わだち)の上を走るような安心感は、格別です。オチが見えてしまうフリが多いのも特徴ですね。もちろん全部じゃありませんけど。

大昔、わたしがまだ小学生だったころ、ある日「笑点」を見ていました。その時の問題は、「捨てられそうで、捨てられないものは?」でした。そこで颯爽と手を挙げたのは、今は亡き小円遊(画像)です。彼はいつも通り、キザったらしく言いました。

「拾った恋……」

子供であるわたしは、なんだかポカンと聞いていましたが、いつの間にか横にいた父親が、ボソッといいました。

「うまいこと言うな。拾った恋か……」

子供は思いました、そうか、これがうまいことなのか……

これが、わたしの「笑点」の原体験です。怖いモンですね、今でも「笑点」というと、こんなつまらないことを思い出しちゃうんですから。

さて、明日からは12月。一応「師」のハシクレであるわたしも、「走」ることになるでしょう。あと1ヶ月、乗り切りましょう!

2008年11月29日土曜日

ビヨンセ/サーシャ


この人が作品を発表したら、周りの評判とか企画の内容とかに関係なく、とにかく買います! というアーティストが、みなさんもいらっしゃるでしょう。

音楽についていうと、わたしの場合、これはまずなんといっても宇多田ヒカル。それからマドンナ。それからブラック・アイド・ピーズ。それからビヨンセ、です。(たいてい買う、とか、結果的にみんな買ってた、というのは入れてません。)

で、今月初め、ビヨンセの新譜が出ました。なんだか難しいタイトル。『アイ・アム……サーシャ・フィアース』です。この「サーシャ・フィアース」というのは、なんでもビヨンセの別人格だそうです。ステージの上で、なにかに憑かれた感じで歌っているとき、彼女は「サーシャ」なんだそうです。

(ちなみに「フィアース fierce」は、フツーは「荒々しい、獰猛な」みたいな意味だと思いますけど、オネエ言葉で「イケテル」の意味もあるんだとか。本当なんですか、波戸岡先生!)

ファンなのに遅ればせですが、やっと今日買いましたので、これから聞いてみます。

そういえば今日、道端で「手相&誕生日占い」しているおじいさんと立ち話しました。(見てもらったわけじゃないですよ。)なんでも、お客さんは年配の人が多くて、自分のことはいいから孫を占ってくれ、という人が多いんだそうです。

「でもね、ネギルんだな、これが。3000円を1000にしろって。でしてあげると、結局自分のもお願い、亭主のもお願い、娘もお願い、なんてんで、結局1000円が4人で4000円になっちゃうの。3000円で始めれば、何人でも見てあげるのに!」

ということなので、みなさん、「手相&誕生日占い」に関しては、ネギルのはお勧めいたしません!?

生命力テスト


昨日書いた、20秒&タダでできる「生命力テスト」はこちら。




わたしはゼロでしたけどなにか? (爆発だ!)

2008年11月28日金曜日

裏切る


今日の授業では、『ニキータ』のシナリオを読みました。これ、実はかなり難しい部分もあって、2年生たちは苦労しているようです。そのうちの一つをご紹介しましょう。

ニキータは、一人前の工作員になるためにさまざまな訓練を受けるのですが、その一つに「女であることを乱用する訓練」があります。先生は、ジャンヌ・モロー(画像。これは若い頃)です。

モローと言えば、わたしにとっては、かつての『死刑台のエレベーター』や『小間使いの日記』などが思い出されます。『ニキータ』のモローは、もうかなり年配です。

さて、モローはニキータに「微笑み」の効用について話したあと、ニキータが自分の手を見ているのに気づきます。

わたしの手を見てるのね? 昔はきれいだったものよ、それが今は、ほら、手がわたしを裏切ってるの。(elles me trahissent)

これは、trahir「裏切る」という動詞です。でも、「手がわたしを裏切る」って?

もちろん、今はスベスベピカピカとはいかない自分の手が、若くてキレイだったわたしを、あるいは、今もそれ以外の部分はそれなりに若く見えるわたしを、裏切っている。つまり、手を見れば、今のわたしの衰えは隠すべくもない、ということなのでしょう。

(こんな感じの表現に初めて会ったのは、まちがいなくボードレールの詩だったのですが、悲しいかな、どの詩だったのか思い出せません!)

まあ日本でも、手と首は出ちゃう、なんて言います。それはフランスでも変わらないようです。(あるフランスの大手化粧品会社のエライ人で、人前では決してスカーフを取らない人もいるようです。)

そういえば今日、わたしも「生命力テスト」に裏切られました。yahoo のトップページにあった、20秒くらいでできるテストです。ほんの冗談でやってみたら、なんと「あなたの生命力はゼロ」! ま、そんなに多くは期待してませんでしたが、ゼロとは!? もしかして、もう生きてない?(ケンシローにやられたか?)

でも、おかげ笑ったので、元気が出ました! ゼロなら、これ以上下がらないしね。

というわけで、今週もお疲れ様でした。ではみなさん、bon weekend !

2008年11月27日木曜日

「日本の古本屋」


先週、久間十義さんの特別講演のために和泉校舎に行ったとき、ついでに図書館も寄りました。貸し出し禁止の本を見せてもらうためだったのですが、それを出してもらっている間の5分間、辞書や事典が置いてある棚を眺めていました。

その時、オ! と思ったのが、『東京記録文学事典』(柏書房)です。これは、明治元年から昭和20年まで、それぞれの年に発表された「東京を扱う記録文学」の重要なものを、引用しながらまとめたものです。

この本を作るには…… ほかの仕事を何もしないとしても、何年かかかるでしょう。大変な仕事量です。すごいなあ、借りたいなあ、と思っても、それは閲覧専用参考図書。残念だなあ、と思っていました。で……

帰宅してアマゾンで探したら、すぐ古本が見つかりました。定価 6800 円ですが、3000円です。よし、買お! 

で、今日到着しました。う~ん、3000円安いかも。きっとこれから役に立ってくれるでしょう。

ちなみに、一応わたしの印象を言っておきますと、古本だけに限って言えば、アマゾンより「日本の古本屋」のほうが点数も多いし、安いことが多い気がします。

(ただここには、本を「作品」から、「消費するためのモノ」に変えた、あのブック・オフも登場します。ブック・オフでどんなに本が売れても、出版というリスクを負った出版社にも、実際に書いた筆者にも、一切お金は入りません。もちろん、一定の役割は果たしているのでしょうけれど……)

さて、明日は金曜日。みなさん、風邪ひいたりしてないですか? 今日寝込んだ人は? ああ、いますね。お大事にしてください!

2008年11月26日水曜日

木坂涼


この前の「バルベリ&谷口」の会のとき、好きな画家は? という質問に、谷口さんはエドワード・ホッパーの名前を挙げてらっしゃいました。実は私も、ホッパーの絵だけで一冊になった絵葉書集を使い切った(つまり、出し切った)ことがあるくらいには、好きな画家です。

で、今日ある現役女性詩人の本を読んでいて、なんとなく、ホッパーのことを思い出す詩がありました。「点灯」という詩です。

アパートに戻ると
留守番電話のランプ
赤く
小さい生き物みたいな点灯を
まっさきにのぞく。
誰からも電話のなかったことは
すぐにわかる。
ともしびのように
赤い豆つぶが一日
私の代わりを務めて
私と同じままに誰からも声をかけられずにいたと知る。
都会の
回収されないこの一瞬。
私は
街に撒かれた電話機の豆つぶの赤さを頭の中にちりばめる。
それを 都会の星のようにおもう。  

ね、ちょっとホッパー的な、孤独感というか、寂しさというか、ありますよね? この詩を書いたのは、木坂涼という女性です。(パートナーは、これも詩人のアーサー・ビナードです。)

彼女の詩は、実はもっと軽やかで、おしゃれな感じのがたくさんあります。たとえば、「17才」。

ねこのように
ブルブルブルってできたら
とってもらくになれるのに

あ、単に「おしゃれ」じゃありませんでした。ではもう1つだけ。「一人の正しい使い方」。

きゆっと孤独が
あたしを抱いてくれる時があって
あたしはコロッとだまされる

何かした?

う~ん、軽やかなんだけど、それだけじゃないですね。わたしみたいなオジサンが読んでもいいのだから、若い女性が読むと特に、きっと身につまされるんじゃないかなあ、と思います。

そうそう、昨日は吉本隆明の84歳の誕生日だったんですね。いつか、吉本さんの本を、じ~っくり読んでみたいです。学生の頃もまあ読みましたけど、きっと分かってなかったはず。今なら、少しはましな読み方ができそうな気がします。(J'éspère !)

pot bouille


今日は午前中に授業、午後早く1時間ほどの会議があり、そのあといったん帰宅して、それから恵比寿に向かいました。大学の同級生2人と、もう何年振りかで食事です。

お目当ては、pot bouille(ポ ブイユ)というお店。まあビストロというのでしょう、レストランほど気取っていなくて、わりと量もしっかり出てくるタイプの店です。

これが、まあおいしいこと! わたしはとても気に入りました。前菜の、田舎風パテや、甘エビとアボガドのタルタル、ズワイガニのクロケット、どれもかなりいけます。(牡蠣のグラタンは、まあ普通。)でメインは、季節感を出してエゾ鹿、子羊、そして定番のステック・フリット。この中では、やはり子羊が好きでした。デザートは、フォンダン・ショコラにしたのですが、これはさすがにおいしいです。チョコがとろっと溶け出てくるのが、いい感じ。

ちょっと贅沢ですねえ。でもまあ、2,3年に1回だからいいか!? 

同級生の2人のうち、1人は小学館の編集者。彼もまた、編集者のご他聞にもれず、思い切り忙しい生活です。でも、楽しそうです。彼は管理職は苦手で、現場の本作りに携わるのが好きみたい。そりゃまあ、そうですよね。

もう1人は、わたしと同業者です。大学の同級生は、まあみんなフランス文学科出身なわけですが、同業者は彼だけです。彼は、なんとPCを習い始めたそうです。もちろん、メールやネットくらいはできるでしょうが、その上を目指すそうです。う~ん、わたしも行くべきかも!

というわけで、秋の一日は暮れて行きました。でも今こうしていると、なぜか、恵比寿の西口改札口で人の波を眺めていた時間が思い出されます。Tシャツ!のお兄さんから、コートをきつく巻きつけたお姉さんまで。見慣れた、でも初めて見る風景。なぜか惹かれます……

2008年11月24日月曜日

Shy'm et K-maro


三連休、みなさん、いかがでしたか? 東京では、今日の午後だけ雨でしたけど、昨日・今日はいい天気でしたから、行楽ってヤツでも、ぶちかました方が多いのでしょう。

わたしはと言えば……、なんと、終わってみれば、三日とも大学に行ってました! そう、今日も行ってたんですが、そのおかげで、芸人ライブもちょっと見ることができました。わたしが見たのは、超新塾と我が家です。

テレビでよく見かける彼らですが、実物も、印象は変わりませんでした。我が家の方は、普段から下ネタ気味なので、ライブではさぞかし、と思いきや、テレビと変わらないレベルでした。ということは、あの辺を、かなり意識して狙っているんでしょうか?

それにしても、今日も昨日と同じで、ざわめきを聞きながら研究室で本を読むという、なかなかウォームな感じで過ごしました。(そういえば、あの吉本隆明でさえ、若い頃、寂しくなると、銭湯に行ったものだ、と書いてました。)まあ、夏休みの静けさも、それはそれでよかったですけど。

そうそう、一昨日見た模擬店の中で、誰一人よりつかない店がありました。いい天気とは言っても、そこは11月。しばらく外にいれば暖かいものが欲しくなるのに、なんとその店では、タピオカ入りのつめた~い飲み物を並べていたのでした! そりゃ、買わないわな…… で、その店が、予定を変えてほかのものを出しているのか気になったのですが、なんだか歩いていると、あ、先生、焼き鳥買ってください! とか、トン汁飲みますよね! とか言われるので、かなり奥まったところにあるその店まで、見に行く勇気がありませんでした。どうしたかな~

さて、三連休の終わりに、一曲プレゼントさせてください。Shy'm は、「シャイム」と発音するようです。


歌詞はこちら。


出だしはこんな風ですね。

Y'a l'homme que l'on aime
L'autre qu'on ne comprend pas,
Si les deux sont le même,
Alors lequel nous restera,
Je ne sais pas, je ne sais plus,
Lequel tu seras quand tu reviendras.

好きな男がいて
もう一人、理解できない男がいて、
もしその2人が、同じ男だったら、
ねえどっちなの、わたしたちのが一緒にいることになるのは?
わからない、もうわからないの、
戻ってくるのが、どっちのあなたなのか。

フランス語版 wiki によると、Shy'm のお父さんはマルティニックの人だそうです。そしてそして、まだ無名だった彼女を見出したのが、あのK-maro です。(画像はこの2人。)この曲、ちょっとおセンチでけっこう好きです。(実はShy'm より好きかも!)


ね?
                ◇

さあ、また仕事! ですが、三日とも登校したわたしとしては、先週の火曜から休みなしです。とりあえず、今年もあと45日。はりきってまいりましょう!

2008年11月23日日曜日

ダイヤモンド・ダスト


今日の東京は文化祭日和でした。だから、というわけではないんですが、今日もまた大学へ行ってました。部屋で仕事をしていても、なんとなく、下で盛り上がってる雰囲気が伝わってきて、寂しくありませんでした。

さて、昨日の「施設ツアー」の話でした。当初予定は30人だったのですが、おそらく50人以上集まったので、2班に分かれて出発しました。

最初に行ったのは、構造物試験棟です。ここには、巨大な3軸加圧装置がありました。

3軸、というのは、要は3方向から、ということのようでした。とりあえず、縦横5M、厚さ1.5Mほどのコンクリートの板が立っていて、それを土台にして、圧力をかけていくのだそうです。200トンくらいまで加圧できる、と説明がありました。(1立方メートルの水が1トン。コンクリは、比重2.3。おも!)

次は、振動実験解析棟。これは見かけは地味でしたが、あまり大学では持ってないそうです。地面と同じ高さのところに、3M×3Mくらいの鉄板があり、それが3次元的に揺れるということでした。建築模型や、自動車の部品なんかも、揺らしてみるそうです。

そして今度は、高磁場超伝導解析室へ。この1台1億円の機械は、見かけはフツーのボイラーみたい。でも内部では、液体窒素と液体ヘリウムによって超伝導状態が作られ、その結果とてつもない磁場が得られるのだそうです。ピップエレキバンの、約2万倍ですって!(ただ残念なのは、その磁場で何を解析するのかよく分からないことです! ああ、これだから文系は……)

それからもう1つ、これはたまたま昨日知り合ったばかりの、雪の結晶の先生のところも、このツアーに入っていました。ここでは、ペットボトルに吹き込んだ呼気に圧をかけて、手のひらに乗る「雲」を作ったり、過冷却水(マイナス7度)に「きっかけ」を与えて凍らせたり、最後は、小さな黒い容器の中に、ダイヤモンド・ダストを作ってくれたり。このダストは見えにくいので、ポケットライトを当てるのですが、そのとたん、黒い容器の中の暗い空間に、はるか遠くの星のような固い輝きが、ゆらゆら漂っているのが見えるのです。

そして最後、これは超音波を水に当てると、水が輝くように見える、という現象の図像解析。でも本当は、輝いているのは水ではなく、水中に生まれた泡の表面なんだそうです。泡の表面、ねえ……

というわけで、こんなにしょっちゅう行ってるのに、まだまだ知らない施設があるのでした。う~ん、理工学部おそるべし!

2008年11月22日土曜日

ホームカミングデー


行ってきました、ホームカミングデー! 

わたしたちお手伝い教員の集合は9:50。短い朝礼のあと、配置に付きました。わたしの担当は、卒業生の受付です。でも同僚の倉石さんが一緒なので、気楽です。倉石さんは、去年も経験しているのです。

やがて卒業生の方々が。みなさん、ちょっと緊張気味。久しぶりの母校の変貌振りに、戸惑っていらっしゃるのでしょうか? 今、外のメインステージでは、チアリーダーたちが髪を振り乱して踊っているのでしょう、コンバットマーチもどきの曲が地響きのように聞えてきます。
その後お昼休憩を挟み、場所を変えて再び受付。でももう、ほとんど誰も来ません。で、数学科の若い先生とおしゃべり。数学科は、今大きなプロジェクトが進んでおり、盛り上がっているそうです。先端数理ナントカです!

そして1:30には解放されたので、別の場所(外! さむ!)で誘導などをしていた波戸岡さんと合流。すると、今まで話した事のない若手の先生が一緒でした。

彼は、なんとわたしたちと同じフロアにいたのに、今日まで見かけませんでした。ちょっと不思議。でその先生は、雪の結晶の研究をしているそうです。結晶はどうして、あんなに等間隔で並んでいるのか、とか。でもなんだかその先には、「美」が入り込んできそうですね。(あるいは「神」が!?)いや、それは何も知らない文系の感覚なんでしょうか?

その後、文化祭で沸くキャンパスを波戸岡さんと一周。ちらほらと、教室で会う学生が見えます。教室内でとは、違う表情です。ま、当たり前か。

行列ができているのは、韓国からの留学生が出している模擬店。おお、たしかにおいしそうなチヂミです。

それから、今度は一人で、「学内施設見学ツアー」に参加したのですが、その話はまた明日に!

2008年11月21日金曜日

赤ちゃんと遠足


というわけで、今週も金曜日に到達。みなさん、お疲れ様でした。わたしも今週は、比較的忙しい週でした。

今日は午前に授業が2つ、午後は会議が2つ、それからさらにプチ会議が1つ、というメニューでした。これから年末にかけては、会議が増えそうです。

息抜きは昼休み。一昨日いったラーメン屋さんに、今日は総合文化教室の同僚たち4人と、ぶらぶらてくてく歩いて行きました。陽が出ていたので、暖かく、気持ちいい散歩気分。

前回に続いて、今日もお客さんはいません。いい感じです。この前は「餃子定食」だったので、今日は野菜ラーメン。炒めた野菜の中にはトマトまで入っていて、なかなかいけます。これで麺がもう少し締まっていれば、だいぶいいです。(ちなみにみなさんは、チャーシューメン、味噌ラーメン、スタミナ・ラーメン)

途中、親子三代のお客さんが。おばあちゃん(といっても50過ぎくらい?)とお母さんと赤ちゃんです。赤ちゃんは、3ヶ月くらいでしょうか、ミルクの匂いがしそうな小ささです。

ちょっと恥ずかしいのであまり言いませんが、実は赤ちゃんが好きです。小さいだけで、可愛いですね。今日の赤ちゃんはむちむちで、おばあちゃんに抱かれて泣いていましたが、赤ちゃんの泣く声はというのも、基本可愛いです。なんだか、ちょっと抱っこさせて欲しかったのですが、まあそれも変だしね。

ラーメンの後は、会議まで少し時間があったので、農学部の畑などを見学に行きました。

わたしたちがいる理工学部は、実は農学部とキャンパスをシェアーしています。今日初めて畑のほうまで来ましたが、広い! 高台の畑からは、遠く新宿の影も見えます。畑の散歩は、遠足の味わいです。

都心の大学には、それなりの魅力がありますが、郊外は郊外で、ゆったりした風情があります。これもまた、捨てがたいです。

さて、そろそろ会議に戻らないと。

で、いつものキャンパスに戻ってくると、トンテンカン、学生たちが設営に励んでいます。そう、明日は文化祭なので、今日の午後は授業なしなのです。

明治大学理工学部の文化祭は、その生田キャンパスの名前から、生明(いくめい)祭と呼ばれます。お近くのみなさん、よろしければ、どうぞお出かけ下さい!

明日はわたしも大学に行きます。ホームカミイグデーという、卒業生たちを招くイベントのお手伝いです。卒業50年目(!)という方々もいらっしゃいます。どうなるでしょう!?

2008年11月20日木曜日

ばちあたり


  罰当りは生きている                          岡本潤


あなたは一人息子を「えらい人」に成らせたかった
「えらい人」に成らせるには学問をさせなければならなかった
学問をさせるには金の要る世の中で
肉体よりほかに売るものをもたないあなたは何を売らねばならなかったか
だのにその子は不良で学校を嫌った
命令と服従の関係がわからなかった
先生の有難味というものがわからなかった
強いられることには何でも背を向けた
学校へは上級生と喧嘩しに行くのであった
一から十まであなたに逆らう手のつけられない「罰当り」だった
その子はあなたを殴りさえした
――その時その子が物陰で泣いていたことをあなたは知っていますか
それでもあなたはその因果な罰当りを天地に代えて愛さずにいられなかった

学校を追われた不良児は当然社会の不良になった
社会の不良は「えらい人」が何より嫌いでそいつらに果し状をつきつけた
「善良な社会の風習」に断乎として反抗した
その罰当りがここに生きている
正義とは何かを摑んで自分を曲げずに生き抜こうとする叛逆者の仲間に加わって
警察へひっぱられたり あっちこっち渡り歩いたり
飢えて死んでも負けるかと云って生き通している


お母さん!
あなたが死んで十年
だがあなたの腹から出てあなたを蹴った罰当りの一人息子は此の世に頑然と生きています


                    ◇

もっと優しい詩を紹介するつもりだったのですが、岡本潤なら、やっぱりこれかな……。この詩、何度読んでも、ぐっときます。わたしは社会主義者ではないけれど、岡本潤の作品には、シンパシーを感じるものがいくつもあります。

岡本よりはるかに若いランボーは、すでに、「ぼくは正義に対して武装した。Je me suis armé contre la justice.」と書きました。「正義」は、時に悲惨の生みの親であるのですから、「武装」する必要がありますね。でも岡本はそうしなかった。彼の「正義」は、「善良な」ものではなかったけれど、それもまた「正義」ではあるのでしょう。ランボーなら、「武装した」はずです。

このことは、詩にある種の「悔恨」を付け加える気がします。岡本さん、あなたは武装しようと思わなかったんですか? 「正義」が危ういことぐらい、気づかないはずないのに……。でもそれでは、「岡本潤」ではなくなってしまいますが……。

日本の、ほとんど知れらていない詩人の作品の中にも、いいものが残っていますね。

2008年11月19日水曜日

旅情


今日の東京はいい天気でした。やっぱり、気持ちのいいものですね。

昨日は、クルマを大学に「お泊り」させたので、今日は電車で大学へ。といっても、実は授業はなく、ただ雑用たくさん&会議のためです。

大学について資料室(という名のたまり場)でグズグズしていると、ハプスブルグ家が専門のドイツ語の先生がいらして、

「あ、いたいた。キヨオカ君さあ、12月6日の土曜日空いてるよね?」
「6日?」
「空いてるでしょ? じゃあ決まりね。事務のほうには報告しとくから。じゃ!」

と、電光石火、「6日」の仕事を引き受けていました。なんと、その日に駿河台校舎で開かれる、「留学生・日本語スピーチ・コンテスト」の審査員です。(わたしでいいんでしょうか……?)


でもこれは、イベントそのものが楽しそう。なんとか、厳正なる審査を心がけます! みなさんも、お時間がありましたら、どうぞご参加くださいませ。

さてその後は、波戸岡さんとランチへ。

「今日は外行ってみましょうか?」

ということで、外に行ってみることに。(C'est pour la première fois !)実はわたしは、同じキャンパス内にありながら、農学部のほうは行ったことがありませんでした。で、初めて見る温室や実験室を縫うように歩き、やがて裏門(?)から外へ。ポカポカの道をちょっと歩くとスーパーがあり、その正面を走るやや太い道沿いに、ポツポツとお店の影が。

とはいえ選択肢はラーメン屋と焼肉屋の2つしかなく、今日は前者に。(昨日、健康診断の成績表(と書いてあるんです!)が帰ってきたことと、まったく無縁とは言えません。)

白木のカウンターだけの、明るい店内。街のラーメン屋さんとしては、こざっぱりしています。ああ、なんとなく旅情を感じます。初めてのラーメン屋さんて、そうですよね? 

で、昨日の「特別講演」の話から始まり、「ポストモダン的状況(ほら、例の「大きな物語」が終わった時代、ということですね。)」で書かれる小説が、それでもやっぱりある「感動」みたいなものを突いていこうとすること、について話しました。(というか、教わりました。)

なんだか、こんなオジサンな歳になっているのに、わからないことが多いです。というか、わからないことばかりです。わかるのは…… 例の「東京詩」を調べて、なんだかそれとは直接関係ない詩もどんどん読んでいるとき、楽しいなあ、と思うということだけ。だから、そういう方向に行っていたいなあ、とは思います。(フランス語関係の仕事は、幸い振られることがあるので、これも続けるつもりです。)

午後は、雑用をてきぱき(?)こなし、6時からの会議に向かいました。でその会議が終わったのが9時! おそ! でももう慣れましたね。

ではみなさん、明日も元気で!

2008年11月18日火曜日

一日


阿部昭の短編に、「人生の一日」というのがありました。なんだか、そんな言葉を使ってみたくなる、色々あった一日でした。

まず朝ちょっと郵便局で古書代金を支払い、大学へ。フランス映画ゼミでは、前期にも見た『憎しみ』を見ました。わたしにとっては、多分5回目くらい。やっと、やっと分かった気がしました。

昼休み前半は研究室で学生とおしゃべり。彼は午後、「遺伝子に電気をかける実験」に挑むそうです。詳細は後日!

それから学食ランチ。今日は英語の波戸岡さん、中国語の林さん、そして台湾からの留学大学院生、Kôh さん、と食べました。主な話題は、中国の社会(主義)的市場主義。中国はこれまで、自分たちは共産主語的段階にある、と宣言したことはないそうです。で今は、社会(主義)的市場主義の段階にある、ということになっているそうです。う~ん……

次は、電車に乗って40分、明治の和泉キャンパスに移動。さっそく図書館に行き、貸し出し禁止の本の閲覧を申請。待つこと5分。出てきました、まずは三好達治の『捷報いたる』。これは戦争を賛美している詩集なのですが、手持ちの「全詩集」には入っていません。まあね、入れたくないでしょうね。で、どれくらいのものかと読んでみると…… いや、思った以上の戦争賛美。「鬼畜米英」的な視点が微動だにしません。

もう一冊は、岡本潤の『襤褸(らんる・=「ぼろ」)の旗』。実は『岡本潤全詩集』の古本(4000円)を注文したので、内容的には後でじっくり読めるんですが、なんだか早く読みたくて。(もちろん実物を見たい気持ちもありますね。)この本、よかったです。あのコミュニストの闘士が、こんな優しい詩を書いていたなんて、と、何度かほろっとしました。(今度、なにかご紹介しますね。)

でその次は、今日のメイン・イベント、久間十義さんによる特別講義です。これは…… すごくよかったです! 蟹工船ブームの背景などをとっかかりに、出版・流通のシステムを考え、さらに、そのどこで「文学」は可能なのか、を問い、ポスト・モダン小説なんか読みたくないのはつまり面白くないからで、小説家として生きることは、いわば博打を打ってるようなものだけど、それはどの仕事もある程度そうで、でもわたしはまだ「文学」を抱いています…… 

久間さんの話しぶりは、とてもなめらかで、全然飽きません。なんだか久しぶりに、堂々と「文学」を語る人を見て、ちょっと感動しました。(ただ、彼は無邪気に「文学」を標榜してるわけじゃありません。この恐ろしく「信用収縮」した観念=「文学」、かつては過大評価され、その後過小評価、あるいは相応の評価を受け、今は瀕死の「文学」が、読者や作品が消え、消費者と生産物が流通する時代となった今、それでも自分はなお、「文学」で生き死にするしかない……、ということです。)

そして締めくくりは、去年まで別の大学でよく顔を合わせていた経営学部の先生の研究室の訪問です。約束通り、待っていてくれました。で、近場の居酒屋に行くことに。で、ここではお相手の先生の小学生の息子さんが、少年野球で大活躍をした話を中心に、野球の話をしたのでした。

そして今、こうしてPCに向かって、読んでくださるみなさんのことを考えています……

2008年11月17日月曜日

雪ふりつむ


今日の午後、暖かいので外で本を読んでいたら、真っ赤な蜘蛛、それも体長1mmほどの小さな小さな蜘蛛が、本の上に落ちてきました。

今日読んでいたのは、大御所・三好達治です。(彼は1900年ちょうどの生まれなので、歳と年号が一致して分かりやすいです。)どうでしょう、一番有名なのは、デビュー作『測量船』に入っている「雪」なんでしょうか?

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

この詩を始めて読んだのは、たしか小学校1,2年だったと思います。チョーうろ覚えですが、たしか、雪の降る静けさがどうの、という解説があった気がします。

今日思ったのは、この2行詩は、ちょうど雪の一片一片が、揺れながら落ちて来るように、ちょうどそう見えるように、2行が寄り添っているのかな、ということでした。(縦書きで想像してくださいませ。)ほら、同じ字数で、上下が「、」で分かれ、家と屋根のようにも見えるし、その家の前を、今雪がちらちら舞ってくるんだけど、そのちらちらする感じが、「太郎」と「次郎」が並んでいるあたりに感じられるような…… しかも2回出てくるので、落ちてゆく風情だし。

とまあ書きましたが、こんなことすでに誰かが言っているかも。なにしろ大御所なので、研究書も多いようです。

ところで明日、明大前の和泉校舎で、久間十義さんによる「複製芸術としての<文芸>の今」という特別講義があります。(5時間目。16:20~)参加無料です。わたしはちょうど、和泉校舎の図書館に行きたいと思っていたので、セットにするつもりです。

それにしても、大学って色々やるんですね!

2008年11月16日日曜日

DU VIOLET


今日も天気がイマイチだった東京、で午後から、ちょっと気分転換にスタバでもぶちかますか! と思って出かけました、が!

なんかクルマの動きが変? で降りて見てみたら、Oh là là ! なんと右前のタイヤがパンクしています。も~、めんどくさい!(でも大学行く朝じゃなくてよかった……)

というわけで、行く先は急遽ニッサンに変更。おかげで午後の一時間ほどがつぶれ、財布もがくっと軽くなりました。(涙)

さて、その後はちょっとユニクロへ。まあこのところ、着るものを買うといえばユニクロかGAPくらい。履物はABC。なんだかな~、という気もしますが……

そういえば最近、いつもの総合文化教室の先生たちと学食ランチをしていたとき、珍しく着るものの話になったことがありました。「いやもう、ヨーカドーかなんかで買っちゃうよ」と、蛍光グリーンのスニーカーを履いている先生が言えば、「最近は奥さんが買ってきたもの着てますよ。昔は、ギャルソン(!)なんか着てましたけど、なんだか周りにそういう人が多くって」とおっしゃる先生も。

服ねえ…… 

大昔の話ですが、「傷だらけの天使」というテレビ番組がありました。その中で、萩原健一が着ていたのが、当時はまだまだ無名だったメンズ・ビギでした。わたしたちが、いいなあ、あのメンズ・ビギとかいうところの服、と思っていると、キクチ・タケオに率いられたビギはあっという間にスターダムに。そしてマツダのニコル、メルローズ、女性モノではイナバ・ヨシエのハーフ・ムーンなどが1時代を築きました。
学生だったわたしたちは、ほんとうに現場で、その盛り上がってゆく過程を肌で感じたものです。ビギのバーゲンなど、ある年はガラガラだったのに、翌年はかなり混雑、さらに翌年は入場制限、という具合に……

わたしの感覚では、カワクボ・レイやヤマモト・ヨウジが出てきたのは、その後だった気がします。そのころわたしは、イッセイやケンゾーのデザインが好きだったのですが、悲しいかな、イッセイの服はMでもかなり大きくて、全然着られませんでした。(値段的にも、バーゲンのときだけ、辛うじて手の届くものがある、という感じでした。その頃はまだ、鷲田清一のファッション論など、全然知りませんでした。)
ケンゾーの色は、それまで見たこともない色でした。着るには派手でしたが、見てる分には楽しかったですね。

その後はもう、群雄割拠、いろんなデザイナーがいました。記憶に残っているのは、Jean-Paul Gaultier でしょうか。お客さんに対するメッセージを、と言われた彼は、「オレの服をきる勇気を持て!」と言ってました。こんな強気なデザイナー、初めて見ました!

オジサンが服の話なんて、おかしいですか? ま、たまにはいいことにしましょ!

そう言えば、話題のH&M。フランスには当然だいぶ前からあります。でも…… フランスで時に使っていたレナさんによれば、品質的にはユニクロに軍配が上がりそう。日本で売られているものはまだ見たことがないので、たしかなことは分かりませんが。

じゃあここまでお付き合い頂いたみなさまに、フランスの若い女の子のファッション情報をお届けしましょう。実はわたし、ここ見るの、嫌いじゃないんです。(今年は紫らしいです!・画像)


この中の、mademoiZelle TV というところに入ると、彼女らのナマの声が聴けます。ちょっと面白いです。

では今週も、楽しくいまいりましょう!

2008年11月15日土曜日

マーラーとSOHA


さて、昨日の夜は、かつての同僚(といってもだいぶ年上なんですが)と久しぶりに会いました。

彼はもともとオペラが好きで、しかもCDではなくコンサートで聴くのが好き、という人だったのですが、昨日話しを聞いてみると、

「i pod 買ってちょっと音楽入れ始めたら、なんだか止まんなくなっちゃって…… 今はオペラ以外でもなんでも来いだよ」

で聞いてみると、バッハから現代音楽あたりまで、目ぼしいところはみんな押さえるつもりのよう。

「この前も、ショスタコヴィッチの弦楽四重奏全集買っちゃったんだよ!」

なんだか子供みたいに喜んでいます。というわけで、期せずしてクラシックの話を長々とすることに。と言ってもそこは素人同士、あの曲の演奏はこれがよかったとか、この演奏家はどうしてもぴんと来ない、とか、無責任に言い合うだけなんですけど。

で、マーラーの話になったとき、ふと10年ほど前の小さな経験を思い出しました。

「なんてことないんですけどね、昔、夕方頃に、歩いてたんですよ、買物帰りかなんかで。でたまたま通りかかった小学校で運動会をやっていて、なんだかちょうどこれから最後のリレーみたいだったんで、中に入って見てたんです。やっぱりね、リレーは見ていて面白かったですね。それから…… こっちもそろそろ退散しようかな、と思っていたら、すぐに全員で、整理体操が始まったんです。でその体操の曲、なんと、マーラーの10番だったんですよ!」

あの時は、なんだかとっっても驚きました。小学生たちが、マーラーで整理体操です!(ちなみにマーラーなら、わたしはテンシュテットという指揮者の演奏が好きです。)

「それにしても、オペラ以外は聴かなかったのに、変わりましたね!」
「ほんとに、もう自分が信用できないよ」
「?」
「だって1年前と、考えてることがだいぶ違うんだよ。このままじゃあ、また来年は違うこと言ってそうだ」
「マドンナもいいですよ!」
「それはどうかな」

いや、いいですよ、j'en suis sûr !

そういえば今日は土曜日でしたね。クラシックじゃないけど、1曲紹介させてください。Soha(ソア・画像)です。

http://www.dailymotion.com/relevance/search/soha/video/x3ea6p_soha-tourbillon-serremoi-fort-si-tu_music

サビはこうです。
                                             Dans ce tourbillon, qui m’entraîne
Serre-moi fort, si tu m’aimes
Tout est tellement plus beau entre tes bras
                                               この恋の旋風に、翻弄されてるの、
わたしを強く抱きしめて、愛してるなら
あなたの腕に抱かれてると、すべてがこんなにも美しいの
                                               1行目はやや意訳です。ちなみに半分くらいはスペイン語のようなので、そのおつもりで。もし歌詞全部ご覧になりたければ、こちらです。
                                       http://www.greatsong.net/PAROLES-SOHA,TOURBILLON-SERRE-MOI-FORT-SI-TU-MAIMES,102683222.html
                                              彼女はマルセイユ出身で、フランス人とアルジェリア人の血を引いているようです。日本でも、春にアルバムが出ています。(ていうか、先月ライブがあったのに、見過ごしていました……涙)で、くやしまぎれに(?)、ここで紹介することにしました。(ああ、惜しいことしたなあ……)

今夜


東京は爽やかな午前です。

さて、早くお知らせしようと思いつつ今になってしまったのですが、今日の夜、こんなイベントがあります。

BOOK246×明治大学DC系 連続トークセッション
見えるもの聞こえるもの ― What We See, What We Hear 
第2回 近藤一弥 × 倉石信乃 × 管啓次郎

「いま、デザインとは何か」

美術展ポスターから文学全集まで、幅広いデザイン活動を展開する近藤一弥さんを迎え、デザインの可能性を探ります。
近藤一弥 Kazuya Kondo:グラフィックデザイナー、アーティスト。http://www.kazuyakondo.com/
倉石信乃 Shino Kuraishi:批評家、詩人。明治大学DC系准教授。
管啓次郎 Keijiro Suga:翻訳者、エッセイスト。明治大学DC系教授。
2008年11月15日(土)18:00~20:00会場:BOOK246店内 入場料:500円 
定員:30名(要予約)予約・問合せ先:03- 5771- 6899(BOOK246)/info@book246.com

秋の夜長、「いま」な刺激を受けられそう。お時間があれば、お待ちしています!

2008年11月14日金曜日

コーヒー


今2年生の授業では、『ニキータ』のシナリオを読んでいます。これが、意外に難しいんですね。

学生たちには、分からないときは、字幕を参考にしてもいいけれど、どうしてそういう字幕になったのかを含め、ちゃんと自分なりに訳してくること。ユメユメ字幕丸写しのないように! と言ってはいますが…… 

さて今日の昼休みは、久しぶりに英語、中国語、写真の各先生たちと、一緒に学食ランチでした。なぜ久しぶりかと言うと、英語の管さんと波戸岡さんが、中国武漢での「環境文学学会」に出ていて、日本にいなかったからです。

管さんのブログ  http://monpaysnatal.blogspot.com/

中国のホテルはとてもよかったようなのですが、ただ朝食のビュッフェに、コーヒーが出ないのだそうです。

「でもスタバはまったく同じ味でしたよ」
「値段は?」
「たしか38元くらいだから……、日本より高いな」
「でも」と、カフェイン中毒(!)&中国語の先生の林さん。「今はスタバがあるのよねえ……」
「というと?」
「25年前は、武漢のどこ探しても、コーヒーそのものがなかったの。まあ今でも、コーヒーは外で飲むもので、家ではフツー飲まないの。だからわたしが家でコーヒーなんか飲んでると、中国の友だちは、ああおまえはなんてウェスタナイズされてるの! って怒るのよ!」

面白いですね。コーヒーがそんな扱いだなんて、考えたこともありませんでした。

わたしもコーヒーは好きです。酸っぱいのが好きなので、コロンビアなんかよく飲みました。昔はオフィス向けのコーヒー・メーカーの営業のバイトなんかもやったことがあります。が、最近はあまり飲みません。というのも、飲むと胃酸過多ぎみになっちゃうからなんです。(としゃあとりたくねえなあ! by Shimura, bis!)

ローレンス・ブロックのマット・スカダー(主人公の名前)シリーズ、マットはシリーズ前半、飲んだくれています。彼が愛飲するのは、コニャックのコーヒー割り。酩酊と覚醒、両方に引かれる感じがいいらしいのですが…… これも前に何度か試しました。(そのつど、胃が痛くなりました!)

それにしても、土産話って、いいですね。千一夜、いろんな土産話を聞きたいです!

2008年11月13日木曜日

ミュージック・レスキュー


今日は授業で、「半過去」をやりました。この「半過去」は、英語にない発想なので、味わいどころの一つだと思います。で、あれこれ尾ひれをたくさんつけて説明しました。(ま、眠そうだった人が皆無だったとは言いません! でも、じっくり付き合って聞いている学生たちも、もちろんいました。伝わったかな?)

木曜は5限まであるので、授業終わりは5:50です。それからちょっと学生とだべって、研究室で一服(といっても煙草は吸いませんが)して、それから帰り支度をして……

でクルマでラジオをつける時は、いつも J-WAVE のグルーブ・ラインです。この番組は、渋谷のHMVスタジオ(2階の奥・画像)で生放送してるので、もう何回か現場を見たことがあります。一番最近は…… 今週の月曜日! 例の飲み会の前に、HMV をぶらぶらするついでに、ちょっとのぞいてきました。(ピストンさんはお休みでした。)

たった一人だけ、プロのミュージシャンの知り合いがいるのですが、彼はハービー・ハンコックやアル・ディレオラとも共演したことがあって、ほんとにどんなジャンルの音楽もよく知っています。もちろんクラシックも。音楽学校で、作曲や編曲の授業も持っていたそうです。

でなぜ彼のことを思い出したかというと…… グルーブ・ラインの中に、「ミュージック・レスキュー」というコーナーがあります。これは、メロディーはなんとなく分かるけど、誰のなんていう歌か分からない! という人が、鼻歌でそれを歌い、聴いている人たちに教えを請う、という趣向です。これが、なかなか分からない。正解を聞いても、知らないこともよくあります。

で、このコーナーのことが、さっきのミュージシャンと話題になったことがあるんです。

「レスキューの曲、けっこう分かる?」
「あれね、チョー有名な曲ばっかりだもんね?」
「そう……なの?」
「知らない曲は出てこないでしょ?」

なんの衒(てら)いもなく彼は言うのですが……、そんなことありません。知ってる曲なんて、たまにしかありません! 

「そうなの? でも大学の先生たちは、新刊だったらみんな分かるんでしょ?」
「(ドキ!)いや、まあ、分かることも、ないわけじゃないけど…… みんな、っていうのとは、ほど遠いね」
「ああ…… まあCDの場合、1時間くらいあれば、とにかく1回は聴けちゃうから、1日に5,6枚はザラなんだけど、本はね……」

そうなんです、下手したら、読むのに何日もかかる本なんて「ザラ」です!

まあそれにしても、やっぱりプロのミュージシャンたちは、ものすごい量を聞いてるんだなあと、感心したのでした。

2008年11月12日水曜日

鮪の刺身が


東京は今日も曇り&小雨。さえない天気が続いていますが、明日はやっと晴れそうですね。

さて今日は、『山之口貘詩集』を読みました。

わたしが山之口貘の詩と出会ったのは、あれは高校の頃でしょうか、あるフォークソングがきっかけでした。高田渡作曲の「鮪と鰯」です。

鮪の刺身が食いたくなったと
人間みたいなことを女房が言った
言われてみるとつい僕も人間めいて
鮪の刺身を夢見かけるのだが

死んでも良ければ勝手に食えと
僕は腹立ちまぎれに言ったのだ
女房はプイと横に向いてしまったのだが
女房も亭主もお互いに鮪なのであって

地球の上はみんな鮪なのだ
鮪は原爆を憎みまた水爆には脅かされて
腹立ちまぎれに腹立ちまぎれに
腹立ちまぎれに現代を生きているのだ

ある日僕は食膳を覗いて
ビキニの灰を被っていると言った
女房は箸を逆さに 逆さに持ちかえると
焦げた鰯のその頭 その頭こづいて
火鉢の灰だとつぶやいたのだ。

冒頭だけのつもりだったのに、つい全部書いちゃいました。(すみません、記憶なので、行分けの具合など、マチガイがあるかも。)こんな歌、歌いましたねえ。ロックに目覚めるまでは、陽水やかぐや姫をよく歌っていたのですが、フォーク雑誌にたまたま出ていたこの歌は、歌詞の特殊さが際立っていました。もちろん、誰でも気づく特殊さですね。

で今日読んでいて、ああこれは親が「面白いよ!」と読んでくれた詩だ、と思い出したのは、「自己紹介」という詩です。

ここに寄り集まった諸氏よ
先ほどから諸氏の位置について考へてゐるうちに
考へてゐる僕の姿に僕は気がついたのであります

僕ですか?
これはまことに自惚れるようですが
びんぼうなのであります。

たしかに面白いです! これは今日読んだ詩集(1940年発行)に入っていました。「びんぼう」といっても、今とは違います。彼は詩を書きながら、汲取り屋までやっていたそうです。(にもかかわらず、「面白い」なんて書いて、それでいいんだとこちらが思えるところが、この詩の強さなんでしょうか?)

彼は沖縄出身で、琉球語で育ったそうです。琉球と言えばH先生です。今度何か聞き出しましょ!

2008年11月11日火曜日

Amélie


今日の「フランス映画ゼミ」では、前回に続いて『アメリ』を見ました。

『アメリ』といえば、最近最もヒットしたフランス映画という印象がありますが、2001年といいますから、もう7年前なんですね。(どおりで学生の誰も見てないわけですね。彼らは小学生だったわけだから!)

監督のジャン= ピエール・ジュネは、『エイリアン』シリーズ最低と言われる『エイリアン4』の監督です。というわけで、CGには強いんですね。フツーはCGなど使いそうにない『アメリ』のような作品でも、随所でその技術を生かしています。

学生の一人が言いました、これ「童話」みたい。……そう、全体の雰囲気といい、どこか現実離れしたストーリーといい、たしかに「童話」みたいですね。

CGが面白かった。……はい、きました。そう、面白いんです。ときめいてとろける「表現」として、アメリが水になって流れ落ちる場面、これは有名ですが、たしかに上手な映画的「表現」になっているとおもいました。ニノ(マチュー・カソヴィッツ)が、見知らぬ男の「スピード写真」と語り合う場面、これは小説ならモノローグになるところでしょう。いわゆる「内的葛藤」が、奇妙な味わいのやりとりに置換され、なるほどなあ、という感じでした。

ニノがポルノ・ショップで働いているという設定が、日本ではムリそう。……まさに。これはまず、文化的タブーの問題なんでしょう。たとえば少年マンガなどでは、濃厚なラブ・シーンはタブーです。同様に、「童話」にポルノ・ショップはうまくない気がしますが、そこはフランス。だって実際はあるでしょ! という感じで、いわば堂々と描いています。(ま、仮りに描かなくても、実際は在るわけですけどね。)

特に前半、ストーリーがない。……たしかに前半は、小さなエピソードをつないでゆく感じで、表立ったストーリーは見えにくいかも。ただ見終わって思うのは、もしこの映画が、「自分」に閉じこもっていたアメリが、世界との関係を回復する物語だとするなら、一見無造作に見える前半部分も、アメリの内的変化という「ストーリー」はあります、多分。

ん? 待てよ、この「ストーリー」の感じ、最近見たような…… おお、なんと『優雅なハリネズミ』に近いかも! しかも両方とも大ヒット作だし、細かな配慮は行き届いているし…… もしかしたらフランスでは、殻を壊して生まれ変わるお話は、人気があるのかも。

というようなことを、みんなでたらたら話しました。でもとりあえずは、楽しかったです!

チーム『ハート』再会


今日は夜、渋谷で飲み会があり、さっき帰宅しました。名目は、『ハートでビビッと』の打ち上げです。(ま、なんでもいいんですけどね。)メンバーは、NHK出版から編集長、テキストでもさんざんお世話になったA子さん、最近語学編集部に移ってこられたミサちゃんの3人、それからレナさん、『ハート』のブックデザインをしてくれたヒデちゃん、わたし、の計6人です。

なんだかんだ色々話しましたが、仕事の提案もいただき、ありがたい限りです。また、NHK出版宛に送られてきた手紙や葉書を、まとめて今日渡されました。その数約30通。中には、4月にお叱りの葉書(「もっと正統的な授業を!」)をくださった方が、やはりこの講座はこれでよい、前言は撤回する、とのお言葉も。千葉のS.H.さんはじめ、たくさんの方、どうもありがとうございました。やっぱり、最後まで楽しく続けられました! と言っていただけると、わたしも講座をやってよかったな~と思います。とはいえ、こちらにしてみれば、聞いてくださる方がいるからやりがいもあるので、実は C'est nous qui devons dire MERCI.( ありがとうと言わなければならないのは、わたしたちです。)

去年ラジオの仕事に実際に着手したのは、忘れもしない8月7日でした。まずはスキットを作り、徐々に解説も…… と進めたわけですが、ということは…… もうどこかで、来年の準備が始まっているはずですね。どんな先生が、どんな講座をお作りになるんでしょう? 楽しみです。

レナさんは、相変わらず元気でした。(ほんとに、相変わらず!)そのへんは、また明日!

2008年11月9日日曜日

私小説的


東京は、だいぶ寒くなりました。もう11月も半ばなので、当然と言えば当然ですが。

今日は日曜ですが、ふと気が向いて学校に行ってきました。もちろんガラガラ、ではあるんですが、そこは理工学部、研究室がある5階のフロアーには、今日も(多分)実験に来ている学生の姿がありました。

実は2,3日前、研究室用の小さな電気ストーブをスーパーで買いました。机に向かっている時でも、足元に置いておけるくらいの小ささです。今日が、そのストーブの début となりました。

で今日読んだのは、『耕治人全詩集』です。この本は、約1ヶ月前、「バルベリ&谷口」の準備に入る直前に、1度読みました。が、1ヶ月も経つと忘れちゃいます。(ほんとにこの頃、どんどん忘れます!「としゃあとりたくねえねえなあ!」 by Shimura) とはいえこの本は、厚くもないし、作品も難解ではないので、読むのは楽です。

ちょっと面白かったのは、「自筆年譜」です。いや、面白かったというのは語弊があるかも。(たくさんの別れがあります。)なんだか、私小説を読んでるような感じなんです。

ああでも、「私小説」なんて言うと、それってどうよ、と感じるかたもいらっしゃるでしょう。私小説をけなすのは簡単です。でも、私小説の良さももちろんあります。

耕治人の年譜は、ほんとに小さな、ごく個人的なことがらが中心になって進んでいきます。でもその流れをよく見ていると、背後に戦争や、治安維持法や、結核の脅威や、社会的としか言いようのないことがらが滲み出してくるのです。

個人を書くときには社会を意識すること、社会を描くときには個人を意識すること……。これ、小説を書くときの、心得の一つだそうです。

さて、またまた一週間が始まります。だんだん年末も近づき、みなさんお忙しいことでしょう。今週も元気に過ごしましょう! 暖かくして!(ああ、でもまだ衣替えしてなかった……)

2008年11月8日土曜日

Contre lui


今日の東京は、イマイチのお天気でした。昨日の夜の時点では、今日はバリバリ仕事する予定だったのですが…… とはいえ、ミスドで100円のドーナツは食べました(?)。

今朝の朝日新聞に、「フランク永井とその時代」と題する、編集委員による署名記事が載っていました。――1957年の「有楽町で逢いましょう」は、それ以前には多かった「望郷歌」とは一線を画し、「都市へのあこがれをかき立てた。」 そしてそれに続く「ムード歌謡」の興隆によって、それ「以来(……)、望郷の歌はほとんど作られなくなった。」

なんだか分かりやすい流れで書いてあるので、ふとそんな気にさせられますが、これにはちょっと異論があります。まず、「都市へのあこがれ」を刺激するものとして、「有楽町~」の歌詞にある「デパート」や「ロードショー」などが挙げられていますが、これはすでに27年前、「東京行進曲」が扱った題材ですね。1957年は、「あこがれをかき立てた」というのにふさわしい時代かどうか…… 

そしてより大きな問題だと思うのは、望郷の歌が今ではほとんど作られていないかのような、記事の調子です。

彼の言う「望郷の歌」は、単に故郷に帰りたがっている歌を指しているのではありません。たとえば「東京だよおっ母さん」や「チャンチキおけさ」のような、都市暮らしの中で感じるある種のザセツまでも含めています。そういう意味で言うなら、あります、望郷の歌は。驚くほどたくさん作られていると思います。たとえば、ゆずの「君は東京」、チャットモンチーの「東京ハチミツオーケストラ」、ケツメイシの「東京」……

名前を呼ぶ 君の声が 今も胸に残る
東京の街に住んで 大人になってたって
今も 君を思い出す               (ケツメイシ「東京」)


これ、望郷ですね。しかも、ほとんど「様式」とさえいえるような。

う~ん、やっぱり誰でも、まあいいか、とスルーしにくい話題というのがあるんですね。このへんのことは、わたしには「どうでもいい」とは言えないことなんです。(なぜなんでしょう? 自分でもよくわかりません。)

さて、日本シリーズです。明日は大一番ですね!(画像は「新宿の目」です。)

2008年11月7日金曜日

伝説の優等生


やっと金曜日。みなさん、今週もお疲れ様でした。(土日のある方、ご苦労様です。)

ブログを書いてらっしゃる方ならお分かりだと思うんですが、日々暮らしていて、お、これはブログネタになるなあ、と思う瞬間、ありますよね。やっぱり、誰かと話したり、なんかやったりした時は、そういうネタが多く生まれるようです。

というわけで、例の日仏の会は、たくさんのネタを供給してくれたので、なんだかそのことをしつこく書きそうなんですが、どうぞお許し下さい。というわけで、あの夜のこと余話・1、です。

あの会には、わたしの知り合いも何人か来てくださいました。(この前書いた、ブログを見てきてくださった方も、もう「知り合い」です!)まずは、みなさんごぞんじ、杉山利恵子先生。(学部こそ違え、明治の同僚なんです。光栄です!)それから(覚えてらっしゃるでしょうか?)ンディアイさんの会の帰りに一緒にしゃべった、ジュンイチロウさん。そして多分20年振りくらいに会った大学の同級生、ジュンコさんです。

ジュンコさんは、素敵なお嬢さんと一緒に来てくれたのですが、実は彼女、大学時代は絵に書いたような優等生だったんです。忘れもしない、「フランス文明史」のノートを借りたことがあるのですが、そのノートは今でも記憶にあるくらい強烈な印象でした。というのも、黒板に書いてあることはもちろん、フランソワ先生がペラペラしゃべったことまで、ちょっと段をずらして書いてあり、さらに、ときどき囲みが挿入され、そこには鋭い「問い」が、書き込まれていたのです。しかもそれは、明らかに授業中に書いたとしか思えず……

あとで分かったことですが、彼女はかつて白百合高校を代表する才女で、フランス語を学ぶ高校生の間では伝説的な存在だったそうです。というのも、どの全国模試でも、フランス語のトップは「○○ジュンコ」と書かれていたからです! そうとは知らず、「ねえねえ、ちょっとノート貸して!」と甘える、タイダな学生もいたのでした…… 困ったことです……(でも、借りたのは「フランス文明史」だけですよね? ジュンコさん!)

そしてそのジュンコさんも、今は素敵なお嬢さんのママです。まったくわたしたちはみんな、時の旅人なんですねえ……(ジュンコさんから、ひとつ仕事を頼まれました。あるCDのライナーノーツです。書けたら、また紹介させていただきます!)

2008年11月6日木曜日

復習!


さて、昨日の会の復習です。

会は7時からでしたが、わたしたちの集合時間は6時でした。(あんまり変わりません!)で、開始までの1時間で、会の進行を打ち合わせるのですが、実際はバルベリさんとわたしの間で、かなりメールで調整してありました。まあ、だから1時間で大丈夫、と考えたわけです。

全員集合したのが6時5分ごろ。それから、早川書房の人たちとのご挨拶があり、飲み物の用意(じゃあみんなお茶でいいね。Chaud ou froid ?  chaud の人は? はいはいはい。froid は? はいはい。じゃあ、trois chauds et deux froid ね?)があり、わたしや通訳の福崎さんが「サインお願いします!」なんて言ってて、打ち合わせ開始は6時半!(画像)

原案はわたしが作っていったのですが、その中でバルベリさんが「それやめましょう」といったのは1つだけ。バルベリさんはミステリーが好きで、谷口さんも『事件屋稼業』などのハードボイルド風の作品があるので、ちょっと「ミステリー/ハードボイルド」に触れた後、「今」そういう作品を作る意味について訊こうと考えたわけです。谷口さんには、しばらく離れていたハードボイルドを、「今」ならどう描くのか、バルベリさんには、今の文学シーンがポストモダンだとするなら、そこでどんなミステリーが可能か、という風に。しかし!

「ポストモダンは定義がはっきりした試しがないし、ポストモダンについて話すのは嫌いなの。今わたしは、旧モダン風に生きてるし!」

というわけで、この話題はボツとなりました。で実際にOKが出たテーマは、

・mangaとBDの違い→日仏の小説の違い 読者の質の違い 2人が受ける理由

・「絵」のこと。(谷口さんがエドワード・ホッパーが好きと伺って、なんだかとても腑に落ちる気がしました。バルベリさんがオランダ静物画が気に入っているのは、予想通り。ただ、ペーテル・クラエスは日本でマイナーだと聞いて、驚いてましたね。でも完全にマイナーでしょう。)

・mangaや小説にとっての、映画の影響。(『歩くひと』は、もともと担当者から「小津風なものを」と注文された、とおっしゃっていたのが印象に残ります。でももちろん、谷口さんの何かと響きあったのでしょう。また、この話題をバルベリさんに振るとき、わたしが「短く!」と言ったのは、もちろん半分冗談ですが、実は打ち合わせのとき、「小津のことは3時間話したい!」と言っていたからでした。)

・日仏の家屋の違い~引き戸(ここでは「空間の分割の方法」をテーマにしてもらいました。谷口さんの言うコマ割りの方法は、わたしは始めて聞きましたが、常識なんでしょうか?「コマの大きさは時間を表わす。そして場面が続けば横に開く。変われば縦に移動。」

・自然と人間(山、海、犬猫、動物、クジラ…… 谷口さんの計画には、『白鯨』も入っていました! 楽しみ!)

・食(『孤独のグルメ』の食べ物は、いくつか食べたけどおいしくないんですよ、と谷口さんが言ってましたが、いいんでしょうか!? バルベリさんは、ご自身では料理しないとのこと。でも個人的には、やっぱり少し作ってみたほうが、より「食」の理解が深まような気が……)

・哲学を描くこと (『神々の山嶺』は、素晴らしく思想的だと、バルベリさんは絶賛していました。)

バルベリさんは、自分の本の宣伝のことなんかまったく考えてなくて、とにかくTaniguchi について語りたくて仕方ないのでした。ほとんど「神」を語るようでした!「わたしの本は消えてゆきます。でも『神々の山嶺』は消えません!」

こうして書いていると、昨日の記憶がよみがえります。実は告白しますが、谷口作品は今まで読んだことがなかったのです。でも今回、かなり(ン万円分)読みました。その結果、何人かから「ずいぶん前から谷口ファンだったんですね!」と言われました。でも、谷口マンガ、これはたしかに素晴らしいです。前にも書きましたし、バルベリさんも強調していた通り、『神々の山嶺』は、ぜひ読んでみて欲しいです。あんな男、ちょっといません……

それにしても、無事終わってほっとしました。今日は授業があったのですが、それ以外の時間は脱力していました。でもまた明日からは、「東京詩」に復帰するつもりです!

@日仏学院


というわけで、「バルベリ&谷口」、(わたしとしては)とてもいい会だったと思います。(このブログを見てきてくれた方も、何人かいらっしゃいました。Merci bien ! Ravi de vous voir !)ただ今日は満員で、階段にも座っていただきましたが、それでも30人くらい入れなかったようで、申し訳ありませんでした。

谷口さんは、評判通りとてもマジメな方で、こちらのあいまいな質問にも一生懸命答えてくださいました。終了後は、サインを求める長蛇の列。しかも並んでいる方の半数近くはフランス人。しかもサインをもらった彼らの嬉しそうな顔! フランスでの谷口人気は、本物なんですねえ。

そしてバルベリさん。とても気さくで、率直で、可愛らしくて…… つまり、チャーミングな人でした。会場がなごやかな雰囲気だったのは、主に彼女のキャラによるものなんでしょう。一部のフランス人ファンは、会えただけでも幸せ! と顔に書いてありました。(多分そう。)

同時通訳(仏→日)の福崎さんは、わたしもかつて教わったことがあります。ずいぶん前ですが、パリで2人で食事したこともあります。そんな福崎さんと一緒に仕事ができて、光栄の至りでした。おそらく彼女は、日本1の同時通訳者ではないでしょうか? 今日も聞いていて、ほれぼれしました。

内容的にも色々ありましたが…… それはまた明日にしましょう。A demain !

2008年11月4日火曜日

神は細部に


今日の「フランス映画ゼミ」では、「アメリ」を見ました。公開当時はだいぶ話題になりましたが、15人のゼミ生の中に、見たことのある学生はいませんでした。(じゃあちょうどいい!)それはともかく。

今朝校内を歩きながら、ある女子学生とちょっと駄弁りました。彼女は応用化学科の1年生です。

「どう、専門の授業面白い?」
「大変なんです!」
「まあ、1年生はね」
「あたし、道間違えたかも」
「道?」
「応用化学じゃなくて……」
「なくて?」
「文系にすればよかった!」

あらら、それはまたずいぶん違う道にきちゃいましたね!?

「社会が苦手だから、まだ数学の方がいいかなって。なんだか、文系に行ったともだちのレポートの課題、楽しそうなんだもん」
「というと?」
「『アリス』を読んで、その時代の背景に合わせて、お話を作ってくるとか」

なるほど、それはたしかに面白そう! ただ時代を調べるだけじゃなく、その時代を「生きる」試み、なんでしょう。その先生も、うまいこと考えました。

「ほら、神は細部に宿るっていうじゃない?」
「……言いません」
「言うんだよ」
「ア、アサミ! おはよう!」
「……」

という、楽しい会話でした!

                   ◇

さて、いよいよ明日は「バルベリ&谷口」です。2人の接点にこだわりつつ、2人の世界を堪能したいと思っています。See you @ 日仏!

2008年11月3日月曜日

点灯


というわけで、11月はいきなり3連休で始まりましたが、いかがお過ごしだったでしょうか? こちらはなんと、今日もまた仕事してしまいました。どうも小心者なんですねえ、例の日仏の会が水曜なので、読み残しのないようにせっせと読んでいます。今日は、やはり谷口の、『ブランカ』の1,2と『エミネーゴ』です。

『ブランカ』は、カサ・ブランカの「ブランカ」、つまり「白い」犬の話です。といっても、ただの犬じゃありません。強烈に作り上げられた超戦闘犬なのです。ブランカは、途方もない距離を駆け抜けようとします、ある目標に向かって……

『エミネーゴ』は、古い作品ですが、去年復刊していたので、これも読んでみました。これはまあ、一言で言えば「ハード・ボイルド」なんでしょう。(それにしてはややアクションが多い、かな?)まったく谷口ジローっていう manngaka は、ほんとにいろんなジャンルが描ける人です。

さて、とはいうものの、3連休の間一歩も外に出ないのもナンだろうというので、夕方から、近くのスタバに行きました。

その店は車道に面してなくて、こう、広場風の十字路の角にあります。で、その角の真ん中に、まさに今日、巨大なクリスマス・ツリーが運び込まれていました。もうそんな季節なんですね!

店内は一杯だったので、やや寒い外に座ったのですが、目の前で進むツリーの準備の様子に、見入ってしまいました。そして最後には、ツリーの天辺の星型のイリュミネーションが点灯し、なんだかこちらまでホッとしました。(ただその明かりは、すぐ消されてしまいました。試し点け(?)だったのでしょう。)

さあ、明日からまた一週間が始まります。といっても、1日少ないから楽ですね。とりあえず、はりきってまいりましょう!

2008年11月2日日曜日

遥かな町で


昨日今日は土日だったわけですが、なんと、かなりまじめに仕事しました。(えらい!)なぜか体調もよく、量も捗ったし、楽しかったので、よかったです。

仕事、なんていいましたが、これは昨日も書いた通り、バルベリさんと谷口さんのことを調べたり、作品を読んだり、という作業です。谷口さんがフランス語で受けているインタヴュー(1)とか、2007年にフランスで最も売れた作家10人(2)とか、あとは送ってもらった資料を読んだりとか、そんな感じです。



で今日読んだのは、谷口ジローの『遥かな町で』です。これ、日本でもフランスでも賞を獲ってるんですが、oui、とてもいい作品です。

主人公は48歳の会社員。彼は出張の帰り、ふとした気まぐれで郷里の鳥取に寄ります。で、懐かしいお寺の境内に入り…… 眼が覚めると、彼は14歳に戻っていました。なんて体が軽い! でもこれ、夢のはず……

でも夢じゃないらしい。ああ、妹がこんなにちっちゃい、それから…… ああ、お母さん! でも待てよ、僕が14の時って言えば、お父さんが失踪する年だ! どうしよう! 明日から新学期らしいし!

と、やたら「!」を打ってしまいましたが、ね、読みたくなったでしょ? この manga は1400円。必ず元はとります。mannga はどうも…… とおっしゃるあなたも、ここを読んでくださっているなら、ほぼ間違いなく面白いと思うと信じています。そして谷口ジロー恐るべし! と思うのは、あの『神々の山嶺』とは、まったく別の世界をきちんと描ききっている点です。

ついでに1つ。新潮文庫に、『リプレイ』という小説があります。これもまた、おじさんが、ある日18歳に戻る話です。こちらの主人公は、記憶を頼りに競馬や株をやり、大儲けします。そしてやがて「あの日」が近づき…… 目覚めるとまた、18歳から「リプレイ」することになるのです。これもまた、◎です!

さて、みなさんなら、どうします? 明日の朝目覚めた時、14歳になってたら……? 

Sakura-Momiji


Bonjour !  さわやかな日曜になりそうですね。さっきバルベリさんが、一昨日訪問した琵琶湖で撮った写真を送ってくれました。(Son mari est photographe.)サクラ(どうして咲いてるの!?)と紅葉が同居していますね。

では、Bon dimanche à vous !

2008年11月1日土曜日

宗方姉妹


このところ、完全に『優雅なハリネズミ』と谷口ジローにハマリきってます。で今日は、『ハリネズミ』に登場する小津安二郎の映画、『宗方姉妹』を見ました。(『むねかたきょうだい』と読ませるようです。)

これは、1950年の作品で、主役は画像の2人、田中絹代(左)と高峰秀子です。この2人が、「古い/新しい」価値観を代表していて、その父親は、おなじみ笠智衆です。ちなみに、田中の夫が山村聡、恋人(?)が上原謙。これはこれは、大変な豪華メンバーです。

この映画、初めて見ました。小津の中でも、マイナー作品と言っていいと思います。というのも、DVDボックスにも収められていないし、近所の2軒のレンタル・ビデオ屋さんには、置かれていなかったからです。(アマゾンで買いました、奮発して!)

『ハリネズミ』に出てくるのは、笠と田中がしゃべっている場面。苔寺を訪れたあとで、その庭が美しかったこと、特に、そこに落ちていた一輪の椿が鮮やかだったことを語り合います。

椿は、le camélia です。(『椿姫』なら La Dame aux camélias ですね。)この花が、『ハリネズミ』の中で何度となく現われ、さまざまな解釈を誘います。

そういえば昔、『都市空間の文学』という、とても話題になった本がありました。名著、と言っていいと思います。例えば『舞姫』なら、あのベルリンの大通り、ウンテル・デル・リンデン(でしたよね?)が、主人公の住む世界と、恋人の住む世界の境界線であり、それは現実のものでありながら、ある象徴的な価値をも負っている、というような話でした。

この『ハリネズミ』を読んで、久しぶりにそのことを思い出しました。というのも、主人公たちが住むアパルトマンは、空間的に上下左右に構成され、その廊下は、いくつもの世界を断ち切りながら、同時つなげているものとして出現しているからなんです。また管理人の部屋は、いわば二重構造になっていて、奥の部屋は(管理人の隠された美意識同様)外からは見えないのです。

バルベリさんが、どこまで意識的に組み立てたかはわかりませんけど、まったく無意識だったとも思えません。そう、そのへんも、水曜日に訊いてみましょう。

             ◇

実はわたし、この4月から今の明治大学理工学部というところでお世話になっているのですが、考えてみたら、まだここに来て7ヶ月しか経ってないんです。なんだか毎日濃いので、その何倍か経っている気がします。まあ8月までは、「まいにちフランス語」もあったし。

それはともかくあと2ヶ月。なんとか、しのぎ切りましょう!