2008年11月11日火曜日

Amélie


今日の「フランス映画ゼミ」では、前回に続いて『アメリ』を見ました。

『アメリ』といえば、最近最もヒットしたフランス映画という印象がありますが、2001年といいますから、もう7年前なんですね。(どおりで学生の誰も見てないわけですね。彼らは小学生だったわけだから!)

監督のジャン= ピエール・ジュネは、『エイリアン』シリーズ最低と言われる『エイリアン4』の監督です。というわけで、CGには強いんですね。フツーはCGなど使いそうにない『アメリ』のような作品でも、随所でその技術を生かしています。

学生の一人が言いました、これ「童話」みたい。……そう、全体の雰囲気といい、どこか現実離れしたストーリーといい、たしかに「童話」みたいですね。

CGが面白かった。……はい、きました。そう、面白いんです。ときめいてとろける「表現」として、アメリが水になって流れ落ちる場面、これは有名ですが、たしかに上手な映画的「表現」になっているとおもいました。ニノ(マチュー・カソヴィッツ)が、見知らぬ男の「スピード写真」と語り合う場面、これは小説ならモノローグになるところでしょう。いわゆる「内的葛藤」が、奇妙な味わいのやりとりに置換され、なるほどなあ、という感じでした。

ニノがポルノ・ショップで働いているという設定が、日本ではムリそう。……まさに。これはまず、文化的タブーの問題なんでしょう。たとえば少年マンガなどでは、濃厚なラブ・シーンはタブーです。同様に、「童話」にポルノ・ショップはうまくない気がしますが、そこはフランス。だって実際はあるでしょ! という感じで、いわば堂々と描いています。(ま、仮りに描かなくても、実際は在るわけですけどね。)

特に前半、ストーリーがない。……たしかに前半は、小さなエピソードをつないでゆく感じで、表立ったストーリーは見えにくいかも。ただ見終わって思うのは、もしこの映画が、「自分」に閉じこもっていたアメリが、世界との関係を回復する物語だとするなら、一見無造作に見える前半部分も、アメリの内的変化という「ストーリー」はあります、多分。

ん? 待てよ、この「ストーリー」の感じ、最近見たような…… おお、なんと『優雅なハリネズミ』に近いかも! しかも両方とも大ヒット作だし、細かな配慮は行き届いているし…… もしかしたらフランスでは、殻を壊して生まれ変わるお話は、人気があるのかも。

というようなことを、みんなでたらたら話しました。でもとりあえずは、楽しかったです!