2010年5月30日日曜日

Fala


ごぶさたしました!

金曜には、通常の授業の後、例のとんかつ屋へ総勢4名で繰り出し、
その後、共同研究の今年の予定について話し合い、一応の方向を見出しました。

同僚たちは、この週末、神戸の学会に行ったり、
名古屋で座談会をした後、台湾に向かったり、
子供の運動会があったりと、みんな忙しそうです。

わたしはといえば、
土曜には、いつもの収録があり、ナオコさんの九州土産である「めんべい」
(ってご存知ですか? わたしは初めてでした。めんたいこせんべい、です。
なかなかいけます!)や「ひよこ」、そしてCD 担当のマユミさんのお土産もあり、
豪華なおやつタイムでした。

収録後、約1 時間ほど別の打ち合わせをし、
センター街を抜けて駅に向かいました。

(Is Shibuya burning ? - Yes !)

       ◇

ではまったく唐突ですが、最近わたしが1番気に入っている曲、
ご紹介させてください。Tom Diakité というマリ出身のミュージシャンです。
Fala という曲です。

http://www.youtube.com/watch?v=OqP_3aUMAws

理由ははっきりしないのですが、なんだかわたしの鼓動と同調するんです!

この曲には、どうやらフランス語版があるらしく、今注文しているのですが……
早く聞いてみたい!

2010年5月27日木曜日

歴史とエムリン


今日は、隣の研究室の清水さんとランチを食べました。
わたしは豚の生姜焼き定食(840円)です。大学からだと、
クルマで5分ほどのところなんですが、学食よりだいぶおいしいです。

清水さんは江戸期の儒学がご専門です。その分野、わたしはZEROです!
で、話しの背景にあるスキーム(っていう言い方でいいんでしょうか?)が
ちらりと見えると、ああそういう風に見えるわけね、と感心してしまいます。

わたしなどは、学生に「歴史感覚を!」などと言っている割には、
歴史は苦手。(受験だけは世界史だったんですけどねえ…… 涙)
なんとかおぼろげに感じられるのは、フランス革命のちょっと前くらいまで。
つねづね、たとえば神聖ローマ帝国についての菊池先生の本を熟読して、
もっと長いスパンをリアルに感じられるようになりたい、
とは思っているんですが……

で清水さんは江戸なので、これはフランス革命よりだいぶ前からだし、
むろんそこまでの流れもあるのでしょうから、わたしとは、
感じている「長さ」がだいぶちがうでしょう。いいなあ。

(ただ同時に、Il faut être absolument moderne. 
「絶対に現代的でなければならない(ランボー)」
っていう気持ちは、変わらないんですけどね。)

身近なことでいえば……
中国は13億人と言われているけれど、第2子で、
戸籍を持たない人もままいるようなので、
これは「最低でも13億人」という感じだろう…… ということでした。

(これはフランスの移民率に似てますね。一応8%なんていってますが、
これはもちろん登録してない人は含んでいない数字です。
ほんとうはどれくらいなのか、誰も知りません!)

そうそう、これはついこの前林さんに教えられたのですが、
1896年、例のリュミエール兄弟が開発した映写機が、
日本にも船で運ばれてきたと。そしてなんとその同じ船に、
日清政争の賠償金も積み込まれていたというのです!

う~ん、歴史の歯車は、こんな出会いを生み出すんですねえ……

         ◇

さて、今日の「今週の1曲」、いかがでしたか? いいでしょ、エムリン?
残念ながらYou Tube にはないんですが、
おお、batayam のブログにこんな技が!

http://batayam.blogspot.com/

これこれ。

このエムリンのCD(画像) は、
モントリオールのハイチ音楽専門店で買ったものです。
わたしがエムリンを買うと分かったら、
ものすごいBIG SMILE を見せてくれたお店のおじさん。
彼もエムリンの大ファンだそうです。

2010年5月26日水曜日

7枚


1か月ほど前、たった「7枚」書くのにすごく緊張している、ということを書きました。
ネット上に広告が出始めたので、ご報告させてください。

「7枚」は、吉本隆明さんの『父の像』の、文庫版解説です。(画像)
この本は、かつて「ちくまプリマーブックス」の1冊として刊行されたものですが、
今回文庫化するにあたって、その解説文を書かせていただいたわけです。

わたしにとっては、吉本さんは雲の上の存在。
解説なんて恐れ多いのですが、とにかく、心をこめて書きました。

自分なりに気になったことを調べたりもしたのですが、
実際には、調べたことは書かずじまいでした。
調べたことなんかより、吉本さんの文章に寄り添うほうが、
ずっとよかったからです。

『父の像』は2部構成で、
前半は、吉本さんの好きな文学者の作品を通して、
そこに現れる「父の像」を探っていきます。
そしてそこからは、「父の像」だけでなく、
「時代」の輪郭もリアルに伝わってきます。ここは読みどころのひとつです。

そして後半は、吉本さん自身の「父の像」です。これはねえ……
散文なんですが、もう、詩です。

発売日は6月9日。ちくま文庫です。
ぜひ。

2010年5月24日月曜日

白っぽい名前


さて、5月も最後の週です。

ラジオ・イタリア語講座、なんとか続いています。
(あくまで「なんとか」で、活用もあやしいですが。)
所有形容詞の前に定冠詞がつくケースがあるのに驚いたり、
うまく答えられると喜んだりしています。
4半世紀前にやったラテン語の授業が、ごくうっすらよみがえったり。
(ラテン語、ぜんぜんモノになってません!)

           ◇

さて、6月12日から、岩波ホールで待望の映画が公開されます。
『パリ20区、僕たちのクラス』です。この映画は、とっても気になります。
カンヌのパルム・ドールを受賞しているので、ご存知の方も多いでしょう。

雑誌「ふらんす」の5月号には、シナリオの抜粋が出ていて、
わたしなどはこれを読むだけで盛り上がってしまいます。
英語版の予告編です;

http://www.youtube.com/watch?v=A8PBbJroh4E

ちょっと検索すればすぐわかるのですが、
You Tube には日本語の予告編もあります。でも、これがちょっと…… 
むりやりヒューマン? 音のつけ方もどうも……
もちろん英語版の予告編にも、お国事情は感じるわけですが。

原題は Entre les murs 『塀の中』。
邦題とは、だいぶ印象がちがいますね。

とにかく、これは見ないと!
(映画ゼミの課題にしようかなあ。)

2010年5月23日日曜日

Night Show


今日の東京は1日雨で、わたしもふり込められた、という1日でした。
(昨日は収録で渋谷まで行ったので、
雨が昨日じゃなくてわたしはラッキーでした。
収録は快調、ってことにしときます! レナさんも元気です。)

で夜の9時ごろだったでしょうか、
突然目の前のPC をはじめ家中の電気が消えました。
ブレーカー? かと思って見に行きましたが、おや、下りてない……
でふと窓から外を見ると、おお、街はほぼ真っ暗です!

わがおんぼろマンションは、V字型の、つまり谷の中腹にあるので、
向かい側の斜面と向かい合う感じなのです。
で、その斜面が黒い森のように静まり返っているのです。

まもなく、マンションがざわざわし出し、
懐中電灯があちこちで、季節外れのホタルのように揺れています。
そして……

所在なく黒い斜面を眺めていると、なんの前触れもなく、
ハラハラハラっと、斜面に点々と灯りが広がり始めました。
なにかが目を覚ますように。
波打つように。

思いもしない、一瞬のショータイムでした!

2010年5月21日金曜日

Relax, Max !


さて、本日の「今週の1曲」は、Marie So(画像) の Chaque Jour でした。
これです;

http://www.youtube.com/watch?v=mOUuUdcOTv4

Relax... relax...(ルラックス……)
このMarie So が、初めて登場した白人ミュージシャンですが、
録音はリオで、ワキを固めるのもリオのミュージシャンです。

このCD は、渋谷のHMV の「たたき売りコーナー」で買ったものです。
売れなかった、ってことなんでしょうが、このCD は全体的にこんな感じです。
もしもこの曲がお気に召したら、アルバムもいいかも?
Marie So, la plus brésilienne des chanteuses françaises...


さあ、明日は恒例の収録です。
きっとまた楽しいです!

2010年5月20日木曜日

つぶやき


今から23 時間前のことです。こんな「つぶやき」がありました。

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清岡智比古「フランス語ワールドへの招待」第3回
(NHKラジオ「まいにちフランス語」6月号)
6月なのでワールドカップ。カメルーンからアルジェリアの話。
フランス語ワールド=フランスと思ってしまう、ということに驚かなくては。
リンダ・タリーの曲は聴いたことないので、放送が楽しみです。

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Merci beaucoup !  一緒に驚きましょう!
そして期待してくださいませ!
 
この小文の中で、宇波彰先生の文章を引用しているのですが、
実は先生のお宅、わたしの実家と背中合わせなのです!
完全に偶然……

Now on sale ! & sorry...


「まいにちフランス語・6月号」、めでたく本屋さんに並び始めました。
ああ、もう6月号なんですね。
めでたくこのテキストが終われば、講座の半分が終わったことになります。
楽しみましょうね!

と言ったそばから、いきなり訂正です。Vraiment désolé !(涙)
問題の個所は、35ページ。下から5 行目の右はじのカッコの中です。
ここに 
du = de + le
とありますが、これ、間違いです! このカッコ、削除してくださいませ。
しかも1つ上の行に、思いっきり「部分冠詞」って書いてあるし……
ほんとにすみません。お詫びして訂正させてください。

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昨日のニュースに、こんなのがありました。

 「豪族の送霊船を描いた円筒埴輪など出土 京都」


おもしろいですねえ……
なんでも、縄文人の死生観を調べる資料になるそうです。

死生観、というのは、重要な問題ですね。
死や生をどういうものと考えるか、というのは、
大きく言えば、「すべて」に関わってくるでしょう。

輪廻の輪が1 回転したと思うのか、
神の国に入ると思うのか、
はたまた千の風、あるいは星になると考えるのか……

                ◇

明日、東京では30度に迫るらしいです。夏よ来い!

2010年5月18日火曜日

U と読みたい? Q トな本たち!


来る6月26日、ジュンク堂池袋本店にて、
わが同僚・管啓次郎さんとトーク・イベントをすることになりました。

http://www.junkudo.co.jp/tenpo/evtalk.html#20100626ikebukuro

以下、管さんのブログから引用すると;

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主題は白水社が誇る新書判シリーズ、Uブックスと文庫クセジュ。日本の出版界でも確固たる位置をしめる、おしゃれで中身のある「白い」本たち。

ごくごくゆるやかに「フランス」との関係をむすぶこれらの本たちとわれわれとの、はかなくも熱烈であっさりと濃厚なラヴ・ストーリー、かも。
遊びに来てください!
 
*************************************************
 
ということです!
 
わたしはともかく、
管さんが「フランス」との関係を正面から語る機会と言うのは、
かなり貴重ですね。もちろん、管さんの話が、
「フランス」に閉じこもるはずもないですが。
わたしも楽しみにしています!

2010年5月17日月曜日

リル


金曜日に(つづく)と言ったきりでしたので、ちょっと続けさせてください。

中国語の新人・清水先生の歓迎会を、いつもの会議室で開き、
その後2次会に出かけるという話でした。行き先は通称「昭和のスナック」。
わたしは初めてでした。

今までにも行く機会がないわけじゃなかったのですが、
そして先週の金曜も、翌日に収録があるのはわかっていたのですが、
それでもちょっと行ってみる気になったのは……

会議室でおしゃべりしている途中、もちろん本気じゃないのでしょうが、
いつも頼りにしているドイツ語の菊池先生が、

「『ようこ』でテネシー・ワルツを聞かないと、総文のメンバーとは言えないな!」

とおっしゃいました。テネシー・ワルツの歌い手は、最年長の金井先生です。
不思議ですねえ、その時に限って、ああたしかにそうかもな、
と思ってしまったのです。
だから、一応帰る方向で支度していたのですが、結局最後は、
「ようこ」にお供することになりました。

「ようこ」は、カラオケ・スナックというんでしょう、
長細い店内の半ばまでカウンターが伸び、奥にはボックス席。
とはいえ、15人も入るのは難しかろう、という広さです。
ああ、そしてここはたしかに、「昭和のスナック」でした。

「ようこ」さんは、赤系の花柄プリントのドレス、
金井先生とは顔なじみのようです。どうも同世代のようだし。

さてカラオケです。ざっと曲目をご紹介しますと;

新人(中国語)  :雨上がりの夜空に
中堅(中国語)  :雨の御堂筋
中堅(英語)    :人生を語らず
ベテラン(英語)  :夢一夜
大ベテラン(英語):テネシー・ワルツ/上海帰りのりル

テネシー・ワルツ、聞きました。納得しました!
みんななかなかお上手で面白かったんですが、1つ新鮮だったのは、
やはり金井先生が歌うところの「リル」です。

若いみなさんはご存じないかもしれません。
この歌は、終戦後5年ほどたったころのヒット曲のようです。
わたしは、なぜか歌えます。(リアル・タイムじゃないですよ。)
で……
「リル」は、考えてみたら思いっきり「引き揚げ者」の歌です。
そしてわたしの父親も、金井先生も、引き揚げ者なんですね。
何度も聞いた「リル」なのに、金井先生が歌うのを聞いて初めて、
実感として「引き揚げソング」であることが身に沁みました。

店を出ると、雨が降っていました。
でも、こんな夜も、人生にはあってもいいかもしれません。

Women are heroes


おもしろい! と気軽に言うのがためらわれるおもしろさ。

http://www.dailymotion.com/video/xambh2_jr-extrait-women-are-heroes-kibera_creation

JR は写真家で、『28ミリメートル―ある世代の肖像』という写真集があります。
以下、昼間賢さんの文章を引用します。

*******************************************

(JRは)クリシー・スー・ボワ在住である。
クリシーといえば、2年前の「暴動」の発火点となったパリ郊外の自治体だ。

JRは、以前から撮りためていたクリシーの友人たちの顔写真を大きく引き伸ばして、
2004年、つまり「暴動」の1年前に、地元の団地の壁面に展示した。
翌年からは「Kourtrajme」というアーチスト集団のメンバーであるLadj Lyの協力を得て、
パリの街中で、非合法的に、少しずつ顔写真を貼り付けていたところ事件が起こった。

二人は、アクシデントを逆に利用して、2006年4月、パリ中心部のマレ地区で、
多目的ホールの壁面に写真を貼り付けた後、
ケルヒャー社製の放水器で「掃除する」という離れ業を演じた。
そのとき展示された写真に、撮影された若者のコメントを付記し、
映画『憎しみ』の主演俳優ヴァンサン・カセルの序文を戴いてできたのが
『28ミリメートル』である。

ケルヒャーとは、
内相時代のサルコジが「社会のクズはケルヒャーで一掃する」と断言した、
あのケルヒャーだ。

*******************************************

で明日のゼミ、またまた『憎しみ』を見ます!

2010年5月15日土曜日

Ryu-chan on the Net !


今日は土曜日。いつもの通り無事収録してきました。
収録は、いつも楽しいです!
で、ご紹介したいこともあるんですが……
それに昨日は、(つづく)と書いたんですが……

明日は日曜で、みなさんも比較的お時間があるかもしれないので、
その間にぜひ読んで欲しいものがあるんです。
ですので順番を繰り上げて、急遽推薦いたします。
あの黒田龍之助さんの人気講演が、なんとネットで公開されました。
これです;

http://www.sanshusha.co.jp/kuroda/index.html

おもしろくてタメになって、厳しくて愛に満ちています。

黒田さんとわたしは、
「四ツ谷」と「大岡山」と「生田」とNHKと and more で繋がりがあるんです。
もちろん、言葉についての考察の深さでは、
黒田さんの足元にも及びませんけど。

ぜひぜひお読みになってください。超推薦です!

黒田さん&三修社さんに、感謝……

2010年5月13日木曜日

Nous pensons à vous.


かつてわたしがAmadou & Mariam に出会った曲、
それが今日「今週の一曲」でご紹介した Je pense à toi. です。

http://www.youtube.com/watch?v=av3iJh5wwfM&feature=related

陳腐な言い方ですが、名曲だと思います。

              ◇

今日は午前中に2コマ授業があり、そのあと割りと急いで帰宅し、
土曜の収録の準備の続きをやり、
夕食後は「大連で餃子を」の最終回のゲラを直すという、
気分的には「3本立て」な1日でした。
(というか、まだゲラ直しは続くんですが。)

明日は会議の後、今年から総文の同僚になった、
中国語の清水さんの歓迎会があります。
といってもすでに、この前分からないことを教えてもらったりしてるんですけどね。
(明治維新後、儒教は庶民にとってどう映っていたのか、みたいなことです。
まあ雑に言っていいなら、古い、と感じられていたそうです。)
研究室もお隣なので、色々教えてもらえそうです。

              ◇

タケちゃん関連では、やさしいメールをいくつかいただきました。
ありがとうございました。
(Junichirou さん、返信が拒否られてしまいました!)
というわけで、一つ追加で書いておくと……

すべての『フラ語』のデザインをしてくれているカオリンは、
訃報に接した後、3日くらいあまり仕事にならなかったそうです。
特に連絡を受けた直後は、さっさと仕事をやめてしまったと言います、
ふだんは、基本終電近くまで働くらしいんですが。

「でね、帰ろうと思って電車に乗ったら、なんと、目の前に座っていた男の子が、
『エクスプレス・ポルトガル語』読んでたの! あれって、
タケちゃんの担当で、わたしが装幀やらせてもらった本なの。
わたしね、自分がデザインした本を読んでる人見たの、初めてだったの!
ああ、もう言葉が出なかった……」

なんの偶然なんでしょうかねえ……

2010年5月12日水曜日

The Show must go on.


というわけで、昨夜と今日、「RIP タケちゃんの会」が行われました。
この、無宗教の自由葬の様子は…… 管さんの文章が紹介してくれています。

http://monpaysnatal.blogspot.com/

それにしても、「笑いあり」のお別れ会って…… ステキ! 
男性からも女性からも愛されたタケちゃんでした。(特に後者!)

           ◇

今日のお見送りは、わたしは午前中に終わりました。
で、せっかくなので、以前タケちゃんと行った新宿のうどん屋へ。
(新宿の美々卯です。)
それからABC とジュンク堂をはしごし、なんだかヤケ買い(?)して、
両方の店とも配送をお願いしました。
普段はもちろん(と言っていいのかな?)、本やCD を買うのはもっぱらamazon。
日本、フランス、たまにカナダを使います。が、
やっぱりこうして本屋さんでぱらぱらしながら選ぶのは、いいですね。
amazon とちがって、おお、こんなのがあった、ということも多いし。

そういえばジュンク堂には、語学書のCD のための試聴機があるんですが、
ここにデモされていた3枚の中に、『フラ語入門』のCD が含まれていました。
こういうのは初めて見たので、違う意味で、おお、と思いました。
(でもどうしても、タケちゃん見て見て! とも思ってしまうんですけどね。)

それから、まだ幼稚園に通う姪の誕生日プレゼントを買いに、サブナードへ。
注文されていたのは、バレーの練習用レオタード。
親切な店員さんに助けられて、ラベンダーのものをゲット。即発送。
明日、喜んでくれるかな?

2010年5月10日月曜日

Requiescat in Pace 須山岳彦(1963-2010)・3



『ル・フランセ・クレール』の収録は、とてもいい雰囲気でした。
聞けばタケちゃんは、レナさんがまだ高校生だった頃、
一緒に仕事をしたことがあり、
その後レナさんはフランスの大学校に行っていたので、
この時が数年ぶりの再会とのことでした。
もちろん、レナさんの帰国を、タケちゃんは知っていたわけです。

収録後、レナさんはわたしたちに言いました、
フランスでビジネスを勉強して、実際働いてもみたけれど、
わたしは日本でフランス語の先生になることにした、
ビジネスは好きだけど、フランス語教育のほうがもっと好き!

その後、タケちゃんとレナさんはたくさんの仕事を一緒にこなしたはずです。
そしてわたしにもまた、
タケちゃん&レナさんと仕事をする機会が巡ってきました。
『フラ語デート会話、恋ってどんなものかしら?』です。

これはようするに、恋する二人が、
東京のあちこちをフラ語デートする、というものです。
でその場所と言うのが……

その日、タケちゃんとわたしは新宿で待ち合わせしました。
そしてまず向かったのがHMVです。本の中の二人が、
HMV の視聴機の曲についてあれこれ言う場面があり、
そのCD 用の背景音を録音しに行ったのです。
もちろん、場所が場所だけに、録音終了後も、
いろんなコーナーに引っかかったのは言うまでもありません。

次に向かったのは、東口の吉野家です。
ここではどうしても、店員さんの、
「つゆだく一丁!」
を録音する必要がありました、本の会話に合わせて!

わたしたちは2階に上がり、
中国系と思われる女性の店員さんと少ししゃべりました。その結果、
「つゆだく」の上にもうひとつ、
「つゆだくだく」という選択肢があることを知りました。

じゃあ清岡さんつゆだくにしてください、
わたし、だくだくいってみますから。

そしてCD には、見事に、
「つゆだく一丁、つゆだくだく一丁!」
を収録することができました。

そしてわたしたちは電車に乗り、さて今度はTDL です。
これはまず、車内のアナウンスを録音しなければなりません。
「次は、舞浜~」です。
そしてさらに大事なのは、舞浜駅に流れる、ご存知あのメロディー。
TDL 入口付近のざわめきもまた。

なんだか、40男が二人してTDL の周辺をさまよっているのはミョーでしたが、
タケちゃんはどこでも溶け込める人ですし、
わたしもそんなタケちゃんと一緒なら、浮世離れも楽しいものです。

で、TDL 関連の収録も無事終わり、最後はまた新宿に戻り、
スタバの店内の録音です。これは、高島屋の前の、
うなぎの寝床様の店で敢行しました。
うまくいきました!

こうした背景音を駆使し、また、レナさんとアレックス君の協力を得て、
『デート会話』のCD は完成しました。
このことがなかったら、今わたしがレナさんとNHKで働くこともなかったでしょう。
2年前の4月、タケちゃんは、
「NHKテキスト、売り切れてたので注文しました!」
というメールをくれました。

たしかやっぱり『デート会話』時だったと思いますが、
最後のゲラ直しの時間がなくて、白水社から歩いて三秀社まで出かけ、
そこで「出張校正」した記憶があります。
そしてこの時も、
タケちゃんはまず担当オペレーターの女性を紹介してくれました。
(お名前も覚えています。)
よくわかりませんが、フツー編集者って、
オペレーター個人とまで仲良くなるものなんでしょうか?
校正は午後5時ごろ終わり、
そのまま近くの飲み屋に吸い込まれてしまったのは
また言うまでもありません。

そういえばこの時期、タケちゃんにはステキな彼女がいました。
花子さん(仮名)には何度も会い、あれはどの本の時だったか、
二人でわたしの家に来てもらって、
イラストのレイアウトを相談したこともあります。
ただこの時は、なぜかタケちゃんが早々に酔って寝てしまい、
ほとんどわたしと花子さんで決めてしまったのですが!

花子さんはいい人で、タケちゃんのことが好きでたまらない感じでした。
彼女にとってタケちゃんは、男であり、王子であり、妖精であり、スターでした。
だから、花子さんと別れたって聞いた時には、
わたし自身は、とても残念な気がしました。もちろん、
そうは言いませんでしたが。

その後タケちゃんは病を得ました。
繰り返しさまざまな治療を受けました。
それは辛いものだったはずです。
手術を受けに入院する数日前、レナさん、「ふらんす」担当のアミさん、わたし、
みんなで新宿のカラオケに行きましたね。
たくさん飲んで、そのあとうどんも食べて、
あの東南口の前で握手しましたね。

タケちゃんは死んでしまいました。
わたしたちは彼にお別れをしなければなりません。
もっとタケちゃんと仕事がしたかったのに。
進行中の本だって、ゲラが出る一歩手前だったのに……

Requiescat in Pace タケちゃん
わたしたちは気が合いましたね。
楽しい本が作りたかった、喜んでもらえる本が作りたかった。
あなたのおかげでたくさんの人と出会い、
あなたのおかげで仕事もできました。
あなたは白水社を愛していた。仕事を愛していた。
わたしたちは仕事仲間だった。そして親友だった。
タケちゃん、もっと一緒に仕事がしたかったのに。
Requiescat in Pace タケちゃん。

2010年5月9日日曜日

Requiescat in Pace 須山岳彦(1963-2010)・2


その次に来たのが『フラ語入門』でした。
当時わたしは、いくつかの大学で非常勤講師として働いており、
担当数は、だいたい週15コマほどでした。
もう少し多い時も、少ない時もありましたが。

で、そうした授業を通して得たことを、
つまり、学生がまちがえやすいところとか、
なにがわかれば糸がほどけるのかとか、
複数の説明のうち、どれが1番理解されるのかとか、
英語との対比はどの程度有効なのかとか、
そもそもなにを目標にして勉強したらいいのかとか、
生きるって何なのか(!)とか、
まあそうしたことがらを、フィードバックさせる場所が欲しかったわけです。
で、『フラ語入門』は、その時点でわたしが知っていたすべてを使って、
それでも楽しみながら書きました。

タケちゃんは、自由にやらせてくれました。
たしか最初に、見本原稿を作って、
それを会議で通してもらいましたが、そのあとはほんとに自由に。
そして装幀の段になると、『動詞』のとき担当してもらったカオリンに再びお願いし、
その際には西荻窪辺りで飲んだり食べたり飲んだりし、
ストライプ柄の幅なども話し合いました。
(旧版の表1の透明のガラスの。これはわたしがカオリンにお願いし、
「歪みのソフト」で作ってくれたものです。)

そうそう、『フラ語』の帯のコピー、これはほとんどすべてタケちゃん作です。
『動詞』のときの、
「カツヨー、なにそれ?」
には、わたしでさえ「これあり?」と思いました。
ありだったんですね!

考えてみると、わたしをカオリンに引き合わせてくれたのはタケちゃんでした。
そしてタケちゃんとカオリンの出会いは、なんと飲み屋だったそうです。
(つまり仕事がらみじゃなかったということ。)

その後の、『パリ24時間』や『ボンボン・ショコラ』などの教科書、
『フラ語練習』『ボキャブラ』なども、すべてタケちゃんとの合作です。

そして、わたしが初めて取り組んだ文法の教科書、
それが『ル・フランセ・クレール』です。
それまでのものは、みんな「読本」系のものだったのですが、
それは、すでに世の中にいい文法教科書がいくつかあったからです。
でも、時代は変わります。
わたしは、どの教科書もしっくりこなくなっていました。
で、初めて文法書に取り組んでみたわけです。

で、この『ル・フランセ・クレール』にはCD がついたのですが、
その録音者候補として、わたしは何人かのフランス人の名を挙げました。
が、タケちゃんはそのリストをよく見もせずに言うのです、
いい人がいるんですよ、彼女にやらせてみたいんです。
サンプルにもらった音源は、古くて声がよくわかりませんでした。
でも、タケちゃんがそこまでいうなら、いいです、その人にやってもらいましょう。

で、収録当日現れたのが、レナさんだったのです。(つづく)

2010年5月8日土曜日

Requiescat in Pace 須山岳彦(1963-2010)・1


このブログでも、すでに何度も登場している白水社のタケちゃん、
思い起こせば、タケちゃんと初めて会ったのは、12年前の4月のことです。

友達というのは、たとえば小学校以来の友達とか、中学、高校、
あるいは大学での友達、就職してからできた友達とか、
さまざまな友達がありえるのでしょうけれど、わたしにとってタケちゃんは、
大人になってからできた、大事な友達です。

たとえば30歳前後の人と話していて、彼(女)が、
ぼくには友達がいないんです、
などと言いだす場合には、もちろん友達なんてなくたっていいけれど、
でも、まだまだこれから先、いい友達ができる可能性はゼッタイあるよ、
と言うことにしています。
そんなとき、わたしははっきりと、タケちゃんのことを考えていました。

初めてタケちゃんに会った時、わたしははもう30代の終わりでした。
忘れもしない、それはH大学のフランス語教員が年に1度集まる「教科書会議」でした。
わたしは、フランス語の教科書についての、小さな企画を持っていました。
で、もしもできるなら、どこかの出版社に出してもらいたいと思っていて、
その会議で出会ったタケちゃんに、話を持っていったのでした。

一通り話を聞いてくれたタケちゃんは、
ああ、やりましょうよ、
とあっさり言ってくれ、わたしは驚きもしましたが、
もちろんとても嬉しかったのを覚えています。
その企画は、「おいしいフランス語」という教科書として実現しましたが、
それを作る過程で、あっちこっちで飲んだり食べたり飲んだりしました。
装幀を担当してくれる女性デザイナーとも吉祥寺で会い、
中華料理を食べながら、数種類のラフについて語ったりもしました。
フォントを選んだり、各課のタイトル周りのデザインについて相談したり……。

思えば、こうしたタケちゃんとの仕事の中で、
わたしは本を作る喜びを教えられたと思っています。
また、タケちゃんが愛してやまなかった白水社、
わたしにとっては足を向けて寝ることのできないこの会社の人たちも、
ひとり、またひとりと紹介してくれました。
そして彼らの仕事を知るにつけ、本というのもが、
まあ当たり前と言えば本当に当たり前ですが、
たくさんの人の共同作業なしには生まれえないということを、
つくづく思い知りました。

その白水社から、わたしは「フラ語シリーズ」を出してもらっていますが、
そのすべての担当はタケちゃんです。
というか、そもそもこのシリーズの第1作、
『フラ語動詞、こんなにわかっていいかしら?』は、
たまたま書いたのがわたしだっただけで、
企画もコンセプトもタケちゃんのものでした。

『フラ語動詞』の最大の特徴は、辞書とは違って、
動詞の活用形をインデックスしたこと、そしてそうしたすべての活用形に、
ルビを振ったことなんですが、
この2点は、タケちゃんが立てた企画にすでにはっきり書かれていました。
わたしはその企画書を見せられ、書いてみる気はないか、と訊かれたのでした。

おもしろいし、これはたしかに入門者の役に立つ、と思って、
わたしはやらせてくれるようにお願いしました。
ただ、上に挙げた2つの特徴は、
実はタケちゃん本人が思いついたものではありませんでした。
当時付き合っていた彼女がフランス語の勉強を始め、
そういう参考書があったらいいのに、
という希望を漏らしたものをタケちゃんは聞き逃さず、
すぐに企画として組み上げたものだったのです。
彼はそういう人でした。
誰からでもよく聞き、聞き逃さず、火のないところに煙を立て、
思いもよらいない火花を引き起こしました。

やがて本ができた時、その彼女はもうモトカノになっていました。
が、もちろんタケちゃんはそれを彼女のもとに届けたそうです。
彼女と飲んだんですよ、喜んでくれましたよ、と、タケちゃんは言っていました。
その話を聞いた時、わたしはタケちゃんに一歩近づいた気がしました。(つづく)

2010年5月5日水曜日

D'argent


GW も今日で終わり。みなさん、bonnes vacances を過ごされたでしょうか?

わたしの場合はどうだったかというと、今年は実質4日しかなかったのですが、
そのうちの3.5 日くらいはpc の前にいました。仲良しですね~、pc と!(涙)

で、つらつらネット上をさまよっていると、ありました、
「今週の1曲が楽しみだ」というご意見が!
そう言っていただけると、とても嬉しいです。Merci bien !
なにしろ著作権関係では、あちらにもこちらにもお世話になっているので。
ただこれは、ストリーミングでは放送できないので、番組を聞くか、
あるいはYou Tube か Dailymotion あたりで探していただくしかないのですが。

ところで、シルバー大学というのをご存知でしょうか?
自治体が、シルバー層向けに開講しているケースが多いようですが。
勤務先でもとても人望の厚い北野大先生は、
江戸川区のシルバー大学の学長さんだそうですし。
で、実はわたしも6月に、品川区のシルバー大学に出講する予定です。
お題は「東京詩」。3回の講義なので、ちょうどいいです。
(『東京詩』は3部構成なんです。)
むかし、某大学の生涯教育センターでフランス語の授業はしていましたが、
もちろん「東京詩」は初めて。なんでも「文芸講座」の一部だそうです。
受講資格は60歳以上とのことなので、
戦中戦後の雰囲気などは、教えていただくことも多いでしょう。
お世話になります!

というわけで、なかなか気を抜けない日々が続きますが、
お互い、休み休みがんばりましょう!

敬具(ってなんで手紙なんでしょ!?)

2010年5月4日火曜日

Top 50



わりと最近、Journal du dimanche という雑誌が、 ノン・ジャンルの「フランス人・人気投票」をしたそうです。
その結果はこちら;

http://www.lejdd.fr/top50/

おお、コルネイユが41位に! 

それにしても、シモーヌ・ヴェーユが「なまいきシャルロット」や「神の手・アンリ」より上位に来てるとこは、フランスらしいと言えるのでしょう。

2010年5月3日月曜日

ノアの箱舟


「ノアの箱舟」が見つかった! というニュース、ご存知でしょうか?
 これがねえ…… どこまで信じていいのか、全然わからないんですけど。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2722397/5676346

聖書の内容を、科学的に検証しようという動きは、
もうずいぶん昔からありましたけど、まだ続いてるんですね。
(画像はアララト山。)

さ、仕事開始!

2010年5月2日日曜日

連載第4回


そうでした、モノは目の前にあるのに忘れてました。
(batayam のブログを見て思い出しました。Merci !)
「現代詩手帖・5月号」、絶賛発売中です! 
「アカシヤの大連で餃子を」の連載も、これで4回目。
そろそろエンディングが近づいてきました。

今回の内容は、叔母に聞いた話が核になっています。
「もう、大連のことを話せる相手がいないのよ」と、
彼女は言ってました。そうでしょうねえ……

そして「詩手帖・5月号/日本で書くということ」は、
(まだ読んでないのになんですが)面白そうです。
特に、「伊藤比呂美+ジェフリー・アングルス・詩人の境界、翻訳家の境界」、
「平田俊子+ピオネル・ツェレポンツァガ・ツェギーさんと東京を歩く」は楽しみ。
また、先日亡くなった大野新さんへの追悼文を、
清水哲男さんがお書きになっていて、
清水さんの最初の詩集が、
これほど大野新の影響を受けていることを初めて知りました。
たしか押入れの段ボールのどこかに、
大野新の『砂漠の椅子』があったはずなので、
引っ張り出してみたい、ところですが、それは目の前の仕事が片付いてから。
(ってことは、いつ……?)

さあ、仕事開始!

2010年5月1日土曜日

Shibuya へ


さあ5月! 新緑の緑は、地上で最も美しい色の一つでしょう。
今年もまたその季節が巡ってきています。
そして今日は土曜日、いつもの収録にNHKに行ってきました。

収録開始は1:30だったのですが、わたしは一人で先に行き、
NHKの社員食堂でお昼御飯。
で、見晴らしのいい5階の食堂(通称「5ショク」)に行ってみると…… 
ものすごい混雑! しかも食べているのは、子供やら家族連れやらです。
聞けは今日は、一般開放しているとのこと。なるほどねえ。

で方針を変えて1階の食堂に行ってみると、よかった、開いてました。
(土日は、基本どちらかしか開いてないみたい。)
読みかけの文庫を読みながら、いつもの「上すし」をいただきました。
やっぱり、700円なら安いです。

この「上すし」、特徴の1つはサビがかなり効いていること。
にもかかわらず、わたしの次のお客さんは、サビ多め! 
と頼んでいました、大丈夫でしょうか!?

そして収録開始。が、昨日の晩カラオケに行き、
今日の午前中授業があったというレナさんは、イマイチ声に力がない感じ。
(もう何十回も一緒に収録しているので、声の「圧」のちがいが、
わりとはっきり感じられるのです。)で、休憩を多めにとったりしていると、
さすがに若いので、エンジンがかかってきました。
で、無事予定通り収録終了です。

ところで、収録の合間に、ちょっとケンちゃんとおしゃべりしたのですが……
現場のリーダーである彼は、文学部出身です。
彼はとても優秀な人ですから、もし望むなら、法学部にでも行って、
官僚を目指すこともできたはずです。でも彼は、そうしませんでした。

「勉強は好きだったんです。でも、高校時代、
あんまり好きじゃないことをさせられて、
大学では、好きな勉強をしたかったんです」

そして好きな勉強は、専門であるチョムスキーに辿りついた、
ということなんでしょう。まあわたしなんかが言ってもしょーがないですが、
とってもしっくりくる話です。それにしても、
ケンちゃんといい、大学の若旦那・波戸岡さんといい、
まったく近頃の若いもんの優秀さには、頭が下がります。

収録は、ケンちゃんと、やはり若くて優秀なナオコさん、レナさん、そしてわたし、
この4人(+その日の担当の技術さん)で行っています。
CD 担当のマユミさんや、チーフのユキさんが、
おやつを持って応援に来てくれることもあります。
というわけで、「まいにちフランス語」は、とても幸福な番組です。

語学が中心なのは言うまでもありませんが、こうした雰囲気が、
リスナーのみなさんに伝わればいいのですが。

さて明日は日曜日です。みなさんのご予定やいかに?