2010年7月29日木曜日

アマチュア


昨日は、水曜日恒例のNHK打ち合わせ会でした。
今回は、午後3時から、打ち合わせを3つ、という感じ。
でも、新鮮な情報満載だったので、楽しみながらできました。

放送局の仕事には、ああそうだったのねえ、ということが、山ほどあります。
お気楽な視聴者として、お茶の間から突っ込みを飛ばしていたわたしも、
ほんの少しずつその仕事特有の気遣いの存在に、気づきつつあります。
大変なんですねえ。

ただ、まあどんな場面でも、
素人が素人らしく何かに気づくというのはあるもので。

たとえばわたしが、フランス語の授業で、
自分なりに工夫した、それなりにまとまった(はずの)説明さらっとして、
あとから、もっと素朴で本質的な質問をされてしまうことがありました。

慣れている目で見て、これでいいはず、と思っても、
素人の素朴な疑問には、必ずしもヒットしないわけですね。
(極端な話、「机上の空論」という表現を、
「絵に描いた餅」という表現と比較して説明していた時、突然、
でも、どうして「机」は「机」っていうんですか? 
と訊かれたら…… という感じかな?
これは、一番の基本に帰って、言葉とモノの関係は恣意的 arbitraire なんだ、
というところから、ソシュールに倣って、話さなければならないんでしょうね。)

NHKがプロ集団として、
高い技術と経験知を蓄積しているのはまちがいないでしょう。
ただだからこそ、素人的感覚と完全には一致しない場合もでてくるようです。
で、わたしとしては、そこはバリバリの素人代表として、
素朴な疑問を投げかけてみる場合もあるわけですね。

とはいえ、NHKにはやっぱり優秀な人が多くて、
彼らはほとんどみんな、ちゃんと話を聞いてくれ、わかってくれます。
少なくともわたしの周りはそうです。
(というと、ちょっと大げさでかな? そういう「場合」は、まあ 1 / 20 くらいで、
ほとんどは、みなさんの仕事ぶりに感心する、という具合です。)

そしておかげさまで、打ち合わせも昨日で一段落です。
わたしは、実はあんまり働いていなくて、ただ参加していただけなんですが。
ま、これから働きます!

          ◇

先日ご紹介した『パリ ノ ルール』、ラジオ仲間のナオコさんからも、
これはいいです! のメールをいただきました。(Merci, Nao !)
そして、こんなブログもあることを教えてくれました;

http://www.fr-dr.com/paris/index.php

なるほどねえ!

2010年7月27日火曜日

Paris-Plage


今日はちょっと大学に行き、
予約してあった本を図書館で受け取ったり、PC を調整してもらったり、
成績表を作ったりしました。
今は試験中なので、図書館はミョーに混んでいます。
ま、この時期だけ!?

8 月の半ばから、10日ほどパリに行く予定です。
ほんとは、コルシカにしたかったんですけど、
諸事情により、今回はパリでお茶を濁すことに。

といっても、パリも随分久しぶりですから、もちろん楽しみです。
この前までマルチニックにいた中村さんも、今はパリにいるので、
少し付きあってもらう約束もしました。
こういう人がいると、心強いですね。

久しぶりなので、何冊かガイドも買ってみました。
その中で「これは良さそう」と思ったのは、
『パリ ノ ルール』(メディアファクトリー)という、四角い本です。
もちろん、まだ現実と対応させてはいないわけなので、
紹介されている情報の信憑性は未知数なのですが、
書き振りや視点が、なんというか「食い込んでいる」感じ。

ただしこの本は、今回買ったのではなく、
1年ほど前に、本屋で見かけて買ってみたものを、
今になって読みこんでみた結果、上のような感想になったわけです。

今回残念なのは、なんと言っても夏なので、
ジンガロをはじめサーカスの興行がないこと。
サーカスというのは、基本冬のものなので、仕方ないですが。

その代りにはなりませんが、恒例の「パリの砂浜」は今年もやるようですね。
セーヌ河沿いに砂浜を作るっていうアレです。
サーカスには負けるけれど、夏の一齣としてはいいかもしれないですね。

2010年7月25日日曜日

into the water


今日は数年振りに、プールに行きました。
ただプールと言っても、クルマで5 分の市民プールです。
お客さんの8 割は中学生以下、という感じ。

実はわたしはプールが好きで、
5,6 年前などは、ほんとに週2 回くらい行ってました。
それもやっぱり市民プールでしたが。

以前よく行ったプールは、大きな体育館の最上階にあり、
高いガラス窓から陽が差し込むので、
泳いでいる間も、水中の光の揺らぎがほんとにきれいでした。
今日行ったプールは、残念ながら陽は入らないので、
そうした楽しみはありません。
でも、水は水。気持ちがいいです。

泳ぎに行く人なら誰でも知っていることですが、
夏のプール上がりは、しばらく涼しいです。
日本人は風呂好きだと言われますが、感覚的には、
プールも通じるものがあるように思います。

それにしても思うのは、やっぱり仕事が一段落したんだな、ということです。
「まいフラ」の収録が続いていた半年間は、
「お出かけ」するのは勇気が要りましたから。
実は8 月の半ばに旅行を計画してもいるのですが、
それも一段落したおかげです。

でもとりあえず明日(か明後日)には、成績表を出しに大学に行きます。
これでさらに、一段落が強化されます!

2010年7月24日土曜日

世はいかにして


というわけで、疲れ知らずの熱気の中、
お茶の水の白水社まで行ってきました。
なぜか、たくさんの警官が角々に配置されていました。
土曜の白水社は人も少なく、さすがに静かでしたが、
大事な大事な最終装幀決め、わたしのテンションは高いです。
 
やがて今回のデザイナーである、矢萩多聞さんが到着。
多聞さんとは初対面ですが、いい評判は色々伺っています。
ちなみに、多聞さんのブログはこちら;
 
http://tamon.in/
 
色んな仕事をなさってるんですね。
マリー・ンディアイの本もそうだとは、知りませんでした。
とても柔らかくて、いい感じのデザイナーさんです。
 
で、ラフです。
ヴァリエーションをつけながら、10通り以上、作ってくださいました。
中島さんも、白水社の渋谷さんもわたしも、
大いに悩んでしまいます……
 
ブログの途中ですが、ここで重大発表!
今装幀を選んでいるこの本、ついにタイトルが決定しました。
これです;
 
『世はいかにして昭和から平成になりしか』
 
う~ん、なが! でもね、これ以上のものはありませんでした。
(作ったのは須山さんです。)
 
話を戻しましょう。
みんななかなか選べないので、
「とりあえず、『これはないな』ってやつをはずしましょうか」
とは言ったものの、その外すやつが決められません!
 
でも、なんとか5 つに、3 つに、2 つに絞り、
最後は満場一致で1つに決定。パチパチパチ!
 
これ、いいと思います。
多聞さん、ありがとうございました!
 
でそのあと、休日出勤していた白水社の「激辛王」も一緒に、
近くの沖縄蕎麦屋へ。
みんなでランチ・ビールを(2 杯ずつ)飲み、
装幀決定を祝いました。
 
やっぱり本は好きです。

Allez, Ola, Olé


今月の、フランスCD シングルチャート第1位は、これ;

http://www.youtube.com/watch?v=4acm3gcWhAE

歌手のJessy Matador は、コンゴ人だそうです。
元気が出ますね!

2010年7月23日金曜日

昭和から……


今手元に、ゲラが1つあります。
それはここでも何度か触れた本、
中島岳志さんら3 人との共著である、昭和と平成を巡るエッセイです。

この本、自分の担当部分以外も、ついまた全部読んでしまいました。
読み始めると、すごく引き込まれるんですよね。

これはもう 2 校なので、「9 月刊行」は現実になりそうです。
明日は、その装幀の最後の打ち合わせのために白水社に行くし。

ああ、出来上がりが楽しみです!

2010年7月22日木曜日

真夏


昨日今日、東京は熱気に包まれています。
今年言ったすべての「暑い」を回収して、この2日間に再利用したい気分です。
これでこんな感じだということは、たとえばスーダンの50度っていうのは、
いったいどんな感じなんでしょう……

そんな日差しの中、昨日はいつもの打ち合わせにNHKへ。
(いつもただNHKと言っていますが、正確には、
NHKエデュケーショナルのビルです。)

昨日の打ち合わせは、4:30に始まり、ほとんど6 時間に及びました。
ただ、決してダラダラやっているわけではなく、
内容はむしろ充実しています。
ある程度の行ったり来たりは必要ですしね。

そして今日は、この打ち合わせの宿題をしています。
もちろん来週も打ち合わせはあるのですが、それ以前に、
宿題をもとにしてもう1ステップ進めておく算段です。
まだ先は長いです!

          ◇

今日の「今週の1曲」、Tiken Jah Fakoly の「アフリカ人」でした。
これです;

http://www.youtube.com/watch?v=rh9C46BzRVY

いいですねえ。そしてライブもあります;

http://www.dailymotion.com/video/x8jf0v_tiken-jah-fakoly-l-africain_music

こっちもいいですね。ライブ、見てみたい!

このTiken Jah Fakoly もまた、わたしのお気に入りの一人で、
i-pod ではヘビロテの部類に入ります。

で、ほんとはかけたかったけど、著作権の関係でご紹介できなかったのは、これ;

http://www.youtube.com/watch?v=ATtFpc7N-js

だいぶ前にここでご紹介しましたね。
もちろん、あのスティングの、white reggae(白人レゲエ)の名曲の翻案です。
(著作権、複雑そう……)

         ◇

このところ、色んな外国語講座をテレビで見ています。
ドイツ語、スペイン語、アラビア語……、そしてやっぱりフランス語も。
どの番組も、色々工夫が感じられますが、
個人的には、ドイツ語の雰囲気が特に好きでした。
見比べると、おもしろいものなんですね。

2010年7月20日火曜日

ゼミ発表



今日は2つのゼミで、全員発表をしてもらいまいた。

とくに「ワールド映画」のほうは、発表は今日が最初で最後。
期待と不安、という感じでしたが、
明治の学生はやるときはやります!
というわけで、予想以上にいい出来でした。
2年生は3人だけで、あとまみんな1 年生だったのですが、
うまくできてました。

もちろん、こんなゼミをとる学生だ、ということもあるでしょう。
また、すでに脱落した学生は来なかった、ということもあるでしょう。
「比較」という課題が、少しはやり易かったかも知れません。
でも、それらを考え合わせても、いい出来だったと言えると思います。

10本弱の映画作品から2本を選び、その共通テーマを示した後で、
さらにその表現の違いについて説明する…… が課題でした。
すると期待通り、AとBという学生も、AとCという学生もいて、
これでAの持つ(少なくとも)2つの面は意識されたはずです。
(ですよね、受講者のみなさん?)

発表会、成功したので、後期もやりましょう!

          ◇

午後は、中国語の林さんのところにいらした白水社の若き女性編集者が、
帰りにわたしのところにも寄ってくれて、しばらくおしゃべりしました。
迷惑かもしれませんが、どうも白水社の方々には、
つい親近感を抱いてしまいます。
須山さんから、色々内情を聞いていたせいももちろんあります。
(内情と言っても、主に「酒癖」とかですけど!)
彼女も、これからたくさんいい仕事をするのでしょう。
楽しみです!

          ◇

「まいフラ」は、目的語代名詞という難所にさしかかっています。
ここはね、特に間接目的語は英語と違うので、
なかなかピンと来にくいところです。
(ていうか、一般的な英文法の説明では、
「間接目的語」は理解できないと、かねがね思っています。
フランス語の出番です!)

一つだけ細かいことを。
今日の放送で、間接目的語代名詞は、一般に「 à +人」になる、とお話しました。
それはそうなんです。が、
もう少し丁寧に言うと、

間接目的語のうち、人称代名詞で書き換え可能なのが「 à +人」だ、
ということなんです。
つまり、代名詞に置き換えられない間接目的語もあるし、
別の代名詞(y とかen とか)で置き換えられる間接目的語もある、
ということです。
(間接目的語を導く前置詞は、à だけではないんですね。)

ただここまで言うと、か~な~り高級な例文が必要になってしまうので、
放送ではそういうところまでは踏みこみませんでした。

上級のみなさん!
そういうことですので、ご注意を!

2010年7月19日月曜日

8 月号、並びました


「まいフラ」8月号、無事本屋に並びました。
連載の「フランス語ワールドへの招待」のほうは、
先日のジュンクでも登場した共同研究ネタの、
別のエピソードを紹介しています。
よろしかったらどうぞ。

ところでこの連載は、本文のテキストとは別の枠なんです。
今回はたまたま、テキスト担当のアキ子さんが、
ついでに(!)書いてみちゃどうかとかっこうが鳴く、
というわけで、こちらも書かせてもらっているわけです。
テキストと連動させることができるし、
一方では、
この連載は再放送の時は別の方が書くことになる、
つまりわたしの担当は本当にこの6 か月だけなので、
ワールドカップのような時事ネタを扱えるわけなんです。
これは書きやすいですね。
(番組オープニングでは、時事的な話題は使えません。)

それにしても、あと2 か月。
今、9 月号の「今週の1曲」のうち、
あと1曲だけまだGO が出ていません。
もちろん、許諾が取れていないんですね。
アキ子さんの、逆転HRを待つばかりです!
(もしテキストに歌詞が出ていなければ、
間に合わなかったのね~、と思ってくださいませ。)

さあ、明日は最後のゼミです。両ゼミとも、最終発表。
楽しみです!!

2010年7月18日日曜日

vanille


昨日の土曜日は、午後からお茶の水で大きな会議があったのですが、
3時間半以上、まったく休憩なしで続きました。
たまに挙手する以外、あとは聞いているだけなので、
すごく疲れるというわけではありませんでしたが。

その会議の前、昼ご飯に寿司定食を食べたのですが、
おまけのデザートに小さなバニラ・アイスがついていました。
器も冷えていてカチコチだったので、しばらく放置。
そしてふと見ると……

ガラスの器の中で、アイスはすでに半分ほど溶け、
なめらかな表情になっています。
わたしは溶けかけたアイスが好きなので、
しめしめ、これはおいしそうだと思ったのですが、
なんと、この味は食べたことがあります!

あれは小学校低学年の時、母親が、何を思ったか、
ブリキの弁当箱にアイスを作ってくれたことがありました。
「冷蔵庫に入れて、固まってから食べるの!」
と言われても、そこは子供、長くは待っていられません。
やや固まったかな、というとき、ちょっと味見に及びます。
オオ、ウマイ……

その時の味は、長く記憶の底にあって、
とりたてて探しているわけではないけれど、
時に懐かしく思ったりしていたのですが、
昨日の溶けかかったアイス、なんとその味なのです!

たしかに、「溶けかかり」というのは必要条件ですが、
けっして十分条件ではありません。
というのも、今までにも何度も、「溶けかかり」を食べてきたのですから。

何十年も出会わないまま覚えていたものと、
こんななんてことはない寿司定食のおまけのデザートととして出会うなんて。

こうなったら、今度もう1度行って、最終判断を下しましょう。
ほんとに同じかどうか! ただ、
「ママの作ってくれたアイス、見つかったよ!」
なんてことを言う歳は、だいぶ前に過ぎてしまったんですけどね。

味の記憶って、たしかにありますね。

Charles de GAULLE chante "La Marseillaise"



先週の水曜日は、「7月14日」でしたね。
まあこんな時でもないと挙げそうにないので、
ド・ゴール(と人々)のアカペラを。

http://www.ina.fr/art-et-culture/musique/video/I00012916/charles-de-gaulle-chante-la-marseillaise.fr.html

先生仲間の中には、授業でこれを歌う人もいます。
わたしはまだ試したことはありませんけど。
そして……

東京は、梅雨明けですね。
これからの1週間が、1年で1番暑い時期です。
休み休み!

2010年7月16日金曜日

大躍進


早くも、先日のジュンク堂での管さんとのイベント、ゲラが来ています。
そして「まいフラ・9月号」のゲラも。
両方、この週末にやります!

         ◇

今週火曜の「ワールド映画ゼミ」は、映画を見るのは最後だったので、
だいぶ迷ったのですが、結局『初恋のきた道』にしました。
(『未来を写した子どもたち』も見せたかったんですね。)

『初恋~』は、あのチャン・イーモウ監督の作品で、
なかなかストレートでいいんですね。
そして、映画の中ではごくさらっとしか出てこないんですが、
物語(回想のほうの)の時間的舞台は、1958年です。
お、それって?

そうなんです。マドンナやマイケルやプリンスが生まれた、1958年です。
でこの時代、中国はどうなっていたのか?
実はあの「大躍進」が始まった年なんですね。

主人公のチャン・ツィイーと結婚することになるルオ先生は、
一時村を離れることを余儀なくされるのですが、
それはどうも彼が「右派」だかららしいのです。
毛沢東に、弾圧される側ですね。

今回は、映画の感想ではなく、「1958年の中国」を調べてくる、
という課題にしました。
きっちり、この「右派」の状況にしぼったレポートもあれば、
なぜだか「文革」について調べてきた学生もいました。
でも、結果的には、この作品を選んで正解だった気がします。
爽やかな終わりだし。
(ほんとは、通年でやりたいところです。)

毛沢東と言えば、ちょうど明日、こんな本が発売になるようです。

http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=08081

これはケンちゃんが担当したそうで、
かなり気合が入っているようでした。
少しだけ読みましたが、訳文はきびきびしていて、とてもいい感じ。
夏休み、ぜひじっくり読もうと思っています。

では、bon week-end !

2010年7月15日木曜日

Entre les murs


今日の「今週の1曲」、ずいぶん前にここでもご紹介した、これです;

http://www.youtube.com/watch?v=8Kve3cWM5QI

このBisson na bisso は、
本来はソロで活動しているミュージシャンが集まったグループで、
リーダーはPassi です。(最初にラップを歌う人。)
もう何週かしたら、このPassi のソロの曲も取り上げる予定です。
これもいいです。乞うご期待!

          ◇

昨日は、昼間に時間があったので、岩波ホールまで行って、
『パリ20区、ぼくたちのクラス』をやっと見てきました。
トレーラー、もう1度挙げておきます;

http://www.youtube.com/watch?v=lq5qNzm3w-U&feature=related

(日本語版の予告編は、やっぱり好きになれない感じ。)

ほぼ予想通りの内容でしたが、
やはり色んな子供たち一人一人が分かってきて、
面白く見られました。

買ったパンフレットには、浅野素女さんが寄稿していました。
彼女が以前お書きになった『フランス家族事情』は、
社会学部で教えていた当時は、必読書として挙げていた本です。
浅野さんは、まさに20区で子育て経験があるそうで、
そのへんを詳しく書いた本も、ぜひ書いていただきたいです。

ただこの映画、
「共和国」とか「移民」とかではなく、「教育」というテーマできった場合、
わたしには、明らかな違和感がありました。
生徒たちの質問に対する答えも、
ああそれじゃダメだ、と思うことたびたび。
特に、「国語」(と訳されていました。もちろんフランス語です)の授業中、
話し言葉と書き言葉の使い分けの方法訊かれた先生は、
「直観だ」と答えます。

最終的にはね、そう言ってもいいんでしょう。
でも、相手はフランス語を母語としない中学生で、
いま現にその使い分けが分からないと言ってるんだから、
「直観だ」なんて言っても全然だめで、
そのためのレファレンスを蓄えるのがこの授業なんだ、
くらいに答えたほうがよかったんじゃないでしょうか。
……と、教員根性が出てしまうんですね、こういう映画は。

夕方からは渋谷に移動。
このところ、NHKの打ち合わせは毎週続いています。
遅々として進まない、ということではないんですが、
考えるべきことが多くて、しかもそれらが影響し合っていて、
慎重に進めている感じです。
また来週もありますが、
今は収録が終わったので、渋谷に行くのも週1回です。

         ◇

今日は試験。明日も試験です。
今頃勉強してるかな?

2010年7月14日水曜日

業務連絡(「東京詩ゼミ」)


「東京詩ゼミ」のみなさん。

来週は最後なので、全員発表の日にしましょう。
テーマは、前回同様の「J-pop」でもいいし、
(2 回目だから前回より深く! あるいは前回との比較も可。)
あるいは、
『東京詩』に登場する建物、道路、事件……
何かを取り上げて、やや詳しく紹介してください。
(いつ、どこで、誰が、なんのために……)
そして、それが関わった作品(詩、小説、映画、ドラマ……)も、
なるべく見つけて紹介してください。
その際、ただ「使われました」で終わらず、
どんなふうに描かれたかまで、言及してください。

1人の持ち時間は10~15分。休まないように!

575


そういえば今朝、いつもと同じ通勤の道をクルマで走っていて、
ある小さな信号で止まった時、
ついこの前まできれいに咲いていた紫陽花が、
もう色を失っているのに気付きました。

枯れ紫陽花 記憶の底の 天気雨

めったにないのですが、ふとこんな風に、575で思った日でした。

2010年7月13日火曜日

イスラエル建国神話




今日は午前中のゼミ×2のあと、
和泉キャンパスに移動し、これに参加しました;

http://www.meiji.ac.jp/koho/hus/html/1277774516.pdf

早尾さんの著作には興味を持っていたのですが、
なかなか手が出せなかったので、
この際まずは授業に出て、と思ったのでした。
そして授業は、予想を超えて充実したものでした。
90分の授業&質疑を、簡単にまとめることはできないのですが……

まず取り上げられたのは、最近翻訳が出版された
シュロモー・サンドの『ユダヤ人の起源』です。
この本は、本国イスラエルをはじめ各国で話題になった本だそうです。
でそのミソは、
「古代ユダヤ人の離散・帰還などなかった」
です。
たしかに捕囚となったユダヤの宗教家などはいたし、
金持ちたちはローマを目指したりもしたけれど、
それはごくごく一部。大半のユダヤ人たちはそのままパレスチナに残り、
キリスト教や、やがてはイスラム教に改宗していった……

この、イスラエル人学者自身による「建国の正統性の否定」こそが、
『ユダヤ人の起源』を話題の書に押し上げたわけです。しかし……

イラン・パペは、以前から、その建国の物語がフィクションであることなど、
歴史学科の1年生なら誰でも知っていることだと言っていたそうです。
(『イラン・パペ、パレスチナを語る―「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ』)

ではなぜ、サンドは今またその話を繰り返すのか。サンドの意図は……

かつて1つの罪があり、その結果「子」が生まれた。
けれども「子」には罪はない。
だから、いつまでも罪の話をしていないで、その「子」を大切にしよう。

「子」が現在のイスラエル国家であり、罪はナクバです。
(ナクバ=イスラエル建国時に、暴力的にパレスチナを破滅させたこと)
でも、こんなレトリックが通用するでしょうか?
しかもサンドは「現状」を肯定するのですが、
その「現状」とは、要するに既成事実の積み重ねそのものであるわけです。

サンドは、イスラエルの建国神話の架構性を暴いたのではないのです。
彼は、「ユダヤ・ネイション」に代わって、
「イスラエル・ネイション」を肯定することを考えているようなのです。

そしてその「イスラエル・ネイション」とは、常にユダヤの支配権が認められ、
アラブ人は、マイノリティーとしてのみその存在が許容される、というスタンスです。
これは、アラブ人は追放せよ、と叫んだかつてのネタニエフ首相よりは
マシかもしれません。でもここでは、「多文化主義」が、
現状(=反アラブ)を肯定をする道具になっているわけです。

「ユダヤ・ネイション」の否定が、
アラブと正面から向き合い、共存する契機になればよかったのに、と、
早尾さんはお考えにようでした。

これ以外にも、色々興味深いお話があり、
ほんとに行った甲斐がありました。
とてもいい特別授業でした!

*ご参考まで; http://gskim.blog102.fc2.com/blog-entry-17.html

2010年7月11日日曜日

収録完了!


というわけで昨日の土曜日、めでたく、
「ナミの恋する東京日記」、
無事に全収録を終えました!
もちろんまだリテイクの可能性などはありますが、
やっぱりひとつの大きな区切りです。

いつも感じていることですが、ここまで来るには、
ほんとうにたくさんの人の力が結集されています。
一本の番組は、まさに一冊の本と同じように、
絶対に個人の力ではできないような何物かです。

ケンタは、いつも全体に目を配りながら、
具体的なあれこれの判断もしてくれる、頼れる若きリーダーです。
ナオコさんは、放送はもちろんCD の編集もし、
特に英語との比較の場面ではみんなの視線が集まります。
きちんと仕事をしながら、楽しそうにしてくれるので、
現場の雰囲気はとてもよくなります。

CD 制作の責任者として、
CD のオープニング曲を作るところから敏速に動いて入れたマユミさん。
彼女は、制約の中で、
なんとかCD としての特性を生かすことを考え続けてくれました。
また、彼女の飲み友達でもある出版のアキコさんには、
特に「今週の1曲」の権利関係でお世話になりました。
そして毎回の収録時にお世話になった技術の方々も、忘れることはできません。

スタッフのみなさんには、こちらが気づいていないところで、
色々ご迷惑をかけたと思います。
でも、おかげさまで、無事ここまできました。
ありがとうございました!
あとは、リスナーのみなさんに、どれだけ楽しく勉強していただけるか、
それだけです!

         ◇

収録後の打ち上げは、NHK近くのフレンチ・ビストロでした。
生かきを久しぶりに食べ、最近1番気に入っているバーニャ・カウダを挟み、
子羊、そして(フランスじゃないけど)パエリアなど、ご馳走でした。
しかもそれを、気の置けない仕事仲間と食べるわけですから、
楽しくないはずありません!

今回は、レナさんのピッチが速くて、
あれよあれよという間にワインボトルが空いてゆきます。
(まあほかにも、のん兵衛がいます!)
小さな店で、しかも土曜のためか、混んでもいなかったので、
とてもしゃべりやすかったです。

こういう席だと、普段はしないプライベート・トークになり、
それはそれでおもしろいですね。ああそうなの!? って感じで。
たとえば、別れた元カレ(カノ)と、仲良く一緒に仕事できるか、
なんて話題の時は、みんなの感じ方や経験が露わになる瞬間がありました。

ふと気づくと、年齢もバラバラな6 人ですが、歳は関係ないですねえ。
とても楽しい、記憶に残る1 夜でした!

2010年7月10日土曜日

Entrez sans frapper


そういえば、昨日の番組中、アシスタントの男性が歌っていたのは;

http://www.youtube.com/watch?v=ztN0SW2z_V8

この歌、わたしも大昔に聞いて、
男の子なりに、カワイイと思った記憶はあります。
今聞くと、かわいさもひとしおです。

           ◇

今日は、授業が昼で終わり、会議は6時からの予定でした。
すると計ったように、去年の教え子が研究室に尋ねてきて、
夏のヨーロッパ旅行についての相談を受けました。
彼はかの土地で、自分を見つめ直したいらしいのです。

「今建築学科にいるんすけど、マジこのままでいいのかって。
てかよくないっしょって思うんで、一回ちっと、
なんかもっと色々見て、文化とかのトップを見といて……」

でまあ、それはどんなトップなのか、
万が一トップだとして、どうしてそうなれたのか、
などなど、色々だべりました。

でも、とにかく一人で2カ月行ってくると言うので、
もちろん色々経験してきて欲しいです。気をつけて!

でそのあと、こまごました用事をいくつかやり……

すると今度は、4年生の女子学生が。
彼女は1年生のときわたしのクラスにいた学生です。

「就職決まったんです~!」

おめでとうございます!
なんでも、ハードウェアの設計とか……
最近終わった教育実習の話とか、バイトの家庭教師の話とか。
彼女もまた、なんとか在学中に、外国に行ってみたい、
と言っていました。

大学では、一応わたしは、たった一人のフランス語教員なので、
かつてフランス語を履修していて、
何かの拍子にヨーロッパのことを考え始めた学生は、
じゃあちょっとアイツんとこでもひっかけっか!
という感じで、顔を出してくれるのでしょう。

あんまり役にも立ってないけど、またどうぞ!

         ◇

というわけで、ついに明日は最終収録です。
(そのあと打ち上げのおまけつき)
どんなに楽しい仕事も、いつかは終わりが来るんですね……

でもまだ放送はだいぶ残ってるので、
ほんとの終わりはまだ先。それまで、張り切っていきましょう!

2010年7月8日木曜日

ラスト




今日の東京は梅雨の晴れ間で、わるくない天候でした。
そして「今週の1曲」はこれでした;

http://www.youtube.com/watch?v=bGucPxpJzAw

いい曲ですね。

        ◇

木曜は1,2時間目に授業があり、
昨日の帰りが終電だったため、昨日から今日にかけて、
なんだかあんまり家にいない感じでした。
夕方6時に始まったNHKでの打ち合わせが、
予定をオーバーして10時半過ぎまであったんですね。

(渋谷でその時間で終電? そうなんです。
ただひとつ前の、歩いて20分ほどの駅まででいいなら、
新宿25時くらいがラストなんですけどね。)

色々話して、なかなか進まないけれど、
でも、たしかに少しずつよくなっているのは分かります。
とりあえずの設計図ができるまででも、
まだ何回か話し合う必要がありそうです。

そういえは、例の手足口病、だいぶ終息の方向です。
ただ、発疹が足の裏にもできるので、歩くと痛い!
とってもやさしく歩いています。
あと右手の人差指にもあるので、チョークを握ると痛い!
明日は大学の会議が6時からあって、明後日は収録。
でもこの収録、実はラストなんです!!! 

2010年7月6日火曜日

Tsotsi


大学、特に問題なくこなせました。
まったく、日曜の朝に39度だった時には、
今週はどうなるかと思ったのですが、まあ一安心です。
ご心配いただいたみなさまに、感謝。

でも手足口病って、夏風邪の一種、という位置づけなんですね。
たしかにインフルに比べれば、トータルのダメージはずっと小さいですけど、
それでも39度ですからね。
みなさんもご注意を!(って、手を洗うことくらい?)

         ◇

今日の「ワールド映画ゼミ」では、ワールドカップを記念して、
南アフリカを舞台にした『ツォツィ』を見ました。
ヨハネスブルグのスラムに暮らす、ツォツィ(不良)と呼ばれる若きギャング。
彼は強奪したクルマの中で、赤ちゃんを「拾う」のです。

http://www.youtube.com/watch?v=tX20lzOQwUo&feature=related

これがねえ、満点の出来とは言えないものの、涙を誘うんです。
(学生たちもけっこう泣いてました……)
R15指定を受けてるんですが、たしかに、
いわゆる激しい暴力というより、黒い暴力も見えます。
指定そのもに賛成するかどうかはともかく。

そしてこの暴力の中でのわずかな愛が、愛の芽が、
胸を打つんですね。

もちろんヨハネスの治安はよくないのでしょう。
でも、いわば建国してまだ16年ですからね。

そして学生たちには、最終回授業時の発表という課題をプレゼント!
(いらなそうでしたけどね。)
見た映画から2本以上選び、共通テーマを抜き出し、異同を語る。
ま、それだけです!

いつのもように、ガンバレ、ワカゾー!

2010年7月5日月曜日

忘れた頃に


発熱は、忘れた頃にやってくる……

日曜の朝、異様な寒気を感じると思ったら、37.8度。おやおや、仕事が!

とにかく少しオレンジなんかを食べて、薬を飲んで、38.5度。

だる! ちょっと寝よ。……で起きたら、37.5度。よしよし。

これくらいなら仕事できるかな。明日締めきりだし…… PC オン!

で30分。う~ん、なんか変。で、38.0度。

やっぱ寝よ。……で昼に、39度。ハ~ハ~

ムリしてちょっと食べて薬。バタン……

夕方、38.5度。ハ~ハ~。晩御飯はほんの一口。

で…… やがて再び39度! 燃える~ 許して~! 節々痛いし!

薬飲んでもう寝ます…… ハ~ハ~

で今朝。お、昨日ほど熱くない。37.5度。よし!

で朝ごはん。熱い紅茶も飲み、これなら? 37.7度。なんでやねん!

ちぇ、また寝よ。……で昼に、38.0度。もう! 腰痛いし!

で少し食べて薬。寝る。……37.3度。これくらいならちょっと仕事しなきゃ。
ちょっとフラフラするけど。

シュークリームかじってホットポカリ。汗出る。これなら? 36.9度。よがった!

でも今は……急に寝込んだことによる、精神的なショックがあります。
これが大事な仕事の日に当たっていたら……
(ていうか、実は今日、白水社で打ち合わせの予定だったのです。
すみませんでした!)

明日、なんとか休講しないで済みそうで、よかったです。
あとは、喉と腰が痛いのと、わりとフラフラして、あんまり食べられないだけです!

2010年7月3日土曜日

いつの日か


今回の「今週の1曲」は、Les Nubians でした。
You Tube に、ライブがありました;

http://www.youtube.com/watch?v=HqqySbh7V7M

「ヌビア人」というのは、放送でお話しした通りの存在なんですが、
実はかの『モンテクリスト伯』の3 人の従者(といっていいのか)の1 人が、
たしかヌビア人だということでした。

この『モンテクリスト伯』は、フランスにおけるコルシカ人のイメージを語る上でも、
かなり重要な位置を占めていると言えます。
これだけいろんなメディアが発達した現代でも、
流通しているイメージはかなり恣意的なものです。
ましてや、外の世界の情報などほとんど入ってこなかったあの時代、
小説の影響力はかなりのものだったでしょう。

ところでこの夏、実はコルシカ島にいくつもりだったんですが、
まじめに調べてみたところ、日本からだとかなり行きにくそう。
費用も相当かかるし。
しかたないので、別の候補を検討し始めています。
でもいつか、行くぞ~!

2010年7月1日木曜日

走れ!


今日は午前中にフツーに授業があり、午後からはまたもやNHKへ。
今日は収録です。(今週の土曜が会議のため、振り替えてもらいました。)

渋谷に着いた時は、まだ45分ほど余裕があったので、
とりあえずBOOK FIRST をひやかし、続いてHMVへ。

このHMVの渋谷店、8 月に閉店なんですよねえ。
2 週間ほど前にこのニュースを聞いた時は、ちょっとショックでした。
なんといっても1番使うCD ショップなので。
(ドログバ骨折の時も、ほんとにショックでしたけど。)
で、コラという楽器のCD をゲット。
このごろ、コラがお気に入りです。こんな感じの;

http://www.youtube.com/watch?v=JNl8kIwj1_k&feature=fvst

          ◇

話は違いますが、先日買ったスニーカーが、
おそろしく履きやすくて、驚いています。
履いた初日から、もう1か月も履いたような馴染み感。
もともと夏用に通気性のよさそうなものにしたので、軽いし。
(Patrick Cox の、marathon というシリーズです。)

それで思い出したのが、小学生の時の運動会。
徒競争の時、当時の子供たちは、足袋を履くのが定番でした!

こんなことを言うと、それいつの話? という気もしますが、
昭和40年代の、東京の話です。

もちろん普段は、靴を履いてるんですよ。
それがなぜか、本番のレース時には、小学校前の文房具屋(?)で買った、
白い足袋を履くのです。あれは…… 軽かった!

去年あたり、小中学生の間で、「俊足」という靴が流行ったらしいですね。
これって、メンタリティー的にはかなり「足袋」に近い気がします。

こんなこと、ほんとに数十年ぶりに思い出しました。
でもどうなんでしょう、徒競争で足袋を履く習慣て、いつから始まったんでしょう?
「旅立ち」には、今でも足袋を履かせますけどねえ……