2010年11月30日火曜日

気配


今日の「東京詩ゼミ」の発表では、初めて、
パワポが登場しました。
それも、PCに強い情報科学科の学生ではなく、
応用化学科の1年生の女子です。
(2年生の男子たちも、すごいね~、と言ってました。)

でも聞いてみたら、彼女はプレゼンが得意なんだそうです。
高校でも、そういうクラブにいたとか。
昨日の夜作ったって言ってましたから、慣れてるんですね!

でも彼女の発表がよかったのは、パワポだけじゃありません。
彼女は、自分と同じ福岡出身の、175R(「東京」)と川嶋あいを取り上げ、
その歌詞の内容に、自分の(経験からくる)リアルな気持ちを寄り添わせました。
だから、「読み」も体感的。
いいと思います。

そして川嶋あいのほうの曲は、
(東京らしき街から)博多に帰ってきた女の子と、
博多で暮らす男の子が登場する「博多純恋歌」。
ここには東京は出てこないけれど、
たしかにその気配があります。
こういう、どこかの地方を舞台にしながら、
でも東京の影が感じられるっていうのも、
おもしろいですね。

           ◇

中国語の林先生に言われて、ああ、ほんとだ! と思ったこと、
それはね、
今年は紅葉の色が綺麗、ということ。
ほんとに、深い色してます、今年は。
「すごく暑くって、急に寒くなったからね。
カナダとおんなじ!」
なるほどね。

           ◇

夕方はお茶の水の校舎まで移動して会議です。
これが終わったのが8 時。
なかなか長い1日でした。

2010年11月29日月曜日

OSCAR ET LA DAME ROSE


昨日一仕事メールで郵送したので、 今日は朝からくつろぎモードでした。
空気も、台風一過かと思うほど澄んでいました。

で最初にしたのが、
『100歳の少年と12通の手紙』
を見ること。
(といっても、フランス語版のDVDなんですが。)

なるほど、これはおもしろいです!
原作小説に比べると、かなりふくらませてあるんですが、
そのふくらませ具合がとっても自然。
それもそのはず、映画の監督は、
原作小説を書いたエリック=エマニュエル・シュミットその人です。

まず何と言っても、主役のミッシェル・ラロックがいい感じ。
彼女は、今までにも数十本の作品に出演しています;

http://www.youtube.com/watch?v=00UQRBhdrl0

日本でも公開された『メルシー! 人生』、懐かしいですね。
(あの時は、ラロックのことをよく知りませんでしたが。)
そして今回の『100歳の~』は、彼女の代表作になるかもしれませんね。

http://lebuzz.info/2010/02/47327/dossier-oscar-et-la-dame-rose-michele-laroque-presente-le-film/

このラロック演じるローズは、個人で宅配ピザ屋を経営中。
そして少年オスカーには、かつて自分はプロレスラーだったと言ってしまいます。
それ自体おもしろいのですが、映画の場合、
プロレスの(幻想としての)試合の場面が、
ワイヤー・アクションなども使ってコミカルに描かれていて、
見ながらその場面がやってくるのを楽しみにしてしまいます。
そしてそれが、余命わずかな少年の物語に、
ある風通しを可能にしていると言えると思います。
まったく「フランス映画」のようではなく、
まぎれもなくフランス映画です。

日比谷では、まだ上映中のようです!

2010年11月28日日曜日

朗読者


マルチニック出身の「朗読者」、
Joby Bernabe という人だそうです。
クレオール語です。

http://www.youtube.com/watch?v=xgYfUQRaP8c

これは中村さんのブログで知りました。
おもしろいですね~(意味はわからないけど!)
詳しくは;

http://mangrove-manglier.blogspot.com/

活劇


今日は土曜日、ではあったんですが、
大学の業務で朝 9:30 から夕方4 時過ぎまで、
みっちり仕事してきました。

そしてその帰り道、
『レベッカ』シリーズの第4巻、やっと聞き終わりました。
今回は、風呂では他の文庫を読んでいたので、
ほとんどすべて、通勤の行き帰りだけで聞き終えた感じです。

この第4巻(邦題は『波乱の新婚生活篇』)は、
今までにはなかった雰囲気のもので、
なんというか、やや不安げな、言ってしまえば暗い要素も入っていました。
まさかこのシリーズがこんな暗さを纏うとは。

もちろん最後には、もつれた糸はほどけます。(それはお約束です。)
でもね、プロセスがね。
しかも今回は、「活劇風」というか、やや大がかりなアクションまであり、
シリーズに新しい面を導入しようとしたのはよく分かります。

さてこうなると、次の出勤日からは、シリーズ最新作、
L'accro du shopping attend un bébé
を聞き始めます。
今度はどうかな??


今日ちょっと寄ったスーパーで、正月用のお供え餅を見かけました。
もうそんな時期なんですね!

2010年11月26日金曜日

Sorry !


一昨日、『ある日』のことを書きましたが、
実は木坂さん、同時にもう1冊、新詩集を発表なさっています。
『どこへ』です。

http://www.shichosha.co.jp/newrelease/item_262.html

木坂さんとは同じ歳なので、なんというか、
過去への視線というか、
現在の中に過去が閃く瞬間の感じとか、
ああ、やっぱりこうだよねえ、と思わされる詩行があります。

けっこう長い時間を、この地上で過ごしたけれど、
そしてそれは今日も続いているけれど、
いつまでも続くわけではなく、
でもやっぱり、今日は生きている……

         ◇

今日は授業の後、3年生のO君が研究室に来て、
なんだかんだで1時間くらいしゃべりました。
もともとは、来週は会社説明会で授業に出られない、
と報告しに来ただけなんですけどね。
そこから、就職の話になって……

「いつかは独立したいんですけど、周りから、
10年は働いてからにしろっていわれるんです。
ほんとに、10年かかりますか?」

さあ……
 
あんまり役に立たない教員でごめん!

2010年11月23日火曜日

『ある日』


今日の東京は、午後には日差しもあって、なかなか気持ちのいい日でした。

そして今日は、仕事も一段落した(ことにした)ので、
楽しみにしていた本を開くことにしました。
木坂涼さんの新詩集、『ある日』です。

木坂さんの詩は、ほんとに日常的でありながら、
その日常が波のように広がっていきます。世界のほうへ。
そして読む者の胸には、あたたかさが残ります。
(あたたかさ、は、さびしさ、と言い換えられます。
なんといっても、わたしたちは生きてるんですから。)

この『ある日』も、まさにそんな詩集。
すべての詩が、

ある日、

から始まります。たとえば、

ある日、
私は改札を出て傘をひろげた。……

とか、

ある日、
「あさって夕方からカレーパーティーをするから、スプーンを
持って参加して」と大学の学食で誘われた。……

あるいは、

ある日、
私はメンフィス動物園にいた。……

さらに、

ある日、
私は猫を風呂に入れた。……

「……」の部分には、時に淡彩、時にカラフルに、人が、生き物が、
時間が、空間が、さまざまに生きています。

この詩集を読んだきっと誰もが、
その人の「ある日」をたどり、思い出し、重ね合わせるでしょう。
木坂さんは遠くにいて、わたしたちの思いに耳を澄ませくれているでしょう。

さらりとしたカバーの紙質、箔押しされた「ある日」。
何度も撫ぜてしまいまいた。

http://www.shichosha.co.jp/newrelease/item_263.html

2010年11月22日月曜日

深呼吸


昨日の日曜日、
勤め先の文化祭、「生明祭」に行ってきました。
お目当てはただ「東京ダイナマイト」一点です。

ダイナマイトは、どちらかいうと静かめなテンションでしたが、
さすがにオモロイ!
2つやったネタのうち、「オレオレ詐欺」のほうは聞いたことがありましたが、
「『涙』を『味噌汁』に変えて歌ったら」というネタは、初めて見ました。
いいですねえ、やっぱりダイナマイトは!
これからも応援します!

そして午後は、大学の近くにありながら、
実はまだ行ったことのなかった生田緑地を散歩してみました。
古い民家を、日本各地から移築して構成した民家園や、
岡本太郎美術館も、覗いてみました。
(TAROは身長158センチだったそうです。等身大のパネルがありました。)
TAROの作品は、渋谷駅でしょっちゅう出会うので、
なんとなく馴染みです。
個人的には、2次元のものより、3次元のもののほうがそそられます。
そして個人的ついでにいえば、わたしは母親のかの子の作品も好きです。
(『東京詩』でも取り上げました。)
彼女の作品の一途さは、どこかTAROの爆発に通じると感じるのは、
おそらくわたしだけではないでしょう。

日々PCの前に座っている時間が長いので、
たまにはこうして、緑地で深呼吸するものいいですね。
(♪ But I fear tomorrow I'll be sitting (in front of the computer ! ))

2010年11月21日日曜日

ステキな別れ


もう1週間経ってしまいましたが、
先週の2年生のフランス語の授業では、
最近聞いている「レベッカ」シリーズの第2巻から、
ちょっと気に入っている場面を取り上げました。

レベッカが、恋人リュックとNYに行く直前のこと、
かつて1度だけ、やや苦いデートをしたことのあるタルカンが、
レベッカと同居しているシューズを訪ねてきます。
これから二人はパーティーに出かけるんです。

この予期しなかった出会いをとらえ、
レベッカは、「ずっと前から言いたかったこと」を、
タルカンに告げる決心をします。
レベッカは言います、
「そのセーター、そのヴェストとあんまり合ってないよ……」

― Tarquin... il y a quelque chose ... que je veux te dire depuis longtemps.
― Oui ? C’est quoi ?
Il plante un regard anxieux dans le mien. Je rejette mes cheveux en arrière.
― Ce pull. Il ne va vraiment pas avec ce gilet.
― Oh ! Tu trouves ?
― Oui. En fait, c’est ... affreux.
― Tu crois que je devrais l’enlever ?
― Oui. Et enlève aussi le gilet.
Docilement, il s’exécute, et je découvre avec étonnement qu’il a finalement beaucoup plus d’allure dans une chemise bleue toute simple.
― Attend, ne bouge pas !
Je file dans ma chambre et j’extrais un pull noir uni d’un des sacs.
― Regarde ! Essaie-le. C’est un Paul Smith.
Il obéit et ... quelle métamorphose !
― Tes cheveux. Il faut les arranger.
10 minutes plus tard, les cheveux ont été lissés en arrière avec un peu de gel.
― Tu es magnifique !
Je suis sincère. Il a l’air... intéressant.
― C’est vrai ?
Il s’examine, la mine vaguement choqué. Bon, je lui ai un peu forcé la main, mais il m’en sera reconnaissant sur le long de terme.
― Amusez-vous bien, dis-je d’une voix maternelle.
― Compris ... Tu veux que je renvoie le pull par la poste ?
― Non ! Garde-le surtout et mets-le. C’est un cadeau.
― Merci. Je ... je suis très reconnaissant, Becky.
Il fait un pas vers moi et m’embrasse sur la joue.
Il aura, j’espère, la chance de rencontrer quelqu’un à cette fête. Il le mérite vraiment.

ところどころ、わたしが勝手にリライトしてます。
というか、難しい個所は切ってあります。でも、
この二人の会話の雰囲気は、十分伝わっている気がします。

Il le mérite vraiment.  「彼はほんとにそれに値する」

ちょっと記憶に残る、別れの場面ですね。
(実はこの別れが、またひとつの伏線にもなっていました。)

2010年11月19日金曜日

Lemon Tree


今日は、文化祭のために授業はお休み。
で、楽しみにしていた映画、『Lemon Tree』を見ました。

この映画、監督は『シリアの花嫁』の Eran Riklis。
残念ながらまだ日本未公開なので、フランス語版DVDで見ることにしました。
舞台は、ヨルダン川西岸地区。
主人公は、そこでもう50年以上続くレモン園の世話をしている女性です。
彼女の子供たちは既に独立し、息子は合衆国にいます。

物語の発端は、このレモン園の隣に、イスラエルの防衛大臣が越してきたこと。
大臣夫妻の警備のために、2000本のレモンの木、
すべてを根こそぎにせよ、という通達が出ます。
美しく勇気あるレモン園主は、断固これを拒否。
つてをたどって弁護士を探し、法廷闘争に持ち込むのですが……

このあと、やはり美しい大臣夫人と、このレモン園主の間に、
なんともいえない感情が通い合い、それがそれぞれの運命に影響を与えます。
夜になると、狼たちの遠吠えが聞こえる西岸地区での、
小さくて大きな物語……

主役のヒアム・アッバスは、『シリアの花嫁』でも主役でした。
すごくいい女優だと思います。わたしは好きです。
(『シリアの花嫁』の父親役の男優も、ちらりと顔を見せています。)


『シリアの花嫁』の舞台はゴラン高原でしたから、
これは一応イスラエル領ですが、シリアとの国境地帯。
西岸地区ももちろん、国境問題で揺れる地区。
つまり両作品とも、「境界」がテーマであるといえそうです。
そしてどちらの場合も、勝者はいない、というか、
両方が敗者に見えます。
もちろん、それでも日常は続くわけですが。

このRiklis 監督は、ありきたりなおさめどころに決して近寄りません。
やっぱり人間はバカだ、とか、
やっぱり平和に暮らしたいよね、とか、
やっぱり話せばわかるよね、とか、
やっぱり「日常」って、国家や宗教を超えるよね、とかいう、
すべての「やっぱり」を、つまりすべての予断を拒否する感じ。
 作品自体は柔らかいのに、こんな作品が作れるんですね。

この監督には、もっともっと撮って欲しいです。
1954年生まれと言いますから、まだまだ行けますね!

今夜


今夜10時から、
NHK「世界街歩き」は、パリ・バスティーユ地区の登場です。
見なきゃ!

             ◇

今朝の清水哲男さんのつぶやきから;

*******************************

菅直人を見ていると、つくづく戦後民主主義の子だという気がする。
右顧左眄しているわけでもなく八方美人になりたいわけでもない。
旧弊な人間からすればそう思えるだろうが、
戦後民主主義を政治の現場で体現すれば、
管のように振る舞わざるを得ない。
いまこそ戦後教育の成果が問われているのだ。

*******************************

戦後民主主義…… それはわたしが受けてきた教育でもあります。

直接関係ないですが、昨日の新聞によれば、白人でも、
「カジュアルで、プリウスに乗ってて、スタバでコーヒー飲んでれば、
それは民主党支持者」だとありました。
(アフリカ系やヒスパニック系も民主党寄り。)
そしてその反対が、共和党支持者だ、ということですね。
「きちんとした短髪で、大型車、こってり食事」、みたいな。

政治的信条の延長上の、こうした生活スタイルを見ただけで分かる、
というのは、
でもたしかにそうだろうな、と思いますね。

2010年11月18日木曜日

De la demer !


昨日は、そういうわけで夜はワタリウムだったんですが、
午後は、NHKで打ち合わせでした。
都合、4,5 時間ほどでした。

途中、30代のフランス人男性と会うことがありました。
とても感じがよく、にこやかなハンサム青年でした。
(「イケメン」という言い回しは、やや抵抗あり。歳か!?)
で、そんな彼はムスリムなので、酒も豚肉もやりません。
彼にはフランスのイスラム社会についていくつか教えてもらったのですが、
それ以外にも、1つ、
まあそうだろうけど完全には自信がなかったフランス語の質問
をしました。それは、ここにはもう何度も登場しているBeyonce Coulibaly の、
歌詞の一部です。

ステキな彼女にオレたちは言い寄るけど、
彼女は全然相手にしてくれない、だってオレたちは
on est tous de la demer !

というところです。
「オレたちはみんな demer だ」というわけなんですが……

この demer 、辞書には出てません、が、もしこれがverlant (逆さ言葉)なら、
merde ! になりそうです。だとすると、
「オレたちはみんなクソだ!」
となり、とてもしっくりきます。
で、多分そうだろうとおもってたんですが。

Bingo ! 正解でした。
フツーに定着している verlant だそうです。
(というか、ラップに出てくるverlant は、基本創作ではなく、
すでに使われてるもの、ということでした。)
となると、demer のまえの de la は、部分冠詞ということになりますね。

このクリップを挙げるのは、もう5~6 回目になるので、
かなり気が引けるのですが、
de la demer ! と合唱(?)しますから、そこだけでもどうぞ!

http://www.youtube.com/watch?v=ZcBEedFhbVQ

0' 48秒あたりから、何度も出てきます。
ちょっとすっきりしました!

ワタリウムって……


今日は昨日に続いて、
青山のワタリウム美術館で、トークイベントを聞いてきました。
「磯崎新 & 藤本壮介」です。

以前ここでも触れたと思いますが、
去年中央公論で読んだ磯崎新の文章が面白かったので、
これは、と思ったわけです。
(今日渡されたハンドアウトは、なんとその中公のコピーでした。)
ナマ磯崎新を見るのは初めてなので、
それだけでも面白かったです。が……

ただ今日は残念ながら、会場がひどかった。
ワタリウムに付属する、オンサンデーズという本屋が会場だったのですが、
まったくイベントには向かない場所で、
とにかく正面から見られる席は半数くらい。
わたしの席(真横)からは、壁に映し出される映像はほとんど見えません。
しかも! びっしり並ぶのはパイプ椅子(か背もたれの無い丸椅子)。
しかも! 入場は20分遅れで、その間客はみんなただ立って待つのみ。
(「コンピューターを設置しています」って、今ごろ?)
しかも! 1500円。

ワタリウム、残念でした。

2010年11月16日火曜日

ある日の Mozart


今日は午前中のゼミがあり、(『100歳の少年』、評判 bon !)
夜はサントリー・ホールへ。
そうです、内田光子&クリーブランド管のコンサートです。

……実は数日前、近くの駅を通った時、駅構内のちょっとした空間で、
若い女性たちが Mozart を演奏している場面に遭遇しました。
それは駅ビルに入っている音楽教室の宣伝活動でしたが、
ヴァイオリンや鍵盤の音は、駅で聞くと小さな驚きがありますね。
演奏自体は、まあ軽いものだったし、
場所柄、マイクまで使っていました、が、
それはやっぱり、Mozart ではあるんです。
それはやっぱり、天才的な音楽だと感じられました。

そして今日、曲目はピアノ・コンツェルトの20&27 す。
これはね、演奏者と曲目を見ただけで、
明らかに80点はいく感じですが、
まさにそういう結果でした。
特にニ短調の20番は、曲としても最上の部類(と思います!)だし、
素晴らしかったです。
不安げな第一楽章も、天上的な第二楽章も、スリリングな第三楽章も。

この20&27番の協奏曲については、内田光子がCD を発表しています。
でもわたしは、わざと買いませんでした。
この2 曲は(たいていのクラシックファン同様)わたしも馴染みだし、
だからこそ、内田光子の解釈を、まずナマで体験したかったのです。
(わたしが特に馴染んでいるのは、ブレンデルやグルダです。)

今日の演奏は、ところどころ、ややゆっくり目のテンポであるように感じました。
それはチェリビダッケやアファナシェフのようにではありませんが、
それでも、音を確かめるように弾いている印象もありました。
決して、弾き飛ばすというのではなく。

それにしても、内田光子のピアノの音って、
こんなにきれいだったんですね。
なんというか、この世の音ではないみたいな気がする瞬間もあり……
どんなに高性能のスピーカーでも、
この音は再現できないでしょう。

というわけで、
1ファンに過ぎないわたしが、こんなことを言うのは気が引けるんですが、
でも学生諸君に言うつもりで言っちゃいましょう。
「クラシックに興味はあるけど、どこから始めていいかわからない」
とお困りのみなさんがもしいらしたら、
上に挙げたCD を推薦しちゃいます。
素晴らしい曲、新鮮な演奏。
ここで試聴できます;

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88-%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC20%E7%95%AA-%E7%AC%AC27%E7%95%AA-%E5%86%85%E7%94%B0%E5%85%89%E5%AD%90/dp/B0041N98GY/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1289917872&sr=8-1

ただしこの試聴、大事な「出だし」はわざと聞かせてない模様。
出だしがいいんですよね、どの楽章も。

というわけで、楽しい一夜でした!

2010年11月15日月曜日

逆引き

週末はつるべ落とし…… 
あっという間に月曜日です。

あんまり活躍する機会はないのですが、
たまに使わないではないのが逆引き辞典です。
もちろん、フランス語版もあります;

http://www.littera.org/dico/index.php

韻を踏んで詩/詞を作りたいときなんか、
きっと役に立つのでしょう。
フランス語ラップを目指すあなたには、使える、かも?

         ◇

今日午後に寄ったスタバで、
白水社の辞書、Dico を使って勉強しているうら若き女性がいました。
彼女は、電子辞書も携帯していたのですが、
なぜかDico のほうをバリバリ引いてました。
何を読んでたんでしょうねえ……

2010年11月12日金曜日

『100歳の少年と12通の手紙』


かなり前から、始まったらここでご紹介しようと思っていて、
気づいたら公開後1週間が経っていた映画、それは
『100歳の少年と12通の手紙』
です。
予告編もここにあります;

http://www.100-12.com/

原作は、『イブラヒムとコーランの花たち』のエリック=エマニュエル・シュミット。
そう聞いただけで、まあ75点は間違いないな、という感じ。
原作小説は、2時間で読める短さながら、
なかなか心に残るいい作品だと思います。

で映画のほうは、わたしはまだ見ていないのですが、
たった一人、早くも見てきた女子学生のレポートによると、
これは期待通りの作品のようです。ただ、
「日曜の夕方の回は、けっこう空いてました」とのこと。
早めに行かないと終わっちゃうかも。

そして1つ残念なのは、上映館が少ないこと。
東京だと、日比谷シャンテのみ。
神奈川・千葉が各1館。(以下上の公式サイトをどうぞ)
まあ、公開されるだけいいか。

みなさん、早めに行きましょう!

2010年11月11日木曜日

4 へ


ここしばらく、大学の業務を家に持ち帰ってこなす日々が続いています。
それもまた楽しからずや。(ということにしときましょう!)

でも通勤時はお遊びタイム! ということにして、
しつこく『レベッカのお買い物日記』を聞いています。
で今日、その3、
L'accro du shopping dit oui
が終了。この巻は……

ここまでの3冊の中では、残念ながら1番弱い気がしました。
ペーパーバックで500ページ近いのに、
メインのストーリー以外に「絡み」も少なく、
中盤はだいぶゆるかったかな。
そして大事なメインの問題そのものも、
あんまり感情移入できるものじゃなくて。

でも聞き続けていられるのは、
朗読している女性の声の質も、実は大きいんです。
比較的低くて、下品さを上品に演じたり、
間抜けな感じをさらっと語ったり、わたしはとても好きです。
もう30時間くらいは彼女の声を(耳元で!)聞いているのに、
実際の彼女の情報はゼロっていうのが、
ちょっと変な気もしますが。

(今勤めている理工学部に、フランス語が好きな先生がいらっしゃいます。
その先生の専門は電気関係です。
で先日、その先生に、このシリーズの第1巻のCD をプレゼントしました。
聞いてくれたかな?)

明日から、その4、
L'accro du shopping a une sœur
に突入です。
今度は、少し濃くなって欲しいけど……
(もう 5 巻まで買ってあるんだから、お願いだから Be intersting !)

2010年11月10日水曜日

業務連絡


「東京詩」ゼミのみなさん、
今回の宿題は;

関東大震災による被害の様子を調べる

です。
各自工夫して、図版なども使い、提出してください。
ただし今回は、次回の授業時に提出することにします。
4649 !

2010年11月9日火曜日

Breaking News

数日前、NHKのナオコさんはLady Gaga に似てるのファンだ、
と書きましたが、実はディレクターのユキさんは、
マイケルのファンです。(ってカミングアウトしていいですよね!?)

マイケルと言えば、1週間だけ試聴できる新曲が発表されましたね;

http://breakingnews.michaeljackson.com/JP/

Mmm.. 新しいアルバムは、また大ヒットなんでしょう。

(ただ、Will I Am などは、録音があるからって、
マイケルが「完成」と言ってない曲を出すのはどうか、とコメントしてます。
でもファンとしては聞きたいし、難しいところですね。)

2010年11月8日月曜日

タワレコ新宿店



昨日、テテのミニ・ライブがあるというご紹介をした、新宿のタワレコ。
ここはかつて、須山さんとの待ち合わせに使っていました。
どちらかが遅れても、ここなら大丈夫! というわけですね。
(本屋は…… これは別に時間を確保してからいかないと。)

で、タワレコには申し訳ないのですが、
待ち合わせには使っても、実際に買うのは渋谷のHMVがほとんどでした。
が、ご存知の通り渋谷店は消滅。
そしてHMVの新宿店は、豆粒ほどの売り場面積。

タワレコ新宿店、ワールド・ミュージック充実しています。
たとえば、先日ここでも「悪魔を憐れむ歌」をご紹介した、
Orchestre Nationale de Barbès も、
ちゃんと新譜が並んでいました。
これってなかなかないことだと思います。

これからは、このお店に行くことになると思います。
やっぱり、アマゾンだけじゃなくて、こういうお店が欲しいですね。

どうでもいいことですが、今わたしが使っている i-pod のイアホン、
タワレコ・ブランドの黄色いやつです。
これ、たしかに可愛い! んですが、
低音が、かなりイジッテアル感があり、
量を優先させたようで、スピード感がない感じ。
朗読なら大丈夫だけど、音楽は……?
ま、素人の感想ですけど!

2010年11月7日日曜日

こ!


行ってきました、昨日の「20世紀フランス文学と写真」。
(他にまわるところがあり、第3セッションのみとなってしまいましたが。)

一言で感想を言うなら、「こ!」(「濃い」の意。)となるでしょう。
発表者のこれまでの道のりが偲ばれる、とても濃く厚い時間でした。
すごいですね~、優秀な人たちって!
圧倒されました。

気になること、はあ~、と思うことはたくさんあったのですが、
中でいくつか挙げるなら、まずは、野崎歓さんが紹介してくださった、
ギベールの一節;

...à chaque seconde, sur chaque mètre carré de tous les points du globe,
il se forme une situation photographique qui se transforme en petit désespoir
si on ne possède pas.

(……)毎瞬、地球上のあらゆる地点のどの一メートル四方においても、
写真的なシチュエーションが生じ、それをわがものとできないとしたら
ひとは軽い落胆に捕らわれるだろう。

こんなこと、考えたこともなかった気もするし、
さんざん思ってきた気もするし…… 
そしてこんなことが、すでに79年に書かれていたんですね。

そして管さんの詩の一節;

一瞬ごとの音はそれをリアルタイムで耳にしているとき、まだ音楽ではないだろう
ただ音が消えて次の音にその場を丸ごとゆずりその連なりが瞬間ごとに
もやもやした回想として組み上げられたなら
消えた音の印象をわれわれは音楽と呼び
(……)
だが写真の感動だってむしろ回想の中にあるのではないか
くりかえし回想される写真、目の前にない写真、思い出の中で
次第にぼやけ薄れゆく写真、忘れてゆく輪郭や色彩
薄れながらなおも人にいつまでも呼びかける何かの痕跡、存在の名残
(「ラジオのように/消えてゆく」)

……そうだったのか……

そして休み時間には、
「サルトルのイメージ論 ―不在の写真論をめぐって」を発表なさった、
そして大好評だった「応用編」の講師でもある澤田先生と長めの立ち話。
番組通り、とても暖かい先生です。

で帰り道には、ばりばり現役の写真家、藤部明子さんと同じ電車に。
「上海万博いったんやけど、これがねえ、パビリオンとかより、
人がおもしろいの~! 見あきひんかったわ~!」
さすがです。

というわけで、濃さの一端をお伝えできたでしょうか?

           ◇

Tété が来日して、新宿のタワレコでミニライブをやるそうです。
今タワレコで彼のCDを買うと、その入場券が付いてきます。
ファンは急げ!

http://www.youtube.com/watch?v=BFcBHbHdbsg

2010年11月6日土曜日

Gaga et Madonna


土曜日、今日の東京はいい天気です。あったかいし。
で午後からは、東大に行くつもりです。

        ◇

昨日の2年生の授業で読んだのはコレ;

http://next.liberation.fr/musique/01012299955-lady-gaga-entre-a-l-universite-de-columbia

「ガガ、コロンビア大学に入る」。
といっても、本物の彼女が入学するわけじゃなく、
「レディ・ガガとセレブの社会学」という講座が、
来年開講されるということのようですね。
社会学って、おもしろいですよね。(特にこういう系は。)

ガガというと、ラジオで一緒に仕事したナオコさんを思い出します。
(「ゲ~ンキか~い?」 by Joey )
でもそれって、ガガのファンて、わたしの周りにはナオコさんくらい、
ということでもあります。
学生たちの中にも、いないことなないんでしょうが、
やっぱりJ-POP 好きのほうが多いようです。
(それを言うなら、BEPファンだって、ビヨンセファンだってリアーナファンだって、
大学では遭遇したことないですけど。)

この記事の中の、

«Apparemment, un des secrets pour devenir célèbre est de changer de nom»

「有名になるための秘密の一つは、名前を変えること」という部分は、
マドンナの名曲、American Life の出だしを思い出させます;

Do I have to change my name ?
Will it get me far ?
Should I lose some weight ?
Am I gonna be a star ?

http://www.youtube.com/watch?v=LYduJw5LyFM&ob=av2e

個人的には、数あるマドンナの曲に中でも、印象深い曲の1つです。
ほんのちょっと舌足らずな感じのラップも含めて。

ガガとマドンナ、これまでもさんざん比較されてきましたが、
まだ続きがある気がしますね。

2010年11月4日木曜日

20世紀フランス文学と写真


お伝えしようと思いつつ遅くなりました。
「20世紀フランス文学と写真」です;

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/futsubun/news/2010/10/08/

「まいフラ」中級講座を担当なさっていた澤田直先生も、
登場されるんですね。
みんな豪華ですが、第3セッションは特にそうですねえ。

予約・申し込みは不要だそうです!

2010年11月3日水曜日

6 façons de sourire


あっという間に時は流れ、もう 5日も前のことになりましたが、
2年生の授業で読んだ記事がこれ、
「笑いは 6 通りある」
です。

http://www.slate.fr/lien/29261/six-facons-de-sourire

(sourire というと、フツーは「微笑み」ということなんでしょうが、
この記事を読む限り、「爆笑」までも含んでいるようです。)

まずは出だし、「モナリザの微笑み」で軽く読者の気を引いた後、
大きく 2 グループに分かれると宣言します。
それが、「自分に向けられた笑い」と、「他者に向けられた(社会的な)笑い」です。
そしてそれぞれが、さらに3 つずつに下位区分され、
合計6 種類になるわけです。

授業では、
「全部訳す必要はないから、箇条書きでお願いします。
全体を大きくつかむように!」
といったんですが……

しばらく見ていると、どうもこちらのイメージが伝わっていないので、さらに、
「まずは 6 種類がなにか、それをつかまえちゃってから、
時間内で、個々の内容をつめていくように!」
と追加。でも……

まだ意図は伝わらない様子。で仕方なく、

A (                         )   :  1 ……
                   :  2 ……  
                                  :  3 ……
B  (                        )   : 4 ……
                   : 5 ……  
                                  : 6 ……

と黒板に書いて、
「こうなるように、エクセルっぽく!」
と指示。で……

もちろん、きれいにできていた学生もいます。
ただやはり、全体としては、ちょっと難しかったみたいです。
こういう練習、また今度やらないと!

2010年11月2日火曜日

moderne


今日の「東京詩」のプレゼンでは、
「いきものがかり」の「SAKURA」が、この授業では初登場しました。
この曲、「東京」という言葉は1度も出てきませんが、
意識されているのは明らかに東京です。

ご存知の方も多いでしょうけれど、
「いきものがかり」は男男女の3人組みで、
同級生である男性2人が小学生の時担当した「生き物係」から、
そのグループ名がきているということのようですが、
このネーミングは、たしかに少し面白いですね。
意外性があるし、「神がかり」なんかも連想させるし。
(というような意見が、昼ご飯を一緒に食べた同僚からも出ました。)

ただ、この「SAKURA」という曲の、特に詞は、
なんとも古めかしいものです。
言葉もそうですが、とりわけ語られている物語の古めかしさと言ったら!
例の、都会に出る男と、彼を思い続けて「故郷」で生きる女、というやつです。
しかも彼らは3人とも神奈川出身で、
途中に出てくる「春の大橋」は、厚木と本厚木の間だとか。
それって、新宿まで1時間かからないでしょ??

まあね、「桜」を持ち出してるところですでに、
古さに寄り添ってるわけですけど、
実際歌詞は、「これ演歌じゃ?」という箇所もあります。

でもこういう言い方をすると、
「演歌じゃ悪いわけ?」という声も聞こえてくる気がします。
わたしは、ポップスには、演歌であって欲しくないと思っているほうです。
というのは……

要は、演歌は様式であり、
一方ポップスは、時代を切り開くものであって欲しいと思うからです。
様式を壊し続けることが、モダンの本質であり、
ポップスはモダンであるべきだと考えているのです。
これって、ないものねだりでしょうか?

Il faut être absolument moderne.
絶対にモダンでなければならない。

とはランボーの一節ですが、
それこそが、たとえばバッハの深さは望めないポップスの、
ポップスだけが持つ価値だという気がしています。
バッハは、色んな演奏が試みられ、
それがまたたいていは面白いものだと思います。
でもやはり、「バッハの現代的解釈」は、
ポップスから湧きあがる現代性とは違うものです。
まあそんなふうに、わたしは思っているわけです。

……授業の話から、自分でも思わぬことを書いてしまいました。
でも音楽って、ほんとに魅力的ですよね。

(『扉をたたく人』という、9.11後のNYを舞台にした映画で、
不法滞在のために収監されたシリア移民の青年と、
彼と心を通わせる主人公が、
面会室のガラス越しに、胸や机をジャンベの代わりに叩く場面があります。
「音楽がいるんだ」という青年。
派手さはないけれど、ちょっといい場面です。)

            ◇

「東京詩」ゼミのみなさんへ。
今週の宿題について連絡します;

・先週に続いて、p.196まで読んでくる。
・p.401 あたりを参考にして、「コンビニの詩」を書いてくる。
 これは、経験に基づいて書けますね?
 「わたしにとってコンビニとはなにか?」
 あるいは、
 「現代においてコンビニは何に似ているか?」
 といいう感じでお願いします。

Bon courage !

2010年11月1日月曜日

空振り


昨日、
あるいは裏切りという名の犬』
のことを書きましたが、監督のオリヴィエ・マルシャルの作品を見たのは、
初めてではありません。
もうかなり前ですが、『ギャングスター』という作品を見たことがあります。
(先週の木曜日に、ちょっと触れましたね。)

当時それを見ようと思ったのは、
主演がアンヌ・パリロー(=ニキータ)だったからで、
それ以外のことは考えていませんでした。
ただこの作品、ちょっとエグイ感じだった記憶があります。
あるいは裏切りという名の犬』
には、エヴァという女性刑事が登場します。
彼女の感情は、わたしたち市井の庶民にも納得がいくもので、
しかも潔い感じ。
と思ったら、彼女、カトリーヌ・マルシャルは、監督の奥さんなのでした。


2人の間には3人の子供がいるそうです。

そして今日レンタル屋さんまで行って借りてきたのは、
同じオリヴィエ・マルシャルの、
『やがて復讐という名の雨』
です。で見始めてみたら……

オオ、これ前に借りて見たことがあります、完全に忘れてましたが!
でもまあ曖昧な記憶をよみがえらせながら見ていると、
ある場面から急に、見覚えがなくなりました。
前回は、ここで止めたんですね。

ただ、そこで止めてしまう気持ちは、よく分かります。
(って自分のことですけど!)
この映画、はっきり言うと好きじゃありません。
わたしはノワールは好きなんですが、
ホラーは苦手なんです。
Voilà pourquoi. ま、そういうわけです。
(予告編もリンクなし!)

オリヴィエ・マルシャル、好きになれるかと思ったんですが、
ちょっと残念でした!

           ◇

「ナミ恋」スタッフのリーダーだったケンタまで借り出されている、
NHKのビッグイベント開催中です。

http://www.nhk.or.jp/bunkasai/taiken.html

お子様連れには、とても良さそうですね。