2011年2月27日日曜日

よく分からないこと


よく分からないどころか、
まったく分からないことがヒマラヤのようにあるのですが……

わたしが学生の頃ですから、もう30年も前のことです。
その頃すでに、大学生の間でさえ、
こんなことが話されていました、つまり……

中国の民主化はムリだ、なぜなら、
あの広い国土を治め、あの人口を食べさせることができなくなるから。
今でさえ大変なのに、民主化なんかしたら、
(たとえば民族ごとに)バラバラになって、餓死者続出さ。
だから、中国に限っては、民主化しないほうがいいんだ……

あれから30年、驚くべきことに、
まったく同じ物言いが聞こえてくることがあります。
けれども、今それを語ることは、
30年前とはずいぶん意味が違うのではないでしょうか。
この30年間に、中国の暮らしもずいぶん良くなっているはずだし、
当時は考えられなかった、「富裕層」なんてものまで登場してるのです。

「富裕層」には、かなり不公正に近い方法で成り上がった人たちも多いようです。
もし今民主化したら――

さあここからがデリケートなところなんですが、
今中国で民主化するとしたら、
これは共産革命になる、という見方があります。
共産圏で共産革命!?
不思議ですが、今中国では共産党に近い「富裕層」に富が集中しており、
革命を起こすなら、
まず彼らと共産党を倒すことから始めることになるはずなのです。

こういう状況で、30年前のような議論をすることは、
誰にとって有利でしょう?
もちろん、「富裕層」にとって、ということになります。
彼らは、蓄えた富を失うのだけは御免だろうからです。

そもそも、資本主義の民主国家に暮らす日本人が、
中国は民主化しなくていい、なんて言っている時点で、
それってどう? という印象があります。
もちろん、民主主義なんて、最近の発明です。
これがベストだなんて思ってる人は、あまり多くないでしょう。
消去法的に言って、今のところ、まあこれがよかろう、
と考えている人が大半だと思います。
でも、それにしてもです、
おまえのところは飢死が心配だから民主化するななんて、
とても言えそうもありません。

中国には中国の、なんというか、価値観があり、
それは必ずしも民主主義と相いれないのだ、ということもあります。
なるほどこれは説得力があります。が、
現在の中国は不自由に見えて仕方ありません。
飲み屋では、共産党の悪口も言われているそうで、
その点ではリビアや北朝鮮とは違います。
それにしても、軍事力を背景にした一党独裁は、
今の日本とはまったく違う世界です。
この「縮まりゆく世界」においてさえ、そうなのです。
わたしはほんとに素人ですが、
やっぱり、中国も民主化すべきだと思っています。
もちろん、本当のことはよく分かりません。
ただ、民主化しなくていいとは、とても言えない気がするんです。
天安門世代には、「富裕層」になり果てた人たちもいるようです。
民主化は、途方もなく困難な道のりでしょう……

(中東を見ていると、イスラム国家でイスラム革命が起きている、
とも言える気がします。)

2011年2月26日土曜日

『これからの人生』


来週の3月1日から6日まで、
『これからの人生』の日本初演が予定されています;

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110226/ent11022608010005-n1.htm

実はこれ、かなり前から期待していた公演です。
元娼婦で、収容所から生還したユダヤ人であるロザと、
ムスリムの少年モモ……

「風」のHP には、もう少しだけ詳しい紹介があります;

http://www.kaze-net.org/repertory_2011

来週は2回の収録と業務などもあり、ちょっとビミョーなんですが、
なんとか行きたいと思っています。

2011年2月25日金曜日

春、N.1


もう春!
と言いたくなるようなお天気です、今日の東京は。
(今午後二時です。これから会議!)

で、
春と一緒に発売が近づいてきた『フラ語ボキャブラ』、
白水社のHPに、音声付きの見本を作って頂きました。

http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=08554

見本のページをクリックすると、
音声付きページが現れます。

こうした本も、ラジオ番組も、テレビ番組も、
すご~くたくさんの人たちの、見えざるチームワークなしには、
決して実現しないんですよね。
多謝!

2011年2月24日木曜日

ざわめき


今日は朝から夕方まで、わりとまじめに仕事して、
一段落して、
そしたらその後仕事を続けるのが困難になった(!)ので、
ふと思いついて、ボーリングに行ってみました。

(でもこれは、最近NHKで見たボーリング・チャンピオンの番組が、
心のどこかで影響しているのでしょう。
彼は、大きな大会の決勝戦で、2ゲーム連続パーフェクトという、
考えられない集中力で優勝していました。ルーキーなのに!
去年の日本の賞金王です。)

まあ、結果については、多くを語りません(涙)が、
ボーリング場は、comme toujours 楽しげでウォームな雰囲気でした。
高校生の男子たち、大学生のグループ、年配の方も多くいらして。

そういえば、堀江敏幸さんの『雪沼とその周辺』にも、
閉鎖するボーリング場が登場してました。
ボーリング場には、今日のような幸福感が似合うからこそ、
さびれたときの寂しさは、差しこむように感じられるのでしょうか。

ところでボーリングは、
ヘッドピンとその隣(2 or 3番ピン)の間に、
3°~6° で入れば、100% ストライクなんだそうです。100% です!
ただこの角度は、ストレート・ボールではムリなんだそうです。
(まあ、どっちにしても、ねえ……)

2011年2月23日水曜日

フランス語を話す黒人がデモ隊を襲撃した


リビア関連のニュースに、この一節がありました;

……外国人傭兵はアフリカ各地からの出稼ぎ者らとみられ、
「フランス語を話す黒人がデモ隊を襲撃した」など多くの証言がある。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110222/mds11022221310028-n1.htm

あまり嬉しくない話です。
カダフィは、「天安門事件」を目指す、と言っています。

カダフィ・ジュニアは、ヨーロッパで教育を受け、
彼の手腕はヨーロッパで期待されていたと言われていますが、
どうなんでしょう。
ヨーロッパが期待してるのは、リビアの幸福でしょうか?

2011年2月22日火曜日

LA PETITE JERUSALEM (再)


1か月ほど前、
LA PETITE JERUSALEM 『リトル・エルサレム』のことを書きました。

http://tomo-524.blogspot.com/2011/01/la-petite-jerusalem.html

その時、字幕版がフィルムセンターで上映されるとも。
で、行ってきました、京橋まで。

ただ残念ながら、ヘブライ語だと思われる部分は、字幕なし! でした。
それでも、フランス語では分からなかった部分もはっきりしたし、
見るのは2回目なので考えながら見られたし、
やはり行ってよかったです。

(以下、ネタバレあります。)

この映画は、
もちろん「ユダヤ問題」を扱っていると言えるでしょう。
オーソドックスを、完全に内部から描いていて、
監督自身、宗教的場面などは「ドキュメンタリーだ」と言っているほどです。

そしてこの問題から離れることはできないにしても、
ちょっと視点をずらせば、
これを「3人の女性たち」の映画だということもできそうです。
3人とは、主人公のローラ(18歳)、姉のマチルド(子供3人)、
そして2人の母親です。

哲学に没頭し、「欲望」を恐れ、遠ざけてきたローラは、
湧きあがる生命力の中で、ムスリムのジャメルに恋します。
ジャメルは、アルジェリア出身の元新聞記者で、
サン・パピエ(滞在許可証なし=不法滞在)状態です。
とても誠実な人で、たしかにローラを愛しているのですが、
「彼女を改宗させろ」と迫る自分の家族を捨てることができません。
それが理由で2人は別れ、
ローラは自殺未遂を起こすのです。


マチルドもまた、「欲望」や「喜び」を恐れています。
そのため夫を拒否することもあり、結果夫は浮気することに。
夫を愛する彼女は、なんとかつなぎとめたいと思うのですが、
やはり「喜び」に身を投じる覚悟ができません。
そんな時、mikvah と呼ばれるユダヤの水浴場で、
彼女はアドヴァイザーからヒントをもらいます。
戒律に触れないような、「喜び」の与え方、そして得方。
マチルドは、夫婦関係を保持できそうです。


母親は、チュニジアで若くして結婚し、
フランスで娘を2人得ましたが、夫はすでに亡くなっています。
宗教とまじないに閉じこもり、出てこようとしません。
煙を焚き、魔よけに頼るのです。

物語の最後、一家はイスラエルに行く決心をします。
それは、街のシナゴーグが放火され、
マチルドの夫が、覆面の男たちに襲われたことの結果でもあります。
ただ、ローラ一人は、パリに残ることにします。
今度は、今住んでいるような郊外ではありません。
パリです。

この映画には、何かが漲っています。
それはおそらく、戒律という檻に入れられたエロスなのでしょう。
生であり性であるエロスです。
パリに着いてからのローラの生活を、撮って欲しいです。

2011年2月21日月曜日

追記


昨日『きらきらしてる』に関連して、
監督・主演のGERALDINE NAKACHE はユダヤ人だと書きました。
そして今日、少し調べてみると、
ネット上のユダヤ新聞(?)に、彼女のインタヴューがありました;

http://www1.alliancefr.com/geraldine-nakache-news10,38,4708.html

このインタヴューの後半で、ユダヤ教について訊かれた彼女は、
こう答えています;

Je suis très croyante bien que très peu pratiquante. Mais j'allume une bougie en mémoire des morts, j'ai une Mézouzah devant ma porte, et je prie souvent. La religion est un bon guide et je ne pourrais pas vivre sans elle.

信仰は深いんですよ、実際に何かを実践することは
ほとんどないんですけどね。
でも、ろうそくを灯して亡くなった人たちを思い出したり、
ドアにMézouzah を付けたりはします。お祈りだってしょっちゅうしてます。
宗教は、よい導き手です。それなしじゃ生きられないでしょう。

映画『きらきらしてる』には、宗教的なことは一切登場していませんでしたが、
こういう思いで生きているんですね。


そしてもう1人のヒロイン、Leïla Bekhti のほうは、
明後日新作が封切られるようです;

http://www.youtube.com/watch?v=zi5pmdWdIZo

ミュージカル!? 
なんだかおもしろそ~~!

『きらきらしてる』


4,5 年前に、『パリ、ジュテーム』というオムニバス映画がありましたね。
18人の監督が、パリのあちこちを舞台に競作するという作品でした。
コーエン兄弟なんかも参加していて。

その中で、「セーヌ河岸」という、5 区を舞台にした作品があって、
これは授業でも何度か見せたことがあります。
といっても、5 分ほどの短篇なので、授業の合間、という感じでしたが。
これは、ヘジャブを被った若くてきれいな女子が、
白人の男の子に「ナンパ」される話なんですが、
授業では「ヘジャブ問題」の紹介の材料に使っていました。
(これからも使うでしょう!)
でそのヘジャブを被った女性を演じたのが、
Leïla Bekhtiイラ・ベクチ
だったのですが……

今日見た映画 Tout ce qui brille 『きらきらしてる』、
ヒロインの1人は、そのレイラでした。
とにかくこれを;

http://www.youtube.com/watch?v=c08OBrRbzqE

なんだか分かりづらいトレーラーです!
ちなみに主題歌(?)を、主役の2人が歌うクリップもあります。


可愛いです❤

http://www.youtube.com/watch?v=lCOU-aXSbOQ&feature=fvwrel

そして驚くのは、この映画の監督(共同名義ですが)が、
このもう1人の若い女性だということです。

彼女、Géraldine Nakache ジェラルディン・ナカシュ
は、先日見た『なんてきれい!』がデビュー作で、
若手女優なんだなあ、と思っていたら、ちがうんですね!

映画は、パリ郊外のPuteaux に住むこの2人の、
冒険、興奮、嘘、虚栄、やさしさ、そして友情が描かれています。
ちなみにPuteaux は、デファンスあたりです。


そして、レイラはアルジェリア系(劇中ではモロッコ系)、
ジェラルディンはユダヤ系なんですが、
その辺は、レイラの父親がモロッコにいる、
くらいしか描かれません。
まあ、その程度に「フツーのこと」として描いている、とも言えるのでしょう。

そして、二人とも、パリに憧れているのです。

とってもグッとくる映画でした!

2011年2月18日金曜日

Beyond friend


今日の東京は風が強くて、
もしかして春 1 番?
かと思いましたが、待てよ、これって…… 北風じゃん!
なんだか気温が高かったので、一瞬その気になったのでした。

            ◇

去年の夏には、
ワイクリフ・ジョンが立候補するとかできないとか、
それなりに話題になったハイチ大統領選挙。
今はこんな状況のようです。

http://www.cnn.co.jp/world/30001694.html

そういえばパリで、
たまたま乗ったタクシーのドライバーが、ハイチ出身のお兄さんで、
熱心にこの話をしていたのでした。
「ワイクリフはね、5 年間続けて住んでいるっていう条件が、
クリアできそうにないからね。
立候補は認められないだろうね」
彼はそう言っていて、その通りになりました。
まあ、ワイクリフには、
お金がらみのスキャンダルなんかも起こってしまいましたが。

記事に出てくるMichel Martelly は、ハイチの「国民的歌手」だそうです。

http://www.youtube.com/watch?v=078mDSybs2k

なかなか元気なズークですね。

そして! これはつい数日前のニュースなのですが、
ワイクリフはマーテリーを、全面支援する、と発表しました。

http://www.youtube.com/watch?v=Xw6RVKX8ZZU&feature=related

この、主にクレオール語による会見、
あのドライバーの彼は、どう思っているんでしょうか。

2011年2月17日木曜日

「(笑)」と付けるのは


新書シリーズの続きです。
今日は、新刊ほやほやのこれです。

『大学生からの文章表現 ――無難で退屈な日本語から卒業する』

このちくま新書、著者は黒田龍之助さんです。(「介」じゃないですよ!)

う~ん、たしかにねえ、平均的な大学生の文章は、
やや幼く、文法的に不正確な場合も多くあります。
だからこそ、卒業までには、
チャーミングとは言わないまでも、
正確で読みやすい文章が書けるようになったら、それは喜ばしいことです。
日本語を使う場面は、いくらでもあります。

そこでこの本です。
読んでいると、まるで目の前で黒田さんのナマ授業が展開されていて、
自分もそれに参加しているような気分になってきます。
まさに、ライブな熱気そのもの。
サンプルに挙がっている文章を書いた学生たちと一緒に、
広くはない教室に座っているような。
ああ、学生時代、こんな授業に出たかった!

具体的な内容の紹介は、どうしてもネタバレになるのでしませんが、
アドバイスがどれも具体的で、しかも順々に出てくるので、
「ステップを追って上達していける感じがしマスカット(笑)」
(↑ こういう文、絶対ダメだしされちまいますぜ!)

720円+税で、いきなり川端のような、
内田百閒のような文章が書けるようになるわけではないでしょう。でも、
ああオレはもうちょっとマシな日本語書くべきなんだよなあ、
と、ちらっとでも思ったことのある方なら、
必ずモトがとれる本だと思います。
黒田先生の言葉を信じて、実践してみましょう!

それにしても、ちょいちょい挟まる黒田さんの啖呵は、
いつもながら痛快です。
どこがとは申しませんが、よくぞ言ってくだすった!
という箇所が、いくつもありました。

黒田さんと杉山利恵子さんは、
わたしにとってはNHKの大先輩で、
折りに触れ、貴重なアドバイスをもらっています。
(これは社交辞令じゃありません。)
頼れる先輩が2人もいて、ほんとにラッキーなんです!

2011年2月16日水曜日

『愛と憎しみの新宿』


フーガのように(ってほどイイもんじゃないですが)やってきていたゲラ、
なんとかかんとか、

昨日=『フラ語ボキャブラ』
今日=『テレビ・フランス語講座・4 月号』

無事責了となりました。
それぞれの担当であるカンケさんとサホコさんが、
夜も寝ずに(まあ少しは寝て)がんばってくれたおかげです。
ありがとうございました!

テレビのテキストは3月18日発売、
『ボキャブラ』もほぼ同じ頃だと思います。
春ですね~

          ◆

「新書ブーム」と言われて久しいですが、
たしかにわたしたちが学生だったころに比べると、
はるかに身近になった気がします。
最近ここでご紹介したのは、菊池先生の『警察の誕生』と、
池澤夏樹編の『本は、これから』でした。
そして今日紹介したいのはというと、
『愛と憎しみの新宿 半径一キロの日本近代史』(ちくま新書)
です。

著者の平井玄氏は、1952年新宿生まれ。
そしてその後もずっと、新宿の内側から街を体験しています。
家業が2丁目近くの洗濯屋さんだったそうで、
その集配などを通しても、
たとえば店に集まる客たちとは異質の経験を積み上げています。

もちろん、60年代の「不良」としても大活躍。
近くて遠い世界が生々しく描写され、引き込まれます。
(わたしには、文体がやや高く、波長が合うまでに20~30ページかかりましたが、
その後はリズムよく読めました。)

で……

近くて遠い、と書きました。
それは二重の意味があります。

まず年齢的に言って、平井氏はわたしの6 歳上です。
つい先日も、同僚たちとのランチ中にそんな話になったんですが、
たとえば5 歳の差は、10代だったら、
決定的に経験の質を変えてしまうでしょう。
ビートルズにしろ、湾岸戦争にしろ、エジプト革命にしろ。
そういう意味で、この本に登場する店や出来事は、
近くて遠いのでした。

また場所もあります。
平井氏は、完全に、新宿をその内部から、えぐるように見ています。
それに対してわたしは、いつもある距離の向こうから眺めていました。
新宿には、なんともいえない感情が湧きますが、
そこには距離の感覚が常にあります。
単純に、わたしが東京の郊外(というか田舎)育ちであるせいでしょう。
『東京詩』にも書きましたが、
松任谷由実の歌は、
彼女が育った八王子と都心までの距離こそが、可能にしたものです。
それは内部から見た姿とはまったく違います。
近くて遠い、第二の理由です。

わたしが通った大学は四ツ谷にあって、
四ツ谷~新宿は、中央線で1駅、5 分でした。
でも学生時代は貧乏だったので、
よく四ツ谷から新宿まで歩きました。
まあ、30分くらいでした、繁華街までは。
裏門から出れば、赤坂は15分ほどでしたが、
こちらはめったに行きませんでした。

なんだか急に、新宿に行きたくなってきました。

2011年2月14日月曜日

ソリスト

グラミー賞、発表されましたね。
今回1番「おお!」と思ったのは、
内田光子さんの最優秀インストロメンタル・ソリスト演奏賞です。
しかも対象になったのが、去年サントリー・ホールで聞いたモーツァルトそのもの。

内田さんのコメントを引用すると、

「この度のグラミー賞受賞を大変うれしく思っております。
なぜなら、クリーブランド管弦楽団とのモーツァルト・シリーズの
最初の録音に対してだからです。
私は彼らと長く一緒に仕事をしてきましたので、
この受賞は私にとって特別な喜びです」

このコメントを読んでいるうち、
あの夜の音と光景がよみがえってきました。
いいコンサートだったなあ……

おめでとうございます!
         ◆

で今日は、予定通り、ず~っとゲラ直しをしていました。
そして7 時頃コンビニに出しに行こうと思ったら、
雪!
しかもけっこうちゃんと降ってます。寒いし。
せっかくなので、アイスも買ってきました。
フロで食べよう!

2011年2月13日日曜日

あとは明日


今日は大学の業務で、早朝から(Rihana を聞きながら)大学へ。
天気が良くてよかったです。

そういえば昨日は会議が2つ。(しかも1つは長いし!)
で一昨日は収録だったので、
結果的には、わりと働いた週末でした。
(業務や会議は、もちろん同僚はみんな同じなんですけどね。
みんなそれぞれに別の仕事も抱えてるし。)

で明日は、満を持して、『フラ語ボキャブラ』のゲラ最終チェックです。
これはどう見ても、丸1日かかります。
というのも、夕食前からつい今までもやっていたのですが……
なかなか進まない!
まあ、それだけ内容が濃い、ということにしときます。(OK ! )

というわけで、今週の月曜から始まった長い1週間も、
やっと明日で1段落です。
とにかく明日はがんばるぞ!

       ◆

それにしても、ムバラク一族の資産が6兆円近いとか。それって、
6.000.000.000.000 円てこと?
Impossible !

2011年2月12日土曜日

Stand there and watch me burn.


去年エミネムは、Love the way you lie という曲を発表しました。
feat. Rihana で、アメリカではかなりヒットして、
またその PV がすごかった。
ほんとに、悲しいほど「すごい」;

http://www.youtube.com/watch?v=uelHwf8o7_U

リフはこうです。

Just gonna stand there and watch me burn
But that's alright because I like the way it hurts
Just gonna stand there and hear me cry
But that's alright because I love the way you lie
I love the way you lie

そして今度は、Rihana が、love the way you lie part Ⅱ を発表しています。
新アルバムの最後の曲で、なんというか、もう…… すごいです。
残念ながら PV はないんですが、こんな曲です;

http://www.youtube.com/watch?v=2B50RUXbs-8

この曲について、Rihana はこう言っています。

「これは私たち二人ともが、なんというか、
経験したことなんです…… 別の側からですけど。
エミネムはドメスティックバイオレンスの繰り返しを断ち切りましたけど、
この心境は誰にも理解できないことです」

そういえば彼女は、クリス・ブラウンとの間で、そんな訴訟がありましたね。

で……

この曲で締めくくられる新譜 Loud 、わたしはこのところ、
このCD ばかり聞いています。
Rihana はもともと好きで、すべてのCD を聞いてきたけれど、
今回の作品が最高じゃないかと思います。
(今はこんな悲しい曲を取り上げちゃいましたけど、
もちろんいろんな曲が入っています。)
歌はすごくうまくなった気がするし、スケールも大きいし。
R&B のテイストは少し奥に引っ込んだけど、まだ十分感じられるし。

リアーナは、もうはっきりビヨンセを超えた感じですね。

Enfin !


ついに辞任です。

わたしが見ていた限りでは、
オバマ大統領以外、EU の首脳も、日本の大臣も、
「辞任しない」方向でまとめようとしていましたね。

彼らには、エジプトの民衆の気持ちがわかってなかった、ということなんでしょう。
「天安門」にならなくてよかった。

2011年2月10日木曜日

新装幀


白水社HP の「新刊情報」に、
『フラ語ボキャブラ(改訂版)』の装幀がアップされています;

http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=08554

可愛いでしょ!

装幀は、フラ語シリーズすべてのデザインを引き受けていただいているカオリンです。
(元気ですか~? 久保田も菊姫も元気ですか~?)

*「久保田」「菊姫」はネコちゃんの名前。どんな生活かばれる……

今最終チェック中です。
そして2 枚のCD には、かなり自信アリです。
( Disk 1 :79' 44''       Disk 2 :78' 16'' → もう入りません!)
乞うご期待!

2011年2月8日火曜日

過剰なもの


昨日に引き続き、今日も大学で業務がありましたが、
これが順調に運んで午前中に終了。
弁当ランチ後解散となりました。

業務の間の休憩時間、建築が専門の先生と話していて、
どういう流れだったか、
彼がこんなことを言い出しました。

「今は建築も、メディアを通して、
つまり画像などを通してで体験することが主流なんですけど、
これだと、匂いとか、光とか、足音とか、
そういうものは分からないんですよね。
たとえば足音にしても、石をどれだけ薄く削れるか、
なんていう技術上の問題によって決まってくるんです。

セプテンバー・11のあとしばらく、
風向きによっては、マンハッタン全体が、
何とも言えない臭気に包まれるっていう時期があったそうなんです。
NYの友人が、何度もそれを言うんです。
僕はその直前までNYにいたんですけど、その時はもう日本にいた。
だから、メディアを通してしか知らない僕とでは、
体験の質が違うわけです。

建築も、二次元の写真なんかでみるだけじゃだめなんです。
学生の作品でも、写真にするとミョーに見栄えのいいものがあるんですが、
それは「プリマ・ドンナ的」って言って、かわかられちゃうんです。
フォトジェニックっていってもいいんだけど、
それじゃあんまりなので」

なるほどねえ。
これはつまり、建築の身体性ってこと?

「そうもいえると思うんですけど、ただね、
そうしたものって、往々にして過剰なものなんですよね。
クライアントは、必ずしも喜ばない。
で、それをいかに説得するかっていうのがね」

身体が過剰?
そうなっちゃうような状況が、
実際今起きているわけですね。
もちろん本来は過剰なんかじゃなかったのに、
それが過剰だと感じられるような状況……

休み時間は、楽しいです!

2011年2月6日日曜日

片付け?


今日はちょっと整理をしていたとき、
ふとある文庫が目に入りました。
なぜその文庫を買ったのかが思い出せず、
(かつてその授業に感嘆していた)村上陽一郎先生の解説抜粋を読むうち、
なんとなく前書きも読み、そのまま第1章に入り、
結局最後まで読むことに。

その文庫は『動物の人間の世界認識』(日高敏隆)です。
文章はきわめて平易で読みやすいんですが、
動物や昆虫についての具体的な話は、初めて聞く内容も多く、
まったく本を置くきっかけがありませんでした。

かつて岸田秀は、
人間は本能が壊れているので、その代わりに自我が必要になり、
しかもその自我とは「幻想」なので、
つまり人間は「幻想」に支えられているのだ、
という論を展開し、わたしたちも学生時代は感心した覚えがあります。

で、この『動物と……』で主張されているのは、
たしかに人間を支えているのは「幻想」だが、
それは本能が壊れているからではない、
なぜなら、本能をしっかり備えた動物たちもまた、
彼らの「幻想」を生きるしかないからだ、
ということなんです。
そしてその文脈で、さまざまな動物たちの、
生物学的条件(=枠)のもとでの「幻想」が紹介されるわけです。

たとえば、モンシロチョウの場合、
メスだけはその羽根が紫外線を反射し、
チョウたちはお互いにそれが「見えて」いるといいます。
わたしたちが、「白」としか見ていないチョウたちは、
実は仲間同士では、違う「環世界」を生きている……

そしてそんな例を多く見ていると、
著者が言う通り、わたしたちの言う「客観」が、
そうとうに主観的なものだと言わざるを得なくなります。
人間の「幻想」とチョウのそれは、本質的には同じものだからです。

そうです、たとえば「世界」という言葉は、
なにがしか「客観性」みたいなものをまとっている、
ような気がしています、わたしたちは。(ですよね?)
でもそれは怪しい、ということですね。

片づけは中途半端な状態ですが、
ま、おもしろかったからいっか!
(なぜ買ったのかは思い出せないまま……)

さて、明日からの週は、
わたしにしては忙しくなりそうです。
張り切っていきましょうね!

2011年2月5日土曜日

la forme entière


『本は、これから』という岩波文庫を読んでみました。
タイトルそのまま、「本」の未来について、37人の見方が示されています。

示唆に富む、とは、こういう本のことをいうのかもしれません。
1人1人が書く枚数は少ないので、
複雑な論理が展開する、ということはありませんが、
それぞれの書き手の基本的なものの見方がにじんでいます。

おもしろい見方は色々あったんですが、
中で、わたしなどにはまったく気づきようもない事情を紹介してくれたのは、
中野三敏という先生です。
(九州大学名誉教授、とあります。)
以下要約するなら……

明治以前の木版本、写本類について話そう。
それら、過去1200年間に蓄積された日本人の経験と思弁の総体は、
おそらく、100万点を超える著作として存在している。
それらを電子化すること自体は、それほど問題はないかもしれない。

問題は、誰がそれを読むか、より正確には、読めるか、である。
というのは、これら100万点のうち、活字化されたものは1万程度であり、
それ以外の99%は、「くずし字」で書かれているからである。
これを読める人は、今の日本人の、0.003%だろうと推察される。

一般に、必要な「古典」はすべて活字化されていると
考えられていないだろうか? それは全くの誤解だ。
日本人は、自らの「古典」の99%を利用していないのだ……

う~ん、そう言われれば、完全にそうです、
活字化されていない日本の「古典」など、1文字たりとも読んでいません!
なんだか、目の前に、開けていない箱がたくさん並んでいたことに、
唐突に気づいた気分です。どうしましょう……

ところで37人の最後を締めくくるのは、宮下志朗先生です。
その文章の中で、いくつか印象に残る一節が引用されているのですが、
1つ挙げるなら;

「わたしは、つましく、輝きもない生活を披露するわけだが、
それはそれでかまわない。(……)
人間はだれでも、人間としての存在の完全なかたちをそなえているのだから」
(モンテーニュ『エセー』 3・2 「後悔について」)

Je propose une vie basse, et sans lustre : C'est tout un.
( On attache aussi bien toute la philosophie morale,
à une vie populaire et privee, qu'à une vie de plus riche estoffe : )
Chaque homme porte la forme entière, de l'humaine condition.
(Montaigne, Essais 3-2 Du repentir )

宮下先生はこれを、
「わたしたち凡人を勇気づけてくれ」る文章だ、と書かれています。

2011年2月3日木曜日

CD 収録・追記


昨日、一昨日と収録した2 枚のCD 、
じつはこれ、『フラ語ボキャブラ(改訂版)』のためでした。

まず改訂版の特徴は、収録単語数を増やしたこと。
旬な単語ばかり、40語ほど追加して、1511語となっています。
それからもちろんCD ですが……

1 課から4 課(ここは je とか mon とか de とかの機能語)と、
クールダウンの最終まとめの数課を除いて、
CD 2枚、両方とも収録可能時間一杯まで、ミッチリ収録されています。
読む順序は、「日本語 → フランス語」なので、
ず~っと問題出されてるような感じだと思います。
繰り返してチャレンジして、いつか全例文いえるようになったら!

男性名詞は男性のシルヴァンさん、
女性名詞はレナさんが読みますから、
何回か聞けば、声の印象で、男女が区別できるかな。(きっとできます!)

形容詞は、必ず男性形(シルヴァンさん)・女性形(レナさん)、
両方とも収録してあります。
たとえ同じ音の場合でも、入れてあります。

とにかく、本に登場するすべての例文が「日→フランス語」で読まれますから、
それらの文を、楽しんでいただきたいと思っています。

この例文、いつ使うの!? というようなオモシロ例文は、
もちろん含まれています!
とはいえそれは、吹き込み者でもある優秀な2人のフランス人先生が、
綿密にチェックしてくれたものです。
フランス語としては文句なしです。
どうぞ安心して覚えちゃってください!

そして値段は、1900円(+税)。
CD 2 枚付きで、本体も258ページ、2色刷り、
しかも特製豪華プラッチック・シート、ヴァージョン・ルージュも付いています!
(これは…… 白水社さん、がんばったな~、と、わたしでさえ思います。)

今回は、やっぱりシルヴァンさんとレナさんに手伝ってもらったおかげで、
内容もブラッシュ・アップできたし、
CD も納得いくものができそう(編集中です)だし、
わたしとしては、作っていて、ぐっと手応えがありました。

発売は3 月中旬頃と聞いています。
はっきり決まったら、またご報告させてくださいね。

こどもたち


今日の昼過ぎ、ちょっと近くのコンビニに歩いて行った時のこと。
信号が変わるのを待っていると、
そこに1台の幼稚園バスが、ゆっくり近づいてきました。
何の気なしに見ていると……
鬼、鬼、鬼!
チビちゃんたちがみんな、カラフルな鬼のお面を頭につけています。
可愛いの!

そういえば、もうすぐチョコの日ですね。
清水哲男さんの今日のつぶやきを。

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バレンタイン・デーのチョコレート。
原料のカカオ豆農園で働かされている子供奴隷たち。
アムネスティのレポート

http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=2188

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ワールド映画ゼミの最終回に見た、
『おいしいコーヒーの真実』が思い出されます。

2011年2月2日水曜日

銀座


というわけで、今日は朝10時に銀座のスタジオに集合し、
無事CD2 枚分の収録を終えることができました。
なんだか、自分も加わっているのでオコガマシイのですが、
今回のCD はいい出来だと思います。
どこがどう、とは言えないのですが、
なんというか、手応えがある、と言いますか。
あと2カ月足らずで、店頭に並ぶ予定です。
どうぞご期待ください。

さて、収録が12 時に終わったので、築地近くから万年橋を越えて東銀座へ、
そしてそのまま目指す銀座線銀座駅、つまり4丁目の交差点まで歩きましたが、
まあ久しぶりに銀座を歩きたくなって、そのまま数寄屋橋方向へ進みました。

ランチは新宿に出てから、と思っていたのですが、
数寄屋橋あたりの地下を歩くうち、銀座ファイブという地下街に来ました。
このあたりはだいぶ久しぶりなのですが……
ああ、でもここって、数寄屋橋ショッピングセンターじゃん!
ここなら、小学生の頃、親に連れられてよく来ました。
(親の勤め先が銀座だったので。)

とはいえ、お店は完全に様変わり。
いわゆるエスニック料理の店がズラリと並んでいます。
どうも、近くのサラリーマンやOLさん相手のランチに力を入れている模様。
んん、そういうことなら、ここでランチしてみようかな?

食べたランチ(石焼ビビンバとミニ冷麺セット)は、
まあどうということはなかったですが、
普段とはまったく違う、銀座で働く人たちに混じってのランチは、
ちょっと新鮮でした。

         ◆

帰ってきたら、なんだかちょっと風邪っぽくて、
(収録後でよかった!)
ちゃんとしたものは見られそうになかったので、
軽めの『東京暗黒街』という、アメリカ映画を見ました。

この映画は、要はB級アクションなのですが、
撮影されたのが1954年の東京、ということで、
主に登場する風景に興味がありました。
セットやエキストラの雰囲気は操作できても、
街の様子はそうはいかないはずだからです。
で、たまたま個人的に印象に残ったのは、この画面;


これって、左手前に見えるのが服部時計店ですから、
画面の中央に伸びる道は、
昨日今日スタジオの行き来に歩いたまさにその道ということになります!
なんだか、今日の今日だと、不思議な感じがしますね。
最近のDVDの映像は、妙に生々しいし。
56年前かあ……

またこの映画のラスト近く、
浅草松屋デパート屋上で銃撃戦が繰り広げられるのですが、
それはこんなところでした;


これは初めて見ました。おもしろいですね。

そしてこの映画で忘れることができないのは、
シャーリー山口(=山口淑子=李香蘭)の存在です。


そうそう、チョイ役ですが、早川雪舟も出演しています。

思い出すのは、小津の『東京物語』です。
あの映画は、1953年の作品だから、1年しか違わないわけですが、
サミュエル・フラーと小津、
2人の監督が描く東京は、まるで別の都市のようです。

『東京暗黒街』、トータルとしては、おもしろい作品でした。

2011年2月1日火曜日

CD 収録


今日は、春に白水社から刊行予定の「改訂版」のための、CD 収録でした。
場所は銀座、といっても、ほとんど築地です。
そうそう、以前『フラ語入門』のCD 収録をしたスタジオでした。

今回は、CD が2枚付いた本になるため、収録も時間がかかります。
11時に集合し、昼食のサンドイッチも打ち合わせしながらつまみ、
休憩もほとんど取らず収録にのぞんだにもかかわらず、
なんと、終わりませんでした!(こんなことって……)

というわけで明日の午前中、
続きを収録します。がんばるぞ~!(オ~!)

そしてナレーターをつとめてくれたレナさんとシルヴァンさんには、
久しぶりに会いました。
2人とも元気そうです。(忙しそうでもありますが。)
実は日本語部分はわたしが読んだので、
仲良く3人でブースに入りました。

それにしても2人は、一緒に仕事をしていて楽しいです。
愛されて育ったんでしょうね……

祝!


今日、第62回読売文学賞の受賞作が発表になりました。

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20110201-OYT1T00002.htm

おお! われらが同僚、管啓次郎さん名前が!
こんなにメデタイことって、いったいいつ以来でしょう!
もちろん『斜線の旅』は、それに十二分値するものだと思います。
心からおめでとうございます!

『斜線の旅』については、ここでも何度か話題になりましたが、
まだ読んでない方は、今こそ手に取る時です。
広々とした時間と、伸縮する空間が、一冊の本の中で生きています。

管さんの受賞の言葉はこちらです;

http://monpaysnatal.blogspot.com/