2013年2月28日木曜日

会話

今日は大学で会議が2つ。
1つは55分。
もう1つは3 時間。
ただ、この2つに出た上に、
さらに1つ、あるいは2つ出ている先生たちもいるので、
わたしたちは楽なほうです。

そして今日通勤時に聞いていたのは、

http://www.youtube.com/watch?v=YndfhwNMniI

を含むアルバムです。
Mmm...  ブルーズって、時々無性に聞きたくなります。
で、今回のこれに至ったわけですが、
なかなかいいです。
アルバムの曲調は多彩で、飽きさせません。

ちなみに、これも好き。

http://www.youtube.com/watch?v=gZB57b3lPQE

こうして並べてみると、
時代は隔たっていますが、
なんというか、
2 人のプレーヤーのある種の「会話」である点が、
共通していますねえ。(今気づきました!)



2013年2月25日月曜日

春寒

もう2月も末ですが、
今日も東京は冷たい風が吹いていました。
(もちろん、あの積雪をテレビなどで見ると、
こんなこと言うのが暢気すぎる気がしますが。)
とはいえ最近は、
1時間も散歩をすると、
シャツはそれなりに汗を吸っている感じにはなります。

このところ文藝春秋で、
いわゆる「アベノミクス」とやらを勉強しています。
TPPも参加が決定的なようですが、
これはどうなんでしょう。
今まで目にした専門家の文章、
そして今回の文春での論争を読むと、
わたしは素人として「反対」のほうに傾きます。

「成熟」は「低成長」なのか、
そしてもしそうだとしても、
それと生活の質はどう関わるのか、
物質生活だけではなく、
知的な態度を含めて。

株価が上がり、
首相を「うるんだ目」(朝日新聞)で見つめる投資家たちがいる。
そして、上げ下げしながら、
とにかく出来高が膨れれば肥える企業がある。
平均株価4 万円、と歌い上げ煽る人がいる。
この今の感じって、
いつか見た風景に少し似てます。
あの頃、平均株価は10 万円になるだろうと予言する、
複数の経済評論家と名乗る人たちがいました。

そして今日のニュース、

「仮設住宅は全国でおよそ12万戸、
入居者はおよそ30万人に上っていますが、
仮設住宅を出たあとの住居となる復興住宅は
用地の不足などから整備が遅れていて、
岩手・宮城・福島の被災3県で、まだ56戸しか完成していません」

より多くの予算が、
復興に使われるといいと思います。

2013年2月24日日曜日

la première génération

わたしのお気に入りのシリーズである『アイシャ』。
そこに登場するアイシャの父親は、
1952 年にフランスにやってきて、
退職の時には家族を連れてアルジェリアに帰ると、
コーランに誓っていました。
(そうならなかったわけですが。)

昨日書いた Vivre au paradis の場合、
その舞台は、1960-62のナンテール、でした。
夫がここに来たのは(おそらく)    1958、  (=アイシャのパパの6年後)
妻と子供が到着したのが            1960、
あの暴動が                              1961、
そしてアルジェリア独立が           1962、
です。
(アルジェリア独立戦争は1954-62)

そしてエンディングのテロップが、
8 年後、つまり            1970  に、
一家はついにHLM に入居できたと告げていました。


しばらく前にご紹介したこの映画、

http://tomo-524.blogspot.jp/2012/09/inchallah-dimanche.html

この映画の舞台は、1974のサン・カンタンです。
(呼び寄せの公認2年前が舞台となっているわけです。)
そしてこの夫は、この時点で10年フランスで働いたという設定ですから、
つまり1964 年にフランスに渡ってきたわけです。
独立2 年後ですね。

つまり……

アイシャの父親は戦前(52)、
Vivre ~の夫は戦中(58)、
Inch'Allah ~の夫は戦後(64)、
ということになります。
前2者は、ビドンヴィルからHLMへ、という道をたどっています。
そして彼らはみな、
移民「第1世代」と呼ばれるわけですね。

今は第2、第3の世代、とはよく言われることですが、
そして彼らを描いた『アイシャ』や『郊外少年マリク』などは、
わたしたちには魅力的に映るわけですが、
第1世代のことを知るのも、
大切だなあと思うのでした。

2013年2月23日土曜日

Vivre au paradis


1997年といえば、
もう今から15年ほども前ということになりますが、
その97年に制作された映画、

Vivre au paradis  『天国で生きる』
 
という映画を見てみました。
 
 
主役を務めるのは、
数日前にご紹介した Mains armées でもヒーローを演じた、
ロシュディ・ゼムです。
 
話し自体は、とてもシンプル。
1960年のナンテール。
そこにはビドンヴィルと呼ばれる小屋が立ち並び、
お世辞にも衛生的とは言えない環境の中で、
アルジェリア移民たちが暮らしています。
その中の1人である主人公は、孤独に苛まれ、
なんとか妻と子供たちを呼び寄せるのですが、
彼らはナンテールの現状に落胆を隠せません。
そこから主人公の、アパルトマン暮らしを求める生活が始まるのですが、
結局物語の最後まで、そのささやかな夢は実現しません。
 
1965年生まれの監督は、
歴史が忘れかけているアルジェリア移民第1世代を描きたかった、
それはぼくのアイデンティティーの1部だから、と語っています。
この映画、まさに監督が意図した通り、
第1世代の苦闘を力強く伝えてきます。
 
途中、この事件も出てきます。
 
 
この事件、実はこの小説でもみっちり出てきます。
 
 
50年、経つわけですね。

そして映画の終わりは、1962年7月5日、
つまりアルジェリア独立の日です。
その直前、フランスに「同化」しようとする夫は、
アラブの伝統を尊重する妻を一方的にしかりつけ、
家を追い出していました。が、
独立達成の知らせに、夫は妻に言うのでした、
アルジェリアに帰ろう、と。
けれど、彼らも、また観客も、彼らが帰りはしないだろうことを知っています。
アルジェリア本国は、彼らに帰還を奨励しなかったからです。

エンディングのテロップで、
1970年、このナンテールのビドンヴィルが解体されたとき、
彼らがついに、アパルトマン(HLM)に移ったことが知らされます。

とても地味な映画ですが、
重要な作品だと思いました。
2回見ました。
(そうそう、妻の年上の友人で、FLNを支援する女性として、
ヒアム・アッバスが出演していました。
やっぱり、存在感のあるいい女優だと思います。)

2013年2月22日金曜日

「神は細部に宿る」


今年になってから始まった、
東京新聞・夕刊の連載、

神は細部に宿る  ~モチーフで読み解く美術   宮下規久朗

これは毎日抜群の面白さで、
今日のテーマは何だろうと、
新聞を開きながらわくわくします。
虎、カラス、ねずみ、パン、葦……
特にカラー写真のついた「子羊」などの回は、
面白いばかりではなく、
カラーで見せる理由がわかります。
(まあ本当は、いつでもカラーで見たいですが。)

いつか連載が終わったら、
まちがいなく、本になるでしょう。
まちがいなく、わたしは買います。
そのときは、ぜひ、全写真カラーで!!

*上の絵はファン・ダイク「茨の冠」。
  右の男が差し出しているのは、
  
  本来は葦の棒であるはずなのだけれど、
  ここではガマの穂になっている、
  沼地に生える葦もガマも、
  汚れた人間世界に生まれたイエスを象徴する、のだそうです!





 

2013年2月21日木曜日

Colombia


CNN によれば、
コロンビアが、自国の正しいつづりを広めるキャンペーンを開始したとか。

http://www.cnn.co.jp/tech/35028544.html?ref=rss

コロンビアと言えば、
あの酸味のあるコーヒーが大好きだった頃もありますが、
やはり麻薬がらみのイメージがついて回るようです。
かつて『そして、ひと粒のひかり』
という映画がありましたが、
それは17歳のコロンビアの少女が、
大量の麻薬を飲み込み、NYへと密輸する物語でした。

http://www.youtube.com/watch?v=wqqoAzT4v78

今確認すると、DVDのジャケットには、
Based on 1,000 true stories
とあり、1000人の「マリア」がいたことが分かります。
厳しい現実を描いていたわけですが、
どうでしょう、本当の現実はもっと厳しいのかもしれません。

*YouTube に全編版がありますが、
 残念ながら字幕なしです。

BEUR SUR LA VILLE


ジャケットを見れば、
これがB級映画であることはすぐに察せられますが、
それでもこのタイトル
『街のアラブ人』
には抗えません。

http://www.youtube.com/watch?v=j2B-CtzhtfA

予想通りのB級で、
ストーリーもごくベタな感じのひねりが仕込まれていました。でも、
おもしろいんですね。
決して深くはないけれど、おもしろい。

舞台は架空の街Villeneuve-sous-roi。
(ただし Le Parisien の監督インタヴューを読むと、
撮影は監督自身の出身地であるSeine-Saint-Denis で行われたそうです。)
主人公ハリッドは、警察が抜擢した初の discriminé positif という設定です。
直訳すれば「肯定的に区別されたもの」というわけですが、
ここでは、非移民ばかりを採用するとマスコミに批判された警察が、
選択的に移民を採用した結果、
ハリッドがある連続女性殺人事件の責任者となった、ということです。
しかも、こうした「区別」が破綻するように、
あえて「ダメ男」を選んだところが、
彼が意外な活躍をする、というわけですね。

殺人犯は、「モスクの殺人者/金曜の殺人者」と呼ばれています。
事件は、いつもモスクの前で、金曜に起こるからです。
警察は当初、犯人=ムスリムという線で追っていたのですが、

「じゃあ、土曜に起きてれば犯人はユダヤ人で、
日曜だったらクリスチャンで、
月曜だったら無神論者ってわけですか?」

とハリッドは言い放ちます。なるほど。
事件はやがて、麻薬がらみに発展します。

そしてこの映画の醍醐味は、
ギャグ満載の機関銃トークと、
脇役たちのキャラクターでしょう。
ハリッドの警官仲間は、まず臆病なサン・パピエである、
マリ系のクーリバリー(!)。
そしてまだ若いヴェトナム系チャン。
(彼は、Je suis pas nicois ! と言います。
nicois ?  これって子音を入れ替えると……)
そしてクリーニング屋さんのパキはパキスタン系。
(そこに預けた洗濯物は、みんなタンドリーチキンの香りがついて戻ってくる!)
古着屋のオネエはひどいポルトガル訛り。
(ポルトガル出身の乳母に育てられたから。)
という面々です。

この映画には、何か深いメッセージが込められているとは思いません。
でも、こうした描き方を、しかも笑いを通して実践することは、
それ自体、多様性に対する力ある肯定感を感じます。
そんなにきれいでもない映画館で、
この作品に笑い転げる人たちがいるのですね。
彼らに、細かくて分かりにくかったギャグを、
ぜひとも解説して欲しいです!

B級、恐るべし。

*YouTube で、全編見られます!
まずはここから

http://www.youtube.com/watch?v=o9NI5OZzQm8

そういえば、
内務省の官吏の役で「アメリ」のお父さんが、
ハリッドのお母さん役でビウーナが、
それぞれちょっと顔を見せています。
アラブものに、ビウーナは欠かせませんね。

2013年2月19日火曜日

En brune ou en blonde ?

ところで visible なものの代表としては、
「髪」もその1つに挙げることができるでしょうけれど、
どうもこれは指標にはならないようですね。
とくに女性の場合は。

http://fr.pourelles.yahoo.com/video/brune-ou-en-blonde-100819064.html

Kristen Stewart, Cameron Diaz, Helena Christensen, Jessica Biel...

『金髪神話の研究』によれば、
手軽な染髪剤が登場したのは、1950年代なのだそうです。
そう、モンロー登場の頃ですね。
 









「移民性」雑感


昨日、『虚空の鎮魂歌』に関連して、
ラシュディ・ゼムがモロッコ系、
レイラはアルジェリア系、と書きました。
それは彼ら自身についてのことであり、
2 人の演じた役柄(リュカ/マヤ)についてではありませんが、
それはそれとして、
彼らが visible なアラブ系であることは事実だと言えるでしょう。

ゼム演じるリュカが、
行方の分からない娘マヤを探した後、
ワルモノの一味はマヤに尋ねます、
「お前を探してる男がいる。
背が高くて、アラブっぽい(un peu arabe)やつだ。知ってるか?」

リュカのアラブ性が言葉になるのはここだけで、
マヤについてそういう個所はありません。が、
彼らが visible なアラブ系であることは、
(まあわたしたちからでもそう見えますが)
この小さな質問からも証明されるのでしょう。

そしてこの『虚空の鎮魂歌』という映画は、
エンターテイメント性のあるフィルム・ノワールであり、
2 人が移民系であることはあまり意味を持っていません。
つまりその程度には、移民系の人たちはフランス「溶け込んで」いるのでしょう。
(ただ、アメリカの警察官はアイルランド系が多い、という事情とは、
必ずしもパラレルなわけではないでしょう。)
これは一昨日触れた『フランス、幸せのメソッド』
(というタイトルはやはり抵抗がありますが)
の場合の「移民性」と、通じるところがありそうです。
問題は、どう通じているかですが。

具体的な人間としての移民と、
その社会内でのポジションやそこから生まれるアイデンティティーにも関わる、
「移民性」というもの。
後者は前者を通して、
ヨーロッパ系住民――のなかにも移民はいますが――の内部にも、
浸透しているわけですね。
それもまた、文化相対主義とも絶対主義とも違う、
混成のダイナミスムのひとつの形だといえるのでしょう。

2013年2月18日月曜日

『虚空のレクイエム』


去年秋に日本でも公開された
『虚空のレクイエム』、
見てみました。
もちろんお目当てはレイラ・ベクティですが、
フィルム・ノワール自体嫌いじゃありません。

http://www.youtube.com/watch?v=Fd2I6Kr9Ed4

彼女が警官役なんて、
ちょっと不思議な気がします。
ましてや、やや「悪徳」気味なんです。
(ただそういう自分に嫌悪を感じてもいるんですが。)

ストーリーは、オフィシャル・サイトに紹介されている通りです。
主役の(「ルーカス」ではなく)リュカを演じるロシュディ・ゼムは、
モロッコ系フランス人です。
レイラはアルジェリア系なので、
親子役を演じるのに不都合はないですね。

今回はフランス版のDVD (原題はMains Armées)で見たのですが、
フィルム・ノワールらしく、
その手の隠語が満載で、ちょっと苦労しました。

またパリについて言えば、
ペール・ラ・シェーズやウルク運河、
そしてルイ・ブラン駅の近くの広場などが登場していました。
あと、オルリーの近くのランジス市場とか。

映画も楽しめましたが、
主人公が乗っていた黒いVolvo のV60 がかっこよくて、
V60、見直しました。

*追記:日本版DVD、発売されました。(le 26, 04, 2013)

2013年2月17日日曜日

『フランス、幸せのメソッド』


Karin Viard(日本ではカリン・ビアールと表記されているようです。)は、
好きな女優の1人です。
(と書いてしまったものの、
彼女の数ある出演作品のうち、
まだ見ていないもののほうが多いので、
ほんとうはこんなことを言う資格はないんですけど。)

最近印象に残ったのは、

http://tomo-524.blogspot.jp/2012/09/les-invites-de-mon-pere.html

そして古いところでは、
あの『憎しみ』にも出演していました。
(あの3 人が、パリの画廊でナンパする女性のうちの、
眼鏡をかけていたほうです。)

そして彼女が2 年前に出演したのが、今回見た
『フランス、幸せのメソッド』
です。
結論から言うなら、とても面白い! 映画でした。

http://www.youtube.com/watch?v=YjU7RlBrSuM

……この予告編、本編の印象とだ~いぶ違います。
というか、こういう映画じゃないです。
(邦題も、あり得ない感じ。
原題は Ma part du gâteau (My portion of the cake)です。)

一方に「ハゲタカ」的な生き方をする金持ちの独身貴族35 歳、スティーヴがいて、
もう一方には3 人の子持ちのシングル・マザー、
20 年勤めたダンケルクの工場が閉鎖され失業中の女性、フランスがいます。
彼女が仕事を求めてパリに行き、
家政婦として働き始めた家が、スティーヴのところ。
そしてこのスティーヴ、フランスが勤めていた会社を潰し、
1200人を失業させて大儲けしたグループの一員だったのです。
この1つの偶然の周りに、
人間の生活を形作るさまざまな要素が配置されてゆきます……

細かい点で興味をひかれたのは、
まずフランスがパリで家政婦の養成を受ける場面。
その養成所は移民女性たちばかりのところなので、
「悪いけど、ちょっと訛ってもらいたいんだ。
フランス人女性がいると、みんなが変に思うから」
フランスは進んで大仰な訛りで話すことにします。
つまり彼女は、ここから「移民」として生きるわけですが、
この場面に先立って、
ダンケルクで働くノルマンディー出身の自分は、
「もともと移民みたいなもの」という発言がありました。
フランスは、その名の通りフランス人ですが、
「移民的存在」であるわけです。
ここで「移民」とは、その出自というより、
ある生き方をする――させられる――社会的グループを指しているようなのです。
そしてそれは、アイデンティティーと呼んでもいいかもしれません。

(家政婦養成所の経営者は、『愛より戦争のカンケイ』で、
ヒロインであるバイアの父親役を演じたアラブ系男優です。
実はフランス版DVD のおまけである「カット・シーン」の中に、
彼とフランスが座ってテレビを眺めている場面があります。
フランスは彼の手に自分の手を置き、
「出身は?」
と尋ねます。彼は答えます、
「サン・テティエンヌ」と。
するとフランスは「ああ」と言って、
そっと手をひっこめるのです。
前後のつながりがはっきりしないのですが、
フツーに考えれば、「移民」同士のだろうと思って訊いてみたら、
意外な返事が返ってきて驚いた、ということろでしょう。
そしてそこには、フランスの「移民」としての自意識が、
前提として存在しているようです。)

もう1つ。
スティーヴの超豪華なマンションは、
ビルの高層階にあるのですが、
その広い広いガラスの壁からは、
間近にあの新凱旋門が見下ろせるのです。
つまりトレーダーであるスティーヴは、
デファンスの真ん中に住んでいるわけです。
(wiki のLa Défence には、
Les films tournés à la Défense という項目があります。
ただし、この映画はまだ書き込まれていません。)
また「カット・シーン」には、
初めてデファンスに来たフランスが、
道に迷うシーンがあります。
コミカルで、デファンスの感じを伝えていますが、
このシーンは、映画にあいまいさを与えてしまうかもしれません。
切って正解という気がします。)

監督はセドリック・クラピッシュ。
彼の作品の中では、1番かも。

2013年2月16日土曜日

『汽車はふたたび故郷へ』

去年日本でも公開された、
イオセリアーニ監督の『汽車はふたたび故郷へ』、
見てみました。
といっても、この監督に思い入れがあるわけではなく、
映画監督を目指す(旧ソ連一部経った頃の)グルジアの青年が、
思想統制を逃れてパリに行くという、
その一点に惹かれたわけですが。

http://www.youtube.com/watch?v=P0euejSh4y0

現実的に見えながら、
どこか幻想が入り込んでいる感のある作品で、
パリにあふれる移民たちを初めて目にするシーンもまた、
ややそんな印象がありました。
13区なのか18区なのか、それともまた別の場所なのか。
(おそらく、場所に対する意識は希薄なのでしょうけれど。)

そして、
作家を主人公にした小説、
劇作家を主人公にした芝居、
映画監督を主人公にした映画、
などにありばちなことですが、
作り手と主人公の距離が、
やや近すぎる気もしました。

2013年2月15日金曜日

Le Havre


遅ればせながら、
『ル・アーヴルの靴磨き』
を見てみました。

http://www.youtube.com/watch?v=cIdLaRJvYE8

この映画については、
詳しい紹介がここにあります。

http://pepecastor.blogspot.jp/2011/12/blog-post_26.html

そう、ガボンから来た少年、
ヴェトナムから来た若き父親、
八百屋を営むアラブ人などが登場し、
街にはアフリカ系の人たちの溜り場もあります。

カウリスマキの映画らしく、
まあそういう色調で、
上に挙げた解説でも触れられている通り、
いったいいつの時代?
と思うことしばしばです。
でも結論としては、いつの時代でもない、
架空の時間、ということになるのでしょう。

そしてリトル・ボブ。

http://www.youtube.com/watch?v=pEzu6qqmu5I

歌、うまいですねえ。


4 月1 日開講!

4 月1 日開講!

「アンコールまいにちフランス語」では、
「ナミの恋する東京日記」が再放送されます。

http://sp.nhk-book.co.jp/text/pdf/foreign_language_course_guide_2013.pdf#search='%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E+%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA+%E6%B8%85%E5%B2%A1%E6%99%BA%E6%AF%94%E5%8F%A4+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E6%97%A5%E8%A8%98+2013+4%E6%9C%88'

そして「まいにちロシア語」(上級編)には、
われらが黒田龍之助さんが登場します!

Spring is coming !

2013年2月14日木曜日

戦時下


フランスがマリに軍事介入して、
そろそろ1か月が経ちます。
その間、フランス軍はきわめてうまく事を運んでいるように見えます。
痛手は蒙らず、続々と重要拠点を奪い返しています。

先日本屋で、フランスの雑誌が置いてある棚に行ったところ、
まあそこに置いてあったずべてのフランスの雑誌のトップが、
この軍事介入、というより、この戦争のことです。

フランスは、戦時下にあるわけです。
そう、頭では理解していたつもりでしたが、
こうして並んだ雑誌の表紙を見て、
ああ、こういうことなのねと、現実が迫ってきました。

もちろん、(おそらくどこの国でもそうであるように、)
若い子たちは今日もデートしたり、
喧嘩したり、仲直りの食事をしたり、
また(わたしたちのような)オジサンたちは、
ビールを飲んだり、サッカーを見たり、
金儲けのことを考えたりして、
つまり日常は(表面的には)変わっていないのでしょう。
戦争が、海の向こうだから。

でも当然今回のことで、
フランスがテロの標的になる確率は上がったわけです。
そんなことは誰にもわかるのに、
それでもフランス軍が出動したのは、
それに見合う国益があると踏んだからですね、もちろん。
いくら頼まれたからと言って、
国益の乏しい戦争を引き受ける「国家」はないでしょう。
国家は本質的に、帝国的なものだと思えます。
(だから「国家」が存在するうちは、
世界の人類の平等は原理的に不可能なのでしょう。)

海の向こうで戦争を始めたフランス。
国際的に支持された戦争ですが、
それが戦争であることに変わりはありません。
早く撤退したい、と大統領は言っていましたが、
そしてそれは
(国威も発揚できたし資源も確保できそうだし)
本音でしょうが、
「泥沼」化する可能性もゼロではない気もします。

来月の今頃、「撤退しました」と言っているのでしょうか?

2013年2月13日水曜日

Deep Purple

今日は早朝から大学業務があり、
雪の予報にややビビッていたのですが、
大して積もりもせず、
遅刻もしないですみました。

先日万年筆を買ったというどうでもいい話を書きましたが、
実はその後、もう1本買ってしまいました。
Lamy というメーカーのもの。これです。

http://www.amazon.co.jp/LAMY-%E9%99%90%E5%AE%9A%E5%93%81-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%AB-L29DP-EF/dp/B002XT5Y1Q/ref=sr_1_6?ie=UTF8&qid=1360761779&sr=8-6


アマゾンでは約4000円ですが、
わたしはもっと安く(2800円くらい)買いました。もちろんネットで。
で、
これにこれを入れてみたかったのです。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC-%E4%B8%87%E5%B9%B4%E7%AD%86%E7%94%A8%E3%83%9C%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AF-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AB-%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%87-13-1000-253/dp/B004NL7FR8/ref=sr_1_13?s=office-products&ie=UTF8&qid=1360761999&sr=1-13

なかなか気に入りました!

そしてなぜ今日こんなことを書いているかというと、
その業務中にこのペンを使っていたところ、
一緒に作業をしていた年長の先生(専門は素粒子)から、
「その万年筆は?」
と訊かれたからです。
聞けばその先生、大の万年筆ファンで、すごく詳しい。
愛用しているのは、名作の誉れ高いペリカンのM800だそうです。
しかも色違いで2本(!)もお持ちだとか。

わたしは絵に描いたような俄か万年筆ファンですが、
実は世間には、万年筆ファンてけっこういらっしゃるのでしょうね。

2013年2月11日月曜日

ムッシュ・ラザール


遅ればせながら、見てみました、
『ぼくたちのムッシュ・ラザール』。
これは、なんとなく思っていたよりずっといい映画でした。

http://www.youtube.com/watch?v=-RqD5r431Bo

アルジェリアでレストランを経営していたラザールは、
テロで妻と幼い娘2 人を失くし、
モントリオールに渡ってきます。
さっそく、難民申請の手続きに入ります。

けれども一方で、
彼は永住権のある移民であると偽り、
ある小学校の先生として働き始めますが、
こんなことがありえたのは、
前任者の女性が教室で自殺した後であり、
他に引き受け手が見つからなかったという事情があります。
で、物語は、
彼が受け持つクラスと彼、
彼の同僚と彼、
の関係を中心に進みます。

この映画については、
すでに多くのコメントがあるでしょうから、
細かい点に触れるとすれば……

クラスの女子の中に、
優秀だけれどもかなり頑固な感じの生徒がいるのですが、
ラザールは両親との面接時に、
その点を両親に伝えます。
もちろん、とてもやわらかい物言いで。
けれどもやはり頑なな両親は、
ここはあなたの母国ではないから、細かいニュアンスは分からないでしょう、
しつけはいいから勉強だけ教えてください、
と答えます。
そしてその次のシークエンス、
ラザールの部屋にはペーパーバックが何冊か用意されます。
それは、

Hubert Aquin, Prochain épisode
Jacques Godbout, L'isle au dragon
Dany Laferrière, L'énigme du retour

です。
上の2 人は、ともにケベック出身で、
いわゆる「静かな革命」に影響を与えた作家です。
3 人目は、あのラフェリエールですね。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/10/blog-post_20.html

つまり監督(ないし脚本家)は、
これらの作家こそ、
今のケベックを理解するのに不可欠だ、
と言いたいのでしょう。

また彼のクラスには、
『パリ20区、僕たちのクラス』ほどではないけれど、
やはり移民の子供たちがいます。
チリからの男の子、アフリカ系の女の子。
そしてアブダルマリックという名の男の子は、
ラザールに時にアラブ語で話しかけ、
そのたびにラザールは、
「学校ではフランス語で!」
と答えるのです。
(この名前がアラブ系であり、
ラザールとアラブ語で会話できるのは当然だと、
日本のお客さんたちも思っていた、かな?)

監督(ないし原作者)は、ラザールのアルジェリアでの体験を前景に置かず、
それと拮抗する物語をモントリオールに起こしました。
語り過ぎない、抑制のきいた、そしてユーモアも暖かさもある、
いい映画でした。

2013年2月10日日曜日

カレー

3 連休の中日、
朝日の朝刊には、
先日ここでもご紹介した『デヴィッドの物語』の書評が。
こういう本が紹介されるのを見ると、
こちらも嬉しくなります。
             
      
             ◆

で今日は、六本木まで出かけたついでに、
Moti というカレー屋さんでランチ。
場所は、日比谷線の六本木駅出口(六ヒル寄りのほう)を
出たすぐ右側のビルの3 Fです。
おいしいお店だと思います。

先日の港さんとのトークでもそんな話になりましたが、
東京の、インド・ネパール系のレストランの味は、
概して高水準にあるんじゃないでしょうか。
その手の店は、都心部はもちろん、
最近では郊外でもしばしば目にする機会がありますが、
そのどれかに入って、明らかにハズレたという経験はありません。
どこもそれなりにおいしかったです。
(もちろん、その中での差はあると思いますが。)

カレーは、新宿のサムラートが1番回数は行っていますが、
こちらのMoti も、わたしの印象では、
まったく負けてないように思います。

2013年2月8日金曜日

Lila dit ça

Mmm...  見終わって(といってもやや早回ししましたが)、
なぜ自分がこのDVD を買っておいたのか、疑問に思ったのでした。

http://www.youtube.com/watch?v=Yh-EWOFW1ZA

主役の少女、Vahina Giocante は、
父親はコルシカ人、
母親はアンダルシア人だそうです。
一部メディアでは、B.B. の再来、とまで言われていました。
Qu'en pensez-vous ?

2013年2月7日木曜日

Un bébé !

ウケル❤

http://fr.pourelles.yahoo.com/video/un-bébé-fan-du-gangnam-095208432.html;_ylt=Aqlwt2MqZ_uSiOlCtvG9SnR5llZG;_ylu=X3oDMTMwbmFlMjlmBG1pdANQbGF5bGlzdCBCYXIgYXJ0aWNsZXMgTFMEcGtnAzgwNGM5NTNkLTljYmEtMzVmYy1hYzQ5LTAwM2RhNmI4ZGIxNwRwb3MDMQRzZWMDTWVkaWFQbGF5bGlzdEJhcg--;_ylg=X3oDMTBncGpwM2N0BGxhbmcDZnItRlIEdGVzdAM-;_ylv=3?pb_list=9297397d-6472-471a-bed4-e0a5d8be43f0

しかもリズム合ってるし!

『サン・ジャックへの道』


コリーヌ・セローの2005 年の作品、
これは国内版DVD が発売されている『サン・ジャックへの道』を見てみました。

(内容とは関係ないのですが、このDVDは4935 円。
一方フランス語版は 6,6 ユーロ=850円 程度。
いくらなんでも、と思うのは、わたしだけじゃないでしょう。)

世にロード・ムーヴィーなるものが存在し、
わたしは一般にそういう映画が好きですが、
この『サン・ジャックへの道』は、
まさにロード・ムーヴィー以外の何物でもありません。
母親の遺言により、
フランス中部のル・ピュイから、
スペインの西海岸、サンチアゴ・デ・コンポステーラまで巡礼する3 兄弟を描きます。
ただし、彼らには旅の仲間がいます。
ガイドの中年男性、(病気のためか髪を失っている)中年女性、
そして高校生の女子2 人、
そしてアラブ系の男の子2 人です。

まったく紹介になってない予告編。

http://www.youtube.com/watch?v=PwURsx36SQc

ちなみにフランス語の原題は、

Saint-Jacques… La Mecque

なのですが、これはアラブ少年のうちの1人、
ディスレクシアの少年が、
「サンチアゴ・デ・メック」(メック=メッカ)に向かうのだと信じているから。
(上の画像、C の字が三日月になってます。)
つまり、キリスト教徒イスラームの聖地が、
ぽんと抛り出すように並置されているところに、おもしろさがあるのですね。
このニュアンス、日本語タイトルでは意識されていませんが。

もちろん、サンチアゴはレコンキスタの象徴でさえあり、
アラブ人にとっては「聖人」とは考えにくいと想像されます。が、
コリーヌ・セローはあえて楽観を提示しているようです。

この巡礼を扱ったものといえば、
もちろん、ブニュエルの『銀河』が思い出されます。が、
これは見たのが20 年前?くらい。
あの、ちょっとメキシコ時代を思わせる暗い画面の雰囲気以外、
ほとんど覚えていません。

2013年2月6日水曜日

LIFE, ABOVE ALL


オムニバス映画『パリ・ジュテーム』には、
「お祭り広場」という短編が含まれていました。
ナイジェリアからの移民青年が、暴漢に襲われるお話です。

この作品の監督が、南ア出身のオリヴァー・シュミッツ(1960-)。
今日は彼の近作、

LIFE, ABOVE ALL

を見てみました。
ヨハネスブルク近郊の村に暮らす12歳の少女、チャンダ。
彼女を主人公にした映画です。

映画の冒頭は、チャンダの生まれたばかりの妹の葬式です。
チャンダの父は死に、新しい父親は町で飲んだくれています。
今チャンダは、病気の母、幼い妹と弟と暮らしています。

村では、この赤ん坊の死を、母親が呪われているからだと噂します。
飲んだくれ男も、俺のタネはいいのに! と触れ回ります。
追い込まれた母親は、やがて肉体と精神を病んで行き、
子供たちを隣人のミセスに預け故郷へ帰りますが、
実はここでも厄介者扱いに。
別の事情で母親を探しに行ったチャンダはその事実を知り、
母親を連れて帰ります……

http://www.youtube.com/watch?v=H8cMjWE9BK4

この予告編でもある程度は感じられると思いますが、
映像の鮮烈さは、群を抜いています。
(わたしはDVD で見ました。)
色彩、明暗のコントラスト、構図、動き……
こんなに力強く、生き生きとしていて、なおかつ静かな映像は、
めったにない気がします。
(素人の分際でこんな言い方もなんですが。)
だからこそ、108分を見通すことはできましたが、
映画の作りとしては、(わたしの感覚では)かなり重い。
小説などで言ういわゆる「風通し」がないというか。
主人公のチャンダは賢く、タフで、やさしい子です。
でも、彼女が微笑む場面が少なすぎると思います。
山田太一なら、彼女を見つめる同級生の男の子を、
もっと彼女に接近させたでしょう。
もちろん、わたしの感覚で言っているにすぎないのですが。

YouTube に全編版があります。
(画質はあまりよくありませんが。)

マリに、平和を!


40人のミュージシャンが参加したのですね。

http://www.youtube.com/watch?v=10qwXbqA6ps&feature=player_detailpage

アマドゥー&マリアムも、
ティケン・ジャー・ファコリーも、
もちろん参加しています。
マリに、アフリカに、世界中に平和を。

歌詞仏訳&英訳、そしてミュージシャンは、以下の通り。

Refrain 1 :
Il est temps que nous nous exprimions.
Il est temps que nous les artistes parlions du cœur. Notre Mali
THE TIME HAS COME FOR US TO SPEAK UP ABOUT THE CRISIS IN MALI; WE, THE ARTISTS MUST NOW SPEAK FROM THE HEART ABOUT WHAT IS HAPPENING TO OUR MALI.

Haira Harby : 2
Maliens et Maliennes, donnons-nous la main car ce pays n’est pas un pays de guerre.
MEN & WOMEN OF MALI, STAND TOGETHER ! OUR MALI NEVER WANTED A WAR.

Fatoumata Diawara : 3
Que se passe-t-il au Mali ? Paraît-il que nous sommes en train de nous entretuer, de nous trahir, de nous diviser. N’oublions pas que nous sommes tous du même sang (Rouge), de la même mère. Le jour que nous nous donnerons la main, le continent africain sera plus fort.
WHAT’S GOING ON IN MALI ?
DO WE REALLY WANT TO KILL EACH OTHER? DO WE REALLY WANT TO BETRAY ONE ANOTHER? ALLOW OURSELVES TO BE DIVIDED ? REMEMBER, WE ARE ALL CHILDREN OF THE SAME MOTHER COUNTRY WHEN WE STAND TOGETHER, ALL OF AFRICA IS STRONGER

Amkoullel : 4
Mettons nous ensemble, Maliens, Maliennes pour être encore plus fort.
Maliens, Maliennes, unissons-nous pour être encore plus fort.
MEN & WOMEN OF MALI, LET US UNITE AND STAND STRONG!

Doussou Bakayoko : 5
Le Mali n’appartiendra pas à ces gens-là. Ce grand pays ne sera la proie de personne.
OUR MALI WILL NEVER BELONG TO THOSE PEOPLE,
THIS GREAT NATION WILL NOT BE THEIR VICTIM.

Kasse Mady : 6
Montrons au monde entier que le Mali est un pays de paix.
Nous sommes tous du même père et de la même mère
WE’LL SHOW THE WORLD THAT OUR MALI IS A COUNTRY WHERE PEACE REIGNS. WE STAND TOGETHER, WE ARE ALL CHILDREN OF THE SAME MOTHER COUNTRY

Sadio Sidibé : 7
Le Mali mon beau pays, qu’est-il devenu ?
WHAT HAS BECOME OF MY BEAUTIFUL MALI?

Baba Salah : 8
Tu as été le soleil qui a illuminé les 4 coins du monde. Notre Mali, sèche tes larmes, nous t’aimons!!!
ONCE YOU WERE THE SUN THAT SHONE ‘ROUND THE WORLD. OUR MALI, WE ARE PROUD OF YOU -DRY YOUR TEARS! WE LOVE YOU !!!!

Refrain 1 : les artistes
Il est temps que nous nous exprimions.
Il est temps que nous les artistes parlions du cœur!!!! Notre Mali
THE TIME HAS COME FOR US TO SPEAK UP ABOUT THE CRISIS IN MALI ; WE, THE ARTISTS, MUST NOW SPEAK FROM THE HEART ABOUT WHAT IS HAPPENING TO OUR MALI.

Soumaila Kanouté : 9
Je n’ai jamais vu de situation aussi désolante, de catastrophique. Ils veulent nous imposer la Charia. Allez leur dire que le Mali est indivisible mais aussi inchangeable!!
NEVER HAVE I SEEN SUCH CATASTROPHE, SUCH DESOLATION. THEY WANT TO IMPOSE SHARIA LAW ON US. TELL THE NORTH THAT OUR MALI IS ONE NATION, INDIVISIBLE!!

Master Soumi : 10
Hier, le Mali est devenu comme un mégot de cigarette qu’on jette politiquement, on a tous pleuré, on s’est tous inquiété. Chaque jour, on attend que de mauvaises nouvelles, c’est déplorable. Il faut se ressaisir, peuple malien, sinon on sera la risée du monde.
OF LATE, OUR MALI HAS BEEN LIKE A POLITICAL CIGARETTE BUTT THROWN IN THE GUTTER. WE CRY, WE WORRY. EVERY DAY WE AWAIT ONLY MORE BAD NEWS, THIS CANNOT LAST! WE MUST REACT OR MALI WILL BECOME THE BUTT OF THE WORLD’S BAD JOKE

M’baou Tounkara : 11
Le Mali est un pays hospitalier et accueillant, la guerre nous fait perdre toutes nos valeurs et aussi beaucoup de temps.
OUR MALI IS A COUNTRY OF WARM WELCOME, WAR DEPRIVES US OF OUR VALUES. WE ARE LOSING TIME

Oumou Sangare : 12
Ecoutez-moi bien! Prenons garde, sinon, nos petits enfants n’apprendront pas la vraie histoire de notre Pays. On risque de le perdre.
LISTEN TO ME :
WE MUST TAKE CARE NOW, OR OUR CHILDREN WILL NEVER KNOW THE REAL STORY OF OUR COUNTRY. WE MIGHT LOSE IT.
CAREFUL NOW, OR OUR CHILDREN WILL SUFFER TOMORROW.

Koko Dembelé : 13
Tant qu’il y a de la vie, il y a de l’espoir. Enfants du Mali, levons-nous!!!
AS LONG AS WE LIVE, WE SHALL HAVE HOPE. RISE UP, CHILDREN OF MALI !

Babani Koné : 14
Je suis inquiète, j’ai peur. Nous sommes du même sang donc ne parlons pas de guerre. Quel avenir pour les femmes et les enfants dans ce pays ?
I AM TROUBLED, I AM AFRAID. WE ARE ALL OF THE SAME BLOOD SO LET US NOT SPEAK OF WAR. WHAT FUTURE CAN THERE BE FOR OUR WOMEN, FOR OUR CHILDREN IN THIS COUNTRY?

Afel Bocoum : 15
 Le seul chemin de sortie de cette crise est le chemin de la paix.
THE ONLY WAY OUT OF THIS CRISIS IS THE WAY OF PEACE

Iba one : 16
Soyons unis, peuple malien, l’union fait la force. Arrêtons tous nos divergences, la guerre n’a jamais été une solution.
UNITE AS ONE, MALIANS ! UNION MAKES US STRONG. STOP FIGHTING EACH OTHER, WAR HAS NEVER BEEN A SOLUTION

Tiken Jah : 17
Mali, tous ensemble, Mali indivisible, Mali tous unis, la paix n’a pas de prix!!!
MALI UNITED, MALI INDIVISIBLE, MALI UNITED, MALI INDIVISIBLE. PEACE HAS NO PRICE!

Fati Kouyaté : 18
La guerre ne connaît ni femme, ni enfant, ni les personnes âgées. Cela ne nous ressemble pas!!!
WAR KNOWS NO CHILD, NO WOMAN, NO ELDER. OUR COUNTRY DOES NOT ACT LIKE THIS!

Kisto Dem : 19
Qui pouvait imaginer une telle situation au Mal i? Au moment où les Maliens pensaient à leur stabilité, d’autres cherchent à nous bouleverser. Dans le nord, la population a faim, nos femmes sont devenues des marchandises, elles sont battues et violées!!!!
WHO WOULD HAVE IMAGINED OUR COUNTRY THIS WAY? JUST AS WE MALIANS WERE REACHING STABILITY, OTHERS TRY TO DESTABILIZE US. IN THE NORTH, PEOPLE ARE STARVING, WOMEN ARE GOODS TO BE TRADED, THEY ARE BEATEN AND RAPED!

Nahawa Doumbia : 20
Nous ne voulons pas de guerre!!!! Non, pas chez nous!!!! Elle détruit tout sur son chemin.
WE DON’T WANT WAR !!!!! NOT IN OUR MALI!!!! WAR DESTROYS EVERYTHING IN ITS PATH.

Mamadou Diabate « 21 DG » :
 Maliba, comme l’a toujours appelé nos ancêtres, ne reste pas à genoux, relève toi et bat toi pour honorer les ancêtres
« MALIBA » AS OUR ANCESTORS ALWAYS CALLED YOU, DON’T STAY ON YOUR KNEES, RISE UP AND FIGHT FOR THE HONOUR OF THOSE ANCESTORS

Amadou et Mariam: 22
Ensemble, l’Afrique ne sera que plus forte !!!!! Avec plus d’avenir!
WHEN WE STAND TOGETHER AFRICA IS STRONGER .WHEN WE STAND UNITED WE HAVE A FUTURE!

Tamachek: 23 Le Mali notre grand pays, qui a été toujours un pays de paix et d’hospitalité, soyons unis.
MALI OUR GREAT COUNTRY, WHICH HAS ALWAYS BEEN A LAND OF PEACE AND HOSPITALITY, LET US UNITE.

Oumou Sangare : 23
Faisons attention, pour ne pas perdre notre pays. Faites attention, sinon nos enfants et nos petits enfants ne pourront pas lever la tête. Je m’adresse aux politiciens et aux militaires !!!
WE MUST TAKE CARE, THAT WE DON’T LOSE OUR COUNTRY.TAKE CARE, OR OUR CHILDREN WILL HANG THEIR HEADS IN SHAME.
I’M TALKING TO YOU, MILITARY LEADERS!
I’M TALKING TO YOU, POLITICIANS !

Habib Koite : 24
Maliens, c’est l’union qui fait la force !!! Ne laissons pas notre grand pays nous échapper !!!! Terre des grands hommes !!!!
MALIANS, UNION MAKES US STRONG. WE CANNOT LET OUR GREAT COUNTRY SLIP THROUGH OUR FINGERS. OUR LAND OF GREAT MEN!

Djeneba Seck : 25
Maliens, Maliennes, le monde entier nous observe, unissons-nous pour retrouver notre stabilité dans l’harmonie.
MEN & WOMEN OF MALI, THE WHOLE WORLD IS WATCHING. UNITE TO BRING BACK STABILITY AND HARMONY.

Vieux Farka Toure: 26
Réveillons-nous ! Nous sommes du même sang, donnons-nous la main.
WAKE UP!!! WE ARE ALL FAMILY, LET’S STAND TOGETHER

Mylmo : 27
On est si apprécié dans du monde entier, pourquoi s’entredéchirer devant ces mêmes personnes ? Soundjata Keita et les héros de notre pays nous ont légué des valeurs, ne les bafouons pas.
THE WORLD ADORED OUR COUNTRY, SO WHY NOW ARE WE TEARING EACH OTHER APART BEFORE THEIR VERY EYES? SOUNDJATA KEITA AND OUR OTHER HEROES OF LORE TAUGHT US OUR VALUES WHICH SHALL REMAIN STEADY.

Amadou et Mariam : 27 L’union fait la force!!! Donnons-nous la main!!!
UNION MAKES US STRONG!!!!! LET US STAND TOGETHER!!!

Amadou Bakayoko : 28
Dans l’entente, le pays peut se développer!! Personne ne viendra nous déstabiliser et nos enfants auront un avenir.
IN HARMONY, OUR COUNTRY CAN DEVELOP. NOBODY CAN DESTABILIZE US, OUR CHILDREN WILL HAVE A FUTURE.

Nahawa Doumbia: 28
On veut la paix, la paix.
En Afrique la paix ! Dans le monde entier la paix !
WE WANT PEACE,
PEACE PEACE IN AFRICA !
PEACE IN THE WORLD!
La paix, la paix
PEACE, PEACE

2013年2月5日火曜日

nombre d'absurdités


先日『スカートの日』をご紹介しましたが、
このニュースを読むと、
スカートに限らず服一般が、
日本におけるよりも、
より「政治的な」意味を持っているようですね。

http://www.afpbb.com/article/politics/2925695/10218181

http://www.terrafemina.com/societe/france/articles/22232-les-parisiennes-ont-enfin-legalement-le-droit-de-porter-des-pantalons.html

ちなみに、このナジャット・バロー・ベルカセムは1977年、モロッコ生まれ。
かっこいいですね。


2013年2月4日月曜日

La source des femmes

あれは1年半前、
こんな映画をご紹介しました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/08/la-source-des-femmes.html

そしてやっと今日、見ることができました。
その感想は…… ちょっと残念!

お話はとっても単純。
舞台は、中東の辺鄙な村。
ここ20年も雨が降らず、土地は乾ききって不毛。
男たちは仕事もなく、ただ日がなカフェでだべったり。
一方女性たちは、遠く離れた泉まで、毎日水を汲みにいかねばなりません。
(タイトルの La source des femmes は、「女性たちの泉」ですね。)
そのために流産する女性も多くて。
こんな「分業」だから、もちろん食事の支度も農作業も子供の世話も、
み~んな女性の仕事。
しかも親たちも、女の子は学校に行かせないから、読み書きもできない。
そしてそうした見ていられないほどの不平等を、
男社会の代弁者として正当化するイスラームの指導者。
2時間の映画は、この対立のみを描きます。

画面は輝き、単調な背景と前景の色彩のコントラストも見事。
女優さんたちは、まさに豪華。
節度もあるし、まじめだし。
じゃあなぜ気持ちが入っていかないかといえば、
それはあまりにイライラさせられるからです、
劇中の頑迷な男たちに。
彼らの中には、言うことをきくまで殴る、
それで死んでもかまわない!
と言い切るものさえいます。

映画自体は、もちろん女性たちを応援しています、が、
ここまで男たちの女性いじめがひどいと、
どうなんでしょうという気さえしてきます。
でもこれだけウザいので、たしかに、
「旧弊なイスラーム」に対する変革の意思は強まるでしょう。
映画の女性たちも当然ムスリマなのであり、
彼女らは「新しく開かれたイスラーム」を求めているのです。

まじめな映画だとは思うんです。
でも、これだけのキャスティングができるなら、
この程度では物足りない気がします。
モッタイナイ!

万年筆

どうでもいい話ですが……

先日久しぶりに万年筆を使おうとしたところ、
なんと本体にひび割れがあり、
そこからインクがにじみ出ているのに気づきました。
(指が、思いっきりブルーブラックに。)
で、万年筆を新調することにしました。
かれこれ20 年ぶりくらいでしょうか。

買ったのは、国産の、ボディーが黄色いもの。
ほんとうはお店で試し書きしたいところですが、
ネット上でたたき売り状態(ほぼ半額)なのを発見し、
値段に負けてそれを買うことに。
インクは、同じメーカーの「エピナール」(ホウレンソウ)、
濃いめの緑にしてみました。

最初の2、3日は、細字のせいもあり、
ややひっかく感じがあったのですが、
今日でほぼ1週間、毎日何か書いていたところ、
だいぶ滑らかになってきました。
このペンの場合の、力の抜き加減もわかってきたし。

ちなみにこの数日書き写していたのは、
ボードレールの Déjà と、 薄田泣菫の随筆です。
前者はネットにあったし、
後者も青空文庫から適当に選んで。

書くために書く、というのは、中学校の習字以来?
でも、悪くないですね。

2013年2月1日金曜日

『デイヴィッドの物語」


さて今日は金曜日、
会議の多かった今週も終わりです。
定期試験の成績もつけたし、
まあ小さく一段落です。
(大きく一段落は、3月の上旬でしょうか。)

で、
ずっと読むのを楽しみにしていたこの本、

『デイヴィッドの物語』(ゾーイ・ウィカム / くぼたのぞみ訳) 大月書院

を読み始めました。
まだ4分の1ほどですが、
なにか凄いものを読んでいるのが分かります。
ここには「歴史」が語られているのですが、
作家の語りの技術はおそろしく自在で、
歴史ものにありがちな生硬さとは無縁の、やわらかなテクニシャンだと感じます。
そして人間洞察も、ユーモアも、
小さな喜び、小さな悲哀に対する感受性もあり。
世界には、まだまだ凄い作家がいるんですね。

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%89%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%82%A4-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%A0/dp/4272600516/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1359723848&sr=1-1

本の帯には、こうあります。

「アパルトヘイト崩壊で混迷する南アフリカ。
活動家、スパイ、破壊工作員が暗躍する地下世界の、
歴史の表舞台にのぼらなかった、相矛盾する真実がいまあらわに」

映画『ツォツィ』では、アパルトヘイト「後」の南アが描かれていました。
スラムと高級住宅街が隣り合って……。
そしてこの小説の冒頭は、
アパルトヘイトが崩壊するのは「時間の問題」であるような時期、
つまり1990年前後なのでしょう。
そこに見出される「相矛盾する真実」……

再び帯に戻ると、さきほどより大きな文字で、

「圧倒的なナラティヴ・ヒストリー」

とあります。
なるほど。そうなんですね。
物語を語るのは、デイヴィッドの(将来の)妻であったり、
彼女の母親であったり、
もちろんデイヴィッドであったり、
その父親であったりします。
この後も、いろんな語りが繰り出されてくるはずです。
(厳密には、それは「視点」であり、
どうも書き手も含めた多層構造になっている模様。)

それにしても、プロの翻訳家の仕事で感心する点は、
スピーチ・レヴェルの揺れが伝わってくること。
言葉を読んでいるだけも、
その人物の生きてきた時間が感じられるというか。

南アの内側の声が聞こえる、貴重な一冊です。

La journée de la jupe


往年のアイドル女優にして、
アルジェリア系移民の娘であることも広く知られているイザベル・アジャーニ。
今日は、彼女が 2010 年にセザール賞の主演女優賞を獲った作品、

La journée de la jupe (『スカートの日』・2008年)

を見てみました。
彼女は、郊外の<difficile>なリセのフランス語の先生です。

http://www.youtube.com/watch?v=Su7u1F5TZ6w

この映画は、『パリ20区、僕たちのクラス』とほぼ同時期に制作されたのですが、
『20 区』がいわゆる「熱血先生」の話だとすれば、
こちらは、「キレた先生」の物語だと言えるでしょう。
なにしろ、生徒たちを人質に取ってしまうんですから!

この映画については、竹下節子さんの批評がありました。
かつてリセで教えたこともあるそうです。

http://spinou.exblog.jp/11153853

「生粋のフランス人」という表現だけがやや気になりますが、
学ぶことの多い記事です。