2013年9月30日月曜日

Regarde-moi

このところ、選んだ映画がやや入り込めない感じもあったのですが、
今日見た作品、

Regarde-moi

これはよかったです。

http://www.youtube.com/watch?v=bEwUqrsOtEg

時間的舞台はほぼ「1日」のみ。
その日は、アーセナル入団が決まったジョーが、
シテを離れる日です。
話の作りは2部に分かれていて、
実はそれぞれ同じ時間、同じ場所なんですが、
前半は男の子たちの視点、後半は女の子たちの視点から、
描いています。

もちろん、こうした試み自体は、
まあ、特別に目新しいものではないでしょう。
他の映画でも、何度か見た記憶があるし、
小説なら、もっともっともっと込み入っているものがあります。

でもこの映画の良さは、そこではありません。
ぐっと良くなるのは、後半、女子たちが動き出してからです。
監督が若い女性だから、と書くのは安易な気もしますが、
やはり、それは関係あるでしょう。

家族①(黒人)
父・ユダヤ人  
母・ムスリマ
長男(ジョー)・アーセナル入団が決まっている。ジュリと恋仲。
長女(メリッサ)・中絶手術を受けた(という噂)。ヤニックが本当は好きだが……。
次男  カリドゥー

家族②(黒人)
母・民族衣装を着ている。
長男(ムース)・白人のダフネと付き合っている。
長女(ファティマタ)・ジョーが好き。でもまったく相手にされない。
小さな妹、弟

家族③(白人)
父・酒浸り。テレビの前のカウチから動かない。
娘(ジュリ)・ジョーと恋仲。

家族④(白人)
長男(ヤニック)・メリッサと付き合っていた。今も好き。
長女(エロイーズ)・おしゃれ。もてる。

ざっとこんな感じでしょうか。
ここに絡み合った人間関係が展開するのですが、
その中心となるのは、赤で示した3人の関係でしょう。

ファティマタは、ジョーが出発するその日、
ビヨンセのような金髪のかつらを付けて現れます。
ワル仲間の女の子たちも、男の子たちも、
大爆笑&からかいの嵐です。
兄のムースも飛んできて、すごい勢いで起こります。
しかも挙句の果てに、このかつらがポトリ。
再びの爆笑の中で、
いっぱしのワルであるファティマタも、
泣きながら家へ帰ります。

でもなぜ、彼女はこんなかつらをかぶったのか。
それはもちろん、ジョーに気に入られたい一心からです。
ジョーの恋人ジュリは、ブロンドの長髪をした白人。
「自分のグループ(=黒人)」の男を白人に奪われたファティマタは、
自分も白人になろうとしたのです。

(以下ネタバレあり)

そして夜、
ジュリとのデートから帰ってきたジョーに、
ファティマタは飛びついてキスします。
ふりほどくジョー。
なんども、なんども。
ついにジョーは彼女を平手打ち。
ファティマタは彼の顔に唾を吐きかけます。
(大好きなのに! こんなことしかできない!)

その後ファティマタは、ワル仲間の女の子たちと、
ジュリをリンチします。
傷を負い、血を流し、家に帰りついたジュリ。
けれども父親は、いつもの通り飲んだくれて寝ています。
ジュリは泣きながら、寝ている父親の腕を取り、
自分を抱かせるのです。(かわいそう!)

やがてジュリは立ち上がると、
電気シェーバーを手に取り、丸刈りにしてしまいます……。

そして映画のラストは、数か月後、
ジョーに呼ばれたジュリが、ロンドンに旅立つ場面です。
ダフネやエロイーズといった、白人の友達とハグし、
彼女はクルマへ。
そしてやがてそのクルマの行く手を、ファティマタが立ちふさぎます。
助手側に回り、ジュリと見つめあうファティマタ。
そしてファティマタが、開いた手のひらを窓に押し付けると、
ジュリもまた、窓越しに手を合わせるのです、
少しだけ泣きながら……。

よかったです。
もう1回見るでしょう。

2013年9月29日日曜日

Tête de Turc

日曜日、冒頭の緊張感に惹かれて見始めたのは、

http://www.youtube.com/watch?v=nZQWyeG5MSU  ←全編版

Tête de Turc というのは、
もともと縁日の遊びに、
「殴って腕力を試すターバンを巻いた顔の絵があったことから」派生して、
「嘲笑の的、非難の的」を意味するそうです。
(俗語では、ほかにも意味があるようです。)

ロシュディ・ゼムとロニ・エルカベッツが出ているなんて、
ちょっと(というかかなり)新鮮。ところが……

苦しくて、見ていられませんでした。
母と小さな弟と暮らす彼は14歳。いい子です。
でも、ワルい仲間とHLMの屋上にいたとき、
たまたま下に巡回の医師のクルマがあり、
それに気づいたワルたちは投石を開始。
誠実な医師に石は当たり、彼は気絶。
そして14歳の主人公が、酒の瓶を投げようとしたとき、
誰かがそれに火をつけ、その瞬間酒瓶は火炎瓶に。
そしてその火炎瓶は、医師のクルマを燃え上がらせます。
逃げ出すワルたち。
ひとり少年だけは下に降り、
炎が回り始めたクルマから、医師を助け出します。
けれど、医師は瀕死の重傷。
警察は大捜索を開始し……

きっちり作ってあると思うのですが、
その分、苦しさもきっちり来ます。
そしてサブストーリーもまた苦しげ。
ここまで苦しい映画にしなくても、
とわたしは思うのでした。



2013年9月28日土曜日

L'Union sacrée

土曜日、今日見たのは、

L'Union sacrée

です。なにが一体「聖なる結びつき」なのかと言えば、
この現代(1989)のフィルム・ノワールは、
2人の刑事がユダヤ人とアラブ人であるがゆえです。
(正確には、アラブ人のほうは国防省所属の捜査官です。)

http://www.youtube.com/watch?v=PxheSJD8CeQ

アラブ人役のリシャール・ベリは、
見かけがあまり「アラブ人」ぽくありません。


で、映画の冒頭、
新しいボスは彼に言うのです、
「アルジェリア生まれって聞いてたが、
想像してたのと違うな」
「見かけのこと? アラブとフランスのハーフです」
これで観客は、
彼をアラブ人だと受け取ることになるわけですね。
(実際、彼の両親はアルジェリア系のようです。)

悪者役のテロリストは、イスラム過激派。
彼らは、仲間を殺された腹いせに、
ユダヤ人シモンの実家のレストランを襲撃し、
たまたま居合わせたシモンの元妻を殺してしまいます。
小さな男の子がいるのに、です。
シモンは個人で復讐に向かいますが、
遂行直前に、アラブ人カリムに止められます。
「今じゃない、でも必ず……」と。
そしてその機会は、意外にも早く訪れるのです……。

途中、ハマムでの銃撃戦があるのですが、
それはバルベスのハマムでです。

http://www.yelp.fr/biz/les-bains-maures-paris

そしてシモンの実家がある場所は、
(『エキゾチック・パリ案内』で最初のほうに登場した)
ロジエ通りのJo Goldenberg のあった位置です。
実はこの店、1982年に襲撃されたことがあります。
その現実の事件を、はっきり下敷きにしています。
(ネット上には、その指摘が見つかりませんでしたが、
まあ、82年の事件を知っていれば、誰でも気づくでしょう。)
そして映画内の犯人が逃げていくのは、
あのイディッシュ料理店の方向です。

話が2段になっているので、当然やや長いですが、
おもしろい部類に入ると思いました。

2013年9月26日木曜日

エース

イーグルス、優勝しました。
ふだんほとんど見る機会のないエースの投球、
1イニングだけとはいえ、
おそろしく重圧のかかる場面、
しかも自らピンチを招き……
でもその後、
立て続けに投げたストレート、
素晴らしかったです。
うなりを上げるというのは、こういうボールのことなんでしょう。
仙台、おめでとうございます。

そして今日は、サイードの、
ちょうど10年目の命日でもありました。

Sansa

先日、ジークフリート監督のLouise(take 2) のことを書きました。
パリのメトロを主な舞台とした、
おもしろい作品でした。で、
同じ監督の次の作品、

『サンサーラ』(Sansa)

を見てみました。(日本版あり)

http://www.youtube.com/watch?v=_O9VS4awRmk

これは……、ちょっと期待が高かったせいか、
わたしはLouise ほど惹かれませんでした。
ロシュディ・ゼムは悪くないし、
14カ国に及ぶロケは、
見終わると、たしかにちょっと「世界一周」した気分にもなりますが、
その分、やや横滑りな印象もありました。
そういうものを作ろうと思って、実際作ったのだとは感じますが。
いわゆる「映画」というより、
いわゆる「イメージ・ヴィデオ」に近いのかもしれません。
だとするとその対象となったのは、「世界」ということなんでしょう。

それにしても、あのロシュディ・ゼムが、
新宿を歩いているのはなんとも不思議でした。

2013年9月25日水曜日

ゲーム

昨日今日と授業があり、
またワカモノたちとしゃべる機会が急激に増えました。
今は、
夏休みの面白かったこと、
みたいな話。

やや偏見も入ってるかもしれませんが、
さすが理系、と感じたのは、中に、
朝から晩までシューティング・ゲーム、という学生がいたり、
友達と泊り込んでゲームをつくった、という学生がいたり。
あとの彼は、プログラミング担当したようなのですが、
なぜか建築学科。情報系ではなく。
まあこの辺にも、大学生の「リアル」があります。
つまり、専攻とは別のことにのめりこんでいる学生もいるわけです。

彼らの話を聞くのは、おもしろいです。

2013年9月23日月曜日

『パリのモスク』

先日、映画Les Hommes libres について書きましたが、
それと基本的には同じ内容を語っている本がありました。
『パリのモスク』です。

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%91%E3%83%AA%E3%81%AE%E3%83%A2%E3%82%B9%E3%82%AF%E2%80%95%E3%83%A6%E3%83%80%E3%83%A4%E4%BA%BA%E3%82%92%E5%8A%A9%E3%81%91%E3%81%9F%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E6%95%99%E5%BE%92-%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%AB/dp/4779115426/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1379927280&sr=8-1&keywords=%E3%83%91%E3%83%AA%E3%81%AE%E3%83%A2%E3%82%B9%E3%82%AF

これはもともと子供向けの絵本のようで、
とても可愛らしい造本です。
56ページ、しかも絵入りなので、30分位で読めるでしょう。
でも、いい本だし、広く読まれて欲しい本です。

2013年9月22日日曜日

Les Rois Mages

日曜日、ということで、
コメディーでも見るか、と安易に選択されたのは、

Les Rois Mages

です。
これは『東方の三博士』のこと。
あの、星を見て「幼子」の到来を知り、
ご挨拶をしにエルサレムへ、そしてベツレヘムへと行き、
それぞれ贈り物をしたという、あの神たちです。が、
そこはコメディー。
実はこの博士たちが、現代のパリにやってくるのです。
(目指すはベツレヘムなんですが、その途中に、です。)
で、ざっくりいえば、タイム・スリップもの。
でも当然、随所に宗教からみの笑いが。
(わたしが気づけなかったものも、あるにちがいありません。)

http://www.youtube.com/watch?v=xHskAeZYaQs

いろいろジャブ的な笑いは多いのですが、
やはり見どころは、
なんだかんだで「色物」としてテレビに引っ張りだされ、
えらい学者と対決するのですが、
そこはなにしろ本人、じぶんのことはよく知っていて、
もちろん研究者なんかよりずっと詳しいわけです。
で、人々はついに、彼らが本物であることを知り……

最後の場面は、そう、「エトワール」広場です。
そこに捨てられていたらしい赤ちゃんが……

2013年9月20日金曜日

始動

今日から後期始動! でした。
そしていきなり、授業2つ&会議2つ。
でも、
マラッカ、セルビア、ウィーンなどに散っていた同僚たちの元気な顔を見て、
なんとなく嬉しい気持ちでした。

2013年9月19日木曜日

Les Hommes libres

夜には名月が拝める今日、
丁寧に見たのはこれ。

Les Hommes libres

http://www.youtube.com/watch?v=OHsjuXuWuy4

2011年の制作です。

舞台は1942年、占領下のパリ。
アルジェリア移民のユネスは、
闇の行商で生活しているのですが、
そうして色々な人と出会ううち、
あのパリのムスリムの拠点、ラ・グランド・モスケ・ドゥ・パリが、
レジスタンス活動を支える場所であることに気づきます。
そこには、ユダヤ人たちだけでなく、
マグレブから逃亡してきたコミュニストなども匿われています。

ユネスは2人と仲良くなります。
1人は、アラブ音楽の(実在の)歌手、Salim Halali です。

http://www.youtube.com/watch?v=WrzTJPp13YI

彼は実はユダヤ人で、一端はゲシュタポに連行されるのですが、
ユネスたちの機転で釈放されます。
(ボビニーにあるムスリムの墓地、
ここにサリムの父の墓があると言ったのです、
もちろん嘘ですが、ゲシュタポが到着する前に、
あわてて造ったのです。
彼は戦後、パリで舞台に立ちます。
また、ボビニーのムスリム病院も登場します。)

もう1人は、コミュニストの女性。しかし、
彼女は政治犯として連行され、
パリ郊外、フレンヌの刑務所で銃殺されてしまいます。

全体としては、パリのムスリムたちが、
レジスタンス運動を繰り広げ、
その中で、ユダヤ人たちをも助ける、という話です。
彼らムスリムは、
「打倒、植民地主義! 打倒、ファシズム!」
を合言葉に、
今フランスの独立を応援することは、
将来、アルジェリア(など)の独立を勝ち取ることと等価だと考えています。
(映画の中では、
その後彼らがフランスに裏切られ、
アルジェリア独立戦争にまで発展することは、触れられていません。
でも、みんな知ってるわけです。
もちろん、ゲシュタポの言いなりに協力する、
パリの警察もよく描かれています。
ゲシュタポだけでは、
ユダヤ人一斉検挙なんて、できたはずないですね。)

1942年ですから、背景には、
一斉検挙や、トーチ作戦などもちらちら見えます。
これを教材にして、授業がしたいですねえ。
英語字幕版を買えば、できるんでしょうか??


2013年9月18日水曜日

Louise(take 2)

窓を開け、からっとした風に吹かれながら見たのは、

『ルイーズ(take 2)』

とてもよかったです。
フランスでは1998、日本では2001公開。
国内版DVDがあります。(ラッキー!)

http://www.youtube.com/watch?v=nk8LumIrofM

舞台はパリ。
主人公ルイーズは「学生」と自称していますが、
嘘っぽい感じ。
彼氏はやさぐれのアラブ系ヤヤ。
このヤヤのダチ2人も加わって、
4人は「ストリート」やメトロで、万引きやらカツアゲやらを繰り返します。
その様子は楽しそうなんですが、
まあ、実はそうとうに苦しそうでもあります。

そんなルイーズは、2人のオトコと出会います。
1人は9歳半のギャビー。
このチビ・ギャング、母親は娼婦で、父親はメトロの浮浪者。
可愛い子です。
で、もう1人は、ロシュディ・ゼム演じるレミー。(もちろんアラブ系)
彼もまたホームレスで、
メトロに寝まることもある様子。
そしてこの3人が、やがてたがいに深い情愛を感じ始めます。
貧しさ、孤独、先行きの不透明さ、そして、なけなしのヴァイタリティ―。
彼らを結び付けるのはこうしたものです。

監督である若きジークフリートは、脚本、撮影、音楽も担当。
これが長編デビュー作なんて、驚愕のデキです。
これは、ほかの作品も見てみないと。

Le Café des Chats

パリに猫カフェ!

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2968686/11360383?ctm_campaign=txt_topics

ちょっと楽しそう。

six-PACK

台風一過、
青空のもと午前中の会議をこなし、
午後に見たのは、

『シックス・パック』(six-PACK)

スリラーです。「12禁」です。注意!
 ↓
http://www.youtube.com/watch?v=wLHGDZvp5D8

これは、ふだんほとんど見ないスリラーで、
連続猟奇殺人事件のお話。
不得意なタイプのこの映画、なぜ見たのかと言えば、
舞台がパリであること、
主役がユダヤ人であるリシャール・アンコニナであること、
この2点です。

「12禁」なので、その程度にはおぞましいのですが、
意外にも「刑事の生き方」みたいなものが前に出ていて、
思っていたよりは見やすかったし、
おとり捜査を進めてゆく中盤は、ほとんどいい感じでした。
ただ最後は、やや性急&作為的な感じも。

でもこの映画、アメリカに対してやや厳しい。
だって、
「アメリカから輸入されてきたのは、ハンバーガーとくだらないテレビ・ドラマと
シリアル・キラー」
なんてセリフがあり、
実際その線で物語は進むからです。

おとり捜査が仕掛けられるのは、
ナシオン広場のすぐ近くです。

2013年9月17日火曜日

祝、56号(+α )

ホームランというのは、いいですね。
好きです。

東京オリンピックの年以来、といいますから、
49年ぶりの新記録です。

で、それに関して、友人が知らせてくれました。

http://mainichi.jp/opinion/news/m20130917k0000m070080000c.html

絶版ですが、こんな本もあります。

http://www.amazon.co.jp/%E7%8C%9B%E6%89%93%E8%B3%9E%E2%80%95%E3%83%97%E3%83%AD%E9%87%8E%E7%90%83%E9%9A%8F%E6%83%B3-%E6%B8%85%E5%B2%A1-%E5%8D%93%E8%A1%8C/dp/4062014912/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1379418756&sr=8-1&keywords=%E7%8C%9B%E6%89%93%E8%B3%9E

2013年9月16日月曜日

une vie meilleure

台風を気にしつつ今日見たのは、

une vie meilleure

ですが、これは日本版があります。(『よりよき人生』)

http://www.youtube.com/watch?v=SNCa-LAjPqE

見た、と書きましたが、実は100分ほどの映画を、
30分ほどで(早送りで)見てしまいました。
最初の20分はちゃんと見たんですが、そこまででした。
(予告編は、おもしろそうにも見えるんですが。)

「夢」を持った若いカップルが、計画も、見通しもなく大金を借り、
レストランを開業しようとし、当然すぐに行き詰まり……という、
申し訳ないけれど、ほとんど同情できない堕ち方、なのでした。
人気のない湖畔の、崩れかけた家を改装して、
夏はテラスで、冬は暖炉の前で、って、
それはオママゴトすぎます。
素人にだって、レストラン経営がそんな簡単なわけないのはわかります。
まして彼は、ファストフードのキッチンにしか立ったことがないのです。
遠くまで客を呼べる料理ができるはずがありません。

見るポイントは別にあるのでしょうけど、
今回はそれが見つけられませんでした。
レイラ・ベクティ出演作としては、個人的には、
もっともデキがよくないと思いました。
(これを日本で公開するなら、もっともっと他に面白いのがあるのに!)

2013年9月15日日曜日

L'Autre Côté de la Mer


台風が近づく今日見たのは、

L'Autre Côté de la Mer

です。
目当てはラシュディ・ゼムだったのですが、
残念ながら、そんなに入り込めませんでした。

この映画でポイントになる年号は、
1830、1962、1992、です。
さあ、これはどんな繋がりが?

1830=フランスがアルジェリア侵入・占領。
1962=アルジェリア独立。(=独立戦争の終わり)
1992=クーデタ。→アルジェリア内戦へ。

というわけです。
で、
映画内の「現在」は1992で、
アルジェリア独立後もかの地にとどまっていたピエ・ノワールのジョルジュが、
フランスに戻ってくるところから、物語は始まります。
(独立時にフランスに帰還した妹たちとは、
30年ぶりの再会ということになります。)
戻って、と書きましたが、実は彼は、
そのまま(内戦を避けて)フランスにとどまるのか、
それとも経営するオリーヴ・オイルの工場のために引き返すのか、
決めかねています。
内戦とは言うものの、
金持ちのピエ・ノワールですから、
命を狙われる危険も相当に高いわけです。

で、ゼムは、
ジョルジュが受ける白内障の手術を担当する外科医。
フランス生まれフランス育ちで、
むしろジョルジュのほうがアルジェリアには馴染んでいるという、
不思議な逆転が起きます。

物語はこの後、
ジョルジュの仲間や、
アルジェリアの役人なども絡み、
ジョルジュの工場の奪い合いになります。
そしてその背景で、内戦は進み……というわけです。

印象に残ったのは、ゼムの、
「あいつはアラブだけどいいやつだよ、なんて言われたくて生きてるわけじゃない」
というセリフ。
映画自体はともかく、
ゼムはやっぱりいいですね。

*アルジェリアの税関係の役人のセリフ、
「おれは裸足で小学校へ通った。
HLMに住むのが夢だった」
は印象に残りました。
HLMは、しばしば「スラム」なんて言われますが、
鉄筋の高層ビルです。
あれが「スラム」だというところに、逆に、
ヨーロッパ的豊かさを感じます。

2013年9月14日土曜日

La Folle Histoire d'amour de Simon Eskenazy


暑さが戻った今日見たのは、

La Folle Histoire d'amour de Simon Eskenazy

という、まあコメディー・タッチの作品です。

http://www.youtube.com/watch?v=T-YQ_BEOY5Q

個人的にまず引きつけられるのが、
舞台がシャトー・ルージュだという点です。

http://tomo-524.blogspot.jp/2010/08/chateau-rouge.html

人公のシモンはユダヤ人で、
ユダヤ音楽を演奏するクラリネッティスト。
わがままで支配的な母親の看護を押し付けられ、
別れた奥さんや、会ったことのなかった子供まで、
NYからやってきます。
そして大事なのは、彼がゲイであること。
これはもう大っぴらで、母親もよく承知しています。
(元妻の弟は、ゲイ専門の精神分析医で、自身もゲイです。)
で、
彼は男性たちとお付き合いがあるわけですが、
中で一人、女装したアラブ系のアンジェラが、
なんと彼の母親の看護を引き受け、
しかも母親と意気投合。
でもアンジェラは、ムスリムでした……というわけです。
(上の画像の、シモンの左の男女、これは同一人物=アンジェラです。)
アンジェラは、イスラエルの話をするユダヤ人女性たちに割って入り、
占領した土地は返したほうがいいわよね、
などと言い放ちもします。

ユダヤ人とムスリム(ないしムスリマ)の関係をテーマとした映画は、
何本かあります。たとえば、

L'Union Sacrée
Mauvaise Foi
Monsieur Ibrahim...
Tout ce qui brille

などです。
中でもこの作品は、両者がゲイである点で、
異彩を放っているわけです。
これらの作品を比較するのも、おもしろいかもしれませんね。

そうそう、舞台はシャトー・ルージュなんだから、
シャトー・ルージュものばかりを集めた映画論なんてのもまた、
おもしろいかも。

*この映画、実は

L'HOMME EST UNE FEMME COMME LES AUTRES

の続編だそうです。
こちらは、シモンがまだカミングアウトしてなくて、
結婚して、すぐ離婚しちゃう、みたいな。
話としては、
今回の続編のほうがおもしろそう、かな。

*追記あり:http://tomo-524.blogspot.jp/2013/10/la-folle-histoire-damour-de-simon.html

2013年9月13日金曜日

Parlez-moi de vous


今日は見たのは、

Parlez-moi de vous

という、2012年の映画です。

http://www.youtube.com/watch?v=1HSKfsyDUtw

なぜこれを見たのかと言えば、
Karin Viard が嫌いじゃないからです。
で、そんな軽いノリだったのですが、
なんと、ちょっと感動してしまいました。

***************************

40歳、メリナの声はフランスで知らない者はいないほど有名。
メリナはリスナーから寄せられる恋や性の悩みに
ユーモアを交えて赤裸々に答えていく人気ラジオ番組のパーソナリティ。
誰もがメリナの声を知っていたが、
その素顔は謎に包まれていた。
パリの高級住宅街にひっそりと誰とも交流せずまるで老女のように暮らしているメリナ。
赤ん坊だった自分を孤児院に捨てた産みの母を訪ねてパリ郊外へ。
自分が誰かを伏せたまま母に近づくが……

(my French Film Festival のHPより)
**************************

カリン・ヴィアールは、
40歳で、お金も仕事もあるけれど孤独で、
たくさんのファンに愛され、
でも自分からは「愛」に踏み込めず、
やや病的なほど几帳面、という役を、
素晴らしくこなしています。
しかも、彼女の本当の姿は、「少女」なんです。
Can't help loving her, can you ?

ストーリーもちゃんとあるですが、
つまるところ、このメリーナという女性の肖像、なんですね。
そしてメリーナは、どこにでもいる、ということなんでしょう。

1つ大事な点は、
メリーナが住んでいるのは、16区の豪華なアパルトマンで、
母親が(息子夫婦や孫と)住んでいるのは、
「郊外」、具体的にはSeine et Marne の pavillon(一軒家)だということでしょう。
メリーナが属してしまった階層と、
母親がとどまっている階層、
という視点が発生します。
そういえば、メリーナが乗っているのは、濃い銀のジュリエッタ。
しかもシートは赤い(おそらく)レザー張り。
かっこいいクルマなんです。
一方母親はクルマがなくて、
病院に行くにも誰かに送ってもらう必要があります。
(もちろん、その程度の差でしかない、とも言えます。)

映画は、おもしろいですね。

2013年9月12日木曜日

Paris

今日見たのは、2008年に日本でも公開された『パリ』です。
当時、おもしろいようなおもしろくないような、
なんとも言えない印象でした。
今回はフランス語字幕で見てみたのですが、
まだはっきりしない感じが残りました。

http://www.youtube.com/watch?v=sHYcZpsbOnM

好きな場面は、モンパルナス・タワーのてっぺんでの散骨とか、
カメルーンから来たブノワがノートル・ダムと絵葉書を見比べているところとか、
移民系の人たちがたくさん出ているところとか、
そのほかにもいくつもありました。
逆にイマイチ乗れないのは、
たとえば冒頭の「スタイリッシュな」カメラワークとか、
サティの音楽のベタ過ぎる使い方とか、
ボードレールの長過ぎる引用とか、
あざとい感じの編集とか、
主人公がパリの真ん中に住んでいるお金持ちなのに、
そのお金がどこから来るのか説明なしとか、
要は、ちょっと「イキッテル」、あるいは「雑な」ところです。
(やたらと sex シーンが出てきて、それも「?」な感じです。
ただそれはまあ、「死」と拮抗させているんだろう、とは思います。)

しかしそれにしても、
この出演者の豪華さは驚きです。
主役級はもちろん、それ以外にも、
カリン・ヴィアールやジル・ルルーシュ、ファリダ・ケルファ。
パン屋さんで働くアラブ系移民2世を演じたサブリナ・ウアザニは、
『キラキラしてる』で、レイラ・ベクティとバイト仲間だった女優さんです。
ランジスで働く花屋さんを演じたオドレ・ラミーも、
『キラキラ』では重要な役でした。

クラピッシュ監督なら、最近の、
『フランス、幸せのメソッド』のほうが、おもしろかったかな。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/02/blog-post_17.html





2013年9月10日火曜日

Le Petit Lieutenant


今日見たのは、2005年の作品、

Le Petit Lieutenant

です。かつて、『神々と男たち』という映画がありましたが、

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/des-hommes-et-des-dieux.html

これを撮ったボーヴォワ監督の作品です。

http://www.youtube.com/watch?v=9xyphRWl0uE

ル・アーヴルの警察学校を卒業したアントワーヌは、
家族を離れ、フィアンセとも離れ、
パリの部隊を志願します。
そこで会ったのが、母親ほどの年齢のヴェテラン女性警部。
ナタリー・バイ演じるこの警部は、実は元アル中。
しかも、幼い息子を亡くした経験があります。
そう、生きていれば、ちょうどアントワーヌくらい。
そして事件を追ううち、
アントワーヌに思わぬ凶器が襲い掛かり……

ちょっとキツイところもあるけれど、
落ち着いた、いい映画だと思いました。
わたしの好きなロシュディ・ゼムも、
パリの捜査チームに入っているし。

それにしてもこの監督、1967年生まれなのに、
すでにある種の人生観のようなものがにじんできて、
驚かされます。
熱いハートと冴えた眼。
才能ある監督です。




2013年9月9日月曜日

Nuclear error

あの世界的科学誌「ネイチャー」に、
Nuclear error という題の社説が。

http://www.nature.com/news/nuclear-error-1.13667

訳してくださったものがあります。

http://yokofurukawa.tumblr.com/post/60466011377/9-5-nuclear-error

Ma 6-T va crack-er


今日見たのは、1997年の作品、

Ma 6-T va crack-er

です。
監督は、ジャン=フランソワ・リシェ。

http://www.dailymotion.com/video/x62z8y_ma-6te-va-cracker-part-1_shortfilms?search_algo=2

このまま10まで。全編見られます。
タイトルは、フツーに書けば、Ma cité va craquer. ですね。

監督がインタヴューで、「ヒップホップの構造を持った映画」だと言っているのですが、
実際、ヒップな曲が流れ続けます。
映画の後半には、「暴動」も起こるのですが、
そのバックにも、もちろんラップが。

リシェ監督は、パリの東、モーのHLM出身だそう。で、
この映画も、前作も、モーが舞台です。

激しい、若い子たちの苛立ちが伝わってくる映画です。
その意味では、多くの「郊外映画」と共通点があると言えるでしょう。

それにしても、やはり『憎しみ』の完成度の高さが、
今更ながら感じられます。

2013年9月8日日曜日

Raï


今日は、先日のトマ・ジルーつながりで、

Raï  

を見てみました。
あの『憎しみ』と同じ、1995年の作品です。

http://www.youtube.com/watch?v=jqndEUXf0pQ

これ、タクシー・シリーズの主役、
サミー・ナセリなんですけど、わかりますか?
なんだか、まだあどけない感じですね。

それからこのヒロインの女性、
調べてみたら、なんと pornostar なんだそうです。
(これは porno ではありませんが。)

彼女は、イタリア人の父と、ヴェトナム(か日本)人の母を持っているのですが、
この映画では、アルジェリア系の役です。
まあ、「イタリア人」と言っても、100%ヨーロッパ系とも限りませんが。

笑ったのは冒頭、
サミーを含むワル3人が車に乗っていて、
大声で歌っているのですが、その歌が、
アズナブールの「ラ・ボエーム」。
なんとも「文学」的な「モンマルトル」の歌を、
移民のワルが歌っていると、
歌詞にニュアンスがまったく違って聞こえるのがウケます。

舞台は、ガルジュ=レ=ゴネスにある巨大シテ、
ダム・ブランシュです。

2013年9月7日土曜日

Les Keufs


今日見たのは、1987年の作品、

Les Keufs

です。

http://www.youtube.com/watch?v=f1o2tRoMljs

激しく行動的な「フランス人」女性刑事が、
アラブ系の売春婦をポンビキから守ろうとしているのですが、
それを誤解した内務班が、彼女の追跡調査を始めます。
で、その2人の内の1人が、
やがて彼女と恋仲になるアフリカ系男性刑事、というわけです。

今と違って、警察の捜査も乱暴で、
また悪者の態度も乱暴です。
25年ほど前ですが、こんなに違うのね、という感じ。

全体にコメディータッチで、
舞台となったメニルモンタンの雰囲気もよく出ていて、
軽いけれど、好感の持てる映画でした。

*「アラブ系売春婦」を演じているのは、
 『アイシャ』でマリカを演じたFarida Khelfa 。


俳優なんだから当然とはいえ、あまりのキャラの違いに驚きました。
 
 

2013年9月6日金曜日

De Bruit et de Fureur


今日は、1988年の映画、

De Bruit et de Fureur

を見てみました。
この作品は、以前日本でも公開され、
VHS があります。(DVDは未発売)

これもなんと、全編版があります。

http://www.youtube.com/watch?v=vy2irTLqxVw

はっきり言って、見ていてやりきれない映画です。
いい映画だとは思うんですけどね。

「パリ郊外の労働者階級が暮らす地区を舞台に、
若者たちの破滅的な日常を醒めたタッチで描く。」

と評されていますが、まさにその通り。
「破滅的」です。
わたしは優等生ではなかったので、
ある程度彼らのことが分かるのですが、
彼らは red line の向こう側に行ってしまいます。

「パリ郊外映画」の、古典と言っていいでしょう。

「フランスの魅力 体験講座 」

一週間ほど前、
「東京詩」の講座の紹介をしましたが、
そうでした、
「パリ」の講座もあります。

https://academy.meiji.jp/course/detail/1387/

場所は、ふだんわたしが仕事をしている、
明治大学生田キャンパスです。
この「明治リバティアカデミー」は、
これまで駿河台(御茶ノ水)だけだったのですが、
こちらのキャンパスでも開講しよう、
ということになったのです。

で、今回は、
現場の人気シェフや、
思想系の岩野先生、
若くて元気な高瀬先生らと一緒です。
よろしければ!

(今なら、入会金が無料になるようです。)

2013年9月5日木曜日

Black Mic Mac


1985年の、Black Mic Mac という映画を見てみました。
なんと、全編版があります。

http://www.youtube.com/watch?v=OCc3r70JuOY

これ、なかなかおもしろいです。
監督のトマ・ジル―にとっては、これがデビュー作。

http://fr.wikipedia.org/wiki/Thomas_Gilou

その後、あのユダヤ映画の連作、
La Vérité si je mens ! 『原色パリ図鑑』)のシリーズでブレイクします。

衛生局から、あまりに汚いので取り壊しを通告された建物、
そこにはたくさんのアフリカ系の人たちが住んでいるので、
とてもそんな通告は受け入れられない。
そうだ、あの魔術師を呼んで、何とかしてもらおう。
というわけで、アフリカから招くのですが、
彼は飛行機の中で、ある若者に、
まんまと成り代わられてしまいます。
若者の狙いは、もちろん報酬。
けれど若者の本来の目的地、
グット・ドールに実在するアフリカ料理店「シェ・アイダ」もまた、
衛生局の指導が入り……

このコメディーは、
パリ移民映画のうち、
共生をテーマとしていると言えるでしょう。
見ているのが楽しい映画でした。

2013年9月3日火曜日

満州国の切手

今日は久しぶりに大学に行き、
午前と午後に会議を1つずつ、でした。
合計4時間ほど会議をしていたことになりますが、
もっともっとしている先生たちもいるので、
ぜいたくは言えません。

で、大学ではがきを受け取りました。
今年の1月、B&Bで港さんとトークイヴェントをしたときに、
こう書きました。

**********************
ところで、
去年の3月11日のこのブログで、
短い詩を挙げたのですが、
昨日来てくださったHさんは、
それがちょうどお子さんが生まれる時期と重なり、
繰り返し読んでくださったと話してくださいました。
嬉しかったです。
***********************

はがきを下さったのはこのH さん。
中央公論の「アジア号の食堂車から」の感想を送ってくれたのでした。
そしておもしろいエピソードも。
この記事の中でわたしは、かつて実家で使っていた、
特急アジア号の食堂車のスプーンのことを書いたのですが、

***********************
(その)スプーンのような何かがなかったか記憶を探っていて思い出したのが、
小学生時分の切手ブームです。
私が切手を集めているのを知った祖父のくれた「中国の切手」、
今思えばそれはまぎれもなく満州国の切手なのでした!
***********************

満州国の切手……。
満州を生きた人たちは少なくなりましたが、
記憶の断片は、まだあちらこちらに散らばっているのですね。

H さん、merci beaucoup !

2013年9月2日月曜日

Le thé au harem d'Archimède


今日見たのは、

Le thé au harem d'Archimède
(『アルシメッドのハーレムでお茶を』)

という、ちょっと変わった題の映画です。1985年制作です。

http://www.youtube.com/watch?v=NUS-tB8uu-I

Mmm、ここだけ見ると、まるでおもしろくなさそうですが、
実際は、おもしろかったです。
というか、ちょっと感動しました。

舞台はパリの郊外。
上の動画にも出てきた2人の少年(ヨーロッパ系&アラブ系)が主人公です。
2人は仕事にも就かず、万引きやポン引きを繰り返しては、
遊び暮らしています。
(もちろん、彼らの母親は怒鳴りっぱなしです。)
ただ彼らは、ちゃんと字が読めない上に、
公的機関も彼らに対してはぞんざいです。
特にストーリーというようなものはなく、
彼らと、彼らの周りの友達やおとなたちの日々の暮らしを描いてゆきます。
ただ逆に言えば、そこにたくさんの「ドラマ」が仕込んではあるんですが。

ちなみにこのタイトルは、
ある書き取りの授業の場面から来ています。
えは、「アルキメデスの原理(Le théorème d’Archimède)」
なんですが、ある生徒が、      le té au arem darchimede
と書いてしまいます。
この誤答を少しいじれば、タイトルになるわけです。

フランス版のDVDで見ましたが、英語字幕があるので、
分からないところも安心です。

*この論文が参考になりました。

http://ci.nii.ac.jp/els/110000989987.pdf?id=ART0001168674&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1378687169&cp=


2013年9月1日日曜日

地中海映画祭

これは!

http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/mediterranee/

「東京詩」講座、受付開始!

10月の末から3回、
NHK文化センターの柏教室で、
「東京詩」の講座を開くことになりました。
柏というのは、行ったことがないんですが、
親友の出身地なので、名前は馴染みがあります。

http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_894121.html

このところ、「パリ」で話すことが多かったので、
久しぶりで新鮮です。
詩に興味があって、
柏も不可能じゃない、という場合は、
ご検討いただければ幸いです!

ちなみに同じ時期に、
隣りの隣りの研究室の大先輩、
「ミスター・ハプスブルク」こと菊池先生の講座もあります。

http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_891081.html

菊池先生の講座は人気があるので、
もう申し込まれる場合はお早めに。(マジで!)

Alain Jessua


アラン・ドロンと言えば、
わたしが高校生の頃のN.1 スターでしたが、
その彼が、ちょっとイカレタ医者を演じる、
『ショック療法』
という映画がありました。

http://www.youtube.com/watch?v=CdF26idshFc (←音楽は別物)

セレブを顧客とする、若返りのサナトリウム、
その超豪華リゾートのような施設では、
実は移民たちの生き血を抜き、
それを使って「若返りの秘薬」を作っている……

とまあコワイ話ではあるんですが、
この監督、アラン・ジェシュアは、
こういうちょっとひねった文明批判的映画を作るんですね。
これが1972年。

その彼が、1979年に作ったのが、
Les Chiens
です。

http://www.youtube.com/watch?v=vvpwBCk4q8o

こちらも、『ショック療法』に劣らずコワイです。
舞台はパリ郊外の新都市。
まだ開発が進んでいる途中で、
工事現場にはアフリカ系の移民労働者がたくさん。
町は殺風景で、おもしろみがなく……。
ただ異様なのは、犬の多さ。
それも獰猛なものばかり。
もともとは自分の身を守るためだった番犬が、
訓練の結果、殺人までするようになります。
で、
町1番の調教師、これがジェラール・ドパルデュー。
たくさんの犬を飼い、町に君臨し始めます……

こちらもやはり、ある社会不安を表現しているのでしょう。
楽しい映画じゃありませんが、いい映画だと思います。