2013年10月31日木曜日

2試合

うららか、というのは春ですが、
そんな言葉が思い浮かぶ日でした。
そして今日は、
午前中にワールド・シリーズ第6戦で、
レッドソックスの優勝を見届け、
(上原、ナイス・ピッチング!)
夜は日本シリーズ第5戦、
イーグルスの集中力を堪能しました。

ワールドシリーズでは、
田沢選手のインタヴューが面白かったです。

「大変な場面でしたけど?」
「ちょっと、覚えてないんです」
「どんな気持ちで投げましたか?」
「キャッチャーを信じただけです」

彼はいつも、「覚えてない」っていうんですけど、
もしほんとにそうなら、
おそろしい没入度です。
なにしろ、覚えてないんですから!
おめでとうございました!

日本シリーズは、
昨日一昨日と打って変った好ゲーム。
やっぱり、ピッチャーがいいと、
俄然引き締まった試合になるんですね。

それにしても、
1日に2試合も見たのは久しぶりです。

凡戦?

日本シリーズ、見てます。
こどもの頃以来長くデー・ゲームだったので、
今だにナイト・ゲームにはやや違和感がありますが。
今日までで、両チームとも2勝2敗となったわけですね。
まあ完全に素人の戯言なんですが……

1戦、2戦は、引き締まった、そしてスリルのあるいいゲームだと感じました。
やっぱり田中投手は、現在の日本でN.1 のピッチャーですね。
けれども3戦、そして特に今日の4戦。
正直言って、締まりがない印象。
投手のコントロールが定まらず、リズムがとても悪いので、
見ていても落ち着きません。
低めにくるボールは驚くほど少なく、
コースもバラバラ。
(イーグルスは、結局12四死球! 与えてしまいました。)
残念ながら、やや退屈してしまいました。
AJ のホームランは、さすがでしたが、
でもどちらかのチームを応援しているわけではないので、
ゲームそのものがスリリングでないと、
見ていられず……

明日のワールド・シリーズ、
レッドソックス、優勝できるでしょうか。
その時マウンドには……?

2013年10月30日水曜日

2013年10月29日火曜日

Samia

名前はサミア。
14歳。
マルセイユの郊外、
アルジェリア移民の家庭で、
8人兄弟の6番目。
おしゃれが大好き。
学校の勉強はそんなに好きじゃない。
でももっと嫌いなのは、1番上の、失業中の兄。
病気の父の代わりに、
家族全員に対して強権的。
そして文字通り暴力的。
言うことを聞かない妹たちを、ベルトで殴る。

ママは娘たちに言う、
お前たちのためにフランスに来たのに、
ママの人生がどんなにみじめだったか、
お前たちにはわかってない、
お前たちはフランス女になりたいのかい?
フランス男と付き合いたい?
どうせ「汚いアラブ」っていわれるのがおちなのに。

Samia      です。

http://www.youtube.com/watch?v=0dt2sCEnIoI

Sans toi...

岩谷時子さんが、亡くなられました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131029-00000114-san-musi

以前、こんな記事を書きました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/08/vol2.html

ご冥福をお祈りいたします。
(1度、お目にかかりたかった……)

2013年10月28日月曜日

Bagnolet

『戦争より愛のカンケイ』というえいがについては、
もう何度かここでも触れました。たとえば、

http://tomo-524.blogspot.jp/2012/05/blog-post_26.html

まちがいなく面白い映画です。

ただこの映画、
初めて見るときは、
サラ・フォレスティエの大胆な裸体に目を奪われ、
2度目に見るときは、
「政治」的なおもしろさの読解に気を奪われる、
という傾向があるようです。(多分)

で、
また見てみました。
(実際には、もう5回目くらいですが。)
今回注目したのは、「場所」です。
結論から言うなら、
この映画の「場所」は、パリのペリフェリックを東に越えてすぐの町、
バニョレです。
ここは、この映画の舞台でもありました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/09/de-bruit-et-de-fureur.html

ただこちらでは、HLMやその周辺が主な舞台でしたが、
『戦争より……』では、
市役所や、メルキュリアル・(ツイン)タワーなども、
繰り返し登場します。
で、調べてみると、
監督のミッシェル・ルクレルクは、4年もバニョレに住んでいて、
この町を愛してやまない、とか。
そして、

「さまざまな人たちが共生しているこの町は、
この作品のストーリーやテーマに完全にフィットしていた。
映画が語るのは、フランス人のオブセッションであり、アイデンティティーだ」

http://www.bagnoletenvert.com/article-bagnolet-le-nom-des-gens-et-la-place-de-la-mairie-61693428.html
 
と言うのです。
なるほどね。

そしてさらに調べると、このバニョレ地区、
かつてこの町を、「東のデファンス」にするという計画があったそうです。
(石油ショックで頓挫してしまったのですが。)
Mmm、となると、
デファンスを舞台にしたTout ce qui berille と比較するのも、
なかなかおもしろいかもしれません。
これ、やってみたいです。

2013年10月25日金曜日

Mauvaise Foi


また台風です。
被害が少ないことを祈っています。

さて、今日見たのは、
実はずっと楽しみにしていて、
DVDの到着を心待ちにしていたこの映画、

Mauvaise Foi

です。
この表現、仏和大辞典には、
「不誠実、悪意、虚偽;(サルトルの用語として)自己欺瞞」
が当てられています。
直訳は、「悪い信仰」となるでしょうか。

アラブ人(モロッコ系)の男性、ユダヤ人(アシュケナジム)の女性、
2人はもう4年も一緒に暮らしているのですが、
ついに、授かってしまったのです。

http://www.youtube.com/watch?v=mHZzlMiD0ds

別々の宗教を信じる2人、というほどではないけれど、
たしかに、
別々の文化圏で生きてきた2人が、
この妊娠をきっかけとして、
社会的な関係へ踏み出そうとするのですが、
いざそうしてみると、
今までは気づかなかったさまざまなチガイが目についてくるのです。
女性の家族は反対するし、
彼は家族に話すことさえできないし。

でも、チガイはチガイ。
彼らには共有されているものもあるのです。
それに気づくのに、ちょっと時間はかかったけれど……というお話。

監督は主役のゼム自身で、
コメディーではありますが、やっぱりおもしろい。
ゼムの幼馴染で、
かつて同じHLM(だと思うのですが)に住んでいた親友、彼もユダヤ人。
なかなか重要な役です。

女性(セシル・ド・フランス)に、
実は紹介したい人がいるの、
と打ち明けられた母親は大喜びし、
で、娘に尋ねるのです。
「その人、わたしたちのグループ?」(Il est de chez nous ?)
「Chez nous ってどういうこと?」
「わかるでしょ」
「そう、フランス人よ」
「ああそうね、で……」
「いいえ、彼は違うの。それが問題?」
「全然! わたしたち、セファラッドも大好きよ。ねえ、パパ」
「そうさ、彼らはユダヤ人の1番の友達だよ」

これ、なんだかすごいですね。
もちろんセファラッドもユダヤ人なんですが、
アシュケナジムは、必ずしもそう思っていないのでしょうか。

それから、この chez nous という表現も、
何度か耳にしました。
たとえば『アイシャ』でも、アイシャがボビニーの「共同体」について語るとき、
chez nous では、ブラブラブラ と言っていました。

そして映画の舞台は、
メニルモンタンやベルヴィルあたり。
やはり移民街なんですね。
で、
ゼムの妹役に、レイラ・ベクティ。
彼女は「男勝り」でサッカーに夢中。
同年代の(単細胞な)男の子たちに「キッチンに行け!」なんて野次られて、
キレてみたり。
なかなかいいです。
(彼女の母親は、この男のたちの側ですが。)

ただ、彼女とゼムは、ここでは親子でした。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/02/blog-post_18.html

どちらかというと、
まあ親子のほうがしっくりくる、かな。

2013年10月23日水曜日

チュニジア

今日の東京は、暖かさが消えてしまった感じでした。
そして今日は、1,2,3時間目に授業があったのですが、
その間の昼休みに会議があり、
昼食時間は10分足らず。
めまぐるしい日でした。

さて、
こんなブログがありました。
チュニジアにお住まいの方のようです。

http://juliocarlosafrica.blogspot.jp/2013/10/blog-post_180.html

チュニジアと言えば、
この2本が思い出されます。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/01/le-chant-des-mariees.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/satin-rouge.html

そしてフランスを舞台にした「チュニジア移民もの」なら、
とりあえずこんなのが思い出されます。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/01/la-faute-voltaire.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/la-graine-et-le-mulet.html

そしてこのLa graine et le mulet の、
アブドゥラティフ・ケシシュ(Abdellatif Kechiche)監督のティーチインが、
今度の日曜日にあります。

http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1310271630/

お天気が心配ですが。





2013年10月21日月曜日

水炊き

鶏の水炊き、は、
簡単でおいしい料理のひとつですね。
で、
今までもテキトーに作ってもおいしかったのですが、
ちょっとこれで作ってみました。

http://recipe.gnavi.co.jp/recipe/4076.html

Mmm、やっぱりとてもシンプルな作り方!
でも、みっちり灰汁を取ると、
かなり澄んだスープになり、
これを塩ポン酢で食べると……、おいしいです。
爽やかなうまみというか。

ちなみにわたしはキャベツではなく、
ねぎと水菜を使いました。
最後におじやも作れるので、
気に入りました!

『預言者』

月曜日、
今日見たのは、

『預言者』

です。

http://www.youtube.com/watch?v=MNVLVRfloLQ

日本では2012年に公開され、
それなりに話題になったようです。

フィルム・ノワール、ということになるのでしょうが、
ほぼ全編刑務所内の出来事であることが、
まず最初のユニークな点。
主人公マリクは19歳のアラブ系、
そして彼が入った刑務所では、
所内を牛耳るコルシカ系と、
アラブ系が対立しています。
このコルシカ系グループの存在もまた、新鮮でした。
そしてマリクの仲間となり、麻薬を売りさばくのは、ロマです。
(フィルム・ノワールでロマと言えば、
http://tomo-524.blogspot.jp/2013/06/les-lyonnais.html
です。)
そして最後、
6年の刑を終えて出所したマリクを迎えたのは、
彼の(死んだ)仲間の妻(レイラ・ベクティ)とこども、
そして今や「組織」にまでなった彼の手下たち……。

なにしろ刑務所内なので、
やや風通しは悪いですが、
見ごたえは十分だといえるでしょう。
長さ(150分)は気になりませんでした。
ただわたしにはもう一つ、
マリクの「哲学」がクリアにならなかったのですが、
制作側は、もともとそういうつもりなのかもしれません。
「哲学」ではなく、「臨機応変」なのだと。
ただそこが、フィルム・ノワールとして、
やや「ピンが甘い」気もしました。
エンディングに流れるMack the Knife も、
わたしには「?」な感じでした。

2013年10月20日日曜日

Intersections

雨、そして「寒い」と言いたくなる気温。
で、今日見たのは、

『インターセクション』

です。
リュック・ベッソン制作。
モロッコの砂漠の真ん中で、
新婚旅行中のニューヨーカーと、
その新婦の愛人と、
護送中のワルと、
赤ん坊を奪ってきたカップルと、
<修理屋>が出会い、
いろいろもつれ行く、という話。

http://www.youtube.com/watch?v=z2Rjpi9GYJE

この映画を見た理由はたった1つ。
ロシュディ・ゼムが出てるから、です。
(彼の出演映画を全部見たら、
なにかちょっといいかも、と思っているわけです。)
でもこの作品は、
あまり好きじゃありませんでした。
(ゼムは悪くないんですが。)
舞台が砂漠、という新鮮さだけで、
あとは、たしかに意外な展開ではあるんですが、
そもそもほとんど情報がない中なので、
意外も何も、展開を思い描くこと自体ができません。
そしてこれは、
アメリカ映画にありがちな、「女嫌い」な感じのする話。
後味の悪さは、多分そのせいでしょう。
わたしにとってはハズレでした。

(8割英語、あとはアラビア語とフランス語が1割ずつ。)

Omar m’a tuer


1991年当時、
とても大きな話題となったフレーズ、それは

 Omar m’a tuer

今回見たのは、
このフレーズがそのままタイトルとなった作品です。

http://www.youtube.com/watch?v=kJgaF1pPAG4

ある裕福な夫人が殺され、
その現場に、このフレーズが血で書かれていました。
彼女の家に出入りする庭師、おまーる・ラシッドが逮捕され、
結局7年服役することになりました。
が、
彼は一貫して無実を主張。
モロッコ出身の庭師は、フランス語の読み書きが苦手。
取り調べにもうまく対応できませんでした。
そして問題は、
このフレーズには文法的な誤りがあること。
ご婦人が書いたのなら、当然、

 Omar m’a tueée.

とならなければなりません。
でも、死の間際に、そんな性・数一致をする余裕はなかったとも考えられ……

監督はロシュディ・ゼム。
作品は、オマールが無実だという立場で作られています。
つまり、現代の「ドレフュス事件」だと。
その点については、わたしに判断できるはずもありませんが、
印象としては、ゼムの主張に分がある気もします。
ただ重要だと思われるのは、
今や人気俳優と言ってもゼムが、
あえてこの素材で作品を作ったこと。
当然ですが、彼は「アラブ人」としてのアイデンティティーを生きています。

映画として、特別すぐれているとは言えないかもしれません。
(十分いい作品ですが。)
でも、これを作っておくことは、まちがいなく価値があると思います。

上の画像は、2010年にパリに行ったとき、
メトロで見つけたものです。

2013年10月18日金曜日

体験講座

今日は生田キャンパスで、
「フランス体験❤講座」
の第1回がありました。

生徒さんたちは、みなさん落ち着いて聞いてくださり、
とても話しやすいクラスでした。
(Merci beaucoup !)
わたしにとっては最新のネタを交えながら、
90分、みっちりやらせていただきました。
YouTube も、Street View も、DVDも使えるので、
まあ一昔前とは、授業のスタイルもずいぶん変化しましたね。

そういえば最近、ある学生と、
『ジャック・メスリーヌ』の上下(けっこう長い)を、
全部見ました。(一気にではありませんが。)
で、
たとえばジャックの最後の隠れ家、
そして警察に撃たれる地点などを、
やはりStreet View で確認しながら見たのですが、
学生にとっては、新鮮な体験のようでした。
(こちらは、毎日そんなことばかりしているわけですが!)

2013年10月17日木曜日

イングロリアス・バスターズ

メラニー・ロラン繋がりで、
今日見たのは、

『イングロリアス・バスターズ』

http://www.youtube.com/watch?v=6ckc9r3ySyo

タランティーノ作品を見るのは、
ずいぶん久しぶりですが、
やはりその文体は健在ですね。

メラニーの役どころは、
フランスの田舎に暮らしているユダヤ人一家の娘。
けれど、ナチの魔の手が彼らに迫り、
生き残ったのは彼女だけ。
それが1941年のこと。

そして3年後の1944年、6月。
(つまり、ノルマンディー上陸作戦の頃ですね。)
メラニーはパリで、伯母から相続した映画館の館主。
ある偶然から、
彼女の映画館での、ナチ映画のプレミア興業が計画されます。
そこで彼女は思いつきます、
そのとき集まるナチの高官ごと、
映画館を燃やしてしまおうと。

一方アメリカでは、
ブラピ率いるユダヤ系アメリカ人による、
対ナチ秘密部隊が結成され、
フランスに送り込まれます。
そして彼らもまた、
このプレミア上映会の爆破を計画します……

エンターテイメントの「枠」として、
ナチ vs. ユダヤ人
を用いることの是非はともかく、
占領下のフランスの雰囲気の一端は、
たしかに味わえると思います。

メラニーは、
je vais bien ...
のほうが、よかったかな。

2013年10月16日水曜日

je vais bien ne t'en fais pas

今日の台風、午後は大丈夫かと思いきや、
結局終日休講となり、
家で見たのは、

je vais bien ne t'en fais pas

19歳のリリ、
彼女がスペインでの語学研修から戻ると、
双子の兄の姿がありません。
「出て行ったの、パパとひどい喧嘩をして」とママ。
でもリリは、あんなに仲良しだった兄がメールの返事さえくれないことに苦しみ、
食事がとれなくなります。
「このままでは、死んでしまいます」と(ちょっと単細胞そうな)医者。
そこに、兄から手紙が届きます。
それを見て、次第に元気を取り戻すリリ。
兄からの手紙は、フランスの各地から届きます。
そしてやがて、兄を探しに行く決心をするリリ……
(このあとアッという展開があるのですが、それはお楽しみということで。)

http://www.youtube.com/watch?v=O0FLwIp8FLo

主役のメラニー・ロランは、
ふつうな感じで、中性的で、きれい。
評判通りです。
フランスでは、「演技陣がいい」という評価ですが、
さもありなむ。

この映画でもう1つ印象に残るのは、
主題歌。
失踪した兄が作ったという設定の「リリ」という曲です。
演奏は、Aaron。

http://www.youtube.com/watch?v=j8g3S4Nm_1o

歌詞が、内容とぴったり。

ところでこのメラニーは、wiki どによれば、
パリ9区育ちのユダヤ人だそうです。
両親は、アシュケナジムとセファラッドで。
で、彼女の祖父は、収容所から生きて帰った人だとか。
9区と言えば、「カデ地区」あたりですね。

日本版は、『マイ・ファミリー 遠い絆』
監督は、『君を想って海をゆく』のフィリップ・ノワレです。

◆追記
この映画のテーマは、
親子関係、ということになるのでしょう。
失踪した兄と父、母、
その後、一人暮らしを始める娘と父、母、
「空き部屋が2つもあるのは耐えられない」と、
ブルターニュ移住を提案する父……。
現実的に考えれば、
この父母とは意見があいませんが、
彼らの「愛」はもちろんわかる。
そのあたりを、押し付けがましくなく描いているところが、
この映画の美点なんでしょう。

また、リリの友人に、6歳年上で、
「Bac +5」という高学歴で、
モザンビーク出身の女性がいます。
(学歴問題も、映画の背景にはっきりあります。)
リリと彼女は、Shopi というチェーン・スーパーでバイトをする仲間でもあります。
(Tout ce qui brille では、このスーパーで「イケテル」パーティーが開かれました。)
で、
このアフリカ出身の女性が故郷に帰ることなり、
閉店したスーパーの一角で、お別れの乾杯をあげるシーンがあります。
いろいろ意識の低い店長(白人、60歳台、肥満気味)は、
モザンビークとズールー人を同一視し、
白人優位主義的視点からしか話せません。
だから彼女は、「俺も招待してくれよ」という彼対して、
「それは無理。だってズールーは、太った白人を食べる習慣があるから」
と微笑むのです。





Formidable (ceci n'est pas une leçon)

台風です。
勤め先の生田キャンパスは、
明日の午前の授業、休講になりました。
(小テストも延期です!)

それはともかく。

これ、いいんじゃないでしょうか?

http://www.youtube.com/watch?v=S_xH7noaqTA

Amazon France のレヴュー、108件!

2013年10月14日月曜日

大学図書館

なるほど、魅力的なものもありますね。

http://newclassic.jp/archives/1811

明治大学の図書館も登場していますが、
わたしたちがふだん使う生田図書館ではありません。
(建て替え希望!)

Voisins, voisines

マリク・シバンヌという監督は、
名前からわかる通りマグレブ系で、
彼には「郊外3部作」があります。
その中で1番最近のものが、
2004年の

Voisins, voisines

http://www.youtube.com/watch?v=2FPPeFCNQ4E

( ↑ ほんとはもっとずっといい画質なんですが。)

舞台はサルセルのレジダン・モザール。
もとHLMだったのが、個人に売り出され、
そこにいろんな人が入居してきます。
で、
管理人は(「タクシー・シリーズ」のダメ刑事)フレデリック・ディーファンタル。
彼は、刑務所帰りでスペイン系、という設定です。
そしてそこに、なかなかインスピレーションが湧かないラッパーが絡み、
彼らの視点を通して、
このレジダンの住民が描かれるという、
いわばHLM版の「グランド・ホテル」形式です。
そこには、アラブ系も、アフリカ系も、ユダヤ人もいます。
特に何が起こるわけでもなく、
ただラッパーの彼に曲ができると、
それを録音する場面があるのですが、
その曲がどれもなかなか good。
CDがあれば、買いたいくらいでした。(ないのですが。)

そうそう、サルセルには、ユダヤ人が多いのでしたね。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/01/la-petite-jerusalem.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/02/la-petie-jerusalem.html



2013年10月13日日曜日

Hors-la-loi

爽やかな風が吹いた東京。
そして今日見たのは、

Hors-la-loi

です。

http://www.youtube.com/watch?v=Ara-YuepISo

これは「3兄弟の運命の物語」です。
メンバーは、

長兄:ムサウード(ロシュディ・ゼム)
次兄:アブデルカダール(サミ・ブアジラ)
末弟:サイード(ジャメル・ドゥブーズ)

そうです、彼らはアラブ系、
アルジェリア出身の3兄弟です。

映画の時間は、大枠としては、
大戦終戦(=フランスの勝利)から、アルジェリア独立の1962年まで。
この「終わり」から「始まり」までの間に、
インドシナ戦争も、アルジェリア独立戦争もありました。
それはフランスの戦った植民地戦争で、
「フランス帝国の繁栄のためには、植民地は不可欠だ」という思想のもと、
独立を願う人たちから、あまりに大量の血を流させることになりました。
彼らをギロチンにかけるとき、係員が読み上げる

「フランス共和国の名において」

という言葉は、象徴的でしょう。
またアルジェリア(フランスでも)では、
独立運動の方針を巡って、
FLNとMNAが激しく対立、多くの死者さえ出しました。
映画ではまた、ナンテールのビドンヴィルも登場します。

参考:http://tomo-524.blogspot.jp/2013/02/vivre-au-paradis.html

インドシナ戦争に従軍した長兄と、
独立運動に関わり懲役刑をくらった次兄は、
こうした時代に、
FLNの闘志として戦いました。
ただ末弟だけは、
ピガールで「出世」し、
大きなキャバレーを経営するまでに。
けれど彼も、結局この闘争に巻き込まれないでいることはできないのです。

映画のクライマックス近く、
1961年10月17日の、
あの事件が描かれます。
あの事件は、さまざまに取り上げられていますが、
印象深いのは、

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/10/blog-post_05.html

です。

そうそう、この映画の監督は、

http://tomo-524.blogspot.jp/2010/01/indigenes.html

を撮った人です。
もちろん、合わせて見ると、
より立体的になりますね。

2013年10月10日木曜日

小津安二郎監督「幻のドラマ」放送へ

どんなものなんでしょう?
興味が湧きます。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131010/k10015170161000.html

Gustave Caillebotte

10月10日、
今日から始まります。

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/caillebotte/

これは必ず行きます。

同僚の倉石さんが、カタログに文章を寄せているそうです。
(土曜講座にも登場。)
こちらも楽しみです。

2013年10月9日水曜日

キュラソー島から

今シーズン60本のHRを放ったバレンティン。
彼が「オランダ人」であることは、
学生たちも結構知っていますが、
さてあのルックスでなぜ「オランダ人」なのかとなると、
分かっている学生の数はぐっと減るようです。
彼は、オランダ領キュラソー島出身です。

キュラソー島は、アンティル諸島の中でもヴェネズエラに近く、
また、
オレンジ・キュラソーに使われるオレンジの産地としても知られています。
まあ、こんなカリブ海の島がオランダ領であるのを見ると、
世界史の教科書に書いてあった植民地戦争やさまざまな条約が、
今目の前でも展開していることに、あらためて驚きます。
(こういう例は、実際はいくらでもあるわけですが。)

バレンティン選手は、4つの言葉が使えるそうです。
オランダ語、英語、スペイン語、パピアメント語。
この最後のパピアメント語は、クレオール言語です。
彼は、審判に文句を言うときは、
このパピアメント語を使うそうです。

“The other (languages), sometimes,
they understand you and they throw you out of the game,” he said.

なるほどね。

He is 77 years young !

なんでこんな77歳がありえるの!? 
と思わず思ってしまう、バディ・ガイの雄姿。

http://www.youtube.com/watch?v=iACpdqmEsDE

そしてこの夏、彼の新譜(!)が出ました。
ちょっと怖いような……。
でも買って、
今日初めて聞いてみましたが、
これがスゴイ!!
1曲目から、音が「全開」状態で放出されています。
ガイのリズムって、体の芯が反応するんですよね。

恐れ入りました!

2013年10月7日月曜日

『浮雲』


今日は気分を変えて、日本映画を見てみました。
成瀬巳喜男の代表作と言われている

『浮雲』

です。
わたしは初めて見ます。

これを選んだ理由は1つ。
主人公たちが、フランス領インドシナ帰りだ、ということです。
そこに、日本軍も展開していたわけですね。

話は、とてつもなく女にだらしない男がいて、
日本に奥さんがいるのに、
仏印で若い高峰秀子と関係を持ち、
引き揚げたら妻と別れるから一緒になろう、と言いつつ、
いざ終戦になって引き揚げてみれば、
妻とは別れられない、という宣言。
でも、なんだかんだでよりを戻し、
今度は一緒に出かけた伊香保温泉で、
男はまた女(岡田茉利子)をつくり、
高峰を捨てて岡田と暮らし始めます。
でも、東京まで追いかけてきた岡田の夫が、彼女を刺殺。
で、また男と高峰はくっつきます。
でまた別れ、奥さんが死に、またくっつき……

ふつうなら、だからなんだ、と言いたくなるような映画なのですが、
たしかに作品としての魅力は相当あります。
戦後の街並み、女優二人の美貌、丁寧に作られたセット。

でも個人的には、その「男」を演じた森雅之(有島武郎の息子)が、
あまり魅力的に感じられませんでした。
もちろん、時代が違うわけですが、それにしても。

やっぱり、映画は時代を映しますね。

2013年10月6日日曜日

La très très grande entreprise

久しぶりに太陽を見た気がする日曜日、

La très très grande entreprise

という映画を見てみました。

http://www.youtube.com/watch?v=kvQZXau-RpQ

環境破壊より金儲け、という巨大企業ナテリス。
その企業のせいで廃業に追い込まれたカキ養殖業者や花屋らが、
わずかな賠償金しか取れなかった訴訟に満足せず、
でも裁判続行には新たな証拠が必要なので、
その企業にもぐりこみ、なんとか秘密を探り出そう、という話です。
見どころは、そのもぐりこみ方。
ガードマン、料理人、掃除婦。
それが彼ら3人の選んだ方法です。

全体としてはエンターテイメントで、
本当は重大な話なんですが、
よどむところなく流れてゆきます。
会話もぴりっとしていて、
感じのいい娯楽映画という感じでしょうか。

これを選んだ1つの理由は、
その大会社がデファンスにある、という点でした。が、
その場所の特性は、あまり感じませんでした。

印象に残ったセリフ。
アラブ系であるザック(ロシュディ・ゼム)が、
新たな証拠集めを開始するとき、
「イスラエル方式」で行こう、と言い、さらにまた、
彼が仲間を隠そうそして、やや強く押し過ぎてしまう場面があります。

「ごめん」
「いつもこうなのかい?」
「おれのおやじが、おそろしく乱暴者で、
おれも決めたんだよ、
イスラエル方式で生きていこうって。
アラブ人であることを除いては、ってことだけど」

実はLa Folle Histoire d'amour de Simon Eskenazy にも、
それにやや近い感じのセリフがありました。
あるユダヤ人男性が、女装したアンジェラ(アラブ系)に気があって、
なんとかデートに誘いたいと思うのですが、
それをシモンが「やめとめ」という場面です。

「彼女はな、おまえの顔を見ると、
ガザに入っていた時のイスラエル兵を思い出すって言ってたぞ」

もちろん嘘なのですが、
まあ言い回しとして、日本では出会わないものですね。

そしてマリ・ジランという女優さん。
今までに何度か見たことがありますが、
今回が1番よかったかも。

書こうと思いつつ1週間経ってしまいましたが、
先週の日曜朝の「サンデーモーニング」に、
アーサー・ビナードさんが出演されていました。
ユーモアがあり、切れ味もあり。
で、
途中彼が、プロ野球の「外国人選手枠」に絡めて、
「そういう枠は、テレビにもあるって、妻が言ってました!」
と軽いギャグを挟んだのですが、
彼の奥様って、木坂涼さんです。
彼のセリフを聞いた瞬間に、
そう言っている木坂さんの、楽しげな顔が浮かびました。
今度は木坂さんにも登場して欲しい!

2013年10月3日木曜日

La Folle Histoire d'amour de Simon Eskenazy (再)

先日見て、ここにも書いた

La Folle Histoire d'amour de Simon Eskenazy

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/09/la-folle-histoire-damour-de-simon.html

もう1度見てみました。

この映画は、ユダヤ人の世界が「枠」となっています。
(それを包むものとしてシャトー・ルージュがあり、パリがあります。)
主人公シモンも、元妻も、元妻の再婚相手も、
彼らみんなの親たちも、ユダヤ人です。
シモンのところに転がり込む母親は、
「アウシュヴィッツ・クラブ」に入っていて、
シモンの(アンジェラが現れる以前の)恋人ラファエルが、
悲劇について研究している哲学の先生だと判明すると、
「悲劇のことならすべて知ってるわよ」と言いもします。

で、そこに一人だけ異質な人がいます、アンジェラです。
ただしアンジェラというのは、女装しているときの名前で、
男の風貌の時は、ナイムです。
もちろん、それが同一人物であることは見てわかるのですが、
映画内の人物たちは、アンジェラが女装した男だとは気づきません。

主人公は、やや優柔不断で、ややわがままで、やや器量が小さい感じ。
ただだからこそ、終わり近く、
アンジェラに告白する場面は、
よくがんばったね、という印象が生まれます。

Simon      J'aime Angela et Naïm aussi, je l'aime.
Angela     Tu l'aimes ?
Simon      Je t'aime.

1人の中に2人いるから、こんな会話になるんですね。

それからシモンの息子のヤンケレ。
このアメリカナイズされた、でもフランス語も話せる子供は、
明らかに親とは違う世代に属していて、
今後世代間問題が発生するのは確実、という印象を与えます。
また、シモンとラファエルが見ていたテレビでは、
ジャンケレヴィッチの声が聞こえてきます。
この辺も、ユダヤ世界を強く印象付けます。

しかしなぜ、舞台をあえてシャトー・ルージュにしたのでしょうか。
それははっきりわかりませんが、
そこに暮らす人とユダヤ人との間に、
マイノリティー、という共通点があるのは、
間違いないでしょう。
もしも舞台が16区だったら、ずいぶん違う映画になっていたでしょう。
アラブであるアンジェラが現れるためには、
16区は不自然だし。

やっぱり、なかなかおもしろい映画でした。

2013年10月2日水曜日

雑談

大学が始まって2週間、
今日は仏検を受けたいという学生が相談にきたりして、
それなりに賑わっています。
大学という場所、わたしは嫌いじゃないです。

今日の雑談では、
「半沢直樹」と「忠臣蔵」が、2つのレベル、
つまり、
主役が「社畜」的であり、
テーマが仇討であるという点で、
似ているのではないか、という話。
そしてそれにつなげて、
例の建築学科の学生が制作したというゲームが、
ロボットを戦わせる人間、という設定だというのですが、
そして人間はロボットに友情を感じるというのですが、
人間の命令に従うしかないロボットはやはり「社畜」的であり、
だとすると、
「友情」は人間の側からの幻想だ、
という話になりました。
(フランス語の授業ですけど!)