2014年2月9日日曜日

ある雪の朝の会話

ゲーテがね、
はい、
もっと光をって言ったっていう話あるだろ。
あれは、近くにきれいな女の子がいて、
その子がよく見えないから、
もっと光を! って言ったってことらしいいんだ。
あらら、そんなことだったんですか。
どうもね。
でもまあ、川端だって、
晩年、踊り子たちを見にキャバレーに通ったって言うし。
そうそう。
バルザックも……
あれは精力の塊だったしな。
やっぱり、たくさん仕事する人たちって、
肉食系なんですかね?
じゃ、村上春樹は? 
彼は草食系?
すごい肉食ってわけじゃないわな。
やっぱり、売れる人って、
時代の空気と合ってるんですね。
そうりゃそうだろ。
しかも、合わせるんじゃない、合っちゃうんだ。
それくらいじゃないと。
あのモーツァルトでさえ、
19世紀には人気がなかったていうだろ。
あのイケイケの時代には。
資本主義も。
帝国主義も。
で第二次大戦では、ワグナーが呼び出されて。
そういうこともあるな。

英語圏の研究者が、
たとえばフランス映画を語る場合でも、
やっぱり、このポスト・コロニアルな時代においては、
という感じの議論がまず基本にあるようなんですけど。
ドイツなんかは、そうでもない。
ドイツには、ポス・コロ的問題はあんまりない。
植民地競争には、
ずいぶんあとからさんかしたわけだし。
トルコ系移民は?
それは多少は、ポス・コロ的ではあるだろうけど、
たとえばアルジェリアみたいな旧植民地からの移民、
とはちがうわな。
たしかに。
でフランスでは、ポス・コロ的視点からの思考って、
アメリカほど熱心じゃないというか。
そりゃ、自分たちの過去の清算ていう問題に帰ってくるからな。

ドイツでは、ポス・コロがそれほどでもないなら、
そこはやっぱり?
そう、ナチ問題な。こっちのほうがはるかに大きいよ。
ですね。
たとえば、わたしB型なんで……、とか言う人もいるけど、
こうした言い方は、ドイツじゃあんまり歓迎されない。
それは?
この血液型=性格、みたいなのは、
ナチの考え方に通じるからさ。
ああ、たしかに。
北米でも、
自分じゃどうしようもないことは問題にしない、
みたいなのがあるって聞きました。
そこには血液型も入るわけですね。
そういうことだな。