2014年5月26日月曜日

農耕民族は武器がお好き

松木武彦さんの文章を読んでいたら、
オオ、と思う個所がありました。
そちらの方面では、
おそらくもう常識なのでしょう。
ただわたしは、知りませんでした。

「日本文化は農耕に根差し、
だからこそ協調的で、<和>を重んじるのだ。
狩猟民族である欧米人とは、そこが違う」
という見方、聞いたことがありますね。
でも松木さんによれば、
二重に間違っている、ということになります。

まずそもそも人間は、
「ヒト」になって以来、
何十万年も狩猟民族だった。
その後氷河期が終わった15000年前ごろから、
気候が植物に有利になり、
やがてぼつぼつ農耕が行われ始める。
ヨーロッパでは、ギリシャあたりで8000年前に農耕が始まり、
遅くとも6000年前にはブリテン島まで広がっていた、
しかし、
日本列島で雑穀栽培が始まったのが4500年前ごろ、
本格的な農耕が始まったのが、早くても3000年前。
そして列島の広い範囲で農耕が現れたのは、
せいぜい2千数百年前、
なのだそうです。
となると、農耕民族としての歴史は、
欧米のほうがはるかに古く、
「日本=農耕民族、欧米=狩猟民族」
という認識が、
まず間違っていることになります。

そして次に指摘すべき事実は、
狩猟社会よりも農耕社会において、
対人用の武器や戦争がより発達する、ということ。
狩猟社会は、
支配と被支配に基づく国家や都市社会に発展した例はない、
のだそうです。
つまり、武器や戦争、そして国家や都市は、
つねに農耕社会から生まれてくる……

そうだったんですね。