2015年9月30日水曜日

優しくないフランス

難民に「優しくない」と不人気の国、フランス。

http://www.afpbb.com/articles/-/3061780

この、悪名高いフランスの「お役所仕事」。
でもこれは、実際のところ、
ある種の拒絶を意味しているんでしょう。
あえて言えば、わざとそうしている、ということです。

このへんのことを、
フランスの「国民性」とする見方もありますが、
(「国民性」なんて、なにも言っていないのと同じですが)
そう言いたくなる気持ちはわかります。
「外国人嫌い」が、無意識の中にあるというか。
人権団体などは、なんども告発してきました。

http://www.lemonde.fr/immigration-et-diversite/article/2015/07/20/droit-des-etrangers-le-projet-de-loi-enfin-devant-l-assemblee-nationale_4690863_1654200.html?utm_campaign=Echobox&utm_medium=Social&utm_source=Facebook


ただ、日本の首相はどうかと言えば、
難民問題について、
こんな答えでした。

ロイター記者「シリア難民受け入れの可能性は?」
総理「難民受け入れは、国際的協力のもとに取り組むべきだ。
ただ、人口問題として申し上げれば、
我々は移民を受け入れる前にやるべきことがある。
それは女性や高齢者の活躍であり、
出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手がある。」

http://www.reuters.com/article/2015/09/29/us-un-assembly-japan-syria-idUSKCN0RT2WK20150929

こんな見出しになっちゃうんですね……。
でもたしかに、
今目の前のシリア難民の問題に対して、
「(日本の)出生率を上げていく云々」という答弁は、
問題の核心から随分遠い返答だと感じられます。

2015年9月29日火曜日

リバティー生田・第1回


今日は、
リバティー・アカデミー(秋期)の、
第1回目の授業でした。
生徒さんたちがサンパなので、
教室全体もなごやかで、
わたしも楽しかったです。
(通常の大学の授業も、
こんなに感じになってくれれば!)

テキストは、今春刊行された、
Dis-moi tout !
を、初めて使いました。
(レナさんや、編集のM さんとの間では、
メールなどで書名を書くときには、
DMT
と略しています。)
まだほんのちょっとですが、
でも、このクラスには、
この会話中心のテキストは、合っている気がします。
来週からが楽しみです!

2015年9月28日月曜日

明後日です

https://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=10121

渋谷の、文化村のほうですね。

御茶ノ水

今日は白水社で打ち合わせ。
で、御茶ノ水まで。

御茶ノ水駅から白水社まで、
歩いて10分弱ですが、
行き方は3通り。
御茶ノ水橋口を出て、
楽器店街を眺めながら、
またわれらが明治大学の威容を仰ぎながら行くか、
聖橋口から出て、
ニコライ堂をかすめてゆくか、
あるいは、日大の脇をすり抜けてゆくか。

時間的には、どれも変わりませんが、
あえて言えば、第3の行き方が早いかも。
でも、やっぱり、
御茶ノ水と言えば、
楽器店を眺めないと、
来た気がしません。
で、第1のルートを使うわけです。
特に、今日のような晴れの日には。

ランチ、ここで食べました。

http://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13011652/

落ち着いた雰囲気で、
おいしかったです。

「フランス週間2015」

おもしろそうな企画が、
いくつもありますね。

http://www.kanagawa-u.ac.jp/event/details_12868.html

2015年9月26日土曜日

VW と EU


今日は一日、
ゲラだのなんだの、
ずっと仕事をしていました。
で、
暗くなってからちょっと散歩に出たのですが、
ビミョーに暑いんですね、湿気があって。
それでも、少し歩くと気持ちはいいです。
  
       ◆

VW のニュース、気になっています。
クルマが大好き、
というほどではありませんが、
通勤にも使うし、
日常的に使うモノなので。

今回の詐欺的事案は、
腹立たしいというのもありますが、
ガッカリというところもあります。
VW に限らず、今後まだ、
予想外の事実が出てきそうだし。

そして今日は、
ガーディアンから火がついたこのニュース。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150925-00000024-jij_afp-bus_all

ドイツ、フランス、イギリス。
事実だとすれば、もちろん偽善ですが、
国家や企業の二枚舌は、
昨日今日始まったわけじゃなし。
(でも、やっぱりガッカリしちゃうというのは、
どこかで、期待してるからなんでしょうか。)

2015年9月25日金曜日

『第9地区』


気分転換に、なんていうと、
制作者には失礼ですが、
実際そんな感じで見たのが、

『第9地区』

です。

https://www.youtube.com/watch?v=tWa8hHujYOw

数年前に評判になったSF映画ですが、
舞台がヨハネスブルグであり、
そこにエイリアンたちが隔離され、
やがてスラム化する、というストーリーは、
まあどう考えてもアパルトヘイトを下敷きにしているでしょうから、
もしかしたら……

これはなかなか痛快な、
そして疾走感のある、
エンターテイメント映画でした。
社会的な背景との対応は、
ほとんどないと感じました。
(ただスラムの風景だけは、どうしても、
ソウェトを思わせますが。
監督は、アパルトヘイト時代の南アに生まれた白人で、
アパルトヘイトが廃止される時代にも、
立ち会っているはずです。)
またちょっと、『地球に落ちてきた男』を思わせるところもあり。

続編の噂があるようですが、
たしかに見たいです。
(ひとつ、ナイジェリア人の描き方だけは、
大いに問題があると思います。)

2015年9月23日水曜日

2015年9月22日火曜日

『わたしの木下杢太郎』


身内の話が続いて恐縮なんですが……

わたしの母親(岩阪惠子)の新刊、

『わたしの木下杢太郎』(講談社)

が発売されました。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%8F%E3%81%9F%E3%81%97%E3%81%AE%E6%9C%A8%E4%B8%8B%E6%9D%A2%E5%A4%AA%E9%83%8E-%E5%B2%A9%E9%98%AA-%E6%81%B5%E5%AD%90/dp/4062195305/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1442851533&sr=8-1&keywords=%E6%9C%A8%E4%B8%8B%E6%9D%A2%E5%A4%AA%E9%83%8E

木下杢太郎(きのした・もくたろう)は、
1885年(明治18年)に生まれ、
1945年の、敗戦から2か月後に亡くなった詩人です。
ただ彼は、詩を書き、絵を描く一方で、
東大医学部教授として、細菌学の研究にも没頭しました。

この本では、
芸術と科学という2つの極が、
彼の中でどんなふうに通じ合っていたのか、
彼が追い求めた「美」は、
この両極とどんな関係にあったのか、などが、
丹念に、そして愛をもって語られてゆきます。

杢太郎というと、
「パンの会」を思い出し、
北原白秋を思い出し、
さらには、
(『東京詩』の中でも触れたのですが)
吉本さんが「佃渡しで」を書いたとき、
「木下杢太郎」や「パンの会」や「明治の大川端趣味」を背負った
「この風景にとどめを刺してやる」つもりだった、
などということが思い出されますが、
この本を読むと、
杢太郎という人は、
とても「ああ、江戸情緒ね」などといって片づけられない人であることが、
よくわかりました。

東京を愛した彼は、
パリに行った折には、
「なんと云っても巴里の菓子はうまい」と書き、
さらにはパリを、
自分の「愛人」にたとえさえします。
杢太郎が潔癖症だったことを考えると、
この比喩にはちょっとどきりとしました。

身内の本を褒めるのもなんですが、
これはとてもいい本だと思いました。
読みやすい文章で、
その時代を生きた一人の人間の姿が、影が、
目の前に立ち上るようでした。

2015年9月20日日曜日

防衛装備庁

防衛装備庁、10月1日設置。

「装備の購入から廃棄まで」

http://mainichi.jp/select/news/20150916k0000m010017000c.html

2015年9月19日土曜日

池袋より<フタタビ>愛をこめて


国会中継にかじりつき、
歯ぎしりしていた夜が過ぎ……
来年の夏まで忘れません。

さて、今月28日(の週)からは、

「まいにちフランス語応用編
池袋より愛をこめて」

の再放送が始まります。
テキストも、昨日発売になりました。

http://www.amazon.co.jp/NHK%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA-%E3%81%BE%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A1%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E-2015%E5%B9%B4-10-%E6%9C%88%E5%8F%B7/dp/B013GW9YXM/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1442666848&sr=8-1&keywords=%E3%81%BE%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A1%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E

もちろん、CD も出ています。

どうぞよろしくお願いします!

満員御礼


文化の日に予定されている、
池袋ジュンク堂でのイベント、

http://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=10125

おかげさまで、定員に達したようです。
お申込みいただいたみなさま、ありがとうございました。

それにしても堀江さん、
さすがに人気ですね。

2015年9月18日金曜日

<井手健介と母船>

身内の話で恐縮ですが……

新宿のタワーレコードで、
今日の19時から、こんなイベントが。

http://p-vine.jp/schedules/94108

実は、わたしの弟もこのバンドのメンバーで、
今日のライブにも登場します。
観覧はフリーだそうです。

PV は;

https://www.youtube.com/watch?v=e-PTvtZCflE

向かって左端が、弟です。

『パリ移民映画』などの装丁もしてくれる、
デザインもできるギタリストです。
がんばれ!

*23日には、荻窪ルミネ「あおぞら文化祭」にも登場します。

https://www.lumine.ne.jp/ogikubo/topics/topics_details.html?article_no=2212

2015年9月16日水曜日

「移民」か「難民」か


たしかに、

「適切な言葉を選ぶ作業は言語学的、倫理的な地雷原になりうる」

なのは間違いないでしょう。
だからこそ、難しい問題。

http://www.afpbb.com/articles/-/3060278?pid=0

tribe を、

「部族」「民族」「~人」

のどれで訳すかも、
これに似た問題なのでしょう。
わたしは「部族」は使いません。

「戦争史観を越えて」


昨日の東京新聞の夕刊に、
入江昭氏による、
「戦争史観を越えて」
というエッセイが掲載されていました。

その文章で(批判的に)触れられている本が、これです;

1937-1947 : la guerre-monde (Tome 1&2)      Poche – 24 avril 2015

1939-45 ではなく、
1937-47 という設定が、
(つまり、フランコやヒトラーの台頭から、
戦勝国の分裂による冷戦の開始までを一括りにする視点が)
この本のウリなのでしょうが、
入江氏は、そうした見方そのものが、
「戦争史観」だと指摘します。
戦争を中心にした時代区分、歴史解釈を、
そう呼ぶようです。
そして今、歴史学では、
大国中心、戦争中心主義を避けようというのが、
大きな潮流なんだそうです。
できるだけ、
地球全体、国家を離れた動きをとらえることが、重要だと。
まあ、近代国家なんてものは、
人類の歴史上、
ごく一時期しか使われていないシステムですからね。

そしてこのエッセイの結論部分には、

「国家ではなく世界、
政治支配ではなく経済的な流れ、
欧米中心ではなく
人類の多様性、混合性の尊重などが、
現在の世界を形成している」

と書かれています。
「混合」性。
わたしなら、bâtard と訳したいところです。

********************************

『戦争より愛のカンケイ』より

映画の、ちょうど真ん中あたりの、Arthur と Bahia の会話です;

Attends, t'es juif, je suis arabe
et en plus on a plein de morts à cause des flics français.
C'est trop la classe.
À nous deux, on est la France, tu comprends.
Nos familles, c'est une partie de l'histoire qui fait l'amour à l'autre.
Je crois que ça me donne envie de pleurer, là.

Je suis pas juif, OK ?
Je crois pas en Dieu, j'ai jamais mis les pieds dans une synagogue,
je me fous d'Israël.
Je m'appelle Arthur Martin.

T'as honte, c'est tout.

Mais non.
T'es musulmane, toi ?

Non...
Mais juif, c'est pas pareil.

Mais si, c'est pareil.
On est des bâtards, des gens qui savent pas vraiment qui ils sont, d'où ils viennent.
Mais c'est très bien comme ça.

D'accord, on est des bâtards.
Mais on est des millions, bâtards.
Il faut qu'on couche ensemble pour en faire plus.
Parce que le jour où il y aura plus que des bâtards sur terre, la paix reviendra.
 Les bâtards, c'est l'avenir de l'humanité.

Humm... On appelle ça la vitalité hybride.

cf. 『パリ移民映画』 p.276

『東京自叙伝』


去年の暮れ、
年末恒例の「今年の〇冊」的な特集で、
これでもかというくらい名前の挙がっていたこの本、
『東京自叙伝』、
遅ればせながら読んでみました。

この作家の作品は、
垂直に(自己省察的に)入り込む瞬間ももちろんあるのですが、
横に(語り的に)どんどん滑ってゆく、
そのスピードと雪崩感が快感です。
今、ネットで読める書評をいくつか見たのですが、いわく、
近代日本の「歴史」の仮構性を逆手に取り……
というのはもちろんその通りだと思いますが、
タイトルを見れば一目瞭然、
これはやはり、何をおいても、東京の物語です。

たとえばパリのことをアアでもないコウでもないと調べていて、
ふと、
それにしても、「パリ」は、
時間の中にしかないのだなあ、と思うことがありますが、
この小説は、
そうした感じと通じ合うところがあるように思いました。
また、これは『東京詩』でも触れたのですが、
詩的な想像力が都市と向き合うとき、
そこでは(どうもほとんど必然的に)
太古の記憶が呼び出されるように思います。
この小説も、そうした想像力が根底にあると感じました。

小説というメディアでしか達成できない絢爛たる世界。
評判通りの傑作でした。

2015年9月14日月曜日

アンリⅡ世、ゴール!


つい先日フランス代表に初選出された、
アントニー・マルシアル、19歳。
とんでもない金額でマンUに移籍し、
まだ若いしなあ、試合に出るのはまだかな……
と思っていたら、
リバプール戦の後半途中から登場してきて、そして……
鮮やかなゴールを決めてくれました。
さすが、アンリⅡ世!

今後、ルーニーが怪我から戻ってきたら、
二人でツートップになるんでしょうか?
見たい!

(この試合、
コンゴ代表ベンテケのオーヴァーヘッド、
あまりにすごくて、思わず声が出ました。
それにしても、その後のスタンドの静まり返り方、
ハンパなかったです。
まさに、シーン、という感じ。)

Kabuki


昨日は、
年に一度のお楽しみ、
銀座の歌舞伎座にて、
『先代萩』を見てきました。

見どころはいろいろあるのでしょうけど、
やはり、玉三郎の政岡が一番なのでしょう。
ただ今回、素人なりに印象に残ったのは、
沖の井を演じた尾上菊之助でした。
なんというか、スケールが大きいし、
声も深みがあって魅力的でした。
この菊之助、
すでに別の機会に、政岡を演じたこともあるようで、
Mmm、それも見たかったです。

2015年9月12日土曜日

ハート

有名なようなんですが、
わたしは初めて知りました。
式で表せるんですね。



2015年9月11日金曜日

ディン・Q・レ展 × 東京ニッチ


今日は、ギロッポンの森美術館まで、
これを見に行ってきました。

http://www.mori.art.museum/contents/dinh_q_le/index.html

↑ 上のほうの、「見どころ・作品紹介」をクリック、SVP。

いや、とてもおもしろかったです。
おもしろいし、わかりやすい。
わかりやすいけど、浅くはない。
ちょっと奇抜だけど、受け狙いじゃない。
真摯さ、誠実さがある……

まだ、前売り券が買えます。
会場では、音声ガイドが無料で借りられます。
ビデオ作品が複数ありますので、
時間の余裕があるときのほうがいいと思います。
(さらにできるなら、
『地獄の黙示録』を、
さらにさらにできるなら、
『プラトーン』を、
見ておくと、よりいいと思われます。)

「バリケード」という作品は、
音楽(フランス語のラップ)を含んでいるんですが、
その曲は、これです。

https://www.youtube.com/watch?v=C94ymt6UUok

ぜひ。


そしてギロッポンと言えば、
今、これも見られます。
同僚の倉石さんが紹介している、こちら;

http://fiatmodes.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html

図録の解説を倉石さんが書いてらっしゃるわけですが、
会場には見本があるので、
じっくり読むことができました。
「東京」を撮るって、いろんな接近方法があるんですね。

こちらは無料です。
ぜひ、セットで。

(ちなみにランチは、
ヒルズB1 のアジアングリーンという店で食べたんですが、
天気が良かったので、
テラス席はとても爽やかでした。
B1 なのにテラス、っていうのが、
デザインの妙、と言えるんでしょうか?)

「武器輸出推進を」 by 経団連



今日の朝日新聞から。

最初読んだときは驚きましたが、
ちょっと落ち着いて考えると、
こういう意見がここから出てくるのは、
予想できたことですね。


2015年9月10日木曜日

3兆本

retweet です。

*****************

調査の結果、地球の樹木は3兆本で、
推定より7倍多かったそうです。
毎年150億本伐採。
文明史以降ほぼ半減。
今朝の『ネイチャー』誌より→
(ちなみに日本の国土森林率68%は世界でもダントツ。
参考:カナダ34%、ロシア49%、ブラジル57%)

******************

https://twitter.com/yuji_ikegaya

彼の本、何冊か読みましたが、
みんなおもしろかったです。


2015年9月9日水曜日

理想社会

ある政治的集団があるとします。
彼らは、彼らが目指す理想社会について、
言葉で語るでしょう。
でも、
その言葉の内容より、
その集団のあり方、体質、こそが、
彼らの本質を、より雄弁に語っているでしょう。
彼らがもし政治的権力を握ったなら、
社会は、
その組織に似たものになっていくのでしょう。

     ◆

沖縄タイムスから

<翁長知事 「70年間、すれ違いですね」
辺野古協議終え一問一答>

https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=131923

ちょっと長いですが、
分かりやすいです。

2015年9月8日火曜日

ムサ・マースクリ

何度も何度も見かけていて、
顔ははっきりわかるのに、
なかなか名前が覚えられない俳優がいます。
わたしにとってその筆頭が、彼、


ムサ・マースクリ(Moussa Maaskri)です。
今 wiki を見たところ、
2010年以降だけでも、21本(!)も出演しています。
そりゃしょっちゅう見るわけです。
(わたしの知る限り、たいていはギャング ou 刑事ですが。
つい先日見た『バレッツ』にも、
ジャン・レノの手下として登場していました。
そこでは、アラブ系一家の父親でもありました。)
しかもその風貌は、かなり個性的。
1962年生まれの彼は、
5歳の時、
すでに渡仏していた父の待つマルセイユへ、
家族とともに移民したようです。

ここで書いて、ついに覚える魂胆です!

Anne Lalanne

国民戦線の党首、マリーヌ・ル・ペンは、
フランスの移民・難民の受け入れには反対してきましたし、
その主張は今も変わっていません。
それを指示する人たちも、
一定数いるわけです。

このマリーヌ、
Anne Lalanne という偽名を使って、
「政治的正しさ」とは無縁の tweet をしていたことが、
すっぱ抜かれています。

http://www.lemonde.fr/politique/article/2015/09/04/le-compte-twitter-cache-de-marine-le-pen_4745604_823448.html?xtmc=anne_lalanne&xtcr=2

Anne は彼女のミドル・ネームで、
Lalanne は母親の旧姓だとか。
しかもまずかったのは、
最初否定したのに、
結局ばれちゃった点でしょうか。

Soyons humains !

フランスでの、
移民受け入れを求めるデモ。

http://www.20minutes.fr/societe/1680211-20150905-migrants-plusieurs-milliers-personnes-rassemblees-paris-soutien-refugies

レピュブリック広場ですね。
ある女性の言うとおり、
«En tout cas, on peut pas fermer les yeux sur ça.»
です。

«Pas en notre nom».
(わたしたちの名においては(移民拒否は)だめだ)
«Ouvrez les frontières !»
«Droit d'asile pour toute personne persécutée»
«L'accueil pour moi c'est oui»

«Voisins meurent à nos portes. Soyons humains !»

https://www.youtube.com/watch?v=5Fu2B7ijj8Y


2015年9月6日日曜日

femmes du Caire


この前の旅行中、
パリからロンドンに移動する際は、
ユーロスターを利用したわけですが、
その往き道、
隣に座ったのは、エジプト人女性でした。
40代半ばほどの、とても感じのいい女性で、
ヨーロッパ旅行の途中だということでした。
御嬢さんは大学3年で、
一緒にカイロで暮らしているけれど、
「今回の旅行はわたし一人で。」

彼女は、タイなどアジアにも、
アメリカにも行ったことがあるそうで、
わたしたちは英語で話したのですが、
エジプトでは、小学校の低学年から、
英語の勉強が始まる、
でもそれだけでは足りないので、
自分は大学で勉強し直した、とも言っていました。

で、今日見た映画は、

femmes du Caire  (『カイロの女たち』)

です。
2時間17分という長めのフィルムで、
見ていると、時間の扱いが、
テレビ・ドラマ的だ感じることがありました。
となると当然、長くなりますね。
でも、飽きることなく見られました。

https://www.youtube.com/watch?v=fP6H3Xyw9FM

話しの骨格を作るのは、
カイロのテレビ局に勤めるカップル。
敏腕プロデューサーの夫と、人気キャスターの妻です。
人もうらやむ、という感じのステキなマンションに住み、
食事は、海沿いのしゃれたレストランです。

話しが動き始めるのは、
大きな昇進をもくろんでいる夫が、
その人事に関わる上司から、
「君の奥さんの番組、政治的過ぎないか?」
と言われ、
妻のHebbaに頼んで、
彼女の番組をもっと「三面記事」的なものに変えてもらうあたりから。

そこでHebba は、カイロで暮らす女性たちを取材し、
とりわけ彼女たちの恋愛事情に焦点を当てます。
けれども、その結果あぶりだされてくるのは、
社会に、男たちに虐げられる女性たちの苦しみでした。
(映画では、こうした女性たちの物語が、
再現ドラマ(?)のようにきっちり描かれます。)
そして……
これは結局、まぎれもなく政治的な話題となり、
それゆえ、Hebbaの夫の昇進は取り消しとなり、
夫は妻にひどい暴力を加えます。

そしてエンディング、
青あざのできた顔で画面に登場したHebba は、
「今日はわたしの物語を聞いてください」
と語り始めるのです……

集められたエピソードは、
どれも、男性優位社会が生む汚れた歪みです。
もちろん日本社会も、
完全に男女平等だとはとうてい言えませんが、
エジプトもまた、まだまだのようです。
これが、今日の姿だというのですから。

2015年9月5日土曜日

L'ATTENTAT そしてkamikaze


2012年に発表された、
フランス=ベルギー=カタール=エジプト映画、

L'ATTENTAT (テロ)

は、緊迫感のある、「衝撃の」ストーリーでした。
(原作は2005年の同名小説)

予告:https://www.youtube.com/watch?v=LsR2Ni2yqtA

全篇:https://www.youtube.com/watch?v=PHyiQYwCTco

イスラエルは、もちろんユダヤ人国家として知られているわけですが、
実際には、その20%ほどはアラブ系(パレスチナ人)です。
ただ彼らは、さまざまな社会的・制度的制約を受け、
なかなか社会進出を果たすことができません。
それでも中には、少数ながら、
イスラエル社会に同化し、
社会的ポジションを獲得する人もいます。

この映画の主人公アミンもそんな一人で、
彼は有名外科医として、
妻とともに、
テル・アヴィヴで暮らしています。

ある日、勤務先の病院近くでテロが起きます。
次々と運ばれてくる犠牲者たち。
そこには、多くの子供たちが含まれています。
命を落とす者たちもいます。

その後帰宅したアミンですが、
そこには、すでに帰宅しているはずの妻の姿がありません。
そして夜中、
アミンは病院から緊急の呼び出しを受けます。
行ってみると、なんとも奇妙な雰囲気です。
刑事が現れ、彼に言うのです、
死亡した女性が奥さんであるかどうか、
確認して欲しいと。
それは、たしかにアミンの妻でした。
しかも、彼女の下半身は失われ、
首は黒焦げです。
刑事は言います、
自爆テロを起こした人に特徴的な損傷です、
奥さんは、自爆テロ犯です……

アミンは信じられません。
15年の結婚生活の中で、
妻のそんなそぶりは、一度も感じた事さえなかったからです。
そもそも妻は、キリスト教徒なのです。

テロリストの仲間であることを疑われたアミンは、
警察にとらえられ、厳しい尋問を受けます。
それでもアミンは、それが妻の犯行だとは、
どうしても信じられません。

やがて、釈放。
アミンは、事件前の妻の行動を調べ始めます。
そして、わかってしまうのです、
テロ犯は、やはり彼の妻だったのです……

その後彼は、
妻にこれをさせた組織との接触を求め、
パレスチナ自治区のナーブルスに入ります。
観客たちは、テル・アヴィヴとは違う、
パレスチナ内部の雰囲気を味わうことになります。
もちろん、テロは許容できません。
けれど、ナーブルスのアラブ人たちが示す論理にも、
一定の理路はあるのです。
映画は、民主的で抑圧的なイスラエルと、
テロへ傾斜する弱者であるパレスチナ組織の思想を、
対比的に示します。
そこに、アミン夫婦の個人的な愛を絡めて見せるわけです。

最後にひとつ。
日本のメディアでは「自爆テロ」と呼ばれるものが、
フランス語圏や英語圏のメディアで、
しばしば kamikaze と呼ばれていることを、
ご存知でしょうか?
日本ではよく、イスラム的「自爆テロ」が理解できない、
と言われますが、
それは kamikaze なんです。

「ふらんすのことを話そう」

ちょっと先ですが、もう告知が。

*****************************************

「ふらんす創刊90年、白水社創立100年 記念トークイベント
ふらんすのことを話そう」

ジュンク堂書店 池袋本店
開催日時:2015年11月03日(火)19:30 ~
                      
堀江敏幸(作家、フランス文学者、早稲田大学文学学術院教授)
清岡智比古(明治大学理工学部総合文化教室教授)

http://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=10125

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まちがいなく、今の日本を代表する文学者のひとり、
堀江さんの登場です。
(相手がわたしでいいのかなあ、と思いつつ……)

よろしければ!

2015年9月4日金曜日

「沖縄は『痛み忘れぬ』」

今日は、ちょうど20年目にあたるわけですね。
東京新聞の夕刊は、
このことが一面トップでした。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015090402000260.html

最優先で

欧や米のニュースを見ていて、
難民問題が報じられない日はないくらいです。

「9月2日に、トルコのリゾート地ボドルムのビーチに横たわる
幼いシリア少年の写真が撮影された。
写真は世界に衝撃を与え、
ヨーロッパの難民危機で
どれだけの多くの人が犠牲になっているかを浮き彫りにした」


※ 閲覧注意:この記事には遺体の写真が含まれます。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/03/story_n_8080888.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001

また、ヤフーニュースも、CNNのこのニュースを取り上げています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150903-35069879-cnn-int

最優先課題だと思います。
トルコは、すでに200万人を受け入れたそうです。

*日本の難民認定数:2013年=6人。
                2014年=11人。

もちろんシリア難民の背景には、
アサド政権の、ISの、クルド系組織の、そしてその他の、
さまざまな問題があるわけですが、
それでも今は、まず、
難民問題を考えないと。

2015年9月3日木曜日

QU'ALLAH BÉNISSE LA FRANCE


アブダル・マリックは好きな歌手の一人ですが、
彼が、自分の生い立ちを語ったエッセイを、
さらに自分で映画化した作品、

QU'ALLAH BÉNISSE LA FRANCE
(アラーがフランスを祝福されんことを)

を見てみました。
(本と映画は同じタイトルです。)

https://www.youtube.com/watch?v=v_Qy-whWDIk

どこか『憎しみ』を思わせるこの映画は、
なんの前提もなく見ると、
少し散漫な印象があるかもしれません。
マリックの出身地であるストラスブールの雰囲気はよく伝わるし、
丁寧に作られているのはわかるんですが、
映画的と言うより、どこか文学的と言うか。

もちろん、
マリックが早くからラップに馴染んでいたこと、
のちに結婚することになるサブリナという少女の影響で、
スーフィーに目覚めていったこと、
成績が優秀で、担任教員にかわいがられたことなど、
マリックのファンなら、
それだけでも楽しめる、というか、
マリックの曲の理解を深めてくれるエピソードが多いです。
そういう意味では、
長いヴィデオ・クリップのようでもあります。

サブリナ役は、サブリナ・ウアザキ。


彼女は、Tout ce qui brille で、
レイラ・ベクティのバイト仲間でしたし、
つい先日見たMahomed Bubois でも、
主人公のヒロイン役でした。
そのほかにも、多くの映画で見かけた女優です。

2015年9月2日水曜日

お買い得


東京は、午後からとはいえ、
久しぶりに晴れました。
やっぱり、晴れのほうがいいです、
たとえ多少蒸し暑くても。

このところ、文藝春秋9月号を読んでいました。
芥川賞×2、
トッドのインタヴュー、
歴史人口学者のエッセイ、
(かつてファンだった)谷沢健一と東大野球部の出会い、
など、
おもしろい文章が多く、お買い得でした。

Mohamed Dubois


「アラブになるためなら、彼はなんでもするだろう」
というキャプションのコメディ映画、

Mohamed Dubois

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=h13SACUDg4o

主人公は、Arnaud Dubois。
このアルノーは、
ある銀行の頭取の一人息子で、
父親の銀行で働いていました。
けれどある日、
アラブ人の融資にかかわるごたごたから、
唐突に銀行を辞めてしまいます。
とはいえ実は、本当の理由はこのごたごたではなく、
彼が、なぜか完全にアラブ系の容貌をしており、
ヨーロッパ系白人の両親にまったく似ていないため、
自分はこの両親の子供ではないんじゃなかと、
ずっと疑ってきたのですが、
その疑いがついに爆発したのです。

それからのアルノーは、
アラブ社会に入り、「モアメッド」として生き始めます。
アラブの友人を持ち、
彼らと働き、
アラブの女の子に恋します。
でも……
この女の子とついに結婚、となった時、
アルノーと父親の親子関係が、
DNA検査によって証明されるのです。
彼はやっぱり、モアメッドではなく、
アルノー(というヨーロッパ系白人的名前)なのです。
さあ、これを彼女に打ち明けなければならないんですが……
というお話し。

テンポがよく、
アルノーを演じるエリック・ジュドール
(お笑いコンビ「エリック&ラムジー」のエリックです)
の感じもいいし、
楽しめるコメディでした。

中心となる舞台は、クレテイユ。
そしてアルノーの友人たちが新たに店を出すのが、バルベス。
また、デュボワ家の家政婦として、
ビウーナが(またしても)存在感を発揮します。
(クレテイユに向かうアルノーが、
「アフガニスタンに行くんじゃないよ」
と言うと、
「もっと悪いの!」
と言い放ちます。)
Cheba Louisa に登場していたアラブ系の俳優たちの顔も見えました。

ひとつ細かいことを言うと、
仮面パーティーの場面で、
国民戦線のマリーヌ・ルペンの仮面をつけた女性が、
廊下でイカガワシイ行為に及ぶ場面があります。
あらあらと思っていたら、
なんとそれは女性でさえなく、
サン・パピエの長髪男性なのです。
(彼はラストで強制送還されますが、
「すぐにもどってこられるよ」と言います。)
コメディとはいえ、
かなり強烈な皮肉でした。