2016年5月5日木曜日

『あの日の声を探して』

ベレニス・ベジョつながりで、

『あの日の声を探して』

を見てみました。
これは、かなりいい映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=hjsrho1cjPo

チェチェン紛争を、正面から、
しかも多層的に描いています。
話の流れは3つ。
1つは、両親をロシアへに殺され、
まだ赤ちゃんの弟を連れて逃げ出した少年ハジ(9歳)の、
その後の物語。
彼は少し離れた街で、
EU委員会の職員の女性に助けられます。
もう1つは、ハジの姉の物語。
生き延びた彼女は、
ハジが置いていかざるを得なかった赤ん坊の弟と再会し、
さらに、ハジを探しに行くのです。
最後の1つは、あるロシアの若者の物語。
ごくふつうの若者だった彼は、ほんの微罪で警察に捕まり、
脅されて、兵士になり、
チェチェンに送り込まれるのです。
とにかく、冒頭の数分で、
胸が苦しくなりました。

とくに、戦争ってちょっとかっこいいかも、なんて、
マッチョなだぼらを信じかけている若者には、
ぜひ見て欲しいと思いました。
戦争っていうのは、兵士にとっては、
人殺しをしに行くわけです。
しなければ、自分が殺されるのです。

ベレニスはなかなかいいです。
そして監督のミシェル・アザナヴィシウスは、
彼女のパートナーで、子供も2人いるようです。
監督のほうはリトアニア系ユダヤ人。
たぶん、ベレニスもユダヤ人で、
プロデューサのトマ・ラングマンも、ユダヤ人です。
あるインタヴューを読むと、監督は、
ユダヤ人の運命を、
チェチェン人の運命に重ねているようです。

それにしてもこの監督、

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/01/oss-117.html

でもベレニスとコンビを組んでいたわけですが、
(『アーティスト』もそうです)
B級コメディー専門の人では、まったくないんですね。
この監督、これからも注目してゆきたいです。