2017年10月21日土曜日

ゼロの日

今週は、急に寒くなって、
雨も続き、
大学では風邪ひきの学生が増えています。
先生の中には、
風邪予防用のマスクの装着を開始した方もいます。

そういえば一昨日のフランス語の授業で、
sans(=without)という前置詞が出てきたときに、
「サン・トワ・マミー」という曲のことを、
知っている人?
と訊いてみたところ、
手を挙げたのは57人中ゼロ。
で、アダモ繋がりで、
「雪は降る」
も訊いてみたのですが、
こちらもゼロ。
もちろん、そんなに多いなんて思ってはいませんが、
これはもうきっぱりゼロなんですね。
時は流れ……

2017年10月17日火曜日

「電流によって増強されるルテニウム酸化物の異常な熱電効果」

わたしは理工学部に所属しているので、
当然、理系の先生たちと仕事をする機会もとても多いです。
ただ、そうした先生たちの専門分野の研究内容については、
何一つ分かりません。

たとえば、わたしの研究室から、
徒歩10秒ほどの研究室のY先生を含む研究チームは、
最近、物理学の著名な論文賞を受賞されたのですが、
その内容が、これです。

http://www.isc.meiji.ac.jp/~yyasui/20171002_JPSJ_Editors-choice.pdf

ここまでわからないと、
むしろ清々しいです!

2017年10月16日月曜日

Don Giovanni - Commendatore

金曜に見た『青春残酷物語』。
この映画の中に何か所か、
オヤ? と思うところがあったのですが、
その一つが、
主人公たちがラジオを聞く場面です。
適当に選曲していくと、ふと、
聞き覚えのあるメロディーが流れだします。
主人公は、つまらなさそうに、
「ベートーヴェンか」
とつぶやき、椅子を立つのですが、
それは、Don Giovanni のハイライト、
石の騎士がやってくる場面です。

https://www.youtube.com/watch?v=7cb1QmTkOAI

なぜ大島監督は、
主人公に「モーツァルトか」と言わせなかったのか?
主人公が、クラシックと無縁の生活をしていることを言いたかったのか、
と最初は思いましたが、
(そしてそれもあるとは思うのですが)
今日、ふと気になってその場面をYouTubeで見ていて(上の動画です)、
それはこの主人公がDon Giovanni そのものでもあるからじゃないのか、
と思い直しました。
この主人公は、
最後はチンピラに殺されるのですが、
それはそのチンピラの情婦に手を出したからでもありました。

きっともう誰かが気づいていて、
もしかしたら常識なのかもしれませんが、
わたしには新鮮な発見でした。

2017年10月15日日曜日

カイケルという投手

ふだん、アストロズの試合を見る機会がなかったので、
今年18勝もしたカイケルを、
今日初めてじっくり見ることができました。
そうです、Yankees vs. Astros の、
リーグ・チャンピオンシップ決定戦です。

このピッチャー、球がすごく速いわけじゃないんですが、
おそろしくコントロールがいいのには、驚きました。
ピンチで、
今Yankees で一番好調と言ってもいいガードナーと当たった時です。
カウント2 - 2 から、
カイケルは4球続けてスライダーを投げたのですが、
それがすべて、
外角低めにピタリとコントロールされていたのです。
おそらく、ボール 1/2 から1個くらいの範囲に、4球とも。
しかもそれが、ストライクとボールの境界あたりなんです。
打者の側は、
前の打席で苦しめられた内側のツーシームが、
いつくるかいつくるかと思っているので、
最後は、結局スライダーを空振り。
ついに、ツーシームは1球も来なかったのでした。
こうした配球の文脈は、
スポーツニュースではまったくわからないので、
これが試合を見る醍醐味の一つです。

https://the-ans.jp/news/11280/3/  ←22秒のところ

田中投手は、十二分に自分の仕事はしたと思います。
ただ今日は、カイケルが良すぎました。
いいピッチャーでした。

2017年10月13日金曜日

「世界と歴史の不透明な厚み」

先日の波戸岡さんの新刊もそうですが、
わたしが所属している総合文化教室は、
素晴らしい仕事をしているまぶしい同僚が多くて、
いつも「すごいなあ~」と思っています。

写真の倉石さんも、もちろんそんな一人ですが、
その文章を読むと、
わたしのぐにゃぐにゃした頭の中にも、
一筋の火花が走るようです。
たとえば、この

「不透明性について、再び」

という文章もそう。

http://fiatmodes.blogspot.jp/2017/10/blog-post.html

「写真という場所は、
世界と歴史の不透明な厚みに触れる回路の起点たりうるはずだ」

そうだったんですね……



大学院ゼミ

秋学期に入ってから、
3回のゼミを開きました。
そこで院生のN君と見て分析したのは、
この4本です。

増村保造監督
『闇を横切れ』(1959)
『妻は告白する』(1961)

大島渚監督
『愛と希望の街』(1959)
『青春残酷物語』(1960)

焦点は、増村の初期作品に絞っているので、
この中でそれに当てはまるのは『闇を横切れ』だけなのですが、
比較する対象として、
他の作品も見ています。
大島の場合は、
増村に対する批判的コメントがあるので、
その意図を正確に見定めるため、
まずは大島自身の作品を見ています。

で今日見たのは、
大島監督の代表作の1つとされる『青春残酷物語』なのですが、
これを見たのは30年振りくらいで、
まったく覚えていませんでした。が、
当時はただ見ただけで、
ほとんど理解していなかったのでしょう、
今日はとてもおもしろく感じました。

https://www.youtube.com/watch?v=Toi1RwMp7CQ

1960年作で、実際この年が時間的舞台
(この年公開された映画が、街の映画館でかかっています)
なんですが、
この戦後15年目、
『ゴジラ』の6年後で東京オリンピックの4年前、という時代が、
大島にどう映っていたのかが、よくわかります。
要は、ブルジョワ的メンタリティーに毒され、
混乱の中で方向を失った時代、ということなのでしょう。
大島は、こうした状況認識から出発し、
なぜこうなったのか、
今後はどうなるのかを、
3つの世代を通して示してゆきます。

1つのキーワードは、「欲望」だと思えました。
主人公である大学生は、
まさに欲望のままに生きるのですが、
その意味は、
幼稚で甘えた動物的エネルギー、
資本主義的な人間のモノ化へ向かう社会への反抗、
刹那主義と結びついたニヒリズム、
ということになるでしょうか。
彼は、自らの欲望に、報復されることになります。
そして高校3年生のヒロインは、
ブルジョワへの憧れの中で愛されることを願うのですが、
結局は、
ブルジョワからも、愛からも、
転落せざるを得ません。

まさに青春、
まさに残酷ですが、
誰(何)が誰(何)に対して残酷なのかは、
いくつかの答えがあるのでしょう。

Yankees

今日の午前中は、
Yankees vs. Indians の、
ディヴィジョン・シリーズ最終戦をテレビ観戦しました。
どちらか勝ったほうが、
次のリーグ・チャンピオンシップに進めるという、
まさに真剣勝負です。
こういう、決して「捨てゲーム」にならない試合は、
ほぼ間違いなくおもしろいものですね。
(たとえ短期決戦でも、
お客さんにわからないように捨てゲームを作るのが監督の仕事だ、
とかつて森監督は言ってました。)

野球は、結局のところ、
1つのプレー、1つの投球で決まります。
今日は、Indians が打った1本の併殺打が、
ポイントだったように思います。

Yankees は勝って、
土曜(日本時間)からのリーグチャンピオンシップに
臨むことになりましたが、
今の観測では、
第1戦の先発は TANAKA。
楽しみです!
(そしてワールド・シリーズで、
ダルヴィッシュとの投げ合いが実現したら!)

それにしても、
新人で50本以上ホームランを打ったジャッジが、
おそろしいほどの絶不調ぶり。
ポストシーズンの27打席で、
なんと半分以上が三振!
この、200cmを越えるオオモノが、
いつ目を覚ますのかも楽しみです。

2017年10月11日水曜日

Lagerfeld-Stromae 

われらが Stromae と、
あのカール・ラガーフェルドの対談です。

http://next.liberation.fr/culture-next/2017/10/06/lagerfeld-stromae-votre-gueule-et-votre-silhouette-restent-les-memes-mon-vieux_1601504

2年前のアフリカ・ツアーの際に飲んだ抗マラリア剤が体に合わず、
今も不調が続いていると Stromae は言っています。
かわいそう……

インタヴューの中で、
Stromae が好きだと言っているのは……

https://www.youtube.com/watch?v=PUdyuKaGQd4

https://www.youtube.com/watch?v=b9jo4mk0VQU

前者は、I have no roots. と歌っていますね。
これは、直前に、ドイツ人を自称するラガーフェルドが、
「わたしは二重国籍は嫌いだ」と言っているのと、
鋭いコントラストをなしているようにも見えます。
ここ以外にも対立点はあって、
ちょっと風変わりなインタヴューではありますね。

2017年10月8日日曜日

『映画原作派のためのアダプテーション入門』


若き同僚、
波戸岡景太さんの新刊、

映画原作派のためのアダプテーション入門』

が発売になりました。


わたしは、昨日から今日にかけて一気に読んで、
いやあ、おもしろかったです!
なんというか、とてもスリリングな本で、
しかも新鮮なカードが次々に出て来るので、
どんどん引っ張られるというか、
贅沢というか。
内容は十分論文になるようなものですが、
分かりやすい日本語で、
きっちり順を追って説明されているので、
ぜんぜん迷子になりません。

で、内容は、上のリンクに詳しいのですが……

このタイトルを見ると、まず、
アダプテーションてなに?
と思いますよね?
(つい先日80人のクラスでこの語について尋ねたところ、
知っているのは数人でした。)
これは、この本に合わせてごくざっくり言えば、
小説などの「映画化」のことなんですが、
大丈夫、本はまず最初に、
この語そのものを説明してくれます。
それからもう一つ、「原作派」もよくわかりませんが、
これはつまり、映画化された作品より、
その「基」になった原作のほうを偏愛する人たちのこと。
(ちなみに波戸岡さんは、
そういう人が多いと考えているようなんですが、
そして実際そうかもなんですが、
わたしは原作派ではありません。)

ただここで、最初の発見がやってきます。
今「原作」と言ったけれど、
これ、実は映画化されて初めて、
「(ふつうの)小説」は「原作」になるんじゃない?
なるほど、おっしゃる通り!
そしていったん「原作」になってしまうと、
その作品はもう、「(ふつうの)小説」に戻ることはできません。
だって、原作と映画の間には合わせ鏡的な、
消せない関係が生まれてしまうからです。
しかもたとえばその映画に出ている俳優たちは、
他の映画にも出ているわけです。
となると私たちは、
ある「原作」を読んだときに、
その映画化された作品だけではなく、
その映画に出演してる俳優の別の映画をも思い浮かべ、
俳優の持つ映画的ペルソナは、何層にも重なり&滲みながら、
「基」になった小説との、響き合いを生み出す……
(このへんの説明は、
本書のほうがずっと明快ですので、
ぜひそちらをご覧ください!)

この本には、
大昔に見てもう覚えていない映画
(『華麗なるギャツビー』、『レスザンゼロ』……)
も、まだ見ていない映画も、
まだ読んでいない小説も登場します。
でも!
それが気にならずに読み進められるのは、
作品紹介が分析の中に溶かされていて、
知らないうちに、
読者は作品のあらましを知ってしまうからなのでしょう。
(こういうのを、筆力というのでしょうか?)

『パリ移民映画』の中で取り上げた
『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』
は、『モモの物語』という小説の映画化でした。
ただこの映画化に際して、
監督は舞台を、
ある(アシュケナジムの)ユダヤ人街から、
別の(セファラッドの)ユダヤ人街に移しました。
そしてその移った先には、
並行する、ただし高低差のある2本の通りがあり、
それはたった15段の階段で結ばれていて、
あたかもその階段は、
2つの世界の通路のように見えるのです。
これが、この映画におけるアダプテーションの核だなのだと、
今は思うのでした。

映画が好きで小説も好き、というあなた。
この本、おもしろいです!

2017年10月7日土曜日

独立運動

独立運動と言えば、

ケベック
スコットランド
カタルーニャ
クルディスタン
コルシカ
沖縄……

などが思い浮かびます。
そして先週から今週にかけては、
もちろんカタルーニャ独立関連のニュースが気になっていました。
が、
ここにきて、政治や文化というより、
経済の問題が大きく浮上してきて、
これはやはり大きな要素となりつつあるように見えます。
なんと言っても、
2つの大手銀行が、
本社をバルセロナから移転するという決定が、
インパクトがあったでしょう。
またそもそも、
独立賛成90%と言っても、
投票率が40%程度では、
もう一つ説得力がありません。

スコットランドの場合は、
民族主義的という印象が強くありませんでした。
血統ではなく、
スコットランドに住んでいるかだけを問題にしたからです。
それに、社会民主的な方向付けだったし。

もちろん、クルディスタンも気になります。
ただしこちらは、とても民族主義的に見えはしますが。

まだそこまで手が出せていないのですが、
独立運動の比較研究もあるそうです。
でも、たしかに面白そうな分野ですね。

2017年10月6日金曜日

ある日の MOV'

セットリスト、とまでは行きませんが、
この頃 MOV' でよくかかっている曲といえば……

1>
https://www.youtube.com/watch?v=9sV983UQ6dQ

J'suis dans mon bolide, j'pense à toi
Ger-char mon brolique, j'prends sur moi

オレはクルマにいて、おまえを想ってる
オレのピストルに装填する、責任は持つぜ

ger-char = charger 、なんでしょうね。

2>
https://www.youtube.com/watch?v=bZbI9rmpaEw

Hip Hop が多い中で、目立つこの曲。
ちょっとこぶし回ってる!?

3>

音楽は聞きやすいんですが、
ヴィデオはちょっと、工夫がないような気も……

4>
https://www.youtube.com/watch?v=9dahgYU_dUc

Mais il était joli garçon
(Joli garçon)
Beau garçon
(Beau garçon)
Il était joli garçon
(Joli garçon)
Était mignon
(Bête et mignon)

これもヴィデオは……

5>

ここ2,3か月に限れば、
わたしは(Hip Hopとしては)これが一番好きかも。
Major Lazar は、ストロマエの曲を remix したりしていて、
やっぱりちょっと共通した味わいを感じます。
Camila Cabello (カミラ・カベロ=2>の人。21歳。若い!)
も登場しています。

「I am a 弱者」

学生にとって大学とは?

https://twitter.com/okazaki_taiiku/status/913709884712951808

そうである人も、
そうでもない人も……


2017年10月4日水曜日

magret de canard au cassis

今日のリバティー・アカデミーの授業で、
食事関連の表現を少し練習したのですが、
そういえばパリ滞在中、
1度だけ、と思って、
オールド・スタイルのフレンチの店にも行ったことを思い出しました。
夜は高そうなので、ランチの時間に。
マレ地区にある老舗、Camilleです。
観光案内にも、時々紹介されています。


ランチの formule から、
entrée+plat を注文。
これは plat の、magret de canard au cassis。
magret というのは、
(フォワ・グラを取った後の)鴨の胸肉。
そしてカシス・ソース。
繊細なというより、
肉には脂肪ものっていて、
迫力がありました。
マッシュポテトもおいしいかったです。

そしてこれは、連れが頼んだおなじみ steak frites。


いつ見てもおいしそう!

この Camille は、
場所もいいし、
店もシックで小綺麗だし、
店員さんたちも清潔できびきびしているし、
いい意味で「おフランス」的だと思いました。

ちなみに、ここのデザートで使われているアイスクリームは、
シテ島の人気店、
ベルティヨンのもののようです。

そのベルティヨン自身は、
8月はヴァカンスのため全休でしたが、
この店のアイスは、
何か所かで売られているのを見かけました。
たとえば、Forum des Halles の最上階とか。
そしてこの店のアイス、
人気があるのもうなずけるおいしさでした。
(立ち食いでしたけど!)

2017年10月2日月曜日

『セカンド・ウインド』

あの『最強のふたり』には、
原作があります。
といってもそれは、小説ではなく、
自伝的エッセイで、

Le second souffle

というタイトルです。
これ、映画とはまったくちがっていて、
貴族出身で超がつく大金持ちの筆者が、
庶民とはまったくかけ離れた人生を42年間送ったのち、
趣味のパラグライダーの事故で全身麻痺となり、
その苦しみの中で18年間を過ごす、
その間のさまざまな思いを、
「文学」的につづった作品です。
映画に登場するエピソードに近いものは多少ありますが、
映画は、ほとんど創作と言えるでしょう。
とにかく、全体のトーンがまるで違います。

今日たまたま、
この原作の日本語訳の本(The second wind)を見る機会がありました。
なんだか、ずいぶん記憶と違う印象なので、
家に帰って原書と見比べると、
なんと、翻訳書冒頭に置かれた「悪童」という章は、
原書では第Ⅱ部の途中の章でした。
しかも訳書は、その「悪童」に続けて、
何の断りもなく第1章が置かれているので、
これではまったく繋がりが分からないのでした。
ちょっと残念!

ご当地めいじろう

現在、ゆるキャラコンテストで奮闘中の、
われらが「めいじろう」。

で、今回、その「ご当地」版が完成したようです。

http://www.meiji.ac.jp/koho/meijiro/local.html

特にコメントはありませんが……

ただ、ハーヴァード大学でもイェール大学でも、
グッズの売り上げは相当なものだと聞いたことがあります。
もしめいじろうが、ドラえもんみたいになったら……(J'exagère ! )

2017年9月30日土曜日

『ハンナ・アーレント』

『エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告』
で知られる思想家、
ハンナ・アーレント。
彼女が、まさにその本を準備し、執筆、発表し、
理不尽な非難にさらされても、
理由なき妥協など一切することのなかった日々を、
落ち着いた表現で追った映画です。


映画として「デキ」は、
あまり言う必要がない気がしました。
この映画は、
あくまでハンナ・アーレントの人と思想を描いているのであり、
当然、映画を貫くのはアーレントの思想そのものです。
そしてその思想とは、
「悪の凡庸さ」として広く知られている通りです。
これは、
たとえばナチによるユダヤ人迫害を、
ユダヤ民族だからこそ見舞われた特殊な不幸ととらえるのではなく、
(≒広島・長崎を、日本人だからこそ味わわされた悲運ととらえるのではなく)
思考することを止めた平凡な人間による、
まさに凡庸な悪だと指摘したのです。
ナチは、悪魔的な、根源的な、特殊な悪なのではなく、
どんな人間でも犯しうる、凡庸な悪なのだと。
思考せずただ命令に従う人間は、
ことの善悪など考えてはいないのです。
その結果、巨大な悪の一翼を担うことになる……。

でも多くの場合、人は、
自分(たち)の不幸を、特殊なものだと考えたがります。
特にそれが、民族のアイデンティティーでさえある場合には。
だから(自身もユダヤ人である)アーレントは、
友人を含む多くのユダヤ人から非難されたわけです。
彼らにとって、ナチの悪は、
根源的で特殊なものであるべきだったからです。
(沖縄の場合も、
民族主義的に権利を主張するのではなく、
普遍的な人間としての権利を主張するべきなのだ、
という考え方もあります。)

印象に残ったのは、
アーレントのこのセリフです。
きわめて親しい友人から、
この著作に関連して、
おまえはユダヤ人を愛していないのか、
と詰問されたとき、
彼女はこう答えたのです。

「わたしは一つの民族を愛したことなんかないの」

そして彼女は、
わたしは友人を、あなたを愛している、
と続けるのですが……。
こんなはっきりした言明は、
初めて聞いた気がします。
感覚的には、とてもよくわかります。
もちろん、アーレントがここに込めている意味の全体を、
ちゃんと把握しているとは言えませんが。

2017年9月29日金曜日

プルーストでさえ

そうでしたか、
プルーストでさえ、
そんなことを思い、
かつ実行したわけですね。
となると、
アマゾンの書評欄に、
あるいは雑誌の投書欄に、
「自画自賛」のコメントが出ても、
驚くにはあたらないわけですね。

http://www.afpbb.com/articles/-/3144846



選挙難民

選挙難民、なんて、
初めて聞きましたが、
まさにその通りという印象です。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170929-00000048-mai-pol

ただ、
「違和感」といっても、
サイズの合わないシャツみたいな、というレベルから、
ほぼ銀河系くらいの大きさの、というレベルまで、
色々なんでしょうけどね。

バーニー・サンダース、
ジェレミー・コービン、
ジャン=リュック・メランション、
パブロ・イグレシアス、
で、
日本には……

2017年9月28日木曜日

カンペは 3 × 5

おもしろいですけど、
そもそもなぜ、
カンペがアリなんでしょう!?

http://www.huffingtonpost.jp/2017/09/25/student-outwits-professor-with-cheat-poster_a_23221511/

久々の『東京詩』

大学の秋学期が始まって、
今日でまだ1週間と1日ですが、
とても長く感じます!

秋学期、わたしにとって新鮮なのは、
<東京詩>の授業です。
正式な科目名は、「文学と都市」といって、
これは大学院・総合芸術系の授業なんですが、
久しぶりにテキストとして『東京詩』を使っています。

今週は第1回で、
『新体詩抄』から始めて、
「鉄道唱歌」を経て、
啄木の(18歳の時の)詩を読んだところまでですが、
やっぱり、詩はいいですね。

意外だったのが、
「鉄道唱歌」のメロディーを知っていた学生が、
たった一人だけだったこと。
これって、「スタンダード」じゃなかったんですね?

この授業は、予習に時間がかかりますが、
むしろ歓迎、という感じです。
学生たちと一緒に『東京詩』が読めるのが、楽しみです!

2017年9月25日月曜日

『国際市場で逢いましょう』

北朝鮮のことが話題になることの多い昨今、
学生たちに勧められる、
韓国のことを理解するのに役立つような映画を探していて、
以前から気になっていたこの映画を見てみました。

『国際市場で逢いましょう』

https://www.youtube.com/watch?v=VxAJyEY16lY

(YouTube で、300円で全編見られます。)

この映画は、
演出等の面では、<優>とは言いづらいところがあります。
un peu trop dramatisé(ちょっと過剰演出)なんです。
でも、そこに嫌味はないし、
その演出の根底には事実があるわけです。
で、
トータルで考えて、
(特に学生には)ぜひ見て欲しい映画だと思いました。

物語は、1950年12月の、
いわゆる「興南(フンナム)撤退」で幕を開けます。
朝鮮戦争のただ中、
今は北朝鮮領にある興南に、
北から中国軍が南下してきます。
アメリカは撤退を開始し、
取り残された住民は、
なんとか一緒に連れて行ってくれと米軍に頼むのです。
米軍は、彼らを救うことを決断します。
しかし……

その後は、
(実はこういう事実があることを、
わたしは恥ずかしながら知らなかったのですが)
若い韓国人のドイツ炭鉱への移民があり、
ヴェトナム戦争があり……

そうした物語を、
ある一家の運命を通して描いてゆくわけです。
韓国の近代史を大まかに、
そして民衆視点で辿り直すには、
とても適切な映画だと思いました。

明日、明後日の授業で、
学生に勧めたいと思います。

<Web ふらんす>、開設!

待ちに待った、Webふらんす、
ついに今日から店開きです!

http://webfrance.hakusuisha.co.jp/

中条志穂さんの、
「イチ推しフランス映画」で紹介されている、

『汚れたダイアモンド』

は、ここでも(簡単にですが)触れたことがありますね。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/07/diamant-noir.html


2017年9月23日土曜日

「自民党の公約案はパクリ?」

「何年もかけて構想し、
学者の知見やデータをまじえて練り上げた政策を、
総理大臣がいとも簡単にパクるというのは前代未聞。
なりふり構わないのは政治家の常だが、
総理がここまで恥も外聞もなく他人の政策を平然と“密輸入”したとしたら、
早晩、国民にそっぽを向かれるだろう」

https://dot.asahi.com/dot/2017092100023.html

文大統領

韓国の文大統領のことは、
正直言ってよく知りません。
でも、
この「大騒動」の真っただ中で、
北朝鮮に対する経済支援を提案したり、
また、
北朝鮮にオリンピック参加を呼び掛けたりと、
これにはとても感心しました。
もちろんそこには、
韓国国民を守るという目的があるのでしょう。
でも、
その手段としてこうしたことを訴えるというのは、
一つ覚えのように「圧力」を言う人たちに比べると、
人間の格が違うように感じます。
誰が考えたって、
平和的にやるのが一番いいわけだし、
「圧力」によって苦しむのは庶民なわけです。
そしてあの暴君が、
自分の国の庶民の苦しみを慮っているようには見えないとすれば、
たとえば彼らの食糧事情は、
やはり、誰かが考えなければならないことでしょう。

2017年9月21日木曜日

Si j'étais un homme film

オドレイ・ダナと言えば、

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/welcome.html

での、主人公の妻役や、

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/07/tellement-proches.html

での、ユダヤ教に心酔してゆく妻の演技が印象深いです。
そして今日は、彼女が監督・主演したコメディー映画、

Si j'étais un homme film   (2017)『もしわたしがオトコだったら』

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=dBrNYeOdTEo


オドレイ・ダナだ、というだけで見始めたので、
タイトル以外、なにも予備知識がなかったのですが、
まさかこのタイトルが、
こんなにリアルに再現されているとは、思ってもいませんでした。

建築会社で働くジャンヌには、
ステキな夫と、
かわいい二人の子供がいました。が、
ある日突然、夫が言うのです、
J'ai rencontré quelqu'un.  Elle est enceinte.
(カノジョができたんだ。妊娠してる。)
そこから彼女の生活は一変するのですが、
実はもっと大きな変化がジャンヌを待っていました。
あるあらしの夜以来、
Elle a une bite !
彼女は「男性」になってしまいます。

こういう話は、
まあ、昨今よく見かけます。
だから、ああここでもか、と最初は思ったものの、
そこは大人向けコメディー、
ジャンヌはそれを使って、いろいろ試し始めます。
実際、会社の同僚の女性(“Je suis pucelle, quoi. ”)と、
関係を持ってしまったり。
でもその後、彼女はある男性と恋に落ち、
自分の体の変化に悩み……
というお話。

この映画で、1つ、
通奏低音のように提示され続けるのは、
ズバリ、子育てです。
ジャンヌも、親友のマルセルも、
そして男たちも……

どうということはない話なのに、
最後まで楽しく見られました。
オドレイ・ダナは、やっぱりいいですね。

Safe migration cannot be limited to the global elite.

Antonio Guterres (アントニオ・グテーレス)国連事務総長の、
昨日の演説から。

I myself am a migrant, as are many of you in this room.
But no one expected me to risk my life on a leaky boat
or to cross a desert in the back of a truck
to find employment outside my country of birth.

Safe migration cannot be limited to the global elite.
Refugees, internally displaced persons and migrants are not the problem;
the problem lies in conflict, persecution and hopeless poverty.
I have been pained to see the way refugees and migrants have been stereotyped and scapegoated – and to see political figures stoke resentment in search of electoral gain.
In today’s world,

all societies are becoming multicultural, multiethnic and multi-religious.
This diversity must be seen as a richness,

not as a threat. 
But to make diversity a success, we need to invest in social cohesion,
so that all people feel that their identities are respected
and that they have a stake in the community as a whole.

                                     ◆

Je suis moi-même un migrant, tout comme beaucoup d'entre vous dans cette salle.
Mais personne n'attend de moi que je risque ma vie sur une embarcation incertaine
ou que je traverse le désert à l'arrière d'un camion
pour trouver un emploi à l'extérieur de mon pays natal.
Une migration sûre ne peut pas être limitée à une élite mondiale.
Les réfugiés, les déplacés, les migrants ne sont pas le problème.
Le problème vient des conflits, de la persécution et de la pauvreté désespérée.
J'ai été très peiné de voir à quel point les réfugiés ont été stigmatisés.
De voir aussi à quel point ils ont été utilisés par des personnalités politiques
en quête de victoire électorale.
Dans le monde d'aujourd'hui,
toutes les sociétés deviennent multiculturelles, multiethniques et multiconfessionnelles.
Cette diversité doit être perçue comme une richesse,
pas comme une menace.
Mais pour faire de la diversité un succès,
nous devons investir dans la cohésion sociale
afin que tous les gens sentent que leurs identités sont respectées
et qu'ils ont une place dans la communauté dans son ensemble.

(原文は英語。翻訳は RFI)



https://www.un.org/sg/en/content/ossg/noon-briefing-highlight?date%5Bvalue%5D%5Bdate%5D=19+September+2017&=Apply

◆追加

この議場にいらっしゃる多くの方々と同様、私自身も移民です。
しかし、穴の開いたボートで自分の命を危険にさらしたり、
トラックの荷台で砂漠を横断したりして、
生まれ故郷の国以外で仕事を探すことを私に期待する人はいませんでした。
安全な移住の機会を、グローバル・エリートに限定することはできません。
難民や国内避難民、移民に問題があるのではありません。
問題は紛争や迫害、絶望的な貧困にあるのです。
難民や移民がステレオタイプ化され、
諸悪の根源として扱われる様子を見るたびに、
また、政治家が選挙で勝とうとして怒りを煽る姿を見るたびに、
私の心は痛みます。
現在の世界では、すべての社会が多文化的、多民族的、多宗教的になっています。
この多様性は脅威ではなく、豊かさと捉えなければなりません。
しかし、多様性を成功へと導くためには、
社会的一体性に投資することで、
すべての人々が、自分たちのアイデンティティーが尊重されていること、
そしてコミュニティー全体と関わり合いがあることを
実感できるようにせねばなりません。

国連HPより




2017年9月20日水曜日

秋学期開始!

9月20日、
ついに秋学期が始まりました。
さっそく今日は、1時間目のフランス語から全開(?)です。

また、リバティー・アカデミーも今日から開講し、
こちらはいい生徒さんたちばかりで、
いろいろな話題に興味を持ってくれるので、
ついいろいろ話してしまいます。
まあ、夏の旅行から帰ってきて、
あまり誰かにその話をするという機会もなかったので、
思いつくまま話してしまうのですが、
こちらの勝手な希望としては、
そうしたたくさんの「点」が、
いつかどこかで、
なんらかの「線」になってくれたらいいなと思っています。
それはもちろん、学生も同じことですが。

秋学期も、がんばりましょう!







2017年9月18日月曜日

『海は燃えている』


あの、ランペドゥーザ島を舞台にしたドキュメンタリー、

『海は燃えている     イタリア最南端の小さな島』(2016)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=-IgaGgZbuwQ

この島には、
手作りのパチンコで鳥を取ろうとする少年、
漁師、穏やかに暮らす敬虔な女性……など、
いわば「ふつうの」生活があります。
が、同時にこの島は、
アフリカ各地から、
そして中東からも、
多くの移民が小舟で押し寄せてくる場所でもあります。
けれど、
こうした移民・難民の中には、
途中で命を落とす人も多く、
またなんとか島についても、
ボロ船の化学燃料を浴びて大火傷を負っていたり、
重い脱水症状だったりします。
多くの子供たち、多くの女性たちもいます。

彼らを懸命に助ける島のある医師は、こう言います。

「こうした人々救うのは、すべての人間の務めだ」

ただし映画の中で、
島の人々と移民・難民たちは、
接点さえないのですが。
(医師だけを除いて。)

ドキュメンタリーとして、
これは撮られなければならなかった作品だと感じます。

Une famille syrienne

フランスでは、先週から公開されているこの映画、

Une famille syrienne  (『シリアの家族』)

https://www.youtube.com/watch?v=8fMnXFlxAO4

もちろんまだ見ていないのですが、
ついに出たか、
という気持ちになります。
シリアの状況を内部からとらえた映画を、
ずっと待っていました。
これは期待しています。
ヒアム・アッバスも出ているし。

2017年9月17日日曜日

Une Estonienne à Paris

見ようかなと思ってなかなか手が出なかった作品、
先日ジャンヌ・モローが亡くなったというニュースを見て、
ここはやはり見ておこうと手に取りました。
それは、

Une Estonienne à Paris (『パリのエストニア人女性』・2012)

です。
この映画の邦題は、なんと
『クロワッサンで朝食を』。
邦題についてとやかくいうのはやめておこうと思うのですが、
これはあまりといえばあんまり。
配給会社は、一人でも多くの人に届くように、
的なことを言うのでしょうけれど、
内容を裏切ってはまずいでしょう。
せめて、『パリ16区、故郷(ルビで「エストニア」)を捨てた女』
くらいでいいんじゃないでしょうか。

https://www.youtube.com/watch?v=tZ0K42OTYtQ

(邦題はひどいですが、
この予告編はちゃんとしてますね。)

映画自体は、清潔で、初々しくて、よかったです。
話自体はシンプルで、
2人の子供を育て上げ、
12年前に離婚し、
最近介護していた母親を亡くしたエストニアの女性アンヌが、
やはりエストニア出身で、
もうずっとパリで暮らしている老女フリーダのもとに、
家政婦としてやってくる、という設定です。
(監督はエストニア人です。)

ここには、へそ曲がりの老女とやさしく強い女性の和解、
という物語以上のものがあります。
それは、性にまつわることなんですが、
その表現がとても抑制的で、
それが清潔な印象をもたらすのでしょう。
アンヌが、短めのスカートにハイヒールで現れたとき、
とても勘のいい観客なら、
なにかを予感するのかもしれません。
(わたしはその時は気づきませんでした。)

そうそう、
わたしはDVD で見たのですが、
特典映像の中の「美術」担当の人の話がおもしろかったです。
décor は、音楽の休符と一緒で、
沈黙で(観客に)語りかける、というのです。
そして、観客が室内の見取り図を思い描ければ成功だと。
ああ、そんなことを思っているんですね。

9.11 × 3

9.11 から、数日が過ぎました。

今 9.11 と言うと、
あの同時多発テロのことを思い浮かべますが、
わたしが知っているだけでも、
あと2つ「9.11」があります。

1つは、1973年のチリ・クーデター。
あのピノチェトが「君臨」するきっかけになったのですね。
ピノチェトの悪名は、
わたしより上の、学生運動に関わった世代には、
とても良く知られているようです。
『戦争より愛のカンケイ』の中にも、
活動家たちが、
反ピノチェトの署名を集めている場面があります。

もう1つは、カタルーニャの日。
最近は、カタルーニャの独立がよく話題になりますが、
1714年、スペイン継承戦争のときにバルセロナが陥落したのが、
この日でした。
で、今では 9.11 が、カタルーニャの日、になっているようです。
独立の住民投票のとき、
もしバルサの選手たちが賛成を呼びかけたら、
けっこうな効果があるでしょうね。

Critiques Presse

映画関連サイトの ALLOCINE には、
個別の映画に関する、
メディアの批評が集められていることがあります。
昨日見た Raid dingue もそうした1本でした。

http://www.allocine.fr/film/fichefilm-238378/critiques/presse/

予断を持つのがイヤなので、
映画を見る前に読むことはありませんが、
後から確認してみることはあります。
で、
今回ものぞいてみたんですが……

これが意外にキビシイ評価で、
たとえば Le Nouvel Observateur は、

A la fin, un carton rend hommage
"à toutes ces femmes et tous ces hommes
qui risquent leur vie afin de protéger notre joie de vivre".
Et rien, pas un mot pour nous, spectateurs,
qui avons tenu jusque-là. Raide, en effet !

と言っています。
ここで引用されているオマージュは、
映画の最後に出るもので、
たしかにこの映画は、
Raid というエリート警察組織の人たちに捧げられていて、
ここはわたしも、
ちょっとひっかかりました。
要は、この Nouvel Obs も、そして Le Monde も、
この警察集団に対する無条件の賛辞に対して、
違和感を表明しているのでしょう。

以前日本でも、いくつかの映画について、
これに近いコメントがありました。
国のために命を捨てることを賛美していいのか、
戦闘集団としての自衛隊を英雄的に描くのはどうなのか、
というわけです。
ただ日本では、
こうした指摘が、
大メディアで発せられることはほとんどなく、
そこがフランスにおける映画批評とのレベルの違いだと言えるでしょう。
飛躍しますが、
先日も France 2 のニュースを見ていたら、
「政治的正しさ」を求めすぎることの弊害について、
という話題がありました。
日本ではまだ、
「政治的な正しさ」を理解していないと思える政治家も多く、
こうしたニュースが流れるのはまだずいぶん先のように思えました。

話を Raid dingue に戻せば、
わたしはやはり、
ミソジニーを対象化したこと、
コメディーの主役に女性を置いたこと、
を評価したいと思います。
エリート警察の無条件の賛美はたしかに余計ですが、
弱点はむしろそれよりも、
ミソジニー男の救済が、
わりと安易に達成されてしまったことではないでしょうか?

Raid dingue

そもそも、
なぜこの映画を見る気になったのかが思い出せないのですが、
とりあえず今日見たのは、
ダニーブーン監督・主演の

Raid dingue (『イカレタRAID』2017)

です。
Raid とは、「フランス国家警察特別介入部隊」と訳される組織で、
まあ、警察のエリート部隊で、


Recherche, assistance, intervention, dissuasion

を任務としています。
(この頭文字が、名称になってます。)

https://www.youtube.com/watch?v=jJzZ5idFxxY

これ、おもしろかったです。
というのも、ベタな恋物語ではなく、
物語の中心に「ミソジニー」が置かれていたからです。

ヒロインのジョアンナは、
使命感に燃えた警察官。
そして彼女の夢は、Raid に入ること。なんですが、
いつも失敗ばかりの彼女は、
まったくRaidの選考にひっかかりません。
それでも、婚約者がとめても、
両親がとめても、
彼女の気持ちは変わりません。
で、内務大臣である彼女の父親は、
Raid のチーフに頼むのです、
研修生として参加させ、
うんざりさせて、自分から辞めるように仕向けてくれと。
でも、そこはコメディー、
ケガの功名がジョアンナをさらに勇気づけ……
というお話。

ダニ・ブーンは、
弟が奥さんに駆け落ちされ、
いわば二重に人間不信。
特に女性不信はひどく、ほとんどミソジニー状態です。
で、そんな彼が、
ジョアンナの教育係に指名され、
そこから騒動が始まるわけです。

マッチョで女性蔑視の表現としては、
たとえば「女性」と言うときに、
femme ではなく、gonzesse と言ってみたり。

フランス語について言うと、
ダニー・ブーンの役名は Froissard なんですが、
奥さんに逃げられた彼のことを、
陰ではみんな poissard と呼んでいます。
この poissard 、wiktionnaire によれば、

https://fr.wiktionary.org/wiki/poissard

つまり、

Malchanceux, poursuivi par la déveine, la poisse.

で、「ツキのないやつ、不運に見舞われる人」
くらいの意味もあり、
ここはまさしくそれなんですが、
この用法が、ロワイヤル中辞典にも、ロベール大辞典にも、
出てないんですね。

それからもう1つ。
これはまあ、日本でもまあまあ知られた用法だと思いますが、
たとえば、

Elle est bonne.

というと、
これはほぼ完全に、
性的な視線で女性を見ているときの表現になるようです。
英語なら、

She is hot.

なんでしょう。
ダニー・ブーンはジョアンナに、
意図せず

Tu es bonne.

と言ってしまい、彼女は、

Ah bon ? Je suis bonne ?

と訊き返します。
あなた、セクハラですよ、という感じで。
もちろん彼は、
あわてて否定するわけですが。

この映画は、
ミソジニーをはっきり(否定的に)意識しているので、
まずそれが安心。
そしてヒロインが元気で、好感が持てる。
さらにセリフが、気取らず、おかしみもあり、
飽きがこない。
というわけで、
B級コメディーに見えますが、
なかなかおもしろかったのでした。

2017年9月16日土曜日

「東京、リオ五輪で買収」

ガーディアンのこの記事、

https://this.kiji.is/281001472756302945

日本でも、
報道されてはいます。

https://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK40642_U7A910C1000000/

ただし、日本のメディアには、
この問題を独自に追及する様子は感じられません。

的屋が、縁日の正統性を問うことはない、
ということでしょうか?

Châtelet

先日の、
Villejuif でのテロリスト逮捕に続いて、
今日は、
今もっともパリらしい場所の一つ、シャトレで、
刃物を持った男が兵士を襲う事件がありました。

https://fr.news.yahoo.com/paris-militaire-lop%C3%A9ration-sentinelle-attaqu%C3%A9-homme-arm%C3%A9-dun-063743162.html

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170915-00000040-jij_afp-int

シャトレは、
使っている人がめちゃめちゃ多い駅ですね……

いつかまた、
大きなテロがあるんじゃないかと心配です。
早く「平等な」社会が出現することを願っています。

2017年9月15日金曜日

『皆殺しのバラッド』

昨日は、
大学で防災訓練があり、
避難、煙体験、地震体験、
などをこなしました。
地震は、起震車を使って、
震度7を体験。
これはヤバイです。
また煙が充満して何も見えない部屋では、
とにかく壁伝いに行き、
早く出口を見つけることが重要だそうです。

で、今日は、
夏休みの課題として出したレポートの締め切り日で、
それらのレポートを読みました。
(まだ半数ぐらいですが。)
あえて難しそうな本を選んでいる学生もわりといて、
好感が持てました。

そして映画は、
先日見た『闇の列車、光の旅』の補強として、

『皆殺しのバラッド  メキシコ麻薬戦争の光と闇』

というドキュメンタリーを見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=neyQm0bSNb0

子どもたちが、ギャングをヒーロー扱いするのは、
とてもマズイことだと思います。
子どもたちの気持ちもある程度理解できるだけに、
それをさせないようにする方策が必要でしょう。
自分は安全地帯にいて、
ギャング賛歌を歌って儲けるなんて、
まったくゲスですね。

2017年9月13日水曜日

La route d'Istanbul

信頼できる監督の一人、
Rachid Bouchareb の

La route d'Istanbul (2016年 9月)『イスタンブールへの道』

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=1XCEwbjjR5I

これは……
そうです、
「ふつう」の家庭の少女が、
突然、シリアのテロ組織(つまりIS)に加わるため、
家を出ていくというお話です。
こうした物語は、
すでに2つ、ここでも取り上げました。

Ne m'abandonne pas (2016年 1月)
http://tomo-524.blogspot.jp/2016/05/ne-mabandonne-pas.html

le ciel attendra (2016年 10月)
http://tomo-524.blogspot.jp/2017/07/le-ciel-attendra.html

3本の公開が、これだけ近接しているということは、
お互いの作品を見ないで作っているということでしょう。
結論から言うなら、これら3本は、
どれも ◎ だと思います。

舞台はブリュッセル郊外。
静かな湖畔の一軒家に暮らす、エリザベスとその娘、エロディ。
エリは訪問看護師として、
地域の人に頼られる存在。
平和に暮らしていると信じていた彼女ですが、
ある日、エロディが帰ってきません。
2日後、警察に相談するも、
18歳で成年に達しているため、
警察も動きようがありません。
そしてある日、エロディの友だち、
アフリカ系のクリスタルのところに、
エロディから連絡が入ります。
彼女は、カレシ(=リクルーター)のカデールと一緒に、
キプロス島にいました。
そこからトルコに入ると言っています……
それを知ったエリザベスは、
いてもたってもいられず、
トルコに向かいます。
けれども、見つかるはずもなく……

<以下ネタバレです>
しかしそんな時、地元警察が、
監視カメラに映ったエロディを発見します。
彼らは、シリアのラッカに向かったようだというのです。
1人、シリアに向かおうとするエリザベス。
しかし、シリアの国境はすべて封鎖されていて、
ついにはトルコの国境警察に連行されます。
そしてついた先は、またしても地元警察。
そこで告げられたのは、
ラッカで、「連合軍」によるドローン爆撃があり、
死者が出ている、ただしエロディは、
命を取り留め、イスタンブールの病院にいる……
もちろんエリザベスは、病院にやってきます。
娘は、そこにいました、
傷だらけで、右足首を失って。
エリザベスは言うのです、
「もう大丈夫。わたしが家に連れて帰るから。
ぜんぶ面倒みてあげるから……」
そしてエロディは、なんと答えたでしょう?
「ママ、お願い、
わたしを兄弟たちのもとに返して。
彼らが、全部世話してくれるから。
ねえママ、手伝ってくれる……?」
母親は Oui. と答えます。
そして病室を離れ、
暗い階段で泣くのです……

そして、この映画にあって、
他の2本にはなかった視点、
それは、トルコのおじいさんの言葉の中にありました。
彼は、エリザベスに向って言うのです、
「あんたたちは、自分のこどものためならここまでくるんだ。
でも、おれたちが死にかかっていたときは、
見向きもしなかった」

これは、ロードムーヴィーだと言えるのでしょう。
でも、こんなに厳しい道行きは、
そんなにあるものじゃありません。
さすが Rachid Bouchareb です。

18e

そろそろ秋学期の始まりが近づいてきました。
で、
『フラ語入門』も、
おかげさまで18刷りが決定しました。
いつもながら、merci beaucoup !
今回は、例の新しい帯(「10万部突破!」)を
作ってもらったおかげでもあるでしょう。
全方位的に感謝です!

Taularde

昨日に続いて、
Audrey Estrougo 監督の作品、
今日は、

Taularde  (『囚人』・2015)

を見てみました。
よかったです。

https://www.youtube.com/watch?v=LQSyvg2FsN0

主演はあのソフィー・マルソーなんですが、
ここでの彼女は、ドレスとも、パーティーとも、
イケテル男性とも無縁です。
彼女は囚人なのです。

高校の文学の教員であるマチルドには、
24歳になる息子がいます。
でも彼女は、
「無実だ」という夫の言葉を信じて、
彼を刑務所から脱獄させるのに成功します。
ただその代わり、彼女が逮捕され、
4年の刑を言い渡されます。
(実際は、2年で出所できると踏んでいます。)
つまり、夫と立場を入れ替えたわけです。
ところが、
いざ刑務所に入ってみると、
そこはマチルドの想像を絶する世界で、
同房の若いアフリカ系女性カンテには、いきなり、
わたしのものに触ったら殺す、
と脅されます。
しかも、これが大事なんですが、
脱獄したはずの夫から連絡がありません。
脱獄に協力した夫の弟からも。
さらに彼は、逃走中に人を殺したらしく、
それに使われた銃を用意したマチルドは、
最悪10年の懲役を食らいそうです。
マチルドは、いろいろ策を弄しますが、
結局、夫とは連絡が取れないまま。
しだいに夫不信に陥ります。
刑務所では陰惨な事件も起こり、
ついに彼女が、弁護士の忠告に従い、
すべてを話そうと決意した時、
事件は起こります……

この監督の作品には、
独特の緊張感があります。
特に、刑務所内ですべての物語が進むこの作品では、
その緊張が全編に漲っています。
ソフィー・マルソーはいい演技で、
見直しました。


新宿で『ラ・ブーム』を見たのが、
遠い遠い昔です。

またこの作品は、
女性群像劇の様相も呈していて、

所長 :アフリカ系女性
   (昨日見た、Une histoire banale で、ヒロインを助けるMarie-Sohna Condé)            
看守1:アラブ系女性
   (『パリ警視庁未成年特別保護部隊』にも出ていたNaidra Ayadi)
看守2:ヨーロッパ系女性
   (昨日見た、Une histoire banale の主演であるMarie Denarnaud)
看守3:ヨーロッパ系女性
   (『戦争より愛のカンケイ』で、活動家の母を演じたCarole Franck)            

囚人1:ヨーロッパ女性
   (『最強のふたり』の Anne Le Ny
囚人2:アラブ系女性
   ( つい先日見た Chouf で、主人公の恋人役だったNailia Harzoune )                    

囚人3:アフリカ系女性
   (Regarde-moi に出ていたEye Haidara)




彼女ら以外にも、
特に囚人には、
いろんな人がいました。
結婚して10年、
夫に殴られなかった日はなく、
ある雪の日に外に放り出されたとき、
夫を銃で撃ち殺した女性も。
(彼女は、警察が来るまで、
幼い息子を抱きしめていました……)

看守1と囚人2は、ともにアラブ系ですが、
激しくやり合います。
看守のNaidra は、
そうした態度を所長にとがめられると、
アラブ系ってひとまとめにしないでください、
わたしはあいつとは違うんです、
と答えます。

<以下ネタバレ>
物語の終わり、
マチルドがある騒動の結果入れられた独房から出されます。
所長は彼女に、
逃亡中だった夫の死を告げます。
そして、死んだ今となっては、
もう隠す必要はない、と言って、
夫からの大量の手紙を受け取るのです。
夫は、連絡していたんですね……

特に印象に残ったセリフは、
所長がマチルドに言う、このセリフ。

... tu n'es pas plus forte que le système.
あんたは(ここの)システムより強くはないんだよ。

そしてまたこの所長は、
映画全体のラストのセリフとして、
こうも言います。

C'est 10 ans ou pas, tu sortiras avant moi.
10年かかるるにしてもそうじゃないにしても、
あんたはわたしより先に(ここを)出ていくんだ。

刑務所に関わる女性たちは、
それぞれにそれぞれです。が、
少なくとも今は、
このシステムのもとで生きてゆくしかありません。
たとえPQ(トイレットペーパー)が足りなくても、
三つ編みが許されなくても、
男がいなくても、
毎晩シラミにやられても。
そして看守だけは、仕事を止めれば、
出ていくこともできます。
(実際看守2は、「暴動」の真っ最中に、
もう無理、と言い残して帰ってしまいます。)
でももちろん、外には外の、
別の「システム」があるのです。

わたしたちは、みんな、taulard(e) なのでしょうか?

2017年9月12日火曜日

Une histoire banale

Audrey Estrougo は、
気になる監督の一人です。
彼女の作品は、2作見ました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/09/regarde-moi.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/01/toi-moi-les-autres.html

これらは2作ともおもしろくて、
しかも雰囲気がまるで違っていて、
この監督の幅の広さに感心しました。
で、
ちょっと見るのが遅れてしまったこの作品、

Une histoire banale  (2014)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=MVABkdGrjgE

これは…… なかなか厳しい映画でした。
30歳で、
アフリカ系の恋人もいて、
仕事もあって、
友だち関係も充実している、
ヨーロッパ系の女性、ナタリー。
でも、
そうした幸福な日々が、
ある晩の事件をきっかけに、
壊れてゆきます。
彼女に付きまとっていた同僚の男性に、
レイプされてしまうのです。
人間恐怖症になり、
手首を切って危うく死にかかり、
恋人には、
わたしはあなたにふさわしくないから別れて、と泣きます。
見ていてつらいです……。

その後も彼女は、自棄的なこうどうに走ったりもしますが、
最終的には、
相手を告訴し、
自分の生活を再構築し始めるのです。
(よかった…… がんばれ……)

上に挙げた予告編にも使われていますが、
ベートーヴェンの交響曲7番の、
あの美しい第2楽章。
これが、
ラストのシークエンスで、
「事件」を乗り越えようと決意した彼女の背景で流れるのです。
この第2楽章は、
美しいだけでなく、
たしかに、
決然とした響きがこもっていることに、
今頃気づかされました。

いいとか悪いとか言えない、
リアルで強い映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=bqtPVEuAbzM

2017年9月11日月曜日

Bon anniversaire, Manon !


マノン、ついに2歳になりました!
(パチパチパチ!)
これは今日の午後、
冷蔵庫の上でくつろいでいるところです。
いつまでたっても可愛いです。

Les deux amis

ゴルシフテ・ファラハニと言えば、
『彼女が消えた岸辺』や、
Just like a woman(『マリリン&モナ』)
が思い出されます。
で、今回は、
彼女を頂点とした amour à trois (三角関係)を描く、

Les deux amis

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=MSMuPZERoYE

この映画は、ちょっと変わった設定で、
ゴルシフテ・ファラハニ演じるモナは、
今刑務所に収監中で、
週末に外出を認められている、という状況にあります。
だから、門限に遅れることはゼッタイできません。
もう外出できなくなってしまうからです。
で、そうして外出したモナは、
パリの北駅構内で、売り子の仕事をしているのですが、
その彼女を見かけたクレマンは、
彼女に一目ぼれ。
でもモナのほうは、恋愛どころじゃありません。
困ったクレマンは、親友のアベルに相談。
アベルはモナに会いに行ってくれるんですが、
そこで、この二人は魅かれ合い……
というお話。

ゴルシフテ・ファラハニは、
芯が強くて激情を抱えている感じが、
体全体から発散していて、
すぐれた女優だと感じます。
ただ物語自体は、なんというか、小さい印象でした。








ドームへ

今日(というかもう昨日ですが)は、
久しぶりに野球を見に行ってきました。
ライオンズ vs. ファイターズ
です。
(残念ながら、お目当ての大谷選手は出場せず!)

7回裏の攻撃前

ホームランが4本出て、
それは独特の味わいがありました。
ただ、ライオンズにはエラーが多く、
一方ファイターズの下位打線(5番以降)は、
あまりに打率が低い!
中には1割を切っている選手もいて……。
選手層の薄さが気になるところです。

席は、一昨日HPで、残り物を買ったわりには、
なかなか見やすかったです。
(わたしは、S席より、むしろA席が好きです。)


結果は8対7で、
一般に「一番面白い」と言われるスコアでした。
前日の試合が1対0だったことを思うと、
やっぱり、点が入ったほうがおもしろかった、かな?

2017年9月9日土曜日

Dégradé

2007年に、
ガザ地区でライオンが盗まれ、
ハマスがそれを助け出す、
というニュースがありました。
かすかに記憶があります。

http://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-26811420070710

で、今日見た映画、

Dégradé (2015)

は、この事件にヒントを得て作られたそうです。
ライオンを盗んだのは、
地元のワルの親分で、
見世物にして金を稼ぐだけではなく、
自分の力を誇示するためだったようです。
で、
フィクションとしての映画の中でも、
ライオンを盗んだのは、
やっぱりワルの一人なんですが、
ただし映画のほとんどの時間は、
このワルが住む家の、
わりと広い道を挟んで正面にある、
美容室(兼エステ・サロン)が舞台です。

https://www.youtube.com/watch?v=7HVf0A2Ntqk

このサロンは、
ロシアからの移民であるクリスティーヌが経営していて、
今日は彼女の小さな娘も来ています。
そして、1人だけの従業員ウェダッドは、
実はライオンを盗んだ男のカノジョです。
さらに今日は、このサロンに10人のお客さん。
たとえば、


みんな一癖ありそうで、実際あります!
このほかにも、
今日これから結婚式を迎える花嫁、
その母親、義母、義妹、
陣痛が始まった妊婦さんとその姉、
そして我らがヒアム・アッバス演じる、
ちょっと正体不明の、
でもその電話の内容からすると、
これから駆け落ちでもしそうな「熟年」の女性もいます。

サロンの中は暑いし、
なかなか順番は来ないし、
アシスタントのウェダッドは仕事そっちのけで電話ばかりだし、
店内の空気は次第に重く、ヒステリックになってゆきます。
そんなときです、
なんと、店の正面で激しい銃撃戦が始まるのです!
これは、
ライオンを奪還に来たハマスと、
ワルたちとの戦いでした。
女性たちは、身動き取れなくなり……

ちょっと舞台じみたこの映画、
わたしは、とてもいい! と思いました。
全体として何かが沸騰していく感じも、
個々の人間の描き分けも。
そして新鮮だったのは、
なんといっても舞台がガザであること。
ここで暮らす市井の人たちが、
ハマスをどう考えているか
(→マッチョなバカ者だ)、
イスラエルをどう考えているか
(→エルサレムの、ちゃんとした医者に行きたくても、
なかなか通行証を出してくれない意固地)、
ここガザでの暮らしを、どんな風に送っているか
(→この暮らしに慣れて、
満足じゃないけど、なんとか暮らそうとしている)
というようなことが、
言葉の端々に現れていて。

『オマールの壁』のハニ・アブ・アサド監督。
彼の『歌声にのった少年』もまた、
ガザが舞台のようです。
こちらも近々見てみましょう。

*Dégradé は、
「フランス・カタール・パレスチナ映画」です。
言語はアラビア語。
わたしはフランス語字幕版で見ました。

*このタイトルは、ふつうは、
「堕落した(←グレードを下げた)」
くらいの意味でしょうけど、
ここでは、表面上は、ある髪型のこと。
「段カット」ですね。

*同じDVDに入っている
短編は、セリフが一切なく、
赤ちゃんと夫婦がいるだけ。
そして、夜の砲弾の音に、
赤ちゃんが泣くのです……

*監督は、Arab とTarzan の、 Nasser兄弟。
パレスチナ出身で、これが長編第一作。
次が楽しみです。

「元経済ヤクザだからわかる、北朝鮮の……」

一見キワモノ的ですが、
けっこう穿っている見方だと思いました。
国家というのは、
暴力装置だと言われます。
(やや学生運動っぽい言い回しだとしても。)
だとすれば、
この記事の比較はイケテルことになるでしょう。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170907-00052816-gendaibiz-int

2017年9月8日金曜日

『並木道』


モンマルトル博物館の、
「映画の舞台としてのモンマルトル」展
で紹介されていて、
気になった映画、

『並木道』(Boulevard, 1960)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=yipNsX6TeIs ←冒頭部分

ジュリアン・デュヴィヴィエの監督・脚本なんですが、
これほどはっきりミソジニーが示される映画も、
珍しいんじゃないでしょうか?
あきれました。

主人公は、まだ大人になりかけというくらいの少年、ジョジョ。
彼は、ピガール広場に面した建物の最上階、
といっても一間しかない煤けた部屋に住んでいます。
というのも、彼には、
やもめになった父親が、
新しい恋人を家に連れてきたことが気に入らなくて、
彼女を殴って家を飛び出したからです。
ジョジョは、日々の食事にも事欠く状態です。

ジョジョは、同じ階に住む年上のヌードダンサーに憧れていますが、
まったく相手にされません。
そして彼女は、
チャンピオンになりそこなった元ボクサーと恋に落ち、
それを知りボクサーに殴りかかったジョジョは、
返り討ちにされます。

(以下ネタバレします。)

その後ジョジョは、
やはり同じ建物に住む、
イタリア系の少女と付き合い始めます。
(建物の屋根の上でのデートのシーン、
これはとても魅力的でした。上の本の画像。)
が、ジョジョがデート代がないため約束をすっぽかした時、
退屈しきった少女は別の少年とデートに出かけ、
それを見かけたジョジョは怒り狂い、
屋根に上ってネオンを叩き壊し始めます。
彼は、自殺する気なのです。
でもその時、
彼の父親が駆け付け、ジョジョに言うのです、
あの女を平手打ちして、追い出してやったぞ! と。
それを聞いたジョジョは急に笑顔になり、
映画の中で一番という笑顔で高笑いします。
そして、その笑い声の中、
映画は終わるのです。
ひどいですね。

ジュリアン・デュヴィヴィエって、こんなにミソジニーでしたっけ?
そういえば、
『我らの仲間』はまったくホモソーシャルな映画だったし、
『殺意の瞬間』も、ミソジニー的でした。

(ちなみに、
いわゆるヌーヴェル・ヴァーグの監督たちも、
多くがミソジニーだという指摘もあります。

https://www.amazon.fr/Nouvelle-Vague-cin%C3%A9ma-masculin-singulier-ebook/dp/B00MX0G2WK/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1504839544&sr=8-1&keywords=Genevi%C3%A8ve+Sellier%2C+La+Nouvelle+Vague+%3A+un+cin%C3%A9ma+au+masculin+singulier

また、この映画が公開された960年には、
『勝手にしやがれ』も公開されています。
時代感覚が、ずいぶん違います。
(ただ、『勝手にしやがれ』の主人公は、
19世紀的ロマンチストだと、言えば言えるでしょう。)



ジャン・フランソワ

今まで、
東京でフランス風のバゲットを探す、
ということはしてこなかったのですが、
なぜか今回は、
そういう感じのバゲットが食べたい気分で、
今朝は、
表参道エチカにあるパン屋、
ジャン・フランソワで買ってきてもらったバゲットを。

Mmm、これはおいしい。
まあ、有名な店なので、
何をいまさら、ということなのかもしれませんが、
かなりおいしいと思いました。

探せば、
おいしい店はまだいろいろあるのでしょうね。
グルニエ・オ・パンとジャン・フランソワのバゲットを試してみて、
そう感じました。



photos parfaites d’Instagram

ここしばらく、
インスタ映え、
なる表現を耳にすることも多いです。
また、メディアを通して、
スター達のインスタを目にすることもあります。
(フランス語ならアンスタです。)

その完璧な写真……
をからかっている人がいました。
そんなの作り事でしょ!?
というわけです。

https://fr.style.yahoo.com/blogueuse-moque-photos-parfaites-d-slideshow-wp-125759226/photo-p-chessie-king-montre-l-photo-125759217.html

まあね、
そんなもんだろうとは、
みんなうすうす気づいてはいるのでしょうけどね。

2017年9月7日木曜日

「高まるスー・チー氏批判」

このニュース、
日本での取り上げられ方がかなり弱い気がします。

https://jp.reuters.com/article/rohingya-suu-kyi-idJPKCN1BH0R9?rpc=122

正確なことはわかりませんが、
往々にして、国家が、
自分に都合の悪い集団を「テロリスト」と呼ぶのは事実でしょう。

それにしても、スー・チー氏に対しては、
期待が大きいだけに、
批判も大きいのかもしれません。

****************************************

追記>

この後、ついにスー・チー氏の発言がありました。

https://www.cnn.co.jp/world/35106892.html

ちょっと頼りないような……。

そしてエルドワン。
反動的で強権的なところは賛成できませんが、
こうした行動力はなかなかです。

外交というのは、
何かと言えば、
断固抗議する、
などと力み返って見せることではなく、
思想を持ち、
そして具体的な窓口、チャンネルを、
つねに作っておく作業なのでしょう。

2017年9月6日水曜日

Le Grenier à Pain

昨日、写美に行ったついでに、
恵比寿駅のアトレ西館にある、
Le Grenier à Pain(ル・グルニエ・ア・パン)に寄って、
バゲットを買ってきました。

パリから帰ってから、
家の近所のパン屋さん、
5軒くらいでバゲットを買ったのですが、
それらは、あくまでバゲット・ジャポネーズなのでした。
(バゲット以外なら、おいしいパンがあるお店なのですが。)
で、
ここはやっぱりフランスの店、
ということで、
アトレに寄ることになったのでした。

結論からいえば、
これはたしかにフランセーズだと思いました。
最大のポイントは、
クラム(中の白い部分)の食感と味でしょうか。
実は、バターを保冷バッグに入れて持ち帰ったので、
これと合わせて食べてみたところ、
やはりいい感じではありました。

恵比寿の、フランセーズのバゲットは、
たしかにやや高いとはいえ、324円。
たまには許せる範囲ですね。

Le Petit Locataire

「幸福な家庭はどれも似たものだが、
不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸な ものである」
と書いたのはトルストイでしたが、
どうでしょう、
幸福な家庭もまた、それぞれに幸福なのかもしれません。

カリン・ヴィアールが主演したこのコメディー、

Le petit locataire (2016)

は、そんな後味を残す作品です。

https://www.youtube.com/watch?v=GCRZVoj56io

49歳になるニコル(カリン・ヴィアール)は、
なぜか体調が悪いと思っていたら、
まさかの妊娠! でした、
孫ももうすぐ小学生になるというのに。
ニコルの夫は、かつては体操のフランス代表候補だったのですが、
ここ2年、正規の仕事に就けていません。
長男のヴァンサンはフランス軍の潜水艦で炊事係、
長女のアリエルは、子供がいるにもかかわらず、
毎晩遊びまわって午前様。
ニコルの母は、だいぶボケが始まっています。

話しとしては、
この妊娠を進めるのか諦めるのか、
進めるなら、この先どうすればいいのか、
ということに尽きるんですが、
そんなまあ他愛無い話なのに、
面白く仕上がっていました。
それはなんといっても、
カリン・ヴィアールの存在が大きいです。
ほんとに、好きな女優です。

ジハーディストになった息子に

麻薬がらみの犯罪を犯し、
その罰として刑務所にいる間に洗脳され、
出所後、アルジェリアやトルコなどを経てシリアに向かった息子。
その息子から、
もうフランスに帰りたいから金を送って欲しい、
と言われた母親は、
もちろんお金を送りました。
そしてそのことが、
テロリストを支援したとして、
罪に問われています。

http://www.non-stop-zapping.com/actu/tv/la-mere-dun-djihadiste-jugee-pour-financement-du-terrorisme-se-confie-video-62244

このような例は、
彼女だけではなく、
たくさんあると言います。
これは娘に送ったという母親です。

http://www.lavoixdunord.fr/213566/article/2017-09-05/oui-j-ai-envoye-de-l-argent-ma-fille-en-syrie

もちろん、この母親たちが悪いなんて、
まったく思いません。
でも、いったんこうした送金がOKとなると、
テロリストがこれを悪用するのは目に見えていて……
難しいですね。

強制送還へ

トランプ大統領が公約に掲げていた、
DACA(移民救済制度)の撤廃。
当初言っていた「即時」ではないものの、
ついに、撤廃の方向がはっきり打ち出されました。
この結果、ドリーマーと言われる、
子どもの頃不法移民としてアメリカに来た人たち(80万人)への、
滞在許可が下りなくなり、
強制送還になるかも、という話です。
オバマ元大統領は、
はっきりこれを批判。
各地でデモも起きています。
当然でしょう。
一方で保守派の中には、
まだ手ぬるい、という政治家もいます。
移民が仕事を奪っている、という、
きわめて根拠の薄い物言いに固執しています。
移民たちがいなくなったら、
アメリカが回っていかないことは明白なんですが。

ドリーマー、というのは、いいですね。
もちろんこれは、
アメリカン・ドリームという表現と繋がっているのでしょう。
彼らは、故郷を捨て、
今はもう20年もアメリカで暮らす人もいるわけで、
強制送還なんかされても、
出身国にはもうなにも残っていません。

ドリーマーたちの多い都市としては、
ヒューストンが挙げられます。
先日見た映画、『闇の列車、光の旅』でも、
ヒューストンの名前が聞かれました。
今は洪水で大変ですが……。

アメリカが閉じていくのは、とても残念です。

2017年9月5日火曜日

「センチメンタルな旅 1971ー2017ー」

写真美術館で公開中の、
これに行ってきました。

https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2795.html

私小説、
という言葉は、
もちろん死語ではないですが、
以前に比べると、
目にする機会が 1/10 くらいになった気がします。
わたしは基本的には、
私小説は嫌いではなかった、
というかわりと好きでした。
葛西善蔵の『子をつれて』なんて、
当時(というのは30年くらい前ですが)とてもグッときました。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000984/files/47059_30421.html

私小説の背景には、
社会や、階層や、時代があって、
それらが、
出そうとしていないのに行間からにじみ出てくるとき、
前景で語られる物語もまた、
いわば立体的に立ち現れるのでしょう。
まあ、当たり前ですけど。

荒木の写真は、
ご本人もおっしゃっているように、
「私小説」に見えます。
ただし荒木の場合は、
カメラの後ろにいる彼の存在そのものが、
写真の背景とは別なレベルで、
もう一つの背景を形作ってもいるようでした。

違うフロアで行われている、
「コミュニケーションと孤独」
もおもしろかったです。
「らしさ(stereotype)」とコミュニケーションの関係というもの、
わたしには新鮮な視点でした。

「スクープドキュメント 沖縄と核」

これは見ないと。
今度の日曜です。

「スクープドキュメント 沖縄と核」

http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/trailer.html?i=11492

2017年9月4日月曜日

Pigalle

Bye-bye と Chouf がおもしろくて、
『熱砂の恋』がまったくおもしろくなかったKarim Dridi 監督。
どっちやねん! 
ということで、もう1本見てみました。

『ピガール』(1994)

です。
これは彼デビュー作で、
翌1995年には、 Bye-bye が公開されています。
(95年は、『憎しみ』の年でもあります。)

https://www.youtube.com/watch?v=VoSyUPIyMzc

舞台は全編ピガール。
それもほとんどが夜のピガールです。
(ピガールは、歌舞伎町みたいなものでしょう。)
フィフィという青年は、
2人の女性と「三角関係」になっています。
一人は、ヌードダンサーのヴェラ。
もう一人は、麻薬を売り歩くディヴィンヌ。
でも二人の女性たちは、
ワルの組織におどされ、利用され、
ピガールから逃れることができません。
で、小さないざこざや対立が重なってゆき、
彼らの関係も破綻してゆくのですが……
というお話。
もちろん、夜に蠢く怪しい男たちはたくさん出てきます。

結論から言うなら、
あまり引き付けられませんでした。
歓楽街を舞台にしたこの手の話は、
もういくらでもあるし。
フィフィの弟分のアラブ系の少年、
ヴェラの踊りが好きな黒人の中年男、
フィフィに二人で田舎で暮らそうと持ち掛ける年老いた同性愛者など、
注目して分析すればそれなりにおもしろいのかもしれませんが、
作品自体に、
そういう気を起させる力が足りない気がしました。

本筋ではないところで注目したのは、
ディヴィンヌ役を演じていたのが、
アンダルシア出身の有名振付師&ダンサー、
Blanca Li だったことです。
彼女は、とてもたくさんの仕事をしていますが、
たとえば、
ミッシェル・ゴンドリーが監督した、
ダフト・パンクの Around the world 。
この振り付けも、彼女が担当しました。

https://www.youtube.com/watch?v=_JPa3BNi6l4

あと、映画出演に関していえば、
実はこの映画でも、フラメンコを教える先生として、
顔を見せていました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/08/le-code-change.html

Blanca Li は、ほかに映画を撮ったりもしているし、
ほんとに多才な人です。

2017年9月2日土曜日

「ふらんす」9月号

発売から10日ほど経ってしまいましたが、
「ふらんす」9月号、
おもしろかったです。

巻頭には、「フランス映画祭25年」の特集が組まれ、
イザベル・ユペールと是枝裕和監督の対談もあります。
また、いつも巻末の映画シナリオを担当なさっている中条志穂さんによる、
1993~2017年のフランス映画(私的)ベスト10!
が紹介されています。
ああ、こういうベスト10もあるわけですね。

もしわたしが(あくまで私的な)ベスト10を選んだら、
少なくとも、
『憎しみ』と『最強のふたり』を外すことはないでしょう。
あとは、『戦争より愛のカンケイ』とか、
Tout ce qui brille(『キラキラしてる』)とか、かな?
ほんとに「私的」ですけど。
(でも同じ監督なら、『最強のふたり』ではなく、
Tellement proches を入れるというものアリだしなあ……)

そういえば、若いころは、
自分の「オールタイム・ベスト10」を選ぶときには、
『若者のすべて』(ヴィスコンティ)を入れるんだ、
と思い決めていましたが、
数年前久しぶりに見て、
もちろんいい映画なんですけど、
今は、もっと好きな映画が増えちゃったなあ、
と思ったことでした。

『闇の列車、光の旅』

先日、Hope という映画のことを書きました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/07/hope.html

これは、最近見たものの中では、
特に印象に残る作品でした。

こうした移民の移動を扱った映画と言えば、

http://tomo-524.blogspot.jp/2014/04/in-this-world.html

などが思い出されますが、
先日そんな話をしていて教えてもらった映画、

『闇の列車、光の旅』(2009)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=Q0ZKlsn720Q

この映画は、もちろん、この予告編が示したがっているような、
「愛と希望」の物語ではありません。

ストーリーラインは2つ。
一つは、メキシコの少年、カスペルの物語。
マラという、実在の強力な麻薬組織のメンバーである彼は、
掟を破って恋人を作っていました。が、
それを知ったリーダーは、彼女をレイプしようとし、
抵抗された弾みに彼女を殺してしまいます。
カスペルは、それが行われることを知っていて、
何もすることができません。
刃向かうことは、殺されることなのです。

もう一人は、ホンジュラスの少女、サイラ。
母を亡くし、祖母と暮らす彼女のもとに、
ある日、(おそらくは出稼ぎに出たまま)
10年以上不在だった父親が戻ってきます。
サイラは、この父親と、父親の弟三人とで、
アメリカに向かうことにします。
そこでは、父親の新しい妻と、
子どもたちが待っています。

そしてカスペルとサイラは、
アメリカへ向かう列車の屋根で出会います。
一方は、ギャングのリーダーとともに、
移民たちの金品を奪うつもりです。
一方は、新しい生活を求めて、
過酷な移動の途上です。
けれどもサイラを見たリーダーは、
その美しさに驚き、
すぐにレイプにかかります。
ただそのときカスペルは、
ついに自分を抑えられず……

この映画は、世間の評判も高く、
実際見ているときは、
はらはらのし通しで、
その引き込まれ具合は強烈でした。
サイラもカスペルもいいし。
もしまだ未見だったら、
これが見るべき一本なのはまちがいないでしょう。
(後期の授業では、これを見せようかとも思っています。)

ただ、2つのストーリーライン、
つまり「ギャング」と「移民」について言うと、
監督がこの2つを絡ませようと心を砕いているのはよくわかるのですが、
最終的には、
「ギャング」のほうがより強く印象に残るように思えます。
それは1つには、
旅立つサイラの日常や背景の描写が、
ほとんど皆無であるせいでしょう。
ディテールは、明らかに「ギャング」のほうが豊富なのです。
となると「移民」は、
ステレオタイプの中で認識される傾向が強くなってしまいます。
ここが、この映画の弱点だと、
わたしは感じます。

フランスでのプレスの評価は、
全体にとても好意的なものでした。
ただ、数少ない批判派の1つ、Le Monde の映画評は、
ハリウッドの映画文法に入れ込み過ぎたために、
内容が空疎になった、と指摘しています。
それも、わかる気がします。

METRO

メトロでのマナーに関するポスター。
おもしろいです。

http://www.designstoriesinc.com/panorama/marie_ebersolt1/

これを読んで、ふと思い出したのは、
品川にある有名企業に勤める人から聞いた話。
朝、品川駅から西に向かって、
サラリーマンたちが大河のように進む道があるのだそうです。
そしてその様子を、
外国人旅行客が写真に収めていると。

東京にも東京の呼吸がありますね。

2017年9月1日金曜日

「犬は不浄?それとも友達?」

イランで、犬を飼うのがはやり始めているそうです。
変化というものは、
思わぬことろから始まることもありますね。

http://www.asahi.com/articles/ASK8Z5RNXK8ZUHBI017.html?ref=yahoo

フランスも首位に

ワールドカップ予選、
フランスは、オランダに勝って首位に立ちましたね。

https://fr.yahoo.com/sports/news/les-bleus-surclassent-les-pays-bas-210040854.html

https://www.youtube.com/watch?v=Rhiaql56SrY ハイライト動画

スウェーデンがブルガリアに負けたので、
doubler la Suède (スウェーデンを追い越す)
ことになりました。

[グループA]
1.フランス(16)+10
2.スウェーデン(13)+7
3.ブルガリア(12)-2
4.オランダ(10)+3
5.ベラルーシ(5)-8
6.ルクセンブルク(4)-10

それにしても、オランダ、大丈夫でしょうか!?



2017年8月31日木曜日

La Vérité ou presque

カリン・ヴィアールが出ているとなると、
ちょっと見たくなります。
で、そんな単純な動機で見始めたのが、

La Vérité ou presque  (2007)『真実、あるいはほとんど(真実)』

です。
2007年の公開なので、
つい最近の作品、ではありませんが。

冒頭は、人間関係の込み入った、
「おフランス」的&心理小説的なものに見えて、
失敗か? と思いましたが、
少し進むと、少しおもしろくなり、
見終わると、こういうのもあるかな、と思いました。

主な舞台はリヨン。
中心にいるのは、二人の男女で、
アンヌ(カリン・ヴィアール)とヴァンサンです。
アンヌは、実業家を気取るマルク(フランソワ・クルゼ)と離婚し、
トマと暮らし始めて10年。
トマの息子とも、なんとかやっています。
仕事はテレビのディレクターですが、
担当番組が打ち切られる予定で、
しかも新番組の企画がありません。
そしてヴァンサンは、
60歳過ぎの、評伝物を得意とする物書きです。
彼は同性愛者で、
若いリュカと暮らしていますが、
リュカはなかなかのイラチです。
さて、こんな二人が出会うのは、
あるリヨン出身の女性ジャズヴォーカリストを巡ってです。
ヴァンサンはこの歌手の評伝を企画しており、
それを知ったアンヌは、
それをドキュメンタリーとして番組を制作することを思いつくのです。
この、とうに死んだと思われていた歌手が、
実は……というあたりはおもしろいし、
かつての夫と関係を持ってしまったアンヌが、
そのことをヴァンサンに打ち明けると、
ヴァンサンンもまた、
自分の傾向に気づいたころのことを話します。
この二人のシーンは、
性的な関係を予感させない男女の会話として、
いい感じのものでした。

ラストのシークエンスで、
意を決したアンヌが、夫に向かって、
「実は、話してないことがあるの……」
と言うと、夫は、
C'est très bien comme ça.
「それでいいじゃない」
と答えるのです。
ちょっと大人な夫なのでした。

Bowling

マリー=カスティーユ・マンシオン=シャールの作品は、
これまでに3本見てきました。
整理すると、

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/07/le-ciel-attendra.html  ◎

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/07/ma-premiere-fois.html  △

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/03/les-heritiers.html  〇

中では、Le ciel attendra が一番いいと思いました。

で今回見たのが、

Bowling (2012)

https://www.youtube.com/watch?v=55tWykiyK2k

舞台はブルターニュ地方の、カレ。
(パ・ド・カレではありません。)
ここにある唯一の産院が、
経営上の理由から閉鎖を迫られます。
で、そのためにパリから、
人事担当者カトリーヌ(カトリーヌ・フロ)も送り込まれます。
一方その産院では、
マチルドを中心にしたボーリング・チームが結成されていました。
カトリーヌは、
さまざまな「リストラ」を模索する一方、
ボーリング・チームにも加わります。
で、物語は、
産院閉鎖を求めるグローバリズム的論理と、
社会民主的なローカリズムの対決、という構図の中で、
カトリーヌがどう変化していくか、
という点に一つの焦点が据えられます。

実話に基づいたコメディーで、
そこに反グローバリズム的方向が読み取れる、という映画は、
過去にもいくつかありました。
その中でも『ブラス!』は、
かなり近い感じ。
また、『パレードへようこそ』だって、
『フランス、幸せのメソッド』だって、
遠くはないでしょう。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/09/blog-post_99.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/02/blog-post_17.html

こうした作品群に比べると、
このBowling は、やや物足りない気がします。
スポコン的要素も、カトリーヌの変化も、
やや甘ったるい印象でした。
いい作品を揃えるというのは、
なかなか難しいものなんですね。

この論理

この国の副総理の発言が、
波紋を広げています。

「麻生の論法によるなら、
日本陸軍も大本営も動機は正しかったかもしれないが、
結果として何百万人の日本人犠牲者をだしたからだめなんだ
ということになる。
戦争から何も学べない、
何も学ばなかったひとの論理だな。
次は勝つぞ~、か」
(平川克美)

そして「日本陸軍」の「動機」には、
あのインパール作戦も、
当然含まれます。
ジャングルの中を、
途方もない距離を歩き、
兵站が途絶した結果飢えた日本兵たちが、
死んだ仲間たちの肉を奪い合い、
食べ、
物々交換し、
売りさえしたあの戦闘も。

そして海外でも。

https://www.theguardian.com/world/2017/aug/30/japan-minister-tara-aso-praises-hitler-right-motives?CMP=share_btn_tw


2017年8月30日水曜日

décalage horaire


時差ぼけ、というものに、
これまであまり縁がなかったのですが、
今回は、おおこれが! という感じでした。

昼間は、なにも問題なかった
(夜9時ごろ、強烈に眠くなるのを除けば)
のですが、
一昨日の夜です、
午前1時に寝て、
ふと目が覚めると、
1:45 !
そしてそこから、しばらく眠れないという……。
眠って、45分後に起きたのは初めてなので、
これが décalage horaire というものなのね、
と思ったのでした。
(そういえば、帰ってきて最初の3日くらいは、
夢が、半分くらいフランス語でした。)

で、やっと今日あたりから、
ほんとにふつうになりました。
(ヤレヤレ!)

2017年8月29日火曜日

Afrikanista

メニルモンタンで開かれた、
Black summer movie
に参加したと書きましたが、
そのとき売れられていたTシャツのお店が、ここです。

http://afrikanista.tictail.com/

欲しかったんですが、
35ユーロというのがちょっと高くて、
手が出ませんでした。
20、せめて25ユーロくらいだったら!

Tシャツは、肩飾り (épaulette) を付けると、+15ユーロです。
それを話した時の会話は……
これ、何に使うの?
肩飾りでしょ。
だから、その肩飾りは、何に使うの?
だって肩飾りでしょ!(と言いつつ爆笑!)

また、アフリカ系の兄弟、
そして家族が写っている写真を使ったTシャツがありますが、
兄弟のほうの小さいほうが、
そのシャツを着ているご本人。
家族のほうも、彼女(=写真家らしい)の家族で、
ピンクの服を着ているのが、
彼女の母親だそうです。
彼女は、モーリタニアの生まれで、
セネガルで育ったと言ってました。

彼女の名前は、Aïssé N'Diaye 。
この人です。

http://www.leparisien.fr/espace-premium/seine-saint-denis-93/aisse-n-diaye-met-l-afrique-a-la-mode-09-04-2016-5698983.php

そして、以下の記事を読むと、
彼女はかつて、
まだ十代だった頃、
フランス代表として、
「ミス・セネガル」コンテストに出たことがあるようです。
ただし、ここで言う「フランス代表」とは、
パリの、セネガル系の人々のコミュニティーの代表、
のことであり、
決して、国としての「フランス」の代表ではないのですが。

http://www.leral.net/PHOTOS-Aysse-Ndiaye-Miss-Diaspora-2010-Je-n-ai-pas-ete-Miss-Senegal-parce-que_a13422.html#

2017年8月28日月曜日

Bronx-Barbès

フランス・コート・ジボワール映画、
とはいうものの、
舞台は全編アビジャンという映画、

Bronx-Barbès

を見てみました。
ケ・ブランリ美術館の書籍部で、
たまたま見つけた映画です。

https://www.youtube.com/watch?v=hRtPgJhy2Q8&list=PLzVPz--bRuzahSZupYbuLJtK8ybWbCzve

DVDのジャケットには、
アフリカ系の3人のワカモノが写っていて、
短い解説文には、
2人のワカモノが、
ブロンクスのワル一味に加わり、
その後別れるも、
やがてバルベスで再会する、
というようなことが書いてあって、
おおそれなら、NYとパリを移動する、
なかなかおもしろそうな映画だ、
と思ったわけでした。
で、見始めたところ、
そこはコート・ジボワールの首都、アビジャンらしく、
しかも、10分経っても、20分経っても、
旅立つ気配がありません。
? と思ってもう一度解説文をちゃんと読むと、
(まあ、その時点ではうすうす気づいていましたが)
ブロンクスとは、アビジャンの一角にある、
ギャングが支配する地域で、
バルベスもまた、別のそうした地区であることが判明。
売り場の閉店時間が近づいていたとはいえ、
我ながらザツな読みに笑ってしまいました。
とはいえ、せっかく買ったので、
最後まで見てみました。

2人のワカモノとは、
クリスチャンのトゥーサンと、
ムスリムのニクソン。
学校もやめ、仕事も、未来も、まったく見えない2人。
彼らは、地元のワルに吹っ掛けられたケンカの最中、
事故的に相手を殺してしまいます。
で、かのブロンクスにかくまってもらうわけです。
そこでトゥーサンはめきめき頭角を現し、
ギャング内での地位を上げていきます。
一方ニクソンはうだつが上がらず、
一発逆転を狙って仕掛けた強盗にも失敗し、
あっという間に逮捕。
トゥーサンは、ニクソンの保釈金を払うため、
さらに大きな強盗を仕掛け……
というふうに、暴力の連鎖はとまらず、
人も死に続け、
レイプをきっかけに知り合った(!!)トゥーサンの恋人は、
彼の子を堕ろしてしまい……

こう書くと陰鬱な印象ですが、
なんといってもワカモノたちはエネルギーに溢れているので、
暗くはありません。
ただ、閉塞感は半端ないです。
そう、このエネルギーと閉塞感こそが、
Bronx-Barbès のテーマであるのでしょう。

女性監督のÉliane de Latour は、
人類学者でもあるそうです。
付録のメイキング映像には、
キャスティングの様子も収められ、
俳優たちがすべて地元の素人なのがわかります。
そして映画のタッチは、
とてもドキュメンタリーっぽい。
好みで言えば、わたしは計算されたもののほうが好きですが、
今回は、悪くないと思いました。
彼女は、
「あいまいな人道主義ではなく、
構築と破壊が繰り返されるその段階を追跡したかった、
と語っています。
なるほどね。

ともあれ、
アビジャン映画というのは初めて見たので、
早合点で買いましたが、結果オーライとなりました。



2017年8月27日日曜日

『サハラ、熱砂の愛』

カリム・ドリディ監督の作品、
今日見たのは

『サハラ、熱砂の愛』(Dernier vol)

です。

https://www.youtube.com/watch?v=JvPa4pPrYTI

1933年といいますから、両大戦間。
サハラのフランス領が舞台。
フランス軍の駐屯地に、
1人のフランス人女性が飛行機でやってきます。
冒険家である恋人(ただし彼には妻子あり)が行方不明になり、
その彼を救出しに来たのです。
が、トゥアレグ人たちとの軋轢に悩む部隊は、
彼女の願いを聞くはずもありません。
そんなとき、この部隊の方針から浮き上がっていた中尉が、
彼女を助ける決心をして……
というお話。

はっきり言いましょう、
つまらないです。
見るべきところが、
砂漠の風景以外ありません。
ドリディ監督は、
なぜこの仕事を引き受けたのでしょう??
彼が「マルセイユ映画」を撮るときの、
リアリティも、人物の深さもありません。
もう一つの『イングリッシュ・ペイシェント』、
でさえありません。
残念!

大統領はお化粧が

3か月で、340万円くらい、ということですね。
化粧代、というか、
メイキャッパーの人件費なんでしょうけど、
マクロン、大丈夫?

http://www.bfmtv.com/politique/26-000-euros-en-3-mois-la-facture-maquillage-de-macron-1241564.html

2017年8月26日土曜日

新装なったForum des Halles

2年前に行ったとき、
ちょうど工事中だったレ・アールのフォーラム。
完成したと聞いていましたが、
行ってみるとこんな感じ。


この日はたまたま、
ヨガ教室が行われていました。


屋根はとてもきれいです。
建物自体は、
特に個性的というわけでもありません。
中庭は…… もうちょっとなにかできたような。

ここにはfnac が入っていて、
niveau-3(=moins trois)には、
チケット売り場もあります。
ルーヴルのチケット(時間指定あり)などは、
行く前にここで買うと、
並ぶ時間が短縮されますね。
(もちろんネットでも買えますが、
これから行くか、と思ったときなど、
当日その場で買えて、便利です。)

La maison de Gyros

パリで食事を安く上げようとしたら、
1にサンドイッチ、
2にケバブ、
でしょう。

サンドイッチは、
おいしいパン屋さんのものなら、
ほとんど外れなしな気がします。
というか、積極的に(?)おいしいです。
(駅のスタンドなどのものは、△。)

ケバブは、
そんなに数を試していないのですが、
以前教えてもらった、
Saint Michel のLa maison de Gyros のものは、
味を知っていて心配ないので、
近くにいれば、寄ります。


これはラム・ケバブ。
ソースはやっぱり、タジキですね。

Charlie

シャルリ・エブドです。


中央には、「第3次世界大戦」。
赤いボタンには<A>、つまりatomicで、
核爆弾の発射スイッチなのでしょう。
で、
アメリカ大統領はゴルフ中で、
「また外れた!」
(でも、そのうち当たりそう……)

Le prix du succès

フランスでは、
10月30日からの公開のようです。


ロシュディ・ゼムとタハール・ラヒムとマイウェン。
これ、見たいです!

Chouf

Karim Dridi 監督と言えば、

Bye-bye  
Khamsa

といった作品が思い出されます。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/05/khamsa.html

そしてこれらと同様、
やはりマルセイユを舞台とした彼の新作、

Chouf (2016)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=fkdCoSdOLLE

タイトルの Chouf とは、
アラビア語で「見ろ」という意味のようですが、
ここでは、
マルセイユの Busserine 地区を根城とする、
麻薬ギャングの名前です。

アラブ系の一家。
両親と、二男二女。
長男は Chouf のメンバーとして金を稼ぎ、
その金は家計を支えるばかりでなく、
リヨンで大学院に通う次男、ソフィアンヌの学費も賄っています。
父親は自分の権威を保とうとしますが、
経済的には家に貢献してはいません。
ソ(フィアンヌ)と兄は、
ソの学業が終わったら、
一緒にレストランを出す計画です。
でも……
ソがリヨンから帰省していたある日、
兄は家の前で射殺されます。
そしてソは、
どうしても学業に戻れず、
兄の復讐を果たそうとします。
ソは、兄の仲間たちに加わり、
兄殺しの犯人を捜します……

まったく飽きるところのない映画でした。
(ただフランス語的には俗語が多く、
またマルセイユ特有の表現などもあり、
調べるのに手こずりました。)
また舞台となった Busserine 地区は、
グーグルアースで見るとまさにそのままで、
しかも、
マルセイユの中心部から3キロほどしか離れていませんでした。

マルセイユは、2年前に行ったきりですが、
パリに比べると小さな町で、
今もその印象は鮮やかです。
Karim Dridi 監督の作品、
明日もう1つ見るつもりです。

Cathédrale de la Sainte-Trinité

アルマ橋のたもと、
ケ・ブランリのすぐ近くに去年できた、
ロシア正教の寺院。
それが、
Cathédrale de la Sainte-Trinité
です。


HPは

http://cathedrale-sainte-trinite.fr/

そして、
造られるまでの経緯においても、
竣工のときにも、
「政治的思惑」が働いていたと、
OVNI には書いてあります。

http://ovninavi.com/817balade/

ここの内部は、こじんまりとしていて、
こんな感じでした。


新名所、とまでは言いませんが、
ケ・ブランリ博物館に行くときには、
ちょっとのぞくのもいいと思いました。

2017年8月25日金曜日

「戦慄の記録 インパール」

今夜、24:50から、

NHKスペシャル「戦慄の記録 インパール」

の再放送があるんですね。
録画予約しました。

2017年8月24日木曜日

Tokyo

というわけで、
無事東京に戻ってきました。
東京、暑いです。
そしてなんといっても、蒸しますね、
もちろん知ってましたけど。

そしてこういう時思うのは、
日本語の世界に戻ってきた、という感じ。
たった2週間ですが、
しゃべるのも聞くのもフランス語だったわけですから、
それが両方いっぺんに日本語に切り替わると、
やっぱり違う言葉の世界に来たという感じはします。
ちがうOSになった感じ、
と言った友人もいました。

飛行機の時間が夜の20:30出発だったので、
最終日も、意外に見て回れました。
「印象」に残ったのが、プチ・パレで見た、
Soleil couchant sur la Seine à Lavacourt, effet d'hiver (1880
(「ラヴァクールでのセーヌ河の日没、冬の効果」)
です。


これは、あの「印象、日の出」(1872)の8年後に描かれた作品で、
同じように低い位置にある太陽を題材としています。
ただし、一方は朝で、他方は夕暮れですが。
ちなみにモネは1840年生まれ。
40歳の時描いた日没には、
30代前半ほどの大胆さはないかわりに、
静かな深みが感じられると思いました。

そして帰りのタクシーの運転手さんは、
仏領ギアナ出身の、黒い肌の、とてもにこやかな男性でした。
(ギアナには、レバノン系で、白い肌の人たちもいます。)
彼は、14歳の時にフランスに来て29年、今43歳。
子どもは4人いるそうなんですが、
その家族や結婚についての彼の話を聞いていると、
とてもイスラム的に聞こえたので、
ところでイスラム教徒なの?
そうだよ。で言っとくけど、「よいイスラム教徒」だからね。
と冗談めかして答えます。
これはもちろん、「悪いイスラム教徒」を前提にした冗談です。
ただね、ぼくは pratiquant (実践する人)じゃないんだ。
じゃあ、croyant(信じる人)てこと?
そうそう。
奥さんも?
その通り。
でそのあとは政治の話になり、
彼は「システム」が継続していることを嘆きます。
公共事業を見てごらんよ、
フランス人が計画して、移民が作るのさ。
ああ、そういえば、この高速道路は俺たちが作ったんだ、
って言ってたアラブ系のおじいさんにあったことがあるよ。
それそれ。ほら、この stade de France 、
(と、たまたま横に見えてきたスタジアムに目をやり)
ここを造るときには、ぼくの友だちの不法移民が、
何人もここで働いてたよ、
奴隷貿易時代から、「システム」は」変わってないのさ。
友だちもあなたと同じ意見なの?
それはどうかな。よくわからないけど……

彼のフランス語はaccent がやや強く、
聞き取れない単語もわりにあったのですが、
何度か出て来るうちに、ああこれはこれのことだな、
とわかることもありました。
29年もいて、あえてaccent を直さないのはなぜなのか、
とは聞けませんでしたが、
もしかしたら、それは、
アイデンティティーに関わることなのかもしれません。


                                                                       20H @ Léon

2017年8月23日水曜日

アフリカからレバノンへ

早くも明日は、東京に戻る日。
というわけで今日は、
外すことのできないexposition、
ケ・ブランリの L'Afrique des routes に行ってきました。
ヴィデオによる紹介があります。

https://www.youtube.com/watch?v=yuJJK-rpGmc

そう、アフリカは、
その内部でさまざまな人間や文化の交流があったばかりでなく、
アフリカの外の世界とも、
さまざまに交流してきました。
この展覧会は、さまざまなレベル、
つまり、技術の伝達、商業、宗教、植民地主義、などのレベルでの「交流」を、
物や作品を通して見せる、という試みです。
とても面白かったです。


これは、紀元前7世紀頃、カルタゴで作られたもの。
 ダチョウの卵に、よく見ると、
いろいろ描かれています。
よく残ってました。



これはハイチのアーティスト、
Myrlande Constant の、2005年の作品で、
1m × 1.5m くらいあるでしょうか。。
中央にいるのは「死者の精」で、
それは彼の帽子と、
彼が着ている夜会服からわかるようです。
これは実は旗なんですが、
寺院の入り口などに置かれるようです。


これは2008年の
「メデューズ号」という作品。
わかりにくいですが、これは三次元の作品です。
カメラが傾いているのではなく、
船が傾いています。
これはもちろん、あのジェリコーの「メデューズ号の筏」と同じ、
1816年の遭難を題材としているわけですが、
こちらでは、船が遭難したのは、
奴隷港があったゴレ島近くだとみなされ、
となるとこの船は、
今運んでいるフランス軍の移動だけではなく、
かつての奴隷貿易の移動という文脈も重なってきます。
なるほど、いいですね。

そしてケ・ブランリからの帰り道、
レピュブリックで乗り換えるとき、
強烈なパーカッションのリズムに惹きつけられました。


なかなかその場を離れることができず、
20分ほど見てしまいました。
その間、音楽に乗って踊り出す黒人女性たち、
ほら踊ってごらん、
と子供をベビーカーから下ろすヘジャブ姿の母親、
子供とその母親が踊るのを撮影する白人観光客、
などが、入れ替わり通り過ぎて行きました。

そしてアパルトに戻る途中、
小さな土産物屋で店主と話すと、
彼はレバノン出身の50歳で、
(つまり内戦時代は子供で)
学生時代にパリに留学してきて、
そのままフランスに居ついたそうです。
でもベイルートには毎年帰るよ、
両親もいるしね。
レバノンは、幾つもの宗教が共存する素晴らしい国。
でも、いかんせん小さいからね。
今ではすっかりフランスに慣れたよ……

パリには、レバノン料理店は、
とても多いですね。

というわけで、
明日の夜にはパリを離れます!

2017年8月22日火曜日

午後10時の


エッフェル塔の夜景って、
通りがかりに目にすることはあっても、
見に行くことまではしたことがありませんでした。
で、今日、夕食が終わったとき時計を見ると9時過ぎだったので、
これはちょっと寄ってみるかと思い立ち、
メトロに揺られて行ってみました。

どうも同じことを考える人が多いようで、
トロカデロはすでにけっこうな混雑です。
そして10時ちょうどからは5分間ほど、
キラキラとたくさんの白い光が明滅し、
観客は総立ちで動画を撮り始めます。
なるほど、これを待っていたんですね。







2017年8月21日月曜日

Neymar Jr.

Neymar Jr.  ついにParc des Princes に登場しましたね。

https://fr.sports.yahoo.com/photos/photos-revivez-première-neymar-au-slideshow-wp-232525645/p-trois-jours-après-attentats-photo-232525719.html

見たかった……

通りかかったシャン・ゼリゼのPSG店の前は、
こんな感じ。


入店するのに、
待ちが出てました。
で、5分くらい並んで入ってみると、
PSGのユニフォームを着たお客さんが多すぎて、
どの人が店員さんなのか、
見分けがつかないのでした。

混成 〜Way-FayとBlack movie summer

ずいぶん前から行きたいと思ってきて、
やっと今日行くことができた店、
それが、バスティーユ地区(最寄り駅はCharonne)にある、

Way-Fay

です。
今日は日曜だったので、
週末用のランチの Formule があり、
entree+plat  ou    plat+dessert   で15ユーロ、
entree + plat + dessert だと18ユーロです。

ここの料理は、
西アフリカ、特にセネガル料理を基本として、
そこに、トルコとカリブの要素を大きく取り入れている、
という感じでしょうか。
で、それが、現地を再現、ということではなく、
パリらしく混成的に形作られ、
しかも料理として洗練されていると感じました。
たとえば、このアクラ。


アフリカ系の料理の定番のentree であるこのアクラも、
この店にかかると、とてもデリケートな味わいになります。
おいしいです。

そしてメイン。たとえば Eli Mazik は、ヨーグルトソース。


ヤッサ・プーレは、


味を説明するのが難しいのですが、
おいしいのは間違いありません。
デザートのパイン・ケーキも、
いい感じに煮詰まったパインと、
生地の香ばしさがナイス・マッチングでした。

この店の料理は、
料理のうまい人が作っている、という感じがすごくして、
だから、きっとなにを頼んでもおいしいだろうと思いました。
またいつか来たいです。


そして今日、日曜の午後には、
メニルモンタンで、
Black mouvie summer
という小さなフェスティヴァルが開かれていたので、
行ってみました。

https://www.africavivre.com/agenda/festivals/black-movies-summer-le-festival-du-cinema-afro-descendant.html

ちょっとしたステージの上から、今日の内容の説明がありました。


ゲームやグッズの売店などもあり、
くつろいだ手作りの雰囲気です。
来ている人たちは、アフリカ系の人の割合が高いものの、
半分くらいは白人のようでした。
こういうのは、いいですね。

そういえば通りのあちこちで、
このポスターを見かけます。



Amadou&Mariam のコンサート!
彼らのコンサートに、一度も行ったことがありません(涙)
8月のパリは好きですが、
やっぱりコンサートなどは、秋にならないとなんですね。