2017年1月4日水曜日

『マネーモンスター』

ジョディ・フォスター監督、
ジョージ・クルーニー&ジュリア・ロバーツ主演の映画、

『マネーモンスター』

を見てみました。

http://bd-dvd.sonypictures.jp/moneymonster/

リアル・タイム・サスペンスと言うだけあって、
始まって数分で画面に緊張が満ち、
その緊張は終盤まで保たれています。
エンターテイメントととしては、
よくできていると言っていいのでしょう。

ジョージ演じるリー・ゲイツは、
財テクTV番組「マネーモンスター」の司会者で、
ジュリアが演じるのはその番組のチーフディレクターです。
ある日の生放送中、その番組の男が乱入。
彼は拳銃をリー突き付け、
さらに、リーの体に爆弾を巻き付けます。
起爆装置は、犯人が握っていて、
もし彼を射殺して彼が手を開くと、
その爆弾が爆発することになります。
だから、手を出せません。
犯人は、数週間前にこの番組が推奨した株を買い、
大損していました。
そしてその会社の社長も、番組も、
許せないというのです……

わりと始まり近く、犯人が、
「本当の敵は中国でもイスラムでもない」
と言う場面があります。
なるほどそうでしょう。
じゃあ、本当の敵とは?
ふつうに考えれば、
拝金主義、強欲グローバル資本主義だ、ということにもなるでしょう。
そういうニュアンスが、
この映画にまったくないわけではありません。
でも……

<以下ネタバレます>

物語の結末において、
「悪」を一身に背負うのは、
いかさまをした社長一人なのです。
番組は(おそらく)明日も続き、
そこでは「財テク」情報が熱く語られ、
タイム・イズ・マネー的な獰猛さが「善」とされます。
なにも、なにも変わっていない……

エンターテイメントととしての文法は守られ、
その点では素晴らしいとも言えるでしょう。
でも、映画としては、ほとんど nul だと思いました。