2017年2月26日日曜日

『沖縄やくざ戦争』

わたしの場合、
ほんとに幸運なことに、
同僚にはとても恵まれています。
諸先輩方はもちろん、
若手の先生たちからも、
いつもいろいろ教えてもらっています。
そして今回も、
日本の写真批評の世界では、
今や屈指の存在となっている倉石信乃さんから、
おもしろい映画を教えてもらいました。
(で、DVDも貸してもらいました!)
それが、

『沖縄やくざ戦争』 (1976)

です。
「第四次沖縄抗争」に取材したとされている、
ヤクザ映画です。

https://www.youtube.com/watch?v=KpaaqLIvKxU

舞台は、1971年、
本土復帰を目前にした沖縄です。
それまで、ヤクザの団体同士のパワーバランスは、
なんとか保たれていました。
けれどもそこに、本土から新たな巨大勢力が参入してきます。
当初は、この脅威の新参者に対し、
沖縄の諸団体は団結するのです、が、
やがて、スケールメリットを優先しようとする裏切り者も現れ……

見どころは多いのですが、
やはり注目すべきは、
中里(松方弘樹)率いる弱小の団体内に、
組長自信を含め、4人の久米島出身者がおり、
彼らにとってその事実は、明らかに、
アイデンティティーの一部を形成していることでしょう。
勢い、本土に対しる意識も、
沖縄島の人間たちとは少し違っている……。
(佐藤優は、母親が久米島出身だそうです。)

そしてこの久米島出身者の中に、
具志川(=室田日出男)がいます。
この俳優は、いつ見ても強烈な存在感がありますが、
今回も例外ではありません。
わたしは残念ながら、
彼の代表作とされる『人妻集団暴行致死事件』はずっと見逃しているんですが、
やっぱり見たいと思いました。
(DVDは絶版中で、中古の値段が高騰しているのが難点です。)

2017年2月23日木曜日

「ふらんす」3月号

「ふらんす」3月号、発売になりました。
で、
「映画の向こうにパリが見える」の最終回も、
時事.com に登場です。

http://www.jiji.com/jc/v4?id=hssfranse-012-17030001

最後に取り上げた映画は、『サンバ』。
第一回の『最強のふたり』、
そして『アンタッチャブルズ』にも出ていた、
オマール・シーが主演です。

https://www.youtube.com/watch?v=vdIMj9PtKrw

記事の中では触れる余裕がなかったのですが、
この映画は、
原作小説を読んでから見ると、
監督たちの意図がよりわかりやすいと思います。
小説では、
サンバが苦労してパリに着くまでに、
全体の 1/3 ほどのページが使われていて、
もう小説と映画は別物なんですが、
それでも、当然、
完全に別物というわけでもありません。

1年間やらせてもらった連載もこれで最後。
長らくお付き合いいただき、
ありがとうございました!

ホウボウ

近所の、
新装なったスーパーでは、
魚屋さんが入れ替わっていて、
並んでいる魚の種類がずいぶん増えていました。
で、目立つところに、
ホウボウの姿が。

刺身だね、
と言うので、
下ごしらえをお願いして、
頭も味噌汁用にしてもらいます。

白身の刺身としては、
歯ごたえもあり、
甘みもあり、
très bon !

ついでに、
新装記念でとても安かった金目鯛も買ったので、
明日は煮つけです。
忘れずごぼうも買いました!
今週は、
もう「大晦日」週間にしました!

2017年2月22日水曜日

ここで大晦日

大学の業務が一段落しました。
成績もつけたし、
入試もほぼ終わったし。
今、気分としては、
大晦日です。

で、久しぶりにカラオケへ。
とはいえ歌える日本語の歌はまったく増えていないので、
おなじみの曲ばかりですが。
ただ今回行った店には、
Five years
という Bowie の曲が入っていて、
懐かしくて歌ってみました。

https://www.youtube.com/watch?v=dE2PR14tGeE

ぼくらにはもう5年しか残っていない……

学生の頃にこれを歌い、
もう、30年以上経ちました。
いつでも、
あと5年しか残っていない、
という気持ちで生きてこられたかどうかは、
まったく心もとないのですが。






2017年2月21日火曜日

『PLUTO』(プルートゥ)

先日、
ある文化人類学の先生と話していて、
AI、そしてロボットの話になり、
ロボットが死の恐怖を持つか、という話になり、
その時話題になったのが、
浦沢直樹による、『アトム』の「地上最大のロボット」の翻案、

PLUTO』(プルートゥ

でした。
10年ほど前の作品ですが、
わたしはまだ読んでいなかったので、
さっそく読んでみました。
全8巻、「大人買い」です。

一つ一つのエピソードには、
胸打たれるものがあり、
引き込まれて読みました。
原作との比較、という読み方ではなく、
これ自体を読みました。
ここでは、死、というよりも、
憎しみ、愛、悲しみ、
とロボットの関係が見つめられています。
(悲しみとしての他者の死、とも言えるかもしれませんが。)

まだ消化しきっていませんが、
なかなか面白かったです。
(というか、マンガ界では、有名な作品のようです、
わたしが知るのが遅かっただけで。)

でも、マンガを読むのって、
文章を読むのとは、
使っている頭の部分が違うなあと、
結構強く感じました。
個人的には、文章を読むほうが楽、かな。

2017年2月19日日曜日

リバティー終了

一昨日の金曜日、
今年度のリバティー・アカデミーの授業が終了しました。
いつも言うことですが、
このリバティーの講座では、
生徒さんたちにとても恵まれ、
楽しく授業をしています。
もちろん今期も例外ではありません。
レナさんと一緒に作ったテキスト、
『全部話して!』を使い、
最後まで楽しく終えることができました。
生徒さんたちに、感謝……

で、授業の後は、恒例のポトラック、
持ち寄りランチ会です。
女性たちが多く、
集まる料理&ケーキのレベルの高さに驚かされます。
(オジサンばかりだったら、
こうはいかないでしょう。
もちろん、料理の上手なオジサンたちいるわけですが、
なかなかこういう風なポトラックにはならないでしょう。)
キャロット・ラぺから、
赤飯、五目ずし、ドイツ風サンドイッチ、
ミニ・クロワッサン、ガトー・バスク、
それにおいしいジャムや珍しいドライ・フルーツ、
フルーツやさまざまなお菓子まで。
とてもいいランチでした。

生徒さんの中の一人、
もう何年か前、
新宿の高層ビルでの(単発の)講座や、
フランス体験講座からのお付き合いである生徒さんが、
海外に(3年ほど)いらっしゃることになり、
とりあえず今回が最後となってしまいました。
(なんだかもう、生徒さんというより、
ほとんどお友達みたいな感じなんですが。
そういえば、某博物館で偶然会ったこともありました。)
どうぞお気をつけて、そして楽しんできてください!

   ◆

そして、
2017年度前期の講座も、
「もうすぐ受付」開始です。

https://academy.meiji.jp/course/detail/3592/

今回は、以前某国立大学で講師仲間だった、
長野さんが作られたテキストです。
よろしければ!

2017年2月18日土曜日

Cultural appropriation

Cultural appropriation(文化的盗用)というのは、
外国の文化を研究する人たちにとっては、
広く知られている問題です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170217-00000010-jct-soci

その視点に立てば、
ここに挙げられた写真の場合は、
見た瞬間にアウトでしょう。

2017年2月16日木曜日

修士論文発表会

今日は、中野キャンパスで、
新領域創造専攻・ディジタルコンテンツ系の、
修士論文発表会がありました。
午後いっぱいをかけて、
合計8人の発表を聞いたのですが、
沖縄やキューバの美術を扱ったものあり、
賢治の詩における色彩論あり、
シェアリングエコノミーありで、
「ああ、若いっていいなあ!」
という感じでした。

賢治と言えば、
あの『シン・ゴジラ』で、
あの船に置かれていたのが、
『春と修羅』でしたね。

*********************************

心象のはひいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんの諂曲てんごく模様
(正午の管楽くわんがくよりもしげく
 琥珀のかけらがそそぐとき)
いかりのにがさまた青さ
四月の気層のひかりの底を
つばきし はぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ


「春と修羅」
********************************

これを、
(とりわけラスト・シーンの)ゴジラの姿だというのは、
言いすぎでしょうか?






2017年2月14日火曜日

『その路地をぬけて』


去年の暮れ、
母親が新詩集を刊行しました。

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%9D%E3%81%AE%E8%B7%AF%E5%9C%B0%E3%82%92%E3%81%AC%E3%81%91%E3%81%A6-%E5%B2%A9%E9%98%AA-%E6%81%B5%E5%AD%90/dp/4783735549/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1487068612&sr=1-1

今回は、散文詩集です。

「臭気芬々とした汚泥のようなそれら堆積物を少しずつ取り出し、
辛抱強く捏ねあげ、かたちを整え、息を吹き込み、辛うじて世間に
通用する言葉というものに換えて、ふたたびこの世に旅立たせてやりたい」

装丁は弟の秀哉です。
静かで、
さびしく、
愛しく、
固い光を放つ詩集です。

2017年2月13日月曜日

2017年2月12日日曜日

クッションを


クッションを占拠中。
C'est à moi !



谷口ジローさん

ああ、残念……。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170211-00000076-mai-soci

日仏会館でのイベントで、
ご一緒させていただいた時、
サインをもらうための行列が長く続き、
その誰もが、
目をキラキラさせて谷口さんを見つめていたのが、
ありありと思い出されます。
(わたしも、イラストを描いていただいたのでした。)
ご冥福をお祈りいたします。


2017年2月9日木曜日

Half of a Yellow Sun

今日の東京は、
最高気温が5度ほどで、
みぞれまじりの雨が降り続く一日でした。
もちろん、日本海側と比べれば、
子供だましのようなものですが。

このところ、
ふだんあまり会わない先生たちと顔を合わせる機会が多く、
そこでさまざまな雑談になるわけですが、
なかなか興味深いネタを仕込むこともでき、
ありがたいことです。
で、わたしはと言えば、
ここでも何度か触れた『アメリカーナ』の話をしてしまうのですが、
実は今、
アディーチェのもう一つの長編、
『半分のぼった黄色い太陽』
を、久しぶりに読み直しました。
うまく言えないんですが、
『アメリカーナ』を読んで以降、
アディーチェの作品に対する感じが、
わたしの中で変化してしまった気がするのです。
(こちらの変化もあるのでしょうが。)
だから、この感覚で、もう一度、
と思ったわけです。

「半分のぼった黄色い太陽」とは、
ビアフラ共和国の国旗に描かれた太陽のこと。
この小説も、
どんどん引き込まれて、
読みだしたらとまりません。
愛と、性と、脆さと、強さと、嘆きと、虚無と、希望と、ため息と、
民族主義と、新植民地主義と、合理精神と、呪術と、戦争と……。
(この500ページの本が2800円て、チョー安くない!?)

それにしても、
訳者のくぼたのぞみさんは、
つくづくいい仕事をなさっていると思うのでした。

2017年2月6日月曜日

ディアスポラ

ヨーロッパの国々の、
移民していった人の「%」。

http://www.dailymail.co.uk/news/article-4182788/The-countries-population-moved-abroad.html?ito=social-twitter_mailonline

Bosnia and Herzegovina は43%。
突出してます。

それに引き換え、
スペインやフランスは低いですね。

シュピーゲル、物議

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170205-00000011-jij_afp-int.view-000

デア・シュピーゲルのことは、
全然くわしくないですが、
こんな表紙を試みるタイプの雑誌でしたっけ?

2017年2月5日日曜日

avec Florence

大学の
(所属している学部は違うのですが、広い意味では)
先輩同僚の、フロランス先生。
お目にかかると、
いつも映画の話で盛り上がります。
そして先日もまた、
大学の会議で会う機会があり、
昨日触れたヴィルジニー・エフィラや、
Divines の話をして、楽しかったです。
で、
新しいイベントの企画などを話し合う中で、
「このところナイジェリアのことを調べていて……」
と彼女が言うので、
すかさず『アメリカーナ』がとっても面白かったと話すと、
「あ、それ今読んでる!」
との答え。
フロランスさんの場合は、
フランス語で読んでいるわけですが、
「今、ロンドンのあたり」
なんて聞くと、
Mmm、
もう一度読みたくなってきます!

2017年2月4日土曜日

Un homme à la hauteur

ヴィルジニー・エフィラといえば、
今もっとも「いい女」がぴったりくる女優ではないかと感じています。
ただし「いい女」と言っても、
あくまで身近で、
飾らず、
あたたかく、
だから必ずしもエレガントというわけでもない「いい女」ではあります。
つまり、ドヌーヴのようなペルソナとは違います。

一方、ジャン・デュジャルダンと言えば、
コメディー的な、
にやけた雰囲気を発しながら、
顔立ち自体は完全に二枚目で、
おどけていて、
やはり身近で、
見ていてつい微笑んでしまう俳優です。
ただしもちろん、
二人とも、
スターのオーラはハンパナイです。

この二人が共演するなら、
とにかく(エンタメとしては)80点は固いだろうと思いますが、
今回のこの作品、

Un homme à la hauteur

も、
あくまでエンタメとしてですが、
80点はクリアしていたと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=_ZUCqTRXV7M

アレックスは、才能豊かな建築家。
バツイチで、もう成人した若い息子と暮らしています。
ただ彼の身長は、136cm なのです。
彼はある日、
ある美しい女性が忘れていったスマホをを手に、
<maison>と書かれた番号に電話します、
スマホ、落としませんでした?
そして持ち主の女性、
弁護士で、やはりバツイチのディアンヌは、
彼と近づいてゆきます……

ラブコメですから、
ラストはもちろん予想できるわけで、
そこまでの過程をどれだけ変化の富んだものにし、
同時に結末に説得力を与えるかが勝負です。
もちろん、主演の二人が魅力的に見えることが、
絶対条件です。
その点、この映画は、
まあうまくやったのではないでしょうか。

ジャン・デュジャルダンを小さく見せる特撮は、
どうやっているのかまったくわかりません。
(はめ込みなどを使ったようです。)
そして根本的に、
この主題に乗れるかどうかはビミョーですが、
つい最後まで見てしまうのは、
やはり俳優の魅力なんでしょうか。

2017年2月2日木曜日

avec Jean-Paul Nishi

昨日は、お茶の水にて、
じゃんぽ~る西さんと、
お話しする機会がありました。

https://twitter.com/JP_NISHI?lang=ja

わたしは彼のマンガのファンで、
単行本は全部持っています。
「モン・プチ」シリーズももちろん面白いですが、
「パリ三部作」は、
日本のマンガとしては唯一無二の存在でしょう。
パリを、内側から、体験を通して眺めているし、
よく読むと、場所も、
パリの様々な場所が、
その特徴とともに、
(論文風に言えば、その土地の固有性と響き合う形で)
描かれています。

で、
じゃんぽ~るさんに描いてもらったのが、これ。


Mmmm、似てます!

昨日の話の内容は、
3月下旬に活字になる予定です。
乞うご期待!