2017年7月25日火曜日

Débarquement immédiat

日本でもスマッシュ・ヒットになった、『最高の花嫁』。
この映画を撮った フィリップ・ドゥ・ショーヴロンのその次の作品、

Débarquement immédiat (2016)

を見てみました。
これもコメディーです。

https://www.youtube.com/watch?v=GtJfIbpqQGk

主人公ジョゼは、スペイン系フランス人。
彼は、不法滞在者を本国に送還する仕事をしています。
そして今回の送還者は、
アフガニスタン人のカザウイ。
(ただし彼は、本当はアルジェリア系のサン・パピエ(不法滞在者)で、
たまたま酔っ払いから盗んで持っていた身分証が、
指名手配中のカザウイのものだったのでした。)

さて、カザウイを連れたジョゼは、
相棒のギーとともに、
アフガンのカブールに向けて飛び立つのですが、
途中で飛行機が故障。
やむなくマルタ島に着陸し、
そこに2日間足止めされます。
で、
当然カザウイは脱走。
ジョゼはそれを追い、
やがて、
カザウイがアルジェリアに向かおうとしていた漁船を発見。
船は出ますが、
なんとか捕まえたと思ったのも束の間、
船長も含めたいざこざから船は炎上し、
3人は海へ……
そして気づくと、
そこはランペドゥーザ島。
そうです、マルタ島とチュニジアの中間位に位置し、
アフリカから最も近いヨーロッパ領と言われるあの島です。
ジョゼとカザウイは、
アラブ系の密入国者として、
その収容所に入れられていたのです……

前半の、ジョゼの相棒ギーを中心とするナンパ物語は、
特に意外性もなく、
ただ風景が美しいという感じなのですが、
ランペドゥーザ島が出て来るあたりから、
がぜんアクチュアルな雰囲気が立ち昇り、
新しいコメディの肌合いに変わりました。
コメディだからこそ可能なアクチュアリテ(時事性)、
という印象を受けました。

で俳優たちですが、
ジョージ・クルーニーに似たジョゼ役は、
『最高の花婿』でユダヤ人を演じたアリ・アビタン。
(彼はリアルにも、北アフリカ系ユダヤ人だったわけですが。)
彼は、Tout ce qui brille では、
レイラ・ベクティの、モロッコに帰った父親として、
写真だけで登場し、
また Tellement proches では、
足の臭いユダヤ人として登場していました。
そしてカザウイ役は、
やはり『最高の花婿』でアラブ人を演じたメディ・サドゥーン。
彼は、なんといっても Les Kaïra  です。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/04/les-kaira.html

あの怪作、
また見たくなりました。