2017年8月31日木曜日

La Vérité ou presque

カリン・ヴィアールが出ているとなると、
ちょっと見たくなります。
で、そんな単純な動機で見始めたのが、

La Vérité ou presque  (2007)『真実、あるいはほとんど(真実)』

です。
2007年の公開なので、
つい最近の作品、ではありませんが。

冒頭は、人間関係の込み入った、
「おフランス」的&心理小説的なものに見えて、
失敗か? と思いましたが、
少し進むと、少しおもしろくなり、
見終わると、こういうのもあるかな、と思いました。

主な舞台はリヨン。
中心にいるのは、二人の男女で、
アンヌ(カリン・ヴィアール)とヴァンサンです。
アンヌは、実業家を気取るマルク(フランソワ・クルゼ)と離婚し、
トマと暮らし始めて10年。
トマの息子とも、なんとかやっています。
仕事はテレビのディレクターですが、
担当番組が打ち切られる予定で、
しかも新番組の企画がありません。
そしてヴァンサンは、
60歳過ぎの、評伝物を得意とする物書きです。
彼は同性愛者で、
若いリュカと暮らしていますが、
リュカはなかなかのイラチです。
さて、こんな二人が出会うのは、
あるリヨン出身の女性ジャズヴォーカリストを巡ってです。
ヴァンサンはこの歌手の評伝を企画しており、
それを知ったアンヌは、
それをドキュメンタリーとして番組を制作することを思いつくのです。
この、とうに死んだと思われていた歌手が、
実は……というあたりはおもしろいし、
かつての夫と関係を持ってしまったアンヌが、
そのことをヴァンサンに打ち明けると、
ヴァンサンンもまた、
自分の傾向に気づいたころのことを話します。
この二人のシーンは、
性的な関係を予感させない男女の会話として、
いい感じのものでした。

ラストのシークエンスで、
意を決したアンヌが、夫に向かって、
「実は、話してないことがあるの……」
と言うと、夫は、
C'est très bien comme ça.
「それでいいじゃない」
と答えるのです。
ちょっと大人な夫なのでした。