2017年9月8日金曜日

『並木道』


モンマルトル博物館の、
「映画の舞台としてのモンマルトル」展
で紹介されていて、
気になった映画、

『並木道』(Boulevard, 1960)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=yipNsX6TeIs ←冒頭部分

ジュリアン・デュヴィヴィエの監督・脚本なんですが、
これほどはっきりミソジニーが示される映画も、
珍しいんじゃないでしょうか?
あきれました。

主人公は、まだ大人になりかけというくらいの少年、ジョジョ。
彼は、ピガール広場に面した建物の最上階、
といっても一間しかない煤けた部屋に住んでいます。
というのも、彼には、
やもめになった父親が、
新しい恋人を家に連れてきたことが気に入らなくて、
彼女を殴って家を飛び出したからです。
ジョジョは、日々の食事にも事欠く状態です。

ジョジョは、同じ階に住む年上のヌードダンサーに憧れていますが、
まったく相手にされません。
そして彼女は、
チャンピオンになりそこなった元ボクサーと恋に落ち、
それを知りボクサーに殴りかかったジョジョは、
返り討ちにされます。

(以下ネタバレします。)

その後ジョジョは、
やはり同じ建物に住む、
イタリア系の少女と付き合い始めます。
(建物の屋根の上でのデートのシーン、
これはとても魅力的でした。上の本の画像。)
が、ジョジョがデート代がないため約束をすっぽかした時、
退屈しきった少女は別の少年とデートに出かけ、
それを見かけたジョジョは怒り狂い、
屋根に上ってネオンを叩き壊し始めます。
彼は、自殺する気なのです。
でもその時、
彼の父親が駆け付け、ジョジョに言うのです、
あの女を平手打ちして、追い出してやったぞ! と。
それを聞いたジョジョは急に笑顔になり、
映画の中で一番という笑顔で高笑いします。
そして、その笑い声の中、
映画は終わるのです。
ひどいですね。

ジュリアン・デュヴィヴィエって、こんなにミソジニーでしたっけ?
そういえば、
『我らの仲間』はまったくホモソーシャルな映画だったし、
『殺意の瞬間』も、ミソジニー的でした。

(ちなみに、
いわゆるヌーヴェル・ヴァーグの監督たちも、
多くがミソジニーだという指摘もあります。

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また、この映画が公開された960年には、
『勝手にしやがれ』も公開されています。
時代感覚が、ずいぶん違います。
(ただ、『勝手にしやがれ』の主人公は、
19世紀的ロマンチストだと、言えば言えるでしょう。)