2018年3月7日水曜日

Corniche Kennedy

マルセイユで一番賑やかなのは、
ヴィユー・ポール(古い港)周辺でしょう。
ただ、そこを行き来するのは、主に観光客。
レストランの値段も高いです。

で、
そのヴィユー・ポールから、
南に向かって3キロほど続くのが、
通称 Corniche Kennedy です。
ここです。

https://www.google.co.jp/maps/@43.2797963,5.3536619,3a,75y,219.48h,86.44t/data=!3m6!1e1!3m4!1seyrcDUKZMIBFauoxuJ8Gog!2e0!7i13312!8i6656

corniche というのは「岩棚」のこと。
Kennedy はあの J.F.ケネディのこと。
たまたまこの場所の名前を考えていたとき(1963)に、
大統領の暗殺事件が起こり、
この名がついたと言います。
(昔、ダラスの、事件現場に行ったことがあります。
ガイドさんが、あの窓から撃ったんだ、と話してくれました。)

というわけで、
今日見た映画はその名も、

Corniche Kennedy

です。
わたしは、好きなタイプに映画でした。


バカロレア入試を数日後に控えた少女、シュザンヌ。
いいうちのお嬢さんである彼女は、
飛び込みを繰り返すワカモノの様子を、
部屋から撮影したりしていたのですが、
ある時、その岩棚に出かけてゆき、
次第に彼らと仲良くなってゆきます。
特に、アラブ系のマルコと、
一見ヨーロッパ系に見えるメディとは。
(メディは、映画の後半、
母親がブルトン人で、
父親はチュニジア人であることが分かります。
ただ、見かけはヨーロッパ系でも、
名前がアラブ系の「メディ」ですから、
きっとmétissé なのだろうと思いながら見ることになります。)

この3人は、
(わたしのようなオッサンから見ると)
みんないい子たちに思えます。
でも、マルコは、
街の大物ギャングの運転手をしていて、
かなり危なっかしい。
しかも警察は、
その大物をあげるのに必死で、
マルコにそいつの居所を言うように迫ります。
さもないと、刑務所だと。
そして実はメディの兄も、
麻薬がらみで殺されているのです。
さて、シュザンヌを好きらしい2人の男の子。
そしてまた2人のことをそれぞれ好きらしい女の子。
3人の運命やいかに……
というお話です。

予備知識は何も入れないで見たのですが、
男の子の描き方から、
女性監督であることははっきり分かります。
(女の子の描き方から、と言ってもいいです。)
もちろん、監督が男性でもわかりますから、
分かったからどうということではないんですが。
ただわたしは、個人的&一般的には、
女性監督の映画は好きです。
細やかで、デリケートで、
しばしばどこか爆発的で。
今回もそうでした。

ちょっと興味をひかれたのは、
2人の警官が、
アイサは、あいかわらずきれいで、
堂々としていました。
警官が女性で黒人というのは、
フランス映画ではきわめて珍しいはずです。
もちろん、メンバーの一人、
なんてことはありましたが。
しかも今回は、アイサは capitaine(警部)であり、
あのマーサ・ムースクリに指示を出すのです。
もしかして、女性 capitaine は、
フランス映画史上初めて!?
(だとしたら、歴史的作品ということになります。)

そうそう、
これも「マルセイユ映画」ですから、
一瞬ですが、
マルセイユ大聖堂や、
ノートルダム・ドゥ・ラ・ギャルドに向かう路面電車も、
ちゃんと登場します。

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