2013年4月30日火曜日

フロイトの

最近読んだ文章の中に、
フロイトの「適者生存」、「弱肉強食」などは、
実は当時のイギリスの労働者の実情を投影したものかも、
という指摘がありました。

こういう考えは、初めて聞いたので新鮮でしたが、
もうしかして有名な説なのかと思って、
今日、ランチ時に同僚たちに訊いてみると、

そう、そんなのがあったねえ、
だからフロイトの説は、当時もっぱら富裕層に受けたとか、
体を鍛えたり、
巫女さん的な人に、自分の祖先を呼び出してもらったりするのが、
流行ったみたいだよ。
もちろん、前者は「適者」になるため、
後者は、自分の祖先が猿じゃないことを証明するため(!)なんだって。

はあ、そんなことが……

そういえば、ケプラーが「ケプラーの法則」を見つけた根本には、
偉大なる神が作った宇宙は、
簡単な数字でできているに違いない、
という確信があったからとか。

結果だけでは、わからないこともありますね。

2013年4月28日日曜日

Ken

くだけた映画を見ていると、
辞書にはもちろん、
Wiktionnaire にも出ていない単語や表現に出会うことがあります。
そういう中で、
このところ頻繁に出会う単語に、ken があります。
これはどうやら、動詞の原形のようです。

あまり品のいい言葉ではありませんが、

niquer

という動詞があり、これのさかさま言葉(verlant)が、

quéni

ということになりますが、
この「ケニ」は音がイマイチ(?)ということらしく、
最後の「イ」が落ちて、

quén    → ken

となったようです。
つまり意味的には、niquer と同義なんですね。

そしてもしかしたら、
バービーの彼氏の名前にも、
多少ひっかけているのかもしれません。


いつか誰かが ken を探した時のために、
「タグ」代わりとして……

フランス語 新語 卑語 俗語 辞書 ない


2013年4月27日土曜日

la tour Aillaud

一週間前、Neuilly, sa mère について書いたとき、
この写真を挙げました。


この建物をわたしが初めてみたのは、
『パリの奇跡』(松葉一清)という本の中ででした。
今見たら、初版は1990、
そして手元の本は93年の3 版なので、
まあその頃なんでしょう。
20年前、ですね。

Nous York の中に、
マンハッタンの夜景を眺めるシーンがあります。


On dirait la tour Aillaud, la-bas.
あれって、アヨーのタワーみたいだね。

この「アヨー・タワー」、別名「雲のタワー」とも呼ばれる集合住宅こそ、
上に挙げた写真の建物です。
建設は77年。
デファンス地区の開発の一環でした。

アヨーは、wiki が立っていす。
(ほんとはフランス語ページのほうが詳しいんですが。)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%A8%E3%83%BC

そういえば、デファンス地区の当初の名前は、まさに

New York

でした。

Nous York


見たい映画はいつでも色々ありますが、
中でも特に見たかったこれ、

Nous York

やっと見ることができました。
監督、主演とも、あの『きらきらしてる』のメンバーですから、
それは期待が高まります。

*『きらきらしてる』:http://tomo-524.blogspot.jp/2011/02/blog-post_21.html

まずは予告編

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/02/blog-post_21.html

主な登場人物は5人。
ユダヤ人のガブリエルと、アラブ系のサミア(レイラ・ベクティ)、
2人は2年前からNYにいて、
グリーンカードの取得を目指している。
ガブはユダヤ人老人ホームで働き、
サミアは女優の付き人。
そしてサミアの誕生日パーティーに、
サプライズで出席する3人の30男、
彼らはナンテールから、大変な見送りの中NYにやってきます。
シルヴァンはサミアの恋人で、ヨーロッパ系。
ナビルはアラブ系で、ガブの恋人。
そしてミカエルは褐色の肌、英語が上手、
つまり、
ユダヤ女性とアラブ人のカップル、
アラブ女性とヨーロッパ系のカップル、
そして褐色のミカエル、
という5人組です。

「夢」を追って、ナンテールからNYにきた2人の女性、
彼女らは「夢」に近づくことができずにいます。
3人の到着が、そうした彼女らの状況を明らかにしてしまい、
ナンテールに帰ろうか……ということになるのがメインの物語です。

ただミカエルだけは、NYで新しい恋人ができます。
彼は5人の、新たな希望のようにも見えるのです。
ただこの恋人が、大金持ちの御嬢さんで、
そのへんはちょっと(ワルイ意味で)ファンタジー。

というわけで、
笑えるコネタは多かったけれど、
全体としては、『きらきらしてる』に及ばない、かな。
特に弱いのは、
彼らを通して描かれるNYの、
都市としての魅力が伝わってこないということです。
それがあると、
2人がNYを目指したことが、
もっとリアルに感じられたでしょう。

でももちろん、軽めのコメディーとしては、
十分楽しめると思います。

*以下は備忘録として

<ユダヤ>
映画冒頭、ストーリーとは直接関係なく、
サルセルに住む、ナビルのオジサンを尋ねる場面があります。
サルセルと言えば、ユダヤ人の街、でした。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/01/la-petite-jerusalem.html

そして映画内には、
ガブが働くユダヤ人老人ホーム以外にも、
ユダヤ関連施設が頻繁に登場。
タルムード研究専門学校から、
有名イディッシュ料理店、カッツ、
グリニッジヴィレッジにあるファラフェル店、マムーンズまで。

ユダヤ人老人ホームにいる女性、アザンは、ガブが大好き。
そして彼女は、アルジェから来たアルジェリア系ユダヤ人。
ナビルはある夜、ネットを使って、今のアルジェを彼女に見せます。

<郊外>
冒頭近く、
わりと荒涼としたNYのはずれを歩いているとき、
こんな会話が。

On est en banlieu ?
Ouais. C'est cool, ça ?

<オバマ>
彼らはことあるごとに、
「オバマー!」
と叫びます。
これは彼が、特に郊外の若者に、
絶大な人気があることを(冗談ではなく)示しているようです。

ここに詳しく説明あり。

http://pepecastor.blogspot.jp/2012/11/blog-post_14.html

<アヨー>
新たにブログを立てる。

Japan's Unnecessary Nationalism

New York Times の記事。
「不必要な国粋主義」

http://www.nytimes.com/2013/04/24/opinion/japans-unnecessary-nationalism.html?_r=0

それを取り上げたテレビニュース。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000004264.html

2013年4月26日金曜日

『この愛のために撃て』

ヴァンサン・ランドン主演の『ラスト3デイズ』は、
サスペンスものとしては出色のデキだと思っているのですが、

予告編:http://www.youtube.com/watch?v=4o9NHu_1TxA

全編:http://www.youtube.com/watch?v=nwA8OfGvC78

この作品を撮ったフレッド・カヴァイエ監督の『この愛のために撃て』もまた、
なかなかスマートなサスペンス、
というかフィルム・ノワールに仕上がっているなあと、
今日見て思いました。

http://www.youtube.com/watch?v=aQer-Z2ZrFs

こちらは、『フランス、幸せのメソッド』のジル・ルルーシュが主演、

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/02/blog-post_17.html

『虚空の鎮魂歌』&Vivre au paradis のロシュディ・ゼムも出ています。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/02/blog-post_18.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/02/vivre-au-paradis.html

得体の知れないたくらみに巻き込まれた、
やさしい夫と妊娠中の妻。
寸分の切れ目もなくサスペンスは続き、それが85分。

作品の余韻としては、『ラスト……』のほうに軍配があがりますが、
エンターテイメントとしては、十分なデキでしょう。
途中、パリ東駅などでの逃走シーンは、評判通り◎。
パリと郊外のパンタンも登場します。

それにしても、ロシュディ・ゼムはなかなかいい俳優。
つい忘れがちですが、彼はここでも、
visible なアラブ系として登場しているわけですね。
彼は、これらの映画にも出ています。
(ほかにもたくさん。)

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/little-senegal.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2010/10/36-quai-des-orfevres.html

2013年4月25日木曜日

権力は

やがて消費税がアップされる頃になれば、
まあ誰が考えても、スーパーなどでは、
「消費税還元セール」的なものが行われることが予想されますが、
どうやら政府はこれを「禁止」にしよう、ということのようです。

先日首相は、給料を上げるように、と指示を出しました。
これは庶民にとっていいことに見えるので、
特に「苦情」みたいなものありませんでした。
もちろん、これは非正規で働いている場合は恩恵がないので、
実際に行われたとしても、
その影響は限定的なわけで、
その意味では、パフォーマンスの要素も多分にあるわけですが。

ただ、この発言に対して、
「ファシズム」的だという指摘もありました。
たしかに。
だとすれば、消費税還元セール禁止もまた、
それ的だ、と言えるのでしょう。

ファシズムは、困りますね。

2013年4月24日水曜日

スウェットショップ(sweatshop)

スウェットショップ(sweatshop)という英単語は、
「労働搾取工場」とか、「タコ部屋」とか訳されるようです。

http://www009.upp.so-net.ne.jp/juka/Sweatshop.pdf#search='%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%97+%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%81+%E6%90%BE%E5%8F%96'

なぜこんな単語を思い出したのかというと、
ブラックであると言われているユニクロが、
世界同一賃金、と言い出したニュースを読んだからです。
(もちろん、ユニクロがスウェットショップだということではありませんが。
そしてユニクロの社長は、この評判を否定しています。)

この辺りの事情、
そしてスウェットショップについても、
今日の授業の雑談に挟んだのですが、
意外だったのは、1年生の半分以上が、
ユニクロ=ブラック、という評判を知らなかったことです。
ユニクロの新卒の離職率は、
3年で5割、5年で8割強、
だそうです。
平均的、ではないですね。

それにしても日本では、
スウェットショップに関わるニュースって、
わたしは見たことがありませんが、
メディアは、こうしたことを取り上げる気があるのでしょうか?
就活の「現場報告」みたいな切り口だけではなく、
もっと全体の枠組みについての報道が読みたいところです。

*今wiki を見たら、
なんと「ブラック企業」=「スウェットショップ」という記載がありましたが、
後者は日本におけるブラックなど比較にならないくらい劣悪な条件だと、
わたしには想像されます。
日本は、「それ」以外にも仕事はあり、
たとえば半ば監禁された移民が、
不法滞在ゆえどこにも訴えることができず、奴隷に近い状態で働かされる、
という事情ではありませんから。





2013年4月22日月曜日

Nos jours heureux


去年公開の『最強のふたり』は、
日本でもヒットしましたが、
その監督であるトレダノとナカッシュのコンビが、
2006年に発表していたこの映画、

Nos jours heureux

を見てみました。
結論から言うなら、
これはとてもおもしろい、
日本で公開してもまちがいなくウケルだろう作品でした。

http://www.youtube.com/watch?v=X6GYTq92F_k

舞台は、コロニー(ドゥ・ヴァカンス)と呼ばれる夏合宿。
ここに参加した、年齢のまちまちな子供たち30人ほどと、
アニマトゥールと呼ばれる世話係のお兄さん・お姉さんたち、
そして主人公であるディレクトゥール(責任者)が繰り広げる、
にぎやかで、感情的な顛末です。
子供たちは、まだまだ幼い子、ちょっとワルな子、
政治好きなお坊ちゃん、などなど。
そして実は世話係のほうにも大いに問題(?)があり、
女たらしのハンサム野郎、
スタイルのいい、でも子供とタバコを吸ってしまうようなミニスカ娘、
酔うとケベックのアクセントが強烈になる大食いのお兄さん、
うまくしゃべれず、「透明だ」と言われてしまう地味な女性、
ナイスガイのアフリカ系男性(=オマール・シー)、
ちょっと太めの元気な女性、
という構成です。
この中で、恋がいくつか生まれ……
でもそれを子供たちが賭けの対象にしていたり!

また食事を作ってくれるのは、モロッコ系のオジサン。
彼は「ベルヴィルで働いていたけど、店を中国人に売って、
彼らはオレを雇わなかった」そうです。
このコックさんを演じるのは、
『アイシャ』で、ユダヤ人医師を演じたジャン・ベンギギです。

いくつも印象に残るシーンやセリフがあるのですが、
1つといえばここでしょうか。
いつも相手を質問攻めにして、みんなから煙たがられ、
本人も「ぼくを好きになる女の子なんていない」と悲観しているギヨームが、
盛り上がらないキャンプファイヤーの途中、
ちょっと貸してみて、とギターを手に取る場面。
ここ、いいです❤

http://www.youtube.com/watch?v=LdYaRl4uEag

どこかの映画会社が、日本公開してくれることを!

2013年4月21日日曜日

Neuilly, sa mère


さて今日見たのは、

Neuilly, sa mère

です。
予告編はこれ;

http://www.youtube.com/watch?v=ypAFX1l-Jog

そしてここから順にたどれば、全編見られます;

http://www.youtube.com/watch?v=ufW_8KE4vnQ

主人公のサミーは、アルジェリア系の14歳。
ブルゴーニュ地方シャロン=シュル=ソーヌの「シテ」に住んでいた彼は、
母親が船上の仕事に就くため、
彼女の妹のところに預けられます。
そしてこの妹は、パリの高級住宅地、ヌイイに嫁いでいるのです。
ヌイイは、セーヌを挟んでラ・デファンスと向き合っています。
(姉を演じるのは、『アイシャ』でのアイシャの叔母、
妹は『女はみんな生きている』のマリカです。
もちろん2 人ともアルジェリア系。)

物語は、単純と言えば単純。
シテ出身のサミーが、
ブルジュアのための私立学校に入れられ、
そこに通う従弟、あるいはクラスメートたちと、
楽しく、若々しく、やや政治的な要素もある、
さまざまなドタバタ劇を繰り広げる、というわけです。

政治家になりたい従弟は、
部屋にUMPやサルコジのポスターを張っています。
一方彼の姉が読んでいるのは、これ;

http://www.amazon.co.jp/%E9%87%91%E6%8C%81%E3%81%A1%E3%81%8C%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%82%92%E7%A0%B4%E5%A3%8A%E3%81%99%E3%82%8B-%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A7-%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%97/dp/484610916X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1366528248&sr=8-1&keywords=%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%80%80%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%97

ただ娘がこれを読んでいても、
ブルジュアの両親は、何も気に留めませんが。

サミーと仲良くなるブロンドのブルジュア少女は、
Joséphine Japy が演じています。
大人っぽいきれいさで、とても14歳には見えないんですけどね。
単純に面白かったのは、
あるパーティーで、彼女が兄と来ていると知ったサミーが、
「じゃあ、お兄さんに、君と話す許可をもらってこなくちゃ」
という場面。
サミーはムスリム、ということですね。
(そんな彼が、友達に騙されて豚肉を食べてしまう場面、
彼の怒りの大きさに驚かされました。)

そして大事な(?)点。
それはこのヌイイの隣り町からやってくる、
ワルたちの存在です。
(その親玉を演じるのが、あのBooder です。
この映画の主役でした → http://tomo-524.blogspot.jp/2013/02/b-httpwww.html )

このワルたちは、「ピカソのやつら」と呼ばれていますが、
これは Avenue de Picasso 界隈のことを言っているのですね。
ラ・デファンスの裏手(?)にあたるこの地区には、
特徴あるこんな建物が。


そしてここは、『きらきらしてる』の女性たちが住んでいたピュトー地区と、
目と鼻の先なのです。

Neuilly, sa mère は、軽い青春映画だと言えるでしょう。
主な舞台がブルジュア家である点も、やや物足りない。
でも、ヌイイとデファンスが隣り合っていることを、
はっきりと印象付けてくれる作品ではありますね。





敗北の向こう側

中学生時代に将棋部にいたわたしとしては、
コンピューター将棋ソフトVS.プロ棋士による5対5の対抗戦、
「第2回将棋電王戦」は気になっていました。

そしてついに、
人間の負け! 
という結果に。
しかも大将には、現役バリバリのA級騎士が登場していたのですが。
すごく残念、というわけではないですが、
なんだかザワザワ感は残ります。

中で最も印象的だったのは、第四局。
(ただこの「印象的」である理由が、
セツナイ人間ドラマゆえ、というあたりであるのが、
ちょっとおもしろいというか。)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130417-00424174-sspa-soci

塚田九段、お疲れ様でした。

それにしても、この手のもの、
コンピューターは強い。
500円くらいで買える将棋ソフトでも、
わたしを含むたいていの「へぼ将棋愛好家」よりははっきり強いです。
でも……

たとえばロボットは、コンピューターによって制御されるわけですが、
彼(?)は枕を、枕カバーに入れることができません。
ベッドにシーツをかけるのも、まあ無理でしょう。
これはどういうことか、といえば、
要は卑近な人間的行為ができても感心されないので、
得意な分野に特化してロボット(ないしコンピューター)は改良を重ねた、
ということなんだそうです。
(『知の逆転』より)

ふと、人間を愛するとはどういうことか、と考えてしまいますね。

2013年4月20日土曜日

LES KAÏRA


今日は寒くて、しかも午後からは雨になり、
楽しみにしていたDVDを見ることにしました。

LES KAÏRA

です。
とにかくまずは Bande-annonce を。

http://www.youtube.com/watch?v=i5FW-nq_QUg

こんな感じ。つまり、
と~っても下品で、くだらない(いい意味で!)のですが、
実はけっこう綿密に組み立てられ、
伏線もうまく張られ、
予想を裏切る展開の連続で、
ワルだらけのように見えてその実、
サンパで弱い人たちが多い、という映画です。

舞台は、パリから50km、ムランの「郊外」。
主人公は3 人。
「小人」で、サッカーがうまくて、
ポルノが大好き(特にKatsumi)なMomo、
ラッパーを気取っていつも突っ張ってるけど、
本当はR&Bが好きなアルジェリア系のAbdelkrim、
そして語り手でもある Mousten。(彼はこの映画の監督でもあります。)
3 人に共通しているのは、「明日」が見えず、
今まで何かを達成したことがない、ということ。
そんな彼らがある日、とある広告に目を留めます。
それは、ポルノ男優の募集でした。
(ここで流れるのは、113 のLes Princes De La Ville )

これが、2012年の大ヒットだったのは、
さもありなん、という感じ。
こんなに下品なお話が、こんなに知的に構成されている映画って、
日本にもあるのでしょうか? 

もう1つ別の、短めの予告編。

http://www.dailymotion.com/video/xr6xwg_les-kaira-teaser-la-haine-full-hd-kaira-shopping_shortfilms

これは『憎しみ』のパロディですね。
実はこの映画、主役が「郊外」系の3 人組であることなどから、
よく『憎しみ』と比較されるようです。
監督であるFranck Gastambide は、実際カソヴィッツの友達のようです。

それにしても、言葉の汚いこと!
知ってても使う機会のなさそうな隠語が、
これでもかっていうほど出てきました。
タイトルのKAÏRA も、
どうやら racaille(「下層民」) の逆さ言葉である caille-ra、
それをこんなつづりにしたもののようです。

おもしろい映画でした。

ルーヴルはスト

もう何十年も前ですが、
南仏のシャガール美術館に行ったとき、
職員のストで中へ入れなかったことがありました。

先週は、ルーヴルでもストがありました。が、
その意図はやや意外なもの。
キーワードは「暴力」。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2938663/10582815

「観光大国」を目指しているわけだからなおさら、
これはなんとかしないとですね。

2013年4月19日金曜日

広げる

授業も2回り目に入り、
1年生向けのフランス語の授業などは、
発音はもちろん「名詞」くらいはやったわけですが、
再履修のクラスの場合、なかなかそうもいきません。
というのも、ここ数年、
2回めの授業から現れる学生が必ず数名いて、
現実的には、彼らへの対応も考えなくてはならないからです。

で、
「あなたのフランス度テスト」なるものをします。
これは要するにフランスに関するトリビアルなクイズなのですが、
実はこれはダシというかフリというか、であり、
そこから勝手に「雑談」に広げてゆくわけです。

ところが今年は、つい広げすぎました。
あるクラスでは、2回の授業を費やして、
このクイズを17問解いただけです!
もちろん「広がった」部分には、
フランス革命、民主主義、帝国主義、グローバリスム……
などが含まれ、どうしても時間はかかるのですが。

そして今日の2時間目、
1人のスーツを着込んだ学生が、
途中で早退して、最終面接に向かいました。
みんなで、「がんばれ!」と言って送り出しました。(マジで!)

どうだったかなあ?

2013年4月18日木曜日

観光大国

わたしが中学生だった頃の教科書では、
フランスといえば「ヨーロッパの穀倉」という紹介のされ方で、
まあパリだけはちょっとちがうけど、みたいな説明でした。
農業国、ということですね。

それは今も大きくは変わらないし、
一方ではハイテク系の産業もある。でも、
GDP の7 %を占めるN.1 産業はと言えば、
「観光」なんですね。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130417-00013681-toyo-nb&p=1

観光で生まれた雇用は海外へ逃げない、とは、
言われて初めて気づきました。

ただ先日の港さんとのイヴェントでも話したように、
観光産業の進展=グローバル企業の進出、であるなら、
たとえ雇用を(一時的に?)作り出すことができても、
失われるものもあるでしょうね。

2013年4月16日火曜日

You got the words, baby you got the words

このところ東京は快晴が続き、
朝も気持ちよく通勤できます。
で、
そんな通勤タイムのうれしいサプライズが、
「バラカン・モーニング」の復活です。
去年は「終わって」いたこの番組、
きっと復活を望む声が多かったのでしょうね。

そして今朝、半ば遊びで紹介されたのが、これ。
マイナーに転調されたHey, Jude です。

http://www.youtube.com/watch?v=8dcfpH8oJoM

Mmm、いいんだか変なんだか……?
でもこのヴァージョンのミソは、
オリジナルの音そのものを使った、という点なのでしょう。
転調の仕方も、これでいいのか? という個所もなきにしもあらず?

今日かかった中でわたしが知らなかった、
そしてちょっと感動してしまった曲。

http://www.youtube.com/watch?v=AsR3jJQ_aKo

アレサとは、もちろん、アレサ・フランクリン。
いい歌詞ですね……

歌詞:http://www.onlylyrics.com/rumer-lyrics-1053193.php


2013年4月15日月曜日

自分のこととして

先週は北朝鮮に振り回された感のある1週間でした。
そして日本が、
ある危険のなかにあった(ある)のは事実ですが、
それとは別のものも感じます。
つまり、3つの大国が、
それぞれの利益を最大限にするという1点を目指して、
今後のアジアのバランスを取ろうとしているということです。
今ある危険を目一杯クローズアップすることで、
自分たちの意図を達成しようというかのように。
そういう感じを持った人は、少なくないと思います。

公共工事を正当化するには、
想定される地震の恐怖を煽ること。
危険な巨大施設、
それを運営する能力に疑問符がつく企業、
それらから目を逸らすためには、
景気の好転を言い立てること。
メディアは、権力の側の意図のブースターではないはずですが。

今回の株価の上昇で「儲けた」人が、
いったいどれだけいるのでしょう。
メディアは、そうした人を取材し紹介するとき、
彼らが全体の何%にあたるかは言いません。

文部科学の相大臣は、
「子どもたちに日本に生まれてよかったと思ってもらえるような歴史認識も
教科書に書き込むことが必要だ」
と話したそうです。 

日本人が、日本に誇りを持つことはいいことでしょう。
でも、それと、
「日本に生まれてよかった」という感覚は、だいぶ違います。
できれば、
「人類の幸福に貢献したいと思ってもらえるような教科書」
と言って欲しかったですね。

さ、明日は初「ワールド映画ゼミ」です。
動き続ける世界の、その断片だけでも、
自分のこととして考えて欲しいと思います。

2013年4月12日金曜日

100 years ago

こんな写真集があります。

http://www.amazon.fr/gp/product/2358960071/ref=wms_ohs_product_img?ie=UTF8&psc=1

これは19世紀と21世紀の、
パリの同じ場所を比較したもので、
もちろん眺めているだけでも楽しいのですが、
これも、小規模ですが、似た企画です。

http://www.rue89.com/rue89-culture/2013/03/24/paris-1914-2013-en-photos-grimpez-dans-notre-fabuleuse-machine-remonter-le

東京は、もっとずっと変わっているでしょうね。



2013年4月11日木曜日

Pieter Wispelwey

バッハの無伴奏チェロ組曲は、
特に好きな曲の1つで、
CD もカザルス、フルニエ、マイスキー、ロストロ、マ、など、
何種類か愛聴してきました。
中でわたしが親しんでいるのは、
マイスキーの1回目の録音なのですが、
それとはまた別の魅力にあふれたアルバムが、
去年、登場していました。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B008TUDI2A/ref=oh_details_o03_s00_i00?ie=UTF8&psc=1

Pieter Wispelweyにとって3 回目となるこの録音、
もう聞いた瞬間に、その響きのどこか枯れた感じ、
深く、力強く、けれどはかなく消え去る響きに、魅了されます。
(もちろん、恐るべきテクニックに裏打ちされているわけですが。)

古楽器というと、ブリュッヘンの18世紀オーケストラの音の印象が強いのですが、
チェロとなると、しかも独奏となると、
古楽器の音の質がより鮮明になる気がします。
こんな音です。

http://www.youtube.com/watch?v=7qtk7HQuy4E

今日やっと届いて、
まだ1度しか聞いていませんが、
これは間違いなく、これから何度も聞くことになるでしょう。

(ちなみにフランスには、
まだ30歳代の女性チェリスト、オフェリ・ガイヤールがいます。

http://www.youtube.com/watch?v=pAOnJcKn5JY  )

活気の戻った大学で

というわけで、昨日は授業の初日でした。
初回の授業は例年そうなのですが、
クラスには緊張感がみなぎり、
こちらもここぞとばかり(つまり今日なら耳に届くだろうと)、
いろいろしゃべってしまいます。

理工学部の学生には、
もちろん理系の専門の先生方がついてらっしゃるわけですから、
わたしたちは、むしろ素人の立場から、
理系の学生に望むことを話すわけです。
要は、人類の幸福に貢献する研究をS.V.P. !  ということに尽きるわけですが。
ただ研究がしたいだけ、
というような熱望は美しいけれど、
そういう純粋さは危険でもありますね。
その研究がどこへ向かうのか、
ときどき立ち止まって、周りを(遠くまで)よく見回して、
それからまた歩き始める、
なんてのがいいんじゃないでしょうか。

そして昼休みには、
今年の新博士課程1年生や、
ロシア語を選択している電気系の2年生らが、
久しぶりの顔見世に来てくれました。
2 人とも元気そうで、
2 人ともフランス人やらブラジルと日本のハーフやらの友達ができ、
楽しそうでした。
楽しい話は、いいですね。

さて、明日もまた1時間目からです。
大学が始まって、わたしも楽しいです!

2013年4月9日火曜日

80 ans !

さあついに、明日から13年度の授業が始まります。
わたしもまた1時間目から、新1年生の授業があります。
ということは、
そのクラスの学生たちにとっては、
大学での初授業が「フランス語」ということになるわけですね。
まあ、そんなに意味があることでもありませんが。

初授業前は……やっぱり掃除、ですね。
で、今日は、机周りの片づけをしたのですが、
読むつもりで積んでおいてそのままだった本を見ると、
なかなかツライものがあります。
もっともっと読んでいるはずだったんですが……

そして片づけながら、europe 1 を聞くともなしに聞いていると、
唐突に馴染みの声で、

« Si vous n'aimez pas la mer,
si vous n'aimez pas la montagne,
si vous n'aimez pas la ville,
allez vous faire foutre !»

これ、『勝手にしやがれ』の冒頭、
パリへと向かうクルマの中で、
たしかカメラに向かって挑発的に、
ベルモンドが言い放つセリフだったはずです。

で、あわてて一生懸命聞いてみると、
なんと今日は、ベルモンドの80歳の誕生日だそう。
(なんだかここ数日、こんな話題が多いですが!)

ベルモンドと言えば、個人的には、
『冬の猿』と『パリの確率』が印象に残っています。
(『勝手にしやがれ』はのぞいて、ということですが。)

http://www.youtube.com/watch?v=WJ77ObqHdZg

そういえば、『パリの確率』の監督はセドリック・クラピッシュですが、
先週大学で話したフランス人の先生は、
なんとクラピッシュと同じ小学校だった、と言ってました。

「もちろん、みんなセドリックって呼んでたんだけど、
あんなに有名になるとはね」

こういう話を聞くと、
世間は狭い、というよりも、
「同時代」なんだなあ、という感を強くしますね。

ヴィーナスの日

6日はラファエロの誕生日でした(異説もあり)が、
8日はというと、「ヴィーナスの日」だそうです。
理由は明快、1820年の同じ日に、
ミロのヴィーナスが発見されたからです。

それにしても彼女の両腕は、
今頃どこで、何をしてるんでしょうねえ。

2013年4月6日土曜日

「英語で読む村上春樹」

「英語で読む村上春樹」、という語学番組が、
7日から始まります。

https://cgi2.nhk.or.jp/gogaku/english/yomu/

この番組、
「まいにちフランス語」や「テレビでフランス語」のときとてもお世話になった、
若くて優秀でトレ・サンパな Kenta も関わっているそうです。
どうも、いい番組を作ってくれたみたいです!

テキストは、当然ながら、
春樹の文章&その英訳、が対照されています。
これは、テキストを読むだけでも楽しそう。
(でも読んだら、必ず聞きたくなると思いますが。)
また講師が沼野先生なのも、豪華ですねえ。
何をお話になるのか、とても気になります。

明日です!

ラファエロ、そしてベーコン

今日4月6日は、ラファエロの誕生日。
530年前のことです。
それで、というわけではないのですが、
上野の「ラファエロ展」に行ってきました。
(ちなみにラファエロは、命日も今日です。)

チケットやポスターにも使われているのは、
「大公の聖母」。これです。


ラファエロの絵は、きれい。
でもとりわけこの絵のオーラは、ちょっと別格でした。

わりとシンプルでわかりやすい構図、
微細に描き分ける、抜群の技術、
そしてイコン。
わたしのような素人でも、
そんな風に楽しめるのですが、
ただ、キリスト者ではない身には、
宗教的な感銘というのはわかりません。
また、世俗的な絵の場合でも、
描かれる肖像は全員お金持ち。
まあ時代的に言って、それ以外の選択はなかったのでしょうが。
それにしても、
肖像が描かれている人物の誰かに、
自分の中の何かを託すという感覚はありません。
(もちろん、ないものねだりなんですが。)

それで、というわけでもないのですが、
午後から向かったのが竹橋。
近美の「ベーコン展」です。

この近美でのベーコン展と言えば、
学生時代に強烈な印象を受けた記憶があります。
(今調べてみると、1983年でした。)
当時ベーコンは、わたしの周りでとても人気がありました。
あの歪んだ自画像、
あれはオレだ、と、
わたしたちはみな思っていたのです。


そして今日、ベーコンと久々の再会。
これが……
やっぱりいいんですね。
得体のしれない、でも持ち重りのする、影のような何か……
ベーコンの絵の前に立つとき、
20世紀に感じていたその何かが、
今また、生き生きと立ち上ってくるのでした。

今日のベーコン展には、
わりと若い観覧者が多かった。それを見ると、
なんだか親しい後輩たちを見るような気持ちに、
勝手になってしまいました。

2013年4月5日金曜日

rookies

今日は大学で、
新任の先生たちをお迎えする小さな懇親会があり、
出席してきました。

この手の会での、
わたしたち、理系学部の文系教員の醍醐味は、
まあふだんはまず聞くことのない専門分野の存在を知ることができることです。
しかも、今まさに現役バリバリの研究者が、
そのさわりを語ってくれるわけですから、
それはおもしろいですね。

今日「へえ~」と思ったのは、
流体力学の先生のお話。
その先生は、流体は流体でも、
眼球を流れる水の、水晶体への影響を調べているとか。
もちろん、医学とも接しているわけですね。

流体力学というと、
つい水路なんかを思い浮かべてしまいますが、
そんな単純なことだけではないんですねえ。

late hanami


暖かさに誘われ、
井の頭公園に(ずいぶん遅い)花見に。
さすがに人出は、ピークの頃の半分ほどでしょうか。
池のボートも並ぶことなく、すんなり乗れてしまいました。

でも、
青い空、若々しい緑、散り残る花、
そして絶えず舞い落ち続ける花びらが構成する風景は、
ため息が出るほど。
ノンアルコール・ビールの味も格別です。
(上の画像・よろしかったらクリックで拡大してみてください。)

水面も、場所によってはこんな感じ。


ちなみに、去年、満開だったこの池は……



これはこれで、またステキですね。

(それにしても人は、どうして花の写真を撮るんでしょうか?)

2013年4月3日水曜日

Darvish loses perfect game with 2 outs in 9th inning


惜しい!
ほんとに惜しい!
あと1out で完全試合だったのに!

まあ、こういう打たれ方って、
実はままあることではあるんでしょうけど、
最後のほうは、
もう見ていてこちらもドキドキしました。
(1番見ごたえがあったのは、
8 回の先頭バッター、4 番カーターとの勝負でした。
最後は三振。)

惜しかった!

2013年4月1日月曜日

球春


球春、という言葉の響きが好きです。
日本でも、そして待望のアメリカでも、
バットの快音が聞こえ始めました。
今日の(というか明日ですが)の25時50分からは、
NHKでヤンキース戦の中継もあります。
ちょっと見たいかも。

そしてダルヴィッシュは、日本時間の明後日3日朝、
ついに2013年のマウンドへ。

楽しみです!

*上の画像、壁紙にしています。
  このドジャースタジアム、好きです。(行ったことはないけど!)
 

UFO à Toulouse !



なんと、トゥールーズに UFO が着陸した模様!

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2715333/5557338?utm_source=yahoo&utm_medium=news&utm_campaign=txt_link_Mon_r3

放送開始!

さて、日付もすでに変わり、4月1日。
新学期ですね。
「アンコール まいにちフランス語」も、
本日11:00 から放送開始です。
新たなリスナー、あるいはリピーターの方たちとの出会いを、
楽しみにしています!

hoochie coochie man

今日は近所の焼鳥屋であれこれ食べたあと(焼きおにぎり=130円も含む)、
そのすぐ近くにあるカラオケに。
かれこれ1年ぶり? でしょうか。

ちょっと驚いたのは、
曲を選ぶためのあの分厚い本から、
ブライアン・フェリーの名前が消えていたこと。
そしてロキシー・ミュージックもまた。

一緒に行った人によると、
シュガーソウルも消えているとか。
まあねえ、取り上げる歌手については、
随時見直しをしているのでしょう。
だから、わたしが気づかないだけで、
消えている名前は、他にもたくさんあるのかもしれません。

そして、逆に今日発見したのは、これ。

http://www.youtube.com/watch?v=nr839d9t44I

今まで探しもしませんでしたが、
こんな曲が入っているなんて!
消えないうちにいっぱい歌っときましょう!?